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2013-03-15 陽光堂主人の読書日記
安倍は本日、TPP交渉参加を表明する予定で、今となっては事は覆りませんが、この国の存亡が関わっていますから簡単に白旗を上げるわけには行きません。最後まで反対を貫きたいと思います。
TPP報道で連日一人気を吐いている東京新聞は、本日も次のような記事を掲載しています。
(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013031590070750.html)
TPP事前協議 米の関税維持要求のむ
環太平洋連携協定(TPP)をめぐる日米両政府の事前協議は、米国が乗用車を輸入する際にかけている2・5%の税金(関税)を五年超、トラックの25%は十年超残すことで大筋合意した。日本はTPPに参加するため米国の要求に応じる。乗用車五年、トラック十年とした米韓自由貿易協定(FTA)を一つの基準にして、それより長期の関税維持を認める。交渉関係筋が十四日明らかにした。
日本が米国の自動車関税の維持を受け入れることで、「日本をTPPに参加させるかを判断する米議会を、米政府が説得しやすくなった」(交渉関係筋)と、政府は見込んでいる。米国側は自動車産業を保護するため、輸入車への関税を守ることを優先して協議していた。大筋合意を受けて、安倍晋三首相は十五日に交渉参加を表明する。
日本政府の交渉関係者によると、米国側は「米韓FTA以上」を求める根拠を、「日米の貿易規模は韓米よりはるかに大きく、関税を撤廃した場合に米国の自動車産業が受ける影響も大きいため」と主張している。
このほか、書類上の簡単な安全審査だけで日本への輸入を認めている米国車の対象車種も拡大する。現在、「年間二千台以下の車種」とする条件を「年間五千台以下の車種」にする。米国の自動車メーカーにとっては安全試験の手続きが減り、検査費用も安くなるメリットがある。
政府関係者は「参加表明後に詰める項目も多く残っている」と述べ、本交渉を終えてTPPの協定が発効するまで、政府は事前協議の経過を公表しない見通し。
一方、米国の自動車関税問題がメーカー業績に跳ね返る日本の自動車業界の幹部は「事前協議の状況がまったく分からない」と戸惑いを示した。 (下線は引用者による。以下同じ)
米国の自動車関税を「5年超」「10年超」残すことで合意したそうです。「超」の字句が付いている点に注意が必要です。その時の状況によって決めるということで、20年、30年ということも有り得ます。要は、日本車が脅威でなくなるまでということで、全くふざけた取り決めです。
米国議会はTPPに関して関心がない(と言うより情報が入らないので分らない)ので、議会の歓心を得るための措置だそうで、何故そこまで日本がしなければならないのか、誰しも疑問に思うところです。TPPの殆ど唯一のメリットとされているのが自動車関税の撤廃ですから、これでは何にもなりません。
TPPの話は最初から可笑しくて、我国では産業の空洞化が進み、海外生産の比重が増えています。米国で最も人気がある車は日本車で、現地生産もしていますから、TPP参加による関税撤廃のメリットは余りありません。もちろん輸出もしていますから、この分野には影響してきますが…。
今回の関税撤廃猶予期間は、米韓自由貿易協定(FTA)を基準に定められたようですが、こちらはどうなっているのでしょうか? 東京新聞は、本日付記事で次のように解説しています。
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013031502000158.html)
TPP交渉へ米国の事情 農産品も強硬姿勢か
安倍晋三首相が十五日に交渉参加を表明する環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、米国は韓国との間で二〇一二年三月に発効した「米韓自由貿易協定(FTA)」以上の成果を日本から引き出そうとしている。
Q そもそも米韓FTAは何が焦点だったの。
A 日米のTPP事前協議と同じく、自動車分野が焦点の一つだった。合意は、米国側に圧倒的に有利な内容になっている。
米国は輸入乗用車に2・5%の関税をかけ、さらにトラックは25%と高い関税で国内メーカーを守っている。米国内で韓国車が一段とシェアを伸ばすことを懸念したため、FTAの合意では関税の撤廃は一気に進めず、乗用車が発効五年目、トラックは十年目と先に延ばした。これが日米の事前協議でも一つの基準になった。
一方、韓国はFTAの発効と同時に、韓国へ輸入する乗用車の関税を8%から4%に引き下げ、さらに五年目には撤廃する。トラック関税の10%は即時撤廃した。米国からは自動車税などの税制改正も要求され、米国メーカーが進出しやすいよう配慮した。
Q その結果、米国車は韓国市場で躍進しているのかな?
A 大型で燃費の悪い米国車は韓国市場で苦戦する。むしろ、トヨタが米国工場で生産し、韓国に輸出する「カムリ」が、韓国版カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど販売数を増やしている。
Q 自動車で大幅に譲歩した韓国は、農産品の関税は守ったのだろうか。
A 韓国経済に詳しい日本総研の向山英彦・上席主任研究員は、「韓国は自動車で譲歩した代わりに、農産品では譲らずに韓国の要求を米国にのませた」と説明。韓国は重要品目のコメを関税撤廃の対象から除外させた。では、日本も農産品を守れるのかというと、政府交渉筋は「米国は韓国に農産品を譲って関連業界から強い突き上げを受けるという経験をしたので、日本には強硬姿勢を臨んでくるだろう」と警戒する。
こういうことだったんですね。粗悪品はどんなに圧力をかけても売れませんから、米国製という名のトヨタ車など日本車が韓国に輸出されているわけです。つまり、TPP参加で日本を拠点に生産活動をしている企業は不利になるけれども、海外生産が進んでいる企業には願ってもないチャンスなのです。強面の米国を使って売上を伸ばせるわけですから。
最初の記事の末尾に、日本の自動車業界の幹部が「事前協議の状況がまったく分からない」ので戸惑っているとありますが、それは国内の輸出部門の話で、全体となれば話は別なのです。そうでなければ、財界はTPPに賛成したりしません。
もちろんこれは大企業の話で、TPPに参加すれば中小企業は存亡の危機に立たされます。米国は米韓FTAに懲りて農産品に対する譲歩はしないと見られますから、我国の農業もかなり危うい状況です。
TPP交渉では、オーストラリアやニュージーランドと米国の間で軋轢が生まれており、米国議会の動向も未知数です。真相を知った米国民の反発も予想されます。1%の人たちの思惑通りゆくかどうか未だ分かりません。
他力本願にならざるを得ないのが情けないところですが、日本人は長いものに巻かれる習性があり、農家はデモを行ないながらも半ば諦めています。我国はこれまで数多の天佑に助けられてきましたが、今回はどうでしょうか。
本日は気学で言う「五黄」の日で、全てが土に帰る象意です。この日にTPP交渉参加表明することでこの国が無に帰するのか、TPP自体が雲散霧消するのか、どちらかです。後者になることを願わずにはいられません。
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