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2013/3/9 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
それはアベノミクスの結果なのか、アメリカの株価の動きにつられているのか
株が上がって、みんなが浮かれている。きのう(8日)の日経平均は1万2283円とリーマン・ショック前の水準に戻した。甘利経済再生担当大臣は「株は高いに越したことはない」と自賛し、安倍首相もドヤ顔だ。大マスコミも「アベノミクス効果」ともてはやしている。
しかし、ちょっと冷静になって考えてみれば、おかしなことに気づくのだ。
株高の原因はリフレ政策である。市場にカネをジャブジャブにする金融緩和への期待が、株価を押し上げている。
リフレ派の日銀総裁候補、黒田東彦・アジア開発銀行総裁は国会の所信表明で「2%のインフレを2年で達成する」と宣言した。それに拍手喝采する国会議員、メディアと市場……。だが、ちょっと待って欲しい。物価高を喜ぶ国民がどこにいるのか?
「賃金が上がらずに物価高だけが進めば、庶民生活は苦しくなる一方です。それなのに、こぞってアベノミクスのリフレ政策を歓迎する今の風潮は異様ですよ。そもそも、インフレを目的にすることが間違っている。景気が良くなり、企業業績が改善されて賃金・所得が上がり、消費が上向いた結果、物価が上がるというのが本来のサイクルです。ところが、黒田次期日銀総裁候補はまず、物価を上げると宣言した。それじゃあ賃金はというと、置いてきぼり。順番がアベコベなのです。政府が宣言すべきはインフレではなく、賃上げであり、雇用の拡大でしょう」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
その肝心の賃上げは、政府に権限はない。あくまで企業の自主性任せなのだから、アベノミクスのいかがわしさが知れるというものだ。
◆日本的経営が失われ労働者に還元されない社会に
政府の経済財政諮問会議で民間議員を務める三菱ケミカルHDの小林喜光社長はベアについて、「ちょっと円安になったらすぐに人件費アップということには残念ながら結びつかない」と明言した。これが経営側の本音で、これじゃあ、中小企業の賃上げなんて望むべくもない。経済アナリストの菊池英博氏もこう言った。
「市場原理主義を貫き、株価が評価のすべてとなった小泉政権時代に、家族的で日本的な経営は失われ、労働者に果実が回らない社会になってしまいました。新自由主義によって、“企業は株主のもの”になってしまったのです。収益が上がったところで、労働者に還元されることはない。資本家や経営者がガッポリ懐に入れるか、株主への配当金に充てる。あるいは内部留保に回す。2%のインフレというなら、所得が2%上がらなければ、実質的な賃下げです。今後、円安・インフレによるコスト増がますます国民の生活を圧迫していくでしょう。ベアなしのサラリーマンもキツイですが、年金生活者や、全体の35%を占める非正規労働者は生活が成り立たなくなってしまいますよ」
庶民にとっては地獄なのに、株価が上がったと言っては、みんなが「アベノミクス万歳!」とコーフンしている。トチ狂っているのではないか。
あらためて聞くが、本当に、株さえ上がればそれでいいのか? 絶対に違うはずである。
◆見せ賭けの好況は副作用が恐ろしい
何度でも言うが、アベノミクスの狙いは、本格的な景気回復ではない。株や不動産に投機マネーを呼び込み、資産バブルを起こすことだ。
それで儲かるのは誰かといえば、株屋や金融屋、不動産屋の類いだ。個人ならば資産を抱える大金持ちだけである。株を買いたくても、手持ち資金の流動性がてんでない庶民が恩恵を受けることは決してない。
アベノミクスで儲かるのは本当にごく一部なのに、株価をつり上げ、見せかけの好況を演出しようとしているだけだ。しかも、この見せかけには副作用がある。これが看過できないのだ。
「今の株高は為替に連動していて、円安が大きな要因になっています。これは手放しで喜べることではありません。財務省が8日に発表した国際収支によれば、大幅な貿易赤字が響いて、経常収支は3カ月連続の赤字でした。こんなことを続けたら、日本はへたってしまいます。それでも円安による株高を維持しようとするのは、それしか方法がないのですよ。経済のグローバル化によって、製造業は競争力を失ってしまった。安い労働力を求めて、日本列島は空洞化し、しかし、人件費が安い国とコスト競争をしたところで勝てないものだから、いつまでたっても実体経済は良くならない。だからインフレ政策で株を上げるしかないのです」(広瀬嘉夫氏=前出)
先進国はどこも似たような問題を抱えている。それで、どうしたか。金融工学を駆使して、金融資本主義に走ったのが米国だ。その結果、あのリーマン・ショックを招いたのだが、ハゲタカ外資に反省はない。また金融バブルをつくって、ひと儲けしようと目を血走らせている。それが世界的な株高の実相だ。刹那的な狂乱相場で、得をするのはどうせ外資のハゲタカなのに、日本も率先して追随しているのだから世話はない。
◆バブルがはじけた時に痛みを強いられるのは一般庶民
「一時的な株高になっても、中身がないのだから、本質的には長く続くものではありません。大多数の庶民は株なんか持っていないのだから、ウマミはまったくありませんが、バブルがはじけた時に痛みを強いられるのは、マネーゲームとは無縁だった庶民です。リーマン・ショックがいい例で、銀行の財務状況が悪化すれば貸し渋り、貸し剥がしで中小企業がバタバタ潰れる。リストラで多くの人が路頭に迷う。住宅ローンなどで含み損を抱えた個人は一生、借金返済に苦しむことになる。しかも、今回のバブルはタチが悪いことに、物価高による生活コスト増までかぶさってくるのです。結局、歪んだ強欲資本主義がもたらすのは、究極の二極化社会です。バブルとショックを繰り返し、その結果、格差が拡大していく。米国の金融バブルでも、いい思いをしたのはたった1%の富裕層だけでした。日本も、アベノミクスで同じことが起ころうとしているのです」(菊池英博氏=前出)
サブプライムの後遺症は、今も癒えていない。米国発の金融危機は世界に波及し、欧州各国の財政危機は依然くすぶったままだ。日本も、リーマン・ショック以前の株価水準に戻すまで4年半かかった。その前のバブルの負の遺産処理はいまだにくすぶっている。
それなのに、また同じ過ちを繰り返すのか。株さえ上がりゃそれでいいのか。冷静に考えるべきなのだ。
もちろん、短期的には安倍バブルで儲けることも可能だ。目先が利けば、ちょっとした小金を稼ぐことはできるだろう。NYダウは3日連続で史上最高値を更新。英国とドイツでも株価が5年2カ月ぶりの高値をつけるなど、海外株の動きも悪くない。日本でも、もうしばらくは株高基調が続くに違いない。
しