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http://ameblo.jp/shimarny/entry-11490440542.html
2013-03-14 21:21:01NEW ! Shimarnyのブログ
これでTPP交渉参加は、安倍総理が一人で全責任を負うこととなってしまった。
自民党としては仮に安倍総理がTPP交渉参加しても、政権公約を守れと言った、農業を守れと言った、国民皆保険を守れと言った、ISD条項は危険と言った、党調査会の決議を守れと言ったと言い訳ができたのである。
たとえTPP交渉で聖域が前提だったとしても、たとえTPP交渉で隠されていた事実があったとしても、たとえTPP交渉で国益が守られなかったとしても、全ては自民党ではなく安倍総理だけの責任になったのである。
このような自民党の権力継続を第一義とした、全ての責任をトップに押し付ける巧妙な手口であれば、総理大臣を挿げ替えても政権が継続できるのだろう。
足の引っ張り合いをして瓦解した民主党、全て多数決で決定をしてシコリを残す日本維新の会などの政党とは、やはり歴史と伝統が決定的に違うのだろう。
おそらく安倍総理がTPP交渉参加を表明しても、TPPの真実が次々に明らかになって、最終的に国内で一斉バッシングを浴びて年内にも退陣するだろう。
なぜなら、昨日の自民党のTPP対策委員会で採択された「TPP対策に関する決議」の内容を見れば、TPP交渉を脱退するしかない内容だからである。
まず、決して既存メディアが報じない「TPP対策に関する決議」は下記の通り。
[3月14日 農業協同組合新聞]【TPP】自民党TPP対策委員会の決議
http://www.jacom.or.jp/news/2013/03/news130314-20126.php
自民党のTPP対策委員会は3月13日夜、「TPP対策に関する決議」を採択した。各グループ会合のとりまとめ報告とともに、14日夕の外交・経済連携本部で正式の了承する。
【TPP対策に関する決議】 平成25年3月14日
自由民主党外交・経済連携本部 TPP対策委員会
本年2月22日の日米首脳会談の結果、安倍総理とオバマ大統領は、「環太平洋パートナーシップ」(TPP)交渉に関する共同声明を発表し、「聖域なき関税撤廃」が前提でないことが文書で確認された。これは、安倍新政権による日本外交の成果と考えられる。
これを受けて、自由民主党外交・経済連携本部に置かれたTPP対策委員会は、政府並びに関係諸団体等から意見聴取を行うとともに、分野毎の検証作業などを通じ、全党挙げての集中的な議論を行った。これらの結果として、以下の通り決議し、安倍総理に対し、申し入れを行うものである。
1.先の総選挙において、自由民主党は、TPP交渉参加に関し6項目の約束を国民に対して行って選挙戦に臨み、政権復帰を果たした。これらの公約は、国民との直接の約束であり、党として必ず守らなければならない。
このため、政府は、国民生活に対する影響を明らかにし、守るべき国益を如何にして守るかについて明確な方針と十分な情報を国民に速やかに提示しなければならない。また、本年2月27日に自由民主党外交・経済連携調査会で採択した「TPP交渉参加に関する決議」を遵守し、その実現に向けた戦略的方針を確立するべきである。
2.TPP交渉参加については、国民の間に様々な不安の声が存在している。
(1)もし、聖域の確保が達成できなければ、食料自給率の低下、農地の荒廃、担い手の減少などにより、国民に安定的に食糧を供給する食料安全保障が確保できなくなるのではないか、離島や農山漁村地域などにおける社会基盤が維持できなくなるのではないか、また、美しい故郷と国土を維持する多面的機能が維持できなくなるのではないか、との声が大きい。
(2)国民の生活に欠かせない医療分野でも、これまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度が損なわれるのではないか、また食の分野においては、食品添加物や遺伝子組換え食品などに関する規制緩和によって食の安全・安心が脅かされるのではないか、との強い懸念が示されている。
