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立法府の怠慢に対する痛烈なレッドカード。広島高裁が25日、ついに広島1、2区の選挙を無効とした。最高裁が「違憲状態」というイエローカードを出してから2年近く放置したあげく行われた衆院選に、厳しい判断が下されるのは当然といえば当然だ。ところが国会からは「衝撃」「想定外」という言葉が続いた。昨年12月に行われた衆院選の正当性が問われる事態となった。(衆院選挙制度取材班)
◆高くくる
自民党の選挙制度改革の責任者である細田博之幹事長代行は25日夕、判決を受け記者団に「いくつかの高裁でそういう(無効)判決が出される可能性があるとは感じていた」と述べた。
しかし、本音は「想定外」だった。国会は昨年の臨時国会で1票の格差を2倍未満とする「0増5減」法を成立させ、自民、公明両党は今国会中に新たな区割り法案の成立を目指している。こうした「努力」が無効判決を避ける「免罪符」になると信じていたからだ。
実際、今月6日、東京高裁が「違憲だが無効とはしない」という内容の判決を出したとき、石破茂幹事長は「無効にならなかったのは0増5減法が成立していたから」と強調。公明党の山口那津男代表も同様の考えを示していた。
「違憲と判断されても無効にはならない」と高をくくっていただけに、判決には衝撃が走った。政府高官も「想定なんかしてない」と予想外であることを認めた。
◆棚上げ
問題をさらに根深くしているのは、最高裁で無効が確定しても、やり直す選挙制度がないということだ。「0増5減」の法律はできたが、まだ区割りが完了していないからだ。
仮に「0増5減」で選挙ができるようになったとしても、その制度には早くも疑問符がついている。最高裁は、各都道府県にあらかじめ1議席を配分する、一人別枠方式を、違憲状態の元凶と認定している。「0増5減」はこの方式を事実上存続させたもので、抜本的な改革にはほど遠い。
現在、与野党は選挙制度の抜本改革を議論している。だが議論は比例代表の定数削減と、議席配分の方法が中心で、小選挙区の1票の格差とは直接関係ない。
◆違憲国会
「無効」とされた昨年の衆院選は野田佳彦首相(当時)が昨年11月に衆院解散に踏み切って行われた。この時、最高裁は2009年衆院選の1票の格差を違憲状態と断じていた。政治はそれを正す責任があった。
しかし、当時野党だった自民、公明の両党の要求に野田氏は「0増5減」の区割り作業が終わるのを待つことなく、衆院を解散した。格差是正は次の衆院選に先送りをして史上初の違憲状態選挙に突き進んだ。
それから4カ月後。司法は、政治の怠慢の末の衆院解散に「正当性なし」の烙印を押した。その結果、できたのは「違憲国会」だ。
◆岸田外相 厳粛に受け止める/平口氏 司法踏み込み過ぎ
昨年12月の衆院選広島1、2区の選挙を無効とした広島高裁の判決について、両選挙区で当選した二人の話。
岸田文雄外相(広島1区、自民=写真右)
判決は厳粛に受け止めなければならない。内容を精査した上で適切に対応していくことになる。
平口洋氏(広島2区、自民=同左)
裁判所の判断は重く受け止めなければいけない。立法権の範囲の問題に、司法がどこまで踏み込んで議論できるかという問題はある。ちょっと司法として踏み込みすぎな感じがする。
◆首相、「0増5減早期成立を」 審議会、28日に区割り案勧告
安倍晋三首相(自民党総裁)は25日の党役員会で、昨年の衆院選広島1、2区の選挙を無効とした広島高裁の判決を受け、小選挙区の「1票の格差」を縮める0増5減を早期に実現させるよう指示した。
首相は無効判決に関し「自民党は0増5減案(を実現させる公職選挙法改正案)を早く成立させるべきと提案してきた。早く成立させてほしい」と強調した。
総務省は25日、衆院選挙区画定審議会(会長・村松岐夫京大名誉教授)が28日に「1票の格差」是正に向けた小選挙区の区割り改定案を安倍晋三首相に勧告すると発表した。改定原案が既に決まった鳥取県など、17都県の少なくとも42選挙区で線引きを見直す。
審議会は28日の会合で改定案を決定した後に勧告する。政府は勧告を踏まえ、4月上旬にも公選法改正案を国会に提出し、早期の格差是正を目指す。
2013年3月26日 東京新聞 朝刊 [核心]より
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013032602000124.html
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