http://www.asyura2.com/13/senkyo145/msg/150.html
Tweet |
転載する記事は食品絡みの「軽減税率」騒動だが、「軽減税率」問題を考える機会として取り上げたい。
記事にも匂っているが、消費税(付加価値税)を小売売上税と同じように見る過ちがはびこっていると思っている。
限定品目に「軽減税率」が適用されれば、一般税率の品目とまぜこぜで扱う事業者は、経理や販売前線での分別で面倒になることは確かだ。
仕入についても、販売についても、個々の取引で消費税の適用税率を見定め、それに応じた経理処理及び価格提示をしなければならなくなる。
その一方、従来から、個々の取引について消費税の処理を行ってきた事業者であれば、販売現場で面倒は増えるとしても、消費税負担を軽減させる条件を手に入れることになる。
その条件とは、業界が暗黙裏で、「軽減税率」が適用される品目の販売価格を引き下げる(デフレ率ほどは引き下げない)ことである。
スーパーやコンビニについてはそのように言えるが、仕入に多くの「軽減税率」適用品目が含まれることから値下げ圧力が強く働く一方、売上で「軽減税率」が適用されそうもない外食産業が痛手を被ることは間違いない。
付加価値税(消費税)先進国である欧州諸国は、食品中心に軽減税率を導入しているが、国民経済がインフレ基調にあり、「軽減税率」適用の品目が値上げしても、コストアップが理由なのか、付加価値税のさらなる転嫁なのか、利益増加策なのか、わからない。
食品や“文化”を中心とした軽減税率設定の狙いは、多数派国民向けに、「みなさんの基本的生活や文化的生活を考慮していますよ」という支配層のゴマカシなのである。
ただし、フランスは、伝統的に農家(農業)保護政策が採られてきたので、軽減税率の適用にもその意図が現れている。
転載する記事にも、輸入が中心のキャビア(今ではフランス養殖ものが高いシェア)は一般税率でありながら、「トリュフやフォアグラは、軽減税率の5.5%だ。これはトリュフやフォアグラを生産する国内産業を保護するためと言われている」と書かれている。
よりわかりやすい例は、バターとマーガリンの税率の違いである。
フランスの付加価値税では、マーガリンに一般税率が適用されている一方、バターには軽減税率が適用されている。
日本で論議されている「軽減税率」のイメージで考えれば、マーガリンは普及品でバターは高級品ということから、マーガリンは「軽減税率」適用で、バターは一般税率となりそうであるが、マーガリンの原材料が工業的製品で、バターの原材料が牛乳という違いが税率の違いを生んでいる。
消費税は廃止がベストだが、グローバル企業の国際競争力アップと国内存続を意図してどうしても消費税を続けたいというのなら、低中所得者向けの負担緩和策は、“補助金”など消費税制度の外で行うべきである。
低所得者向けの対策であれば、試算された負担増加に見合う給付を行うのが望ましい。
日本をこれからも「大東亜戦争」のくびきにつなぎ続けようとする安倍首相の“愛国”や“民族”と同じで、“弱者思い”を売りにしてきた(“弱者”が多い創価学会員思いであることは少し認める)公明党が「軽減税率」導入を主張しているが、「軽減税率」は、適用品目を取り扱っている事業者の消費税(付加価値税)負担を軽減させるだけで、消費税の税率アップで打撃を被る低中所得者の“救済”にはつながらない。
詳細は添付参照投稿をお読みいただくとして、消費税「軽減税率」の適用は、販売価格(消費者の購入価格)の低減や上昇抑制を保障するものではないからである。
それは、消費税の負担論理ともつながる話だが、電気ガス公共交通機関などを除くほとんどの取引価格に規制がない自由主義経済では、販売価格や利益額に制限がない。
営利事業者は、利益の最大化を目標に、その条件でできるだけ高く売ろうとし、できるだけコストを抑えようとする論理で動く。
寡占状況の新聞を考えればわかることだが、消費税込み4000円で売れるのに、軽減税率が適用されたからといって、販売部数が増えるわけでもないのに3810円に下げるような愚は犯さない。
そして、軽減税率が適用されても価格を下げない理由は、仕入に係わる消費税を持ち出せばいくらでも説明できる。
消費税は、「輸出戻し税」問題を脇に置くと要するに、仕入と売上から生じる付加価値にどれほどの税を課すかという税制である。
「軽減税率」は、ある事業者の付加価値に課す税の率を引き下げるというものなのである。
「軽減税率」導入に効果があるとしたら、農産品や乳製品への設定であろう。端的には、農業(農家)保護政策である。むろん、肥料・燃料・機械などの仕入には消費税転嫁分が含まれているが、農業専業であれば、売上にかかわる消費税は発生しないことになる。
消費税一般税率10%で軽減税率が5%と想定して損得勘定をみてみよう。
農家:売上1000万円(オール軽減税率で税込):仕入300万円(オール一般税率で税込)
1)これまで通り消費税10%適用
消費税額:1000×10/110−300×10/110=63.6万円
[手元に残る付加価値]:700万円−63.6万円=636.4万円
2)売上に軽減税率5%適用
消費税額:1000×5/105−300×10/110=20.3万円
[手元に残る付加価値]:700−20.3=679.7万円
このように、軽減税率の適用で、一般税率が適用される消費税処理よりもずっと“得”になることがわかる。
農家を想定して計算したが、お気づきと思うが、新聞社なども、まったく同じように、「軽減税率」の適用で手元に残る付加価値が増大する。
