http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/929.html
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(回答先: 自民党「憲法改正草案」(2012)と小沢一郎氏「日本国憲法改正試案」(1999)の逐条比較 投稿者 新自由主義クラブ 日時 2013 年 3 月 08 日 09:10:47)
1.新自由主義クラブ氏の問題提起(1)
新自由主義クラブ氏が、「自民党「憲法改正草案」(2012)と小沢一郎氏「日本国憲法改正試案」(1999)の逐条比較」という記事で、両者の共通点を指摘したうえで双方への反対を表明した。反対の理由については、その記事では論じられていない。
「自民党「憲法改正草案」(2012)と小沢一郎氏「日本国憲法改正試案」(1999)の逐条比較」(2013年3月8日 新自由主義クラブ)
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/799.html
2.投稿者の立場(1)
両者の共通点については、たしかに共通するところもあるというほかない。そのことをどうとらえるかは、この投稿全体のテーマでもある。しかし、自民党案の内容についてのくわしい検討をおこなっていないので、それについて直接論じることはできない。
自民党の「憲法改正草案」(2012年)には、私も反対だ。それは、改正案の内容以前に、自民党、特に自民党で憲法改正を主張している政治家たちにたいする不信感によるところが大きい。どのような運用がされるかわかったものではないという心配だ。
小沢氏の「日本国憲法改正試案」(1999年)については、憲法改正をタブー視せずに論じるべきだというところに主眼があり、小沢氏自身の主張は当時の社会の状況のなかでかなり挑発的な議論の叩き台として提示されたものだと思う。
その上でなおこの「改正試案」に端的に賛成か反対かと問われるならば、私も反対だ。ただしそれは、もしも現在この改正案をまるのみにしろといわれたら全面的には賛成できないという理由による。また、基本的には賛成できそうな条項についても、国内外の情勢をかんがみて現時点では改正しない方がよいと思うものもある。
たとえば、小沢氏の「改正試案」(1999年)にとりあげられているなかでも必要性の高そうなものとして、9条の改正(および「国際平和」についての新条項の創設)がある。しかし、国連改革の展望や、日米同盟のあり方の見直し、日中、日韓関係の改善への国民意識の高まりなどをともなうのでなければ、運用面での不安が大きくて、無条件には賛成しがたい。
そのほか、個々に賛成できそうなものもあれば、納得のいかないものもある。そのなかで96条の「憲法改正条項」の改正については、現在の小沢氏自身も否定的だ。先行改正だけでなく、次の報道によれば、改正要件の緩和自体にも反対している。
96条改正なら、政権ごとに憲法変わる…小沢氏 (2013年3月5日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130305-OYT1T01147.htm
http://megalodon.jp/2013-0316-1717-58/www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130305-OYT1T01147.htm
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/734.html
96条についての小沢氏の考えの変化は、は憲法改正が以前のようにタブー視されなくなった状況を反映しているように思われる。この状況の変化について、私は肯定的にとらえたい。なお、同じように社会状況の変化を反映した小沢氏の考えの変化は、9条の改正についてもみられる。
3.新自由主義クラブ氏の問題提起(2)
新自由主義クラブ氏は、小沢氏が1999年当時の考えを現在でも維持しているのかどうかに注目をうながしている。それについての氏の推測などは、記事でははっきり述べられていない。
4.投稿者の立場(2)
「日本国憲法改正試案」(1999年)は、小沢氏の自由党時代の提案である。とはいえ、それが現在の小沢氏にどのようにつながっているのかは、私も気になる。小沢氏がその後べつな考えを明らかにしたのでないかぎり、その部分についての基本的な考えは変わっていないとみなしてよいのではないか。
