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2013年03月16日 世相を斬る あいば達也
詭弁のチャンピオンと云うのは、多少遠慮した表現であり、本当は「嘘つきの王者」ということだ。野田のシロアリ退治や原発収束状態、決断する政治消費増税の嘘も酷かった。しかし、いずれも国内問題、国民の意志次第で幾らで覆せるので、只の嘘つきで済む。しかし、オバマの脅迫に跪き、民族主義者である様な振舞いで永田町を生きてきた安倍晋三が、脅迫に負けTPP交渉参加を表明した記者会見の内容は、あまりにも嘘に満ち溢れている。交渉参加して、ルール作りをすると云う、それが出来ない日本だから、多くの人間が反対しているのだ。あまりに酷い詭弁の連鎖に、反吐が出そうだった。朝日は以下のように報じている。
≪ 首相、TPP交渉参加を表明 「ルールづくりをリード」
安倍晋三首相は15日夕、首相官邸で記者会見を開き、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加することを正式に表明した。首相は「TPPはアジア太平洋の繁栄を約束する枠組みだ。一日も早く交渉に参加しなければならない」と強調。「日本は世界第3位の経済大国。必ずルールづくりをリードできる」とも語り、交渉に自信を見せた。早ければ7月に参加することになる。
日本銀行の正副総裁人事が承認されて金融政策の司令塔も決まったこの日、安倍政権は大きな山を越えた。今夏の参院選に向け、経済政策を加速させる。
TPP交渉参加を決めた理由について、首相は「日本だけが内向きになったら成長の可能性もない。我が国経済では全体としてプラスの効果が見込まれる」と説明。「普遍的価値を共有する国々と経済的な相互依存関係を深めていくことは、我が国の安全保障にもアジア太平洋地域の安定にも大きく寄与する」と安全保障面の利点も指摘した。その上で「今がラストチャンス。この機会を逃すと世界のルールづくりから取り残される」と訴えた。
交渉にはすでに11カ国が参加している。首相は「すでに合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がひっくり返すのは難しい」と認めた上で、「今まで関税はほとんど議論されていない。これから決めることもたくさんある」と主張。一方、日本の要求が受け入れられなかった場合に交渉から離脱する可能性を問われると、「今ここで離脱するかどうか言うのは国益に反するので適切ではない」と語るにとどめた。
自民党を支持する農業団体を中心に反発もあるが、首相は「今後の交渉で我が国のセンシティブ品目への特別な配慮など、悪影響を最小限にとどめるのは当然だ」と強調。「攻めの農業政策により農林水産業の競争力を高め、輸出拡大を進めることで成長産業にしていく」と、不安解消に努める考えを示した。さらに 「国民皆保険制度を基礎とした社会保障制度も断固として守る」とも約束した。
記者会見に先立ち、首相は日本経済再生本部でTPP交渉に臨む関係閣僚会議の設置を決定。TPP担当として甘利明経済再生相に兼務させることにした。
交渉参加に必要な米国の承認を得られるのは米議会の「90日ルール」を満たす6月下旬以降になる。直近の交渉会合は9月の予定だが、参加国は7月にも開くことを検討。その場合、日本は7月の交渉会合から参加する見通しだ。≫ (朝日新聞デジタル)
嘘と詭弁と強弁に彩られた演説や記者会見での安倍の発言に四の五の言うのもアホらしいが、それでも一言言いたくなるのが人情だ。「TPPはアジア太平洋の繁栄を約束する枠組みだ」*最大のアジア中国が入っていない問題をネグるな。「必ずルールづくりをリードできる」*ルール作りが出来るから覇権国家と云うのだ。いつから日本は覇権力を持つ国になったのだ。「内向きになったら成長の可能性もない」*外向きになったら成長するのか?米国は外向き全開で成長不可になって金融に走ったのだろう?「普遍的価値を共有する国々」*日本と米国・豪州に普遍的価値の共有なんてあるのか?民主主義と資本主義を普遍的価値と言いたいのだろうが、今や、その普遍的価値の終焉が取り沙汰されているじゃないか。(*以下は筆者)
ほかにも言いたいことはゴマンとあるが止めておこう。マスメディア各紙の社説もこぞって安倍のTPP交渉参加を歓迎、交渉へのエールとアドバイスを送っている。朝日はTPPが中国との主導権争いの色彩ありと言っている。つまり、中国封じ込めと云うアメリカの戦略と云うことだ。TPPによって、まだまだ残る中国に改革を促しとあるが、これは中国共産党体制の崩壊も意味するわけで、その崩壊がプラスかマイナスか、いまだ充分に議論されているとは思えない。また朝日は≪安倍氏は「受け身でなく、ルールをつくる国でありたい」と強調する。「聖域ありき」では受け身でしかない。足元を見られて他の分野で不利益を招きかねない。TPPを着実に進めるとともに、国内産業の足腰を強くする規制・制度改革を連動させて、日本経済を再生させなければならない。≫と農業分野への強い配慮が足枷だと言っている。言い換えれば、農業関係者は改革の「反対勢力」だとレッテルを貼っている。
如何にも壮大な夢を語る風味で、自民党に公約破りを堂々とやれと言っている。先の衆議院選で、TPP交渉参加を主たる争点にしなかったのは、オマエらマスメディアだろうが!しかし、自民党は農業団体の支持獲得の為に、聖域なきTPPには断固反対で農業票を得たのだ。その農業層がいつの間にか「抵抗勢力」と云う言葉に置き換え、世論誘導を始めるようだ。農産品とその保護的関税はたしかに頭の痛い問題だが、「抵抗勢力」と云うレッテル一つで切り捨てる問題ではない。自民は公約で約束したわけだし、その票で多くの当選者を出したのだから、その事実抜きに、農業層を「抵抗勢力」するのはフェアーではない。
農業以外にも諸分野において、ウンザリするほど包括的に問題はあるが、今日は敢えて農業に執着する。安倍は世界に打って出られるような攻めの農業に変えて行く、と言った。しかし、その元気のいい言葉の裏には“三ちゃん農業”では無理だから、法人化、企業化を前提に競争力高めようとしている。つまり、小規模農家の集約化。農業従事者を集約した土地での生産に携わらせサラリーマン化し、最終的にが、幾つかの集約された農地を更に集合し、大農法可能な耕作地を出現させようと考えている。当然、ある段階で農地の転売が画策される。そして、最終段階では、先ずは日本の商社など大企業が経営を行い、公開されたその企業に海外資本が参加する流れが出来るのだろう。このような手法で、医療も金融も保険も回りくどい方法で、ジワジワとすべての市場がノーガードの競争に晒されるのだろう。愚民がそれに気づくには、20〜50年はかかるだろうから、おそらく気づかない。所謂“ゆで蛙”になると云うことだ。
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