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2013/3/23 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
円安は止まらず「1ドル=100円超」になると予想されているが、そうなったら国民生活にプラスなのかマイナスなのか
いやはや驚いた。
日銀の黒田東彦・新総裁(68)の就任会見(21日)である。いくら「話し出すと止まらない」と言われる話し好きとはいえ、1時間45分もしゃべりっ放し。
「物価上昇率2%の2年以内の達成まで、やれることはなんでもやる」「量的、質的両面から大胆な金融緩和を進める」と持論をまくし立てた。
普通の感覚なら、日頃は激しいことを言っていても、いざ要職に就けば重責を感じて発言は慎重になるものだ。ましてや日銀総裁は、その言葉ひとつでマーケットは大きく揺れる。評論家とは違うのだが、黒田は就任した途端、さらに発言をエスカレートさせ、「より長期の金融資産を購入する」「REIT(不動産投資信託)を含めさまざまな金融資産の購入も議論する」などと手の内をベラベラと明かしたのだ。
「ハッキリ言って、黒田総裁の高揚感と無節操は危うい。時の政権にシッポを振って、言われた通りに『なんでもやる』と言い切る日銀総裁は前代未聞です。目標平気で禁じ手を破りかねません」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
想像以上の「暴走総裁」の就任によって、日銀は完全に一線を越えてしまった。
黒田の強い意気込みにはマーケットも大マスコミも歓迎ムードだが、専門家の見方は違って、むしろ、青ざめている人も多い。おしゃべりな日銀総裁の誕生で日本経済や国民生活が良くなると思ったら大間違いなのである。
◆戦時国債の教訓を投げ捨てる危険な考え
黒田が語った「より長期の金融資産の購入」とは長期国債の大規模購入を念頭に置いた発言だ。
具体的には、日銀が買う長期国債の残存年限を現行の「3年以内」から「5年以下」、あるいは「10年以下」まで拡大する。長期の債券ほど金利リスクは高まるが、デフレ脱却に向けて黒田日銀はなりふり構わず。安倍政すら国債を引き受け、これまで以上にジャブジャブと市場にお金を流す考えだ。
「驚愕したのは、黒田総裁が『日銀券ルールにはこだわらない』と表明したことです。このルールは日銀の長期国債の保有高が日銀券(紙幣)の発行総額を超えないようにする自主規制で、撤廃すれば日銀の国債買い入れに歯止めが利かなくなる。あたかも戦時国債を想起させる危うい発想です。先の大戦中に政府は軍事費捻出のため、日銀に際限なく国債を引き取らせ、戦後のハイパーインフレを招いた。紙幣が紙くず同然となったのです。その教訓から生まれたルールを投げ捨てるとは、安倍政権と黒田日銀は危険な道を歩み始めてしまいました」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)
これがまっとうな見方だ。大新聞は黒田の発言を無批判に垂れ流していたが、聞き捨てならない。専門家はギョッとしたのである。
◆猛烈な円安を招いても後は野となれ山となれ
黒田総裁は「リスク資産」の購入にも積極姿勢を見せた。REITやETF(上場投資信託)、社債など、あらゆるリスク資産に手を出そうとしている。
日銀が損失を被る恐れがあってもお構いナシ。とにかく日銀がマネーをジャンジャン吐き出せば、万事うまくいく。物価目標も達成し、デフレから抜け出せる。そんな楽観論を振りまいているのだが、こうした考え方には多くの専門家が疑問を投げかけ、懸念を表明している。むしろ、黒田のような無邪気なリフレ派の方が珍しいくらいだ。
「黒田新体制はブレーキを失った新幹線のようです。恐らく物価目標を達成するまで際限なく国債を引き受け、リスク資産の購入もいとわないのでしょう。折しも安倍政権は公共事業の大盤振る舞いなど、積極財政を打ち出している最中ですよ。これでは『日銀が赤字財政を穴埋めしている』と市場に受け止められてしまう。日本財政への信認は著しく低下し、長期金利上昇のリスクをはらんでくる。日銀のバランスシートは痛み、中央銀行としての国際的な信用も大きく揺らぎかねません」(広瀬嘉夫氏=前出)
日銀の信用力がガタ落ちになれば、通貨としての円の信用力も低下し、円安に歯止めが利かなくなってしまう。
安倍ブレーンの浜田宏一エール大名誉教授は「1ドル=100円」なんてノンキな見立てをこれまたペラペラとしゃべっているが、そんな水準で止まる保証はどこにもないのだ。
エコノミストの高橋乗宣氏は本紙連載コラムで「猛烈な円安を覚悟しなければならない」と警鐘を鳴らしているし、前出の小林弥六氏もこう言った。
「恐ろしいのは、黒田新総裁は物価目標を語るだけで、出口戦略には全く言及していないことです。それを就任会見で聞かれても『今、具体的に議論する状況にない』と逃げの一手でした。つまり国債やリスク資産を買うだけ買って、“後は野となれ山となれ”という場当たり的な考えなのでしょう。これでは際限なく円安が進んでしまう恐れがある。そのとき、日銀は金融引き締めに転じるのか。そうなると、金利が跳ね上がり、国債の暴落リスクはいっそう増し、日本の国家財政は破綻しかねません。こんな危険な道に国民を巻き込むとは、安倍首相と黒田総裁には倫理観や良心のカケラは無いのでしょうか」
1ドル=80円なら、1万円の国債は125ドルだが、100円になれば、100ドルになってしまう。
〈そうなると日本国債を売って米国債に乗り換える動きが加速化し、それがさらなる円安を招く。円と日本国債の暴落スパイラルになる〉
こう警鐘を鳴らしているのは元大蔵官僚で慶大准教授の小幡績氏だ。黒田の周辺は危険な時限爆弾だらけである。
◆財政破綻に国民を巻き込むつもりなのか
それでなくても、輸入インフレで庶民の生活は大変なことになる。
すでに輸入原油高に伴うガソリン価格の高騰や電気料金の引き上げ、小麦や食用油の値上げなどが相次いでいる。原油のコスト高はあらゆる産業の製造コスト増に波及する。
専門家の間では「円が1ドル=100円を下回る水準になれば、日本経済にはマイナス」との見方が圧倒的だ。円安になればなるほど、輸出企業が儲かり、日本経済にプラスというのは完全なマヤカシ、デタラメなのだ。前出の高橋乗宣氏は〈円安になれば輸出が伸びて賃金や雇用機会が拡大するというが、輸出企業の多くは生産拠点を海外に移している。いまさら国内生産を増やそうという状況にない〉と切り捨てている。
それなのに、なぜ、安倍・黒田コンビは無節操な金融緩和、円安政策を推し進めるのか。
ジャブジャブにあふれたマネーが株や不動産に回り、資産インフレで得するやからがいるからだ。もちろん、それは大金持ちの一握りで庶民の懐は潤わない。給料は上がらず、輸入インフレで生活コスト増だけが重くのしかかってくることになる。年金生活者なんて破綻だろう。
「安倍バブル」のあとには地獄が来る。これだけは覚悟しておいた方がいい。
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