ただし、その際に大切なのは、小沢氏の「改正試案」の趣旨を正確に読みとることだ。生活の党での憲法講義についても同じことがいえる。そして、現在の小沢氏および生活の党が「改正試案」の内容どころか憲法改正自体を政策として掲げていないという事実に立脚すべきである。
5.新自由主義クラブ氏の問題提起(3)
新自由主義クラブ氏の記事の肝心なところにふれる。氏は次のようにのべている。
「小沢氏は「憲法改正に反対と言っているわけではない」とも述べ、[自民党の]憲法改正案が具体的に示され、その内容によっては小沢氏は憲法改正に賛成することを示唆しています。」
「さて、昨年4月に自民党の憲法改正草案が示されていますが、この具体的な自民党の憲法改正草案について、小沢氏は賛成なのでしょうか? それとも反対なのでしょうか?」
6.投稿者の立場(3)
小沢氏は、自民党の憲法改正草案について、賛成するところもあれば反対するところもあるのではないだろうか。生活の党としても、自民党などから憲法改正案が発議された場合には、是是非非で対応してもらいたい。それが私のもっとも基本的な要望だ。
たとえば、新自由主義クラブ氏のあげている自民党案の条文のうち、「緊急事態」についての規定は、是であってもよさそうにみえる。おかしな運用の余地がないように与野党で審議し、できれば一定の合意に達するのが望ましいことは、いうまでもない。
憲法改正案についての是是非非の対応が可能になるためには、前提となる条件がある。それは、改正案の発議が個々の改正項目ごとでなければならないということだ。一括あるいは抱き合わせの発議にたいしては、投票する国民のためにも、非の態度でのぞんでいただきたい。
――――――――――――――――――――――――――
以下は参考まで。
7.小沢氏の憲法論の比較
2013年現在の小沢氏の憲法改正についての考えは、生活の党の総合政策会議での講演「日本国憲法について」(2月28日)、「二院制について」(3月7日)で明らかになりつつある。新自由主義クラブ氏の問題提起(2)に関連して、1999年当時との比較で小沢氏の考えをおおまかに整理してみた。
以下、「日本国憲法改正試案」(【小沢-1999年】と略記)の内容に、「日本国憲法について」(【小沢-2013年】〈憲法〉)および「二院制について」(【小沢-2013年】〈二院〉)の内容を対置する。引用は「」、投稿者の要約は《》、投稿者の注釈は[]で示す。
引用であろうが要約であろうが、いずれにしろ投稿者が一部分を切り取ったものにすぎないので、もとの論文と講演要旨および講演動画の全体的な内容を参照していただきたい。たとえば、「日本国憲法について」で小沢氏は、法律論と政治論を区別しなければならないとのべている。その区別を無視して引用や要約だけをみくらべたところで、いたずらに混乱するだけだろう。
「日本国憲法改正試案」(小沢一郎ウェブサイト)
http://www.ozawa-ichiro.jp/policy/04.htm
日本国憲法について(生活の党オフィシャルサイト)
http://www.seikatsu1.jp/activity/act0000026.html
二院制について(生活の党オフィシャルサイト)
http://www.seikatsu1.jp/activity/act0000032.html
【2013年2月28日・生活の党本部】小沢一郎代表「日本国憲法について」(YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=sPxIrTHfD8M
【2013年3月7日・生活の党本部】小沢一郎代表「二院制について」(YouTube)
http://www.youtube.com/watch?v=MI_2azWoAR8
■憲法改正について
【小沢-1999年】
「数多くの法律のうち「最高法規」と位置づけられているのか憲法である。国民の生命や財産や人権を守るために定められ、平和な暮らしを実現するために自分たちで決めたルールである。時代が変わればルールも変わるはずなのに、五十年以上も憲法は改正されていない。新しい時代に必要な価値観を書き加えられることもなく、化石同然の代物を後生大事に抱えている。それなのに現行憲法が完璧であるかのように主張する人たちが多い。」
「二十一世紀を迎えようとしている今、日本は大きな転換期にあることは否定する人はいないだろう。日本的な馴れ合い主義では内外の変化に対応することはできない。江戸時代のような鎖国状態に後戻りする事を望む国民は一人としていないであろう。ならば、国民の意識を世界に通用するように変革すること、それが唯一の道である。そのためには、まず法体系の根幹である憲法が様々な不備を抱えたまま放置されていることから改める必要がある。憲法改正論議こそ時代の閉塞状況を打破する可能性がある。」