(3)さらに、我が国の主権を損なうようなISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)が導入されるのではないか、政府調達、金融サービス等について、我が国の特性を踏まえることなく、国際調和の名の下に変節を余儀なくされるのではないか、といった様々な懸念が示されている。
3.一方、今TPP交渉に参加しなければ、今後、我が国の人口減少・高齢化が一層進む中、アジア太平洋地域の成長を十分に取り込むことができず、我が国がこれまで築き上げてきた国民生活の水準、国際社会における地位を保つことはできなくなるのではないか、との懸念する声も大きい。また、世界第3位の経済大国である我が国が、アジア太平洋地域における貿易や投資等の経済ルール作りに参加しないことは、この地域における政治的・経済的リーダーシップの低下につながるとの声もある。
さらに、我が国にとって日米関係が外交の基軸であることにかんがみ、今後のアジア太平洋地域における経済連携を進めるに当たっては、TPP交渉に参加して、米国との一層の経済的連携を深めるとともに、守るべき国益の議論のみでなく、交渉において攻めるべき点を攻めていくべき、との大きな声もある。
4.このように、国民の意見が大きく分かれる中で、我が国がTPP交渉参加の是非を判断することは、容易ではない。安倍総理におかれては、岐路に立つ日本の経済・社会が今後進むべき方向を選択するという高い見地から判断願いたい。なかんずく、上記のような様々な意見を十分に尊重され、我が国の自然的・地理的あるいは歴史的・社会的条件、我が国を取り巻く国際環境、経済再生の重要性等を踏まえ、国家百年の計に基づく大きな決断をしていただきたい。
5.なお、仮に交渉参加を決断する場合において、TPPが国民生活に大きな影響を及ぼし得ることから、以下の諸点を確実に実行すべきである。
この場合において、特に、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要5品目等やこれまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度などの聖域(死活的利益)の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする。
(1)政府は、別紙の党内5グループ並びに21作業分野に対する検討チームの取りまとめの内容を踏まえ、2国間交渉等にも留意しつつ、その主張が交渉結果にしっかりと反映されるよう全力を挙げ、交渉の進展に応じ、適時に十分な情報提供を行うこと。
(2)これまで、国内の各産業や各制度については、省庁ごとに個別に交渉することが多かったが、TPP交渉においては、強力な交渉チームを作り、また閣内の連携を強く保つことにより、政府一丸となって国益を十分に実現していくこと。
[結び]
仮にTPP交渉に参加する場合は、国益がしっかり守られ、結果として日本の繁栄につながるよう、政府と与党が一体となって交渉を進めるべく、自由民主党外交・経済連携本部内のTPP対策委員会と政府は緊密に連携すべきである。
また、各国の主張を冷静に見極め、我が国としての主張を効果的に展開していくために、党としても国会議員による議員外交を、戦略的、かつ、積極的に展開してまいる所存である。
以上
これを見れば、確実にTPP交渉で日本のハードルが上がったことが確認できる。
まず、第1項目ではTPP交渉参加で国民と政党との信義を挙げているのである。
自民党が先の総選挙で、国民と約束した政権公約の「TPP交渉についての6つの判断基準」を守ること、自民党の調査会が政権公約を具体的に取りまとめた「TPPに関する自民調査会決議」を守ることである。
参考記事:「聖域なき関税撤廃の撤回」は例外品目にあらず、自民党の判断基準6項目の合意にあり
http://ameblo.jp/shimarny/entry-11467822464.html
参考記事:TPP交渉参加に反対派は守るべき国益を提示、賛成派は守るべき国益なく無条件降伏か
http://ameblo.jp/shimarny/entry-11479871257.html
そして、第2項目ではTPP交渉参加における懸念事項に念押しているのである。
