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2013/3/15 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
ボーナス満額回答で給料が上がるなんて大ウソだろう
安倍首相が、労組の頭越しに賃上げを経済団体に求めるという異例の展開となった今年の春闘。13日に大手製造業の一斉回答日を迎え、トヨタなど大手自動車各社でボーナスの満額回答が続出したことから、大マスコミは「アベノミクス効果 先取り」「安倍効果 春闘動く」とはやしたてている。
ボーナスを増額した企業からも「安倍首相の発言が満額回答の重要な判断要素のひとつになった」(トヨタ自動車の宮崎直樹常務役員)、「賃上げの風を感じて最大限要求に応えた」(日立製作所の御手洗尚樹執行役常務)と「安倍効果」を強調するコメントが相次いだ。
安倍の賃上げ要請によって、実際に賃金アップ。サラリーマンのフトコロも温まって消費も盛り上がる――とまあ、メディアと大企業経営者がこぞって、アベノミクスの“成果”を煽(あお)っているのだ。
勢いづく安倍は、これ見よがしに首相官邸のホームページに「安倍政権の賃上げ要請に賛同する」との理由で、ボーナス増加や賃上げを発表した企業のリストを掲載。いち早く賃上げを決断した企業の社長には、自らお礼の電話をかけるハシャギぶりだ。
しかし、安倍政権・財界・大マスコミがスクラムを組んだ「賃上げバラ色ムード」の演出には出来レースのにおいがプンプンと漂う。
◆中小企業の賃上げは夢のまた夢
大マスコミは「賃上げ春闘」とデカデカと報じているが、よくよく中身を吟味すれば、円安の恩恵を受ける大手自動車のボーナスが上がっているだけだ。
ベースアップ(ベア)によって、将来の所得が増える見通しが立ったわけでもなく、来年、再び業績が悪化すれば所得はまた減ってしまう。しかも、自動車と同じ輸出産業でも、家電メーカーはからっきしである。パナソニック、シャープ、パイオニア、富士通、東芝など名だたる大企業は、軒並み労組側の最低限の要求にしか応じ切れていない。いずれも韓国勢との競争や新興国市場での出遅れに苦しんでいるためだ。
ましてや全労働者の7割が勤務する中小企業は望み薄だ。賃金アップどころか、円安のシワ寄せで、輸入原材料価格の高騰に押し潰されそうな状況である。経済評論家の吉見俊彦氏はこう言った。
「大手メディアは、よくも“賃上げ春闘”などと騒げるものです。本当の賃上げとは、ベアの実施でしょう。一握りの大企業がボーナスを増額させてもしょせんは一時しのぎ。そもそも、ボーナスの満額回答に満足している方がおかしいですよ。なにしろ、大手各社が抱える内部留保は260兆円に達している。うち1%を活用すれば、月1万円のベースアップは可能です。なのに、安倍政権も企業側も何ら対策を講じようとしません。こんな状況で、なぜバラ色の賃上げ報道がまかり通るのか、不思議で仕方ありません」
まやかしの賃上げに浮かれていると、いっときのヌカ喜びで終わってしまいかねないのだ。
◆奇麗事のウラい見え隠れする政財界の魂胆
もちろん、ボーナスだけだろうが何だろうが、所得が増えるのは結構なことだ。わずかだが、ベアを決めた企業も出ている。しかし、最悪なのは、“賃上げ”は今年の春闘だけで終わる可能性が高いことだ。
安倍の経済団体に対する賃上げ要請も、すべて政権維持のためだ。
夏の参院選を控え、安倍首相は「アベノミクスで株価は上がっても、給料はちっとも増えないじゃないか」という批判が噴き出すことを極度に恐れている。どうしても、この春闘で賃上げの成果を出す必要があった。そのため、自ら経済団体と交渉の席に立ち、「賃上げを望んでいる」と要請したのだ。
賃上げに応じた財界側にも打算が見え隠れする。
「安倍首相の足元を見て、『ここで恩を売っておけば必ず見返りがある』とソロバンをはじいたのでしょう。国際競争にさらされている企業は、人件費を抑えたいのは山々です。政治的な思惑がなければ、大企業のボーナス満額回答ラッシュはあり得なかった。業績の本格回復前にボーナス増額を実施したことで、来年の春闘は厳しい回答が待っているかもしれません」(吉見俊彦氏=前出)
元NHK記者で評論家の川崎泰資氏は「安倍首相が経営側に賃上げを直談判したのは労組潰しが狙いではないか」とこう言った。
「政権の強い要請で労働者の収入が上がったという構図になれば、労組は存在意義を失います。しかも連合は曲がりなりにも野党第1党の民主党の最大の支持母体です。安倍政権は参院選を前に連合と民主党を骨抜きにしようとしたのではないか。その魂胆に財界も乗ったという構図にも映るのです」
どちらも真相を知ろうとする独立系評論家ならではのまっとうな見立てだが、大マスコミ報道にはこのような論調は皆無だ。ひたすらアベノミクスを礼賛し続け、政財界の本音や思惑には迫ろうとしない。だからこそ、「賃上げバラ色報道」には、いかがわしさが漂うのだ。
◆真相を知りながら伝えようとしない庶民の敵
結局、今回の春闘でも改めて浮き彫りとなったのは、この国の経済格差の実態だ。トヨタ社員が平均205万円のボーナスを手にする一方で、全労働者の3割を超える非正規労働者の賃上げは置き去りにされたまま。
今や年収200万円以下のワーキングプア層は1100万人を超えるのだ。生活費を切り詰める彼らの財布の紐が緩まなければ、デフレ脱却は訪れないのに、安倍政権の対策は鈍い。
フザケているのは、すべてを知っているのに、大手メディアが一切、真相を伝えようとしないことだ。
「今回の春闘の結果でも明らかなように、アベノミクスはホンの一握りの『勝ち組』を潤わせるだけ。格差を再拡大させる政策なのです。株や土地は値上がりするかもしれないが、庶民の暮らしは良くならない。参院選で自民党が勝てば、来年の春闘もどうなるか分からない。メディアだって、こうした真相を分かっているはずです。なのに、賃上げ要請のまやかしやアベノミクスのいかがわしさを知りながら書こうとしない。そればかりか、アベノミクスを称賛すれば何でも記事になるような風潮すらあります。国民を“賃上げ春闘”などとヌカ喜びさせている。今やこの国のメディアは庶民にとって危険な存在になりつつあります」(川崎泰資氏=前出)
メディアの経営は広告収入で成り立っている。経営側の思惑に立った報道が多いのは大マスコミの必然ともいえる。庶民はバラ色報道を信じてばかりいると、必ず痛い目に遭うと思い知るべきだ。
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