「日本人は小心だから、なかなか思い切って現実を改革する決断ができない。それなのに、テポドンでも落ちてこようものなら、ヒステリーを起こして極端にまで突っ走るおそれがある。マスコミの論調もすぐに過熱して戦前の例の如く「鬼畜米英」ならずとも「直ちに北朝鮮をたたけ」という見出しが躍るかもしれない。しかし、これでは又、歴史の繰り返しである。だから、冷静に考えてほしい。小沢一郎が言ったからでなく、自分の頭で論理的に考えて、結論を出してほしい。」
【小沢-2013年】
《旧来の護憲、改憲の決まりきった論議というのはあまり意味がない。憲法は私たちがより幸せに、より安全に生活するために、共同体のルールをみんなで定めたものなので、必要ならば変えればいいし、必要でなければそのままでいい。》〈憲法〉
《日本国憲法には、いろいろ現在の実勢には合わなくなってきているところがあるので、みなさんの合意があれば、改正は当然行われてしかるべきだ。》〈憲法〉
《いいことであれば、両院の3分の2なんてすぐできる。》〈二院〉
■憲法無効論について
【小沢-1999年】
「結論を言えば、昭和二十六年にサンフランシスコ講和条約が締結され、国際的に独立国として承認されたことを契機に、占領下に制定された憲法は無効であると宣言し、もう一度、大日本帝国憲法に戻って、それから新しい憲法を制定すべきであった。もちろん新しく制定される憲法が「日本国憲法」そのものであっても、何ら問題はない。」
【小沢-2013年】
《論文[1999年の「改正試案」を指すと解釈したー投稿者]で述べた憲法無効論は、「純粋憲法法律的に言うと」という前提での話だ。》〈憲法〉
《国民が自由に意思表示をできる条件、環境の中での意思表示でない限り、憲法は無効で効力を持たない。》〈憲法〉
《実態社会で無効論の理屈を押し通すことがいいかどうかは別問題だ。》〈憲法〉
《契約自由の原則とはいえ、いわゆる公序良俗に反した公共の秩序、善良の風俗に反した契約は無効だ。》〈憲法〉
《日本国憲法は、形の上では大日本帝国憲法の改正規定に則ってできたが、天皇主権という帝国憲法の根本を変えたので、実質的には革命であり、新しい憲法の制定だ。》〈憲法〉
《国民主権などの日本国憲法の原則を否定するような憲法改正は、仮に各議院の3分の2ずつで可決され、国民の過半数の賛同を得たとしても、理屈の上では、96条の改正手続きによってはできない。》〈憲法〉
■憲法の基本原則
【小沢-1999年】
「この前文には日本国憲法の基本原則が書かれている。平和主義の原則。基本的人権の尊重の原則。国民主権の原則。さらに付け加えて強調したいのは、国際協調主義の原則が謳われていることだ。この四原則を変える必要はないと、私は考えている。」
【小沢-2013年】
《日本国憲法は、国民主権が最大の基本原則になっている。》〈憲法〉
《硬性憲法であるということも、日本国憲法の根本のものではないか。》〈憲法〉
《日本国憲法の基本の理念、原則とは、日本国憲法の前文に含まれている、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調の4つをいう。》〈憲法〉
■第1章「天皇」
【小沢-1999年】
「日本国憲法は立憲君主制の理念に基づく憲法である。」
「今の文章のままでも天皇は国家元首と位置づけられている。」
【小沢-2013年】
《元首を明記する必要はない。》〈二院〉
■第2章「戦争の放棄」
【小沢-1999年】
《自衛権の行使とそのための戦力の保持を認める。》
《兵力の提供をふくめて国連が認める平和活動に参加するための条文を創設する。》
「結論として言えば、国際の平和と安全の維持、回復のため我が国が積極的に貢献することは、憲法第九条に言う「国権の発動たる戦争」とは全く異質のものである。すなわち、我が国が世界の恒久平和のために、国連権章[ママ]に基づき、兵力の提供を含むあらゆる手段を用いて貢献することこそが、結果として我が国自身の平和と安全を守ることである。そして、これこそが日本国憲法の目指す「国際協調主義」の原点そのものである。」
【小沢-2013年】
《加盟国の提供する軍事力を行使して平和を維持するという国連憲章に対応のできる規定を付け加える。》〈二院〉
《9条は、安全保障論議と密接不可分だ。》〈二院〉
《自衛権を明記する必要はない。》〈二院〉
■第3章「国民の権利及び義務」
【小沢-1999年】
《全体的に条文を整理しなおす。》
《「公共の福祉」の意味をきちんと定義した上で、そのために時には個人の自由が制限されることもはっきりさせる。》
