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2013年03月15日 世相を斬る あいば達也
TPPというもの、キャッチセールスにそっくりだ。何を買うのか、何を売るのか、皆目見当もつかない契約書に、黙々とサインしなければならない事情はどこにあるのだろう。自民党が茶番劇を演じ、議員は死に物狂いで国内農業を守ろうとしたと云うアリバイ工作までしてでも、TPPに加入しないと「世界の孤児」になる、とでも思ったのだろうか。農産物輸入自由化問題を“噛ませ犬”にしたのか、“見せ金”にしたのか判らないが、TPPを矮小化した話に持って行こうとしている。
新たに協定に交渉参加する国は、(1)合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない。(2)交渉の進展を遅らせない。(3)包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する。以上の条件が後続組に課せられている。この条件には一定の合理性はあるだろう。後から交渉に加わった国の都合で、折角、議論の末に纏まった課題を、蒸し返されるのは困るだろう。問題は、どのような範囲の協定なのかだが、そこのところが明確に判っていない。謂わば“めくら判”を押すようなものなのだ。
自民党はコメ、麦、乳製品など農業5品目を挙げ、「関税撤廃から除外または再協議の対象とし、段階的な関税撤廃も認めない」とか「コアな主張が受け入れられない場合、交渉からの脱退も辞さない」と新たな交渉参加国に課せられている前提条件無視の内容をもって、安倍が週内にも表明する交渉参加を容認した。まったく効果のない容認条件だ。石破は先の衆議院選における「聖域なき関税撤廃での交渉参加を否定」と云う公約に反して交渉は行わない等と言っているが、怪しいものだ。なぜ怪しいかと云うと、あらたな交渉参加国となり、それまでに合意された部分が表に出るのは、今夏の参議院選後であり、どうにでも言い逃れをする腹積もりだ。農産物の除外交渉も、おそらく上手くいかないだろう。
政権上は野党である、維新とみんなが賛成なのだから、全然問題なし。外務・経産・財務など官僚の後押しがあり、経団連がやいのやいのと急きたて、マスメディアも概ね論調は是認方向なのだから、安倍自民にとって、国内的にそれ程の心配はない。色々と不都合な事実が出てくるのは、秋口。既に参議院選は終わり、あとの祭りだ。安倍は米国との関係改善、内閣に信認を得る為、「集団的自衛権、防衛費増強、辺野古埋め立て、憲法改正」等を引っ提げ、力強い支持を得ようと思っていたが、リアリスト・オバマは経済だ、重要なのは多国籍企業に市場を提供しなければ、資本主義の危機だ等と言われてしまい、TPP交渉参加を飲まざるを得なくなったのが実情だろう。
気分はタカ派、本音はヘタレな安倍晋三の心臓が縮み上がるほど、オバマの口調は妥協の余地を残さない言葉だったのだろう。米国にしてみれば、中国は今後も良い客であるし、北朝鮮問題での協力も期待しているわけだから、本気でいがみ合えるわけがない。にも拘らず、野田にしても、安倍にしても、日本が中国を敵視する方が米国が歓ぶと勘違いしていたようだ。防衛費増強、辺野古埋め立て等は当然の行為で、特に褒めるほどのことではない。集団的自衛権は中途半端な気分でやらない方が良いと思っているし、憲法改正など、何を寝惚けたことを言っている位の印象なのだろう。
これでは、あまりにも内閣総理大臣として恥ずかしい。タカ派の僕ちゃんの気分はどうなるの?と云う、安倍の不満解消の為に、「主権回復の日」なんて顔立て式典を用意して貰ったのだろう。僕ちゃんの顔が立つなら、沖縄の屈辱の日も仕方ない、目をつぶろうと云うことなのだ。この式典が、さらに沖縄県民の怒に火をつけ、収拾のつかない状況になることもあるというのに、個人のタカ派を堅持するパフォーマンスに付きあわされる国民も気の毒である。
米国オバマが、唐突に「小国同士の戦略的提 携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」を目的に、2006年5月28日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国で発効した経済連携協定を、まさに後から入り込み、謂わば横取りするようにTPPを我がものにしようとした企てである。当時、APECにおいてはFTAAPの実現に向けた具体的な手段の基礎とし て、ASEAN+3、ASEAN+6、TPPが挙げられていた。この中で、米国が直接関与出来るのはTPPのみだった。そこで、米系多国籍企業の強い要望を受けたオバマ政権は、ASEAN+3、ASEAN+6の話が具体的になる前に、明確な楔をAPECにおいけるFTAAP構想に打ち込もうとした結果である。
このTPPと云うFTAAPに米国・日本が加わることは、善意に解釈すれば我が物顔の中国を覇権行使の意味で、充分牽制する事が可能になると云う戦略なのだろう。このTPPにまつわる様々な経緯を見ていくと、米国の確固たる戦略と偶発的出来事が折り重なり、進捗しているようだ。ただ、尖閣問題は偶発的日中のいがみ合いと考えるよりは、何らかの戦略の一部として、その仕掛けに日本側が動いた形跡がみられる。冷静に見れば、石原慎太郎が米国に赴き、尖閣と云う寝た子を起こす必然性がなかったのだから、仕向けられた罠に嬉々として嵌ったと考えるのが妥当だ。
それにしても、このように横車を押してでも、中国の覇権性を抑え込まなければならない米国の覇権性は弱体化しているのだろう。もっと広い意味で考えれば、米国型資本主義が限界点に達している事を物語っている。そして、その巨人の終焉につきあわされる日本市場が、どこまで食い荒らされるのか。それほど魅力的とも思えない日本のマーケットが、米国にとって美味しい食べ物に見えると云うことは、日本人が自分の宝を持ち腐れていた事実をも示すわけである。どうも間違いなく日本はTPPの枠に嵌められてしまうようだが、どのようなプロセスで、日本社会が更に悪しき米国社会のようになるのか観察することになりそうだ。
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