財政的に考えれば、税引き後のある事業者の付加価値が増大するということは、税収減を意味する。そうであるなら、国家運営に必要な歳入額が変わらないとき、他の誰かからより多く税を徴収するか、国債発行などで借り入れを増やさなければならないことを意味する。
繰り返しになるが、消費税は廃止がベストだが、グローバル企業の国際競争力アップと国内存続を意図してどうしても消費税を続けたいというのなら、低中所得者向けの負担緩和策は、“補助金”など消費税制度の外で行うべきである。
低所得者向けの対策であれば、試算された負担増加に見合う給付を行うのが望ましい。
※ 関連参照投稿
「[消費税を考える]軽減税率:新聞に軽減税率が適用されると購読料は値下げ?それとも...」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/634.html
==============================================================================================================
線引きはどこ? 「軽減税率」に揺れる外食業界
東洋経済オンライン 2013/3/13 06:00
大野 和幸
「品目によって変えるのはよくない。線引きが難しいし、有利・不利が出てくる」
外食産業の業界団体である日本フードサービス協会の安部修仁会長(吉野家ホールディングス会長、写真)は、そう懸念を漏らした。
消費増税を前に、外食業界が揺れている。消費税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へ、2段階で引き上げられる予定だ。税率10%時に検討されているのが、食料品など生活必需品に対する「軽減税率」だ。1月に決まった与党の税制改正大綱では「導入を目指す」と記された。
中でも軽減税率に積極的なのが公明党だ。自民党は中小小売店の事務負担を考慮し、むしろ消極的に近いだろう。フードサービス協会のある幹部は、「自民・公明の税制調査会の委員の方々に、『反対』の提言を出した」と打ち明ける。今からロビイングに抜かりがない。
海外では何が「軽減税率」の対象?
なぜ外食業界が、軽減税率導入を恐れるのか。そのカギは、軽減税率を先行して導入した、欧州の事例にある。
■ 欧州では、外食は標準課税、食品は軽減の扱い
付加価値税の導入では日本より早かった欧州。主要国の平均的な税率は20%前後だ。一見、高いように見えるが、実は多くの国が軽減税率を導入しており、食料品や医薬品、新聞・雑誌などは税率が低い。非課税の品目もある。食品関係の税率は表の通りだ。
だがそこでは、品目の線引きについて、あいまい、あるいは恣意的な要素が色濃くにじむ。
たとえばフランス。世界三大珍味の1つであるキャビアは、ロシアからの輸入が多く、標準税率の19.6%となっている。一方、同じ高級品でも、トリュフやフォアグラは、軽減税率の5.5%だ。これはトリュフやフォアグラを生産する国内産業を保護するためと言われている。
もっとわかりづらいのは、「外食サービス」と「食品」の区分けだ。
イギリスの場合、フィッシュ&チップスなど暖めたテイクアウト商品は外食扱いで、20%の標準税率。が、デリカテッセンなどスーパーで買うような常温の惣菜は、非課税=税率ゼロである。暖めたかどうかの違いは、「気温より高いこと」だという。
こうなると同じ商品でも、“一物二価”の事態が生じてくる。
ドイツでは、店内で食べるハンバーガーは、外食サービスとされ、標準税率の19%。かたや持ち帰りのハンバーガーは、食品になるので、軽減税率の7%だ。カナダにおいては、ドーナツが5個以下なら店内で食べ切れるので5%(標準)、6個以上なら食べ切れないので持ち帰るため、税率ゼロだ。もはやこうなってくると、線引きの根拠すら怪しくなってくる。
■ 食品メーカーやスーパーは静観姿勢
こうした先行例を見ると、日本の外食企業が懸念するのも、杞憂とは言い切れない。
牛丼チェーンやハンバーガーショップの場合、店内と持ち帰りで、値段を差別化できるのか。会計やシステムなどバックヤードの事務負担ばかりでなく、メニューやレジでの案内といった、店舗でのルーティーン(通常業務)に混乱が生じる可能性がある。
「たとえば、海外の空港などでは、店とそれ以外のエリアが明確でないケースも少なくない。店頭で買った品を店の隅で食べていたら、ガードマンが来て『ここで食べるなら追加料金をもらう』と言われ、追い出されることもある」(外食業界関係者)。
むろん、日本の消費者にとって、軽減税率は未経験。コンビニエンスストアのイートイン・コーナーのように、外食なのか、持ち帰りにあたるのか、微妙な場合もある。温めた商品を配達するデリバリーも区分けが難しい。
国内の外食業界にとっては、今も円安や原料高を受け、ギリギリの価格競争をしている真っ只中だ。中食(なかしょく)分野をコンビニやスーパーなど、隣接業界と争っている現状もある。このうえ、食品にのみ軽減税率が適用されたら、その打撃は測り知れない。
大打撃を被るかもしれないだけに、声高に「反対」を唱える外食業界。一方、自らが恩恵を受けるかもしれない、食品メーカーやスーパーは、今のところ静観姿勢だ。消費税の軽減税率をめぐって、様々な業界の思惑が錯綜するなか、落としどころは簡単には見えない。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130313-00013246-toyo-nb&p=1
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK145掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。