《20条「信教の自由」で日本古来の伝統文化になじまない部分を見直す。》
《「環境権」や「知る権利」のような新しい人権も導入する。》
【小沢-2013年】
[言及なし]
■第4章「国会」
【小沢-1999年】
「参議院まで政党化し、本来の二院制度の目指している衆議院との機能分担ができなくなっている。」
《参議院議員を選挙によらない名誉職的なものにする。》
「衆議院を通過した法案は、参議院で否決されても衆議院に戻され、通常議決で可決できるようにする。利害の絡まない参議院がチェックしているという事実の重みに、両院制の存在意義が生まれるのである。」
【小沢-2013年】
《二院制でいいと思うが、衆議院と参議院の機能を違うものにする必要がある。》〈二院〉
■第5章「内閣」
【小沢-1999年】
《非常事態への対応は、「超法規措置」ではなく、「法律の適正な手続き」でなければならない。》
「内閣の権能として、非常事態の時の権限を付与する規定を置く。」
「天皇制を維持しながら公選論を唱えることは論理として成り立たない。」
【小沢-2013年】
《日本国憲法には、非常事態の危機管理の条項、制度がない。》〈二院〉
《首相公選制(=大統領制)と天皇制(=議院内閣制)とは相いれない。》〈二院〉
■第6章「司法」
【小沢-1999年】
《裁判のスピードアップを図るため、まずは訴訟法を改正する。》
「司法権とは、憲法の砦である。ドイツ、フランス、イタリアなどに導入されている憲法裁判所を新設し、そこに憲法八十一条に規定されている「違憲立法審査権」の役割を委ねたい。」
【小沢-2013年】
《裁判官にたいして「公の弾劾」をおこなう裁判官訴追委員会、検察官訴追委員会、弾劾裁判所が機能していない。訴追委員会の事実上の事務局は裁判所からきている。》〈二院〉
《最高裁判所の事務総局には、検察から非常に多くの人数が入っている。》〈二院〉
■第7章「財政」
【小沢-1999年】
《86条の予算の単年度主義、91条の財政状況の報告については、今後の検討を要する。》
《私立学校振興助成法を根拠とする「私学助成金」が憲法違反にならないように、89条を改正する。[原文には「第八十五条」とある]》
【小沢-2013年】
《私学振興助成法が89条の違反にあたる。》〈二院〉
■第8章「地方自治」
【小沢-1999年】
「「地方分権基本法」を制定して、東京一極集中を分散させたいと『日本改造計画』に書いた。国家財政と同じく、多くの地方公共団体が財政破綻に苦しんでいる。第九十四条「地方公共団体の機能、条例制定権」も見直されるべきだろう。」
【小沢-2013年】
[言及なし]
■第9章「改正」
【小沢-1999年】
「これを変えないかぎり、いかなる改正論にも説得力はない。第九十六条を読むと「この憲法は改正できません」と書いてあるに等しいからである。」
「総議員の二分の一の賛成で憲法改正が可能になるように改正することはできないだろうか。」
「例えば、国民投票を国会よりも先に行うことはできないだろうか。」
「京都学派の憲法論に戻るという選択肢もある。即ち最初に述べたように、一旦日本国憲法の無効を国会で宣言し、その上で新しい憲法を作りなおして、可否を問うのである。」
【小沢-2013年】
《日本国憲法をまた国民主権から天皇主権に戻しますとか、基本的人権は認めませんとか制約しますとか、そういう類の新しい憲法を作ろうとしたら、96条ではできない。自らを否定するようなことになることを、自らの改正規定でやることはできない。》〈憲法〉
《硬性憲法にしたということも日本国憲法の根本ではないか。日本国憲法の理念そのものを否定するような憲法改正を形の上で容易にするようなことはできないと。》〈憲法〉
「96条の改正という場合には、どういう憲法を想定し、その憲法はどういう理念で作られるものか、ということを明確にしないといけない。ただ単に、何でも変えたいときに変えられるようにしたい、改正規定で何でも変えられる、という類の発想につながってしまう。それは非常に、論理的には法の理論から言うとあまりにも乱暴であり、あまりにも跳びはねた議論ということになってしまいます。」〈憲法〉
「私は何が何でも96条の3分の2だというつもりはないのですけれども、そこの中身の議論をしないで、何をどう改正するのか、という議論を全然しないで、手続きの方だけ改正すればいいのだ、という議論が総理大臣以下いろいろまかり通っておりますので、非常に奇異に感じております。」〈二院〉
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