具体的には、聖域が確保できず農業が崩壊する懸念、国民皆保険が崩壊する懸念、食の安全・安心が崩壊する懸念、ISD条項で主権が崩壊する懸念、公共事業と郵貯が崩壊する懸念などを列挙しているのである。
そして、第3項目では逆にTPP交渉不参加における懸念事項が挙げられている。
具体的には、アジア太平洋地域の成長を取り込むことができない懸念、アジア太平洋地域で貿易や投資等の経済ルール作りに参加できない懸念、日米関係が外交の基軸で無くなる懸念などを列挙しているのである。
そして、第4項目では安倍総理にTPP交渉参加の判断と責任を丸投げしている。
最後に、第5項目では聖域を守るための手段と守れない場合の対応を述べている。
具体的には、農林水産の重要5品目等と国民皆保険制度を守ること、守れない場合は脱退すること、自民党の主張を反映させるよう全力を尽くすこと、政府は強力な交渉チームを編成することを列挙しているのである。
これらを踏まえれば、日本がTPP交渉に参加しても脱退するしかないのである。
つまり、TPP交渉参加では安倍総理が生け贄になることが了承されたのである。
このことは、政権与党である自民党が安倍総理に要求する「TPP対策に関する決議」と、TPP交渉参加国が安部総理に要求する「後発参加国の極秘3条件」が全く相容れない内容となっているからである。
「TPP対策に関する決議」では、下記がTPP交渉における最低の条件である。
(1)「コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物」の重要5品目等を守る
(2)自動車の税制制度と安全基準と環境基準を守る、工業製品の数値目標を阻止
(3)公的医療給付範囲を維持、医療機関の企業参入と混合診療の全面解禁を阻止
(4)農薬と添加物、遺伝子組み換え食品、原産地表示、BSEなどの基準を守る
(5)ISD条項(投資家による国家訴訟制度)を阻止
(6)公共事業の参入自由化を阻止、郵貯とかんぽと共済等の金融サービスを守る
「後発参加国の極秘3条件」では、下記がTPP交渉における最低の条件である。
(1)既に合意済みの交渉結果を原則的に受け入れて再交渉を要求できない
(2)TPP交渉を打ち切る権利は9カ国にあり交渉進展を遅らせてはならない
(3)通常より包括的で高いレベルの貿易自由化を約束しなければならない
つまり、自民党の政権公約である6項目を守るのであれば最終的にTPP交渉から離脱しなければならず、TPP交渉参加国の極秘3条件である3項目を守るのであれば最終的に総理総裁を降りなければならないのである。
そして、TPP交渉離脱の場合でも米国の圧力から総理総裁を追われるのである。
これらを踏まえて全く解せないことは、なぜ安倍総理が生け贄というリスクを負ってまでTPP交渉参加を表明しなければならないのかという理由である。
昨日は、安倍総理が自身の健康面の不安で年内までしか持たないと判断して、TPP交渉で米国と上手く立ち回ることをケジメに考えた可能性を考えた。
つまり、米国との関係を拗らせないためTPP交渉に参加して、国益が守れないためTPP交渉から脱退して、責任を取って退陣というパターンである。
本日は、安倍総理ではどうにもできない事情があった場合の可能性を考えてみる。
それは、日本の歴代総理の不文律として、米国の歴代大統領が日本の歴代総理に要求して交わされた約束に関しては、現職総理が約束の先送りは許されても約束の破棄は許されないというルールが存在する可能性である。
つまり、オバマ大統領と菅元総理で交わされた日本はTPP交渉に参加するとの約束に関しては、野田総理が先送りして安倍総理に時間がなく、日本の総理の不文律を守ってTPP交渉に参加だけはするということになる。
そして、TPP交渉から脱退して責任を取って退陣という同じパターンである。
この事情があれば、日米首脳会談で安倍総理がオバマ大統領に自民党の政権公約の「TPP交渉参加の6つの判断基準」を説明したにもかかわらず、TPP交渉参加を表明しなければならないのかという理由も理解できる。
どちらにせよ、安倍総理が表明すれば理由はどうであれ結論は年内退陣となる。
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