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2013年3月21日 植草一秀の『知られざる真実』
2011年3月11日、14時46分。大地震が発生した。
地震によって発生した大津波が日本列島を襲った。
東電福島第一原発は全所停電=ステーションブラックアウトに陥り、過酷な放射能事故を発生させた。
原子炉が電源を喪失すれば、原子炉を冷却する装置が作動しなくなる。原子炉内の水分が完全に蒸発し、核燃料がむき出しの状態になれば、燃料が溶融を始めるのは時間の問題となる。
こうした事態を背景に、3月11日19時03分に政府は原子力緊急事態宣言を発令した。
この時点で、このまま電源喪失状態が進行すれば原子炉の炉心が溶融を始め、溶融した燃料が原子炉内の圧力容器下部に落下するとの見通しが判明していた。
さらに時間が進行すれば溶融した高熱の核燃料が原子炉圧力容器下部に穴を空け、格納容器底部に落下する。
原子炉炉心の燃料が溶融することをメルトダウン、そして圧力容器、格納容器に穴が空き、核燃料が外部に流出する事態をメルトスルーと呼ぶ。
このメルトダウンおよびメルトスルーが発生することが、3月11日の夕刻、19時から22時のあいだには当然のシミュレーションとして予測されたのである。
事態は想定された通りの悪化経路をたどった。
原子炉炉心のウラン燃料が溶融、つまりメルトダウンが進行すれば、ウラン燃料を包んでいるジルコニウムが水と反応してすぐに酸化することになり、圧力容器あるいは格納容器内部に大量の水素が溜まることになる。
これが充満すれば水素爆発が生じ、また、溶融した核燃料が圧力容器下部から落下して格納容器に溶け落ちるときに水に触れて水蒸気爆発を起こす可能性も生じる。
すなわち、3月11日夜の段階でメルトダウンの進行、それに伴う水素爆発、水蒸気爆発、そしてメルトスルーの一連の可能性が想定されたことは間違いない。
当時の菅政権は、3月11日21時23分、福島第一原発から半径3キロ以内の住民に避難を、半径3キロから10キロ以内の住民に屋内退避の指示を出した。
ところが、電源喪失の状態は変化せず、また、原子炉内部の圧力を低下させるためのベントも実施できず、事態は予想された最悪のコースをたどって推移した。
政府は3月12日午前5時44分、新たに福島第一原発から半径10キロ圏内の住民に対し、10キロ圏外に避難する指示を出した。
原子炉内部の空気を外部に放出する、ベント作業が急務とされていたはずだが、このベント作業を妨げる事態が発生した。
菅直人首相の福島原発訪問である。
菅直人氏は3月12日早朝にヘリコプターで福島第一原発を視察のために訪問した。この訪問のためにベント作業を実施できなくなった疑いは濃厚である。
結局、ベント作業実施は、3月12日の14時30分ごろまでずれ込んだ。ベント実施の方針は3月11日深夜には決定されていたはずだが、実施は3月12日14時30分にまでずれ込んだのである。
ベント作業が遅れた結果として、3月12日15時36分、福島第一原発で1号機が水素爆発を起こした。政府は水素爆発ののち、同日18時25分に、福島第一原発周辺の避難範囲を半径一〇キロから半径二〇キロに広げた。
政府の対応は犯罪に近い。最低でも、3月11日夕刻の段階で、原発から20キロ圏内の住民に避難命令を発動しておくべきだった。
この過程で、二つの重大な情報隠ぺいがあった。
ひとつは、原子炉メルトダウンの情報が隠されたこと。
いまひとつは、SPEEDI情報の隠ぺいだ。
前者の情報隠ぺいを示す決定的な証拠がある。
すでに昨年11月7日付ブログ記事に記述した。
「NHKの驚くべき情報隠ぺいの動かぬ証拠音声」
http://goo.gl/EQ5pj
「NHK、「今の原稿使っちゃいけないんだって」」
http://goo.gl/jKmTJ
「NHKが報道規制に則って重大な事実を隠蔽していた証拠を掴みました」
http://goo.gl/udLnm
3月12日正午ころのNHKニュースの音声が残されている。
「そして、原子力発電所に関する情報です。
えー、原子力安全保安院などによりますと、福島第一原子力発電所一号機では、原子炉を冷やす水の高さが下がり、午前11時20分現在で、核燃料棒を束ねた燃料集合体が水面の上、最大で90センチほど露出する危険な状態になったということです。
このため消火用に貯めていた水など、およそ2万7000リットルを仮設のポンプなどを使って水の高さをあげるための作業を行っているということです。
この情報を繰り返します。」
(約7秒間沈黙)
(アナウンサーの横からの声で)
「ちょっとね、いまの原稿使っちゃいけないんだって。」
「改めて原発に関する情報です。
福島県にある福島第一原子力発電所の一号機では、原子炉が入った格納容器の圧力が高まっているため、東京電力が容器内の空気を外部に放出するベントの作業を始めましたが、格納容器のすぐ近くにある弁を開く現場の放射線が強いことから、作業をいったん中断し、今後の対応を検討しています。」
他方、NHKのキャスターを務めていた堀潤氏が本年3月11日に、極めて重要な情報を開示した。
https://twitter.com/8bit_HORIJUN
「震災から2年。原発事故発生のあの日私たちNHKはSPEEDIの存在を知りながら「精度の信頼性に欠ける」とした文部科学省の方針に沿って、自らデータを報道することを取りやめた。国民の生命、財産を守る公共放送の役割を果たさなかった。私たちの不作為を徹底的に反省し謝罪しなければならない。」
菅政権は国費を100億円以上も投じて構築したSPEEDIシステムによる核拡散予測情報を隠蔽した。
米軍には3月14日に情報提供したにもかかわらず、国民に情報を開示したのは3月23日だった。
福島第一原発からの放射性物質飛散が最大値を記録したのが3月15〜16日。このタイミングで降雨があり、原発北西地域に高濃度放射能汚染地帯が広がった。
この放射性物質飛散によって、多数の住民が放射能大量被曝の犠牲者になったと推察される。
SPEEDI情報が開示されていれば、この大量被曝事故は回避されていたはずだ。
菅政権は政権にまでSPEEDI情報は届かなかったとしているが、3月11日の時点で、NHK内部で情報が確認されており、そのうえで文部科学省の方針で情報を隠ぺいしたということなら、これまでの政府説明はうそであったということになる。
通常国会で真相の徹底究明が行われなければならない。
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