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クローズアップ2013:衆院選、無効判決(その1) 政治の放置、限界
http://mainichi.jp/opinion/news/20130326ddm003010175000c.html
毎日新聞 2013年03月26日 東京朝刊
12年衆院選を巡る25日の広島高裁判決は、「将来の選挙無効」を突きつける内容となった。「最高裁の違憲審査権も軽視されている」と述べ、「1票の格差」是正に向き合わない国会に対する不信が限界を超えたことの表れと言える。各地の高裁、高裁支部に提訴された計16件の訴訟のうち、今回の無効判決を含め8件が言い渡され、1票の最大格差2・43倍で行われた衆院選を「合憲」とした判断はまだない。広島高裁判決の「衝撃」が、永田町を揺さぶった。
◇是正期間を厳格化 最高裁判断に影響も
昨年衆院選の「1票の格差」を巡っては、二つの弁護士グループが全国8高裁、6高裁支部に提訴していたが、「選挙無効」が出るか否かが最も注目されていた。政府関係者は「可能性はあると思っていたが、まさか本当に出してくるとは」とため息をついた。無効判断以外にも5件の「違憲」と2件の「違憲状態」判決が出ており、最高裁の統一判断に一定の影響を与える可能性が高い。
「一定期間が経過した後に無効の効力が発生する判決も検討の対象」。計16件の訴訟で最初の判決となった6日の東京高裁判決も「将来の無効判決」の可能性に言及したが、「今後、投票価値の平等にかなう区割りに是正される」などとして、無効判断を回避した。
選挙無効訴訟は(1)格差が憲法の求める選挙権の平等に反するか(2)是正のための合理的期間を過ぎたか−−の2段階で違憲性を判断する。格差が平等に反しても、まだ是正期間内と判断すれば「違憲状態」、期間を過ぎていれば「違憲」となる。
最高裁が中選挙区制度下の衆院選で示した2度の違憲と2度の違憲状態判断は、いずれも最大格差3倍以上だった。ところが、小選挙区制に移行して初めての違憲状態判断(11年3月)は、09年衆院選の最大格差2・30倍を問題視した。厳格化の背景には、国会の遅い対応に従って、合憲ラインが次第に低くなっているとの見方が強い。
こうした中、先の衆院選は、09年衆院選と同じ区割りで実施されたため、今回の16件の訴訟では(1)は主な争点ではなく、(2)を判断した上で、無効とすべきかどうかが焦点となっている。
札幌高裁の違憲判決(7日)は(2)について「11年3月の最高裁判決から選挙まで1年9カ月もありながら、この間に国会が実現したことは必要最小限の(制度)改定にとどめようとするものに過ぎない」と批判。一方で名古屋高裁の違憲状態判決(14日)は「最高裁判決後、各党間の協議や法案審議がなされていた。ねじれ国会だったことを考慮すると、一概に国会の怠慢と非難することは相当でない」と、ある程度肯定的にとらえた。高裁の裁判官の間でも温度差が生じていると言えそうだ。
今後、最高裁で無効判決が出るとどうなるのか。
現実に国政選挙の無効が確定したケースはなく、失職対象や、失職議員の当選後の議員活動の扱いなどの法解釈はあいまいだ。広島高裁判決は2選挙区を対象とし、2議員だけが影響を受けるが、最高裁が統一判断するのは16件31選挙区。無効判決が確定すれば、失職議員が拡大する事態につながる。議決などの議員活動については失職前のものは有効とする学説が主流と言われるが、明確な法規定はない。【石川淳一】
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■ことば
◇1票の格差
議員1人当たりの有権者数を選挙区ごとに計算し比較した倍率。選挙区の区割りによって、人口が集中する都市部より、地方の方が1票の価値は重くなる。昨年12月の衆院選では、有権者が最も多い千葉4区と最も少ない高知3区との格差は2.43倍だった。高知3区の有権者1人が1票を持つのに対し、千葉4区の有権者は2.43人で1票を持つ計算になる。
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◆訴訟対象の小選挙区と当選議員
◇札幌高裁
北海道3区 高木宏寿 [自]
◇仙台高裁
宮城2区 秋葉賢也 [自]
◇仙台高裁秋田支部
秋田1区 冨樫博之 [自]
◇東京高裁
東京1区 山田美樹 [自]
2区 辻清人 [自]
5区 若宮健嗣 [自]
6区 越智隆雄 [自]
8区 石原伸晃 [自]
9区 菅原一秀 [自]
18区 土屋正忠 [自]
神奈川15区 河野太郎 [自]
◇名古屋高裁
愛知1区 熊田裕通 [自]
8区 伊藤忠彦 [自]
9区 長坂康正 [自]
10区 江崎鉄磨 [自]
◇名古屋高裁金沢支部
福井3区 高木毅 [自]
◇大阪高裁
滋賀1区 大岡敏孝 [自]
京都6区 山井和則 [民]
大阪4区 村上政俊 [維]
兵庫6区 大串正樹 [自]
奈良3区 奥野信亮 [自]
◇広島高裁
広島1区 岸田文雄 [自]
2区 平口洋 [自]
3区 河井克行 [自]
◇広島高裁岡山支部
岡山2区 山下貴司 [自]
◇広島高裁松江支部
島根1区 細田博之 [自]
◇高松高裁
香川1区 平井卓也 [自]
◇福岡高裁
福岡1区 井上貴博 [自]
2区 鬼木誠 [自]
◇福岡高裁宮崎支部
宮崎1区 武井俊輔 [自]
◇福岡高裁那覇支部
沖縄1区 国場幸之助[自]
※25日の広島高裁判決は広島1、2区。[自]=自民、[民]=民主、[維]=維新
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クローズアップ2013:衆院選、無効判決(その2止) 抜本改革見えず
http://mainichi.jp/opinion/news/20130326ddm002010155000c.html
毎日新聞 2013年03月26日 東京朝刊
◇「0増5減」止まり 1人別枠方式、事実上残る
昨年12月の衆院選(広島1区、同2区)を「無効」と断じた25日の広島高裁判決は、国会に期限を切って「1票の格差」是正を迫った。政府・与党は「0増5減」の区割り法案を今国会中に成立させ、最高裁での「無効」確定を回避したい考え。判決は0増5減の評価に直接踏み込まなかったものの、格差是正に向けた政治の取り組みは最低限にとどまっており、抜本的な是正論議は深まっていない。
「厳粛に受け止めなければならない」
広島1区選出の岸田文雄外相は25日、外務省内で記者団に対し、選挙無効判決について「判決内容を精査した上で、適切に判断していく」と語った。実際に無効になるかは今後の最高裁の判決次第。しかし、広島2区選出の自民党の平口洋衆院議員は格差是正について「どうするかという議論をやり続けていかなければならない」と危機感を示した。
広島高裁判決は、格差是正を巡る政治の対応を厳しく追及している。「この期に及んで、なお紛糾が生じて区割り規定の改正が遅れるということは、憲法上予定されていない事態」と批判。「今年11月26日の経過をもって発生する」として無効に8カ月の猶予期間を認めたとはいえ、司法が国会の審議に注文をつけたともとれる内容となった。
11年の最高裁判決を踏まえ、47都道府県にまず1議席ずつ割り振る「1人別枠方式」は法的に廃止された。しかし、人口比に忠実な「21増21減」の抜本改正を見送り、「0増5減」にとどめたことで、1人別枠方式の考え方は事実上残っている。先の札幌高裁は0増5減案について「最高裁判決に沿った改正ではない」と断じた。
しかし、与党はさらなる格差是正に慎重姿勢だ。自民党の細田博之幹事長代行は25日、記者団に対し「区割りを改正する法案を一日も早く審理し、成立させるべきだ」と表明。安倍晋三首相は同日、首相官邸で記者団に「判決をよく精査していきたい。適切に対処していく」と述べるにとどめた。
◇「比例に中小政党枠」の自民案、新たな違憲生む恐れ
衆院選挙制度改革の焦点は、格差是正から定数削減に移っている。消費増税を控え、身を切る改革への取り組みを強調しようと、自民、公明、民主各党は昨年11月の衆院解散の際、比例代表定数の削減などで合意。自民党は比例定数を30減らし150とした上で、うち60を「中小政党枠」として得票数2位以下の政党に割り振る改革案をまとめた。
中小政党枠の導入は、比例削減に慎重な公明党などに配慮し、理解を得るのが狙いだ。
しかし、制度の分かりにくさに加え、得票数第1党と第2党との「1票の価値」が異なりかねず、「さらなる憲法違反を招く恐れがある」(民主党幹部)。格差是正を求める司法に対し、定数削減に力点を置く立法府の動きは、かみ合っていないのが現状だ。
民主党の細野豪志幹事長は25日の記者会見で、「(0増5減では)また同じような話になる可能性がある。一刻も早くそういう状態を脱することが必要だ」と述べ、区割りの抜本見直しを主張した。
これに対し、公明党幹部は「できることからやらないと、民主党も苦しくなる」とけん制しており、与野党間の綱引きが続いている。【中島和哉、福岡静哉】
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