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安倍晋三首相が15日に表明した環太平洋連携協定(TPP)交渉参加。首相は太平洋を取り囲む大規模な自由貿易圏に加わることで日本を成長させる一方、コメの関税などの「聖域は守る」と語るが、政府の主張は楽観的で不透明な点も多い。主な3つの疑問を検証した。 (TPP取材班)
◆特別扱い 保証なし
@後発でも日本は別格か?
TPPは現在、11カ国で交渉が行われている。このうち先に交渉入りした米国など9カ国が、昨年交渉入りした後発国のカナダとメキシコに不利な条件を課したことが明らかになっている。後発の両国には、先行9カ国が合意した事項の再協議を求める権利がないことや、9カ国が一方的に交渉を打ち切ることを認めるよう求める念書が送付された。両国がそれを承認して初めて参加が認められた経緯がある。
日本は、経済規模が大きいから「カナダなどとは同じような扱いは受けない」との見方を盛んに流している。安倍首相は15日の記者会見で「世界第3位の経済力を持つ日本の存在感は大きなものがある。この力をフルに活用したい」と強調した。
だがTPP交渉に参加している11カ国中、カナダとメキシコは、米国の次に大きい経済力を持つ。この2カ国が多くの不利な条件を押し付けられたのに、さらに1年遅れて参加する日本だけ特別扱いされる保証はどこにもない。
もしカナダなどと同じ手続きになれば、週明け以降に、不利な内容を求める念書が日本側に届き、それを認めなければ参加できない可能性が出てくる。
◆計586項目 説得力欠く
A5品目、守れるか
日本はコメや牛肉といった5品目などを「聖域」と主張する方針。日本が関税を課している物品は全部で9018。わずか5つなら守ることは難しくないとの印象を持つ人も多いことだろう。
だが「5品目など」の中身は実は膨大だ。例えばコメは、日本の食卓に上る精米だけではない。関税分類上は玄米やもち用の加工品など58に枝分かれしている。牛肉も51に分かれる。日本政府が聖域に掲げる品目は合計で586に膨れ上がる。日本が関税を撤廃したことがない農林水産品は834あるが、その7割を占める。
TPPは関税自由化率100%を目指す自由貿易協定。これまで関税で守ってきた品目の7割を例外にしようと主張しても、先行国に対する説得力を欠くことになる。
◆交渉焦り 日本に弱み
B参加を急ぐ理由は
日本政府は、後発の不利を認めた上で、一刻も早く参加して、交渉を少しでも有利にしようとしている。安倍首相は「米国とともに主導的に貿易のルールを決める」と繰り返す。今参加すれば交渉をリードできるという考えだ。
日本は先月の安倍首相とオバマ米大統領の首脳会談後に発表された日米共同声明で明記された「センシティビティ(敏感な問題)」を盾に「聖域」を守ろうとしている。
だが、米国との事前協議の推移を見る限り、日本は交渉参加を急ぐのと引き換えに、弱みに付け込まれてきた。
共同声明の第3段落に米国が強い関心を持っている「自動車と保険部門」が懸案事項として対処することが盛り込まれたことも、米ペースで話が進んでいるのを示している。
似たような例は他にもある。日本は先月、牛海綿状脳症(BSE)対策で行った米国産牛肉の輸入規制を緩和した。これは日本国内ではTPPと関係ないものとして発表されたが、米通商代表部(USTR)は、輸入規制緩和を日本のTPP交渉参加をめぐる「極めて重要なステップ」とコメントしていた。日本政府が交渉参加に向け、米国の要求に応じたものでもあった。
「バスに乗り遅れるな」と今後も協議を急ぐことで、結果として足元をみられ続けかねない。
2013年3月16日 東京新聞 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013031602000124.html
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