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前泊 博盛『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』創元社。
これまで、「日米地位協定」とは、一般的に日米安保条約の細則だと捉えられてきました。しかし、その実態はそうではないと、本書の中で以下のように指摘します。
『 … 、日本における米軍と米兵は、かつての占領期と同じく、日本の法律に拘束されず自由に行動することができるということなのです』P22
こうした事実を踏まえると、「日米地位協定」というのは、本当は「米軍地位協定」と呼ぶにふさわしいと著者は述べます。
本書の特徴は、「高校生でも読める」レベルという売りで執筆を心掛けているところ。ですから、読者が理解し易いようにと、Q&A形式で質問に答えるような体裁を取っています。
読み進めるにしたがって、帯にも書いてあるような「全国民必読の書!」だというのが、自然と腑に落ちてくるでしょう。
さて、「日米地位協定」によって、在日米軍に与えられた様々な特権。それは日本の法解釈を著しく歪めることに繋がっていきました。
本書は、それを具体的に明らかにしていきます。
例えば、国内法との整合性が保てなくなった場合、外務省の暗躍により法律を改正して在日米軍に有利なようにしたこと。
あるいは、裏で米国と密約を交わしておきながら、表向きは日米が対等の立場だという体裁に拘っていること等々です。
つまり、米国の都合を優先し続けたことで、在日米軍の取り扱いが日本の憲法よりも、上位へ位置することになるという奇妙な捻じれ現象を起こした。それというのも、外務官僚が意図的に三権分立を無視し、在日米軍用の超法規的解釈ともいえるマニュアル(機密文書「日米地位協定の考え方」)を作成したことに起因します。
したがって、在日米軍が日本の法律の効力に左右されないという、本末転倒的な強大な力を得て、日本はその前にひれ伏しているといえましょう。その全容を追っているのが本書でした。
また本書は、特に外交の問題を考える際、戦後の日米関係が対等であったのか否かを検証する上で、必読の本といえましょう。
大手マスメディアが持ち合わせていない着眼点で切り込んでいますから、知的好奇心がある方には最適な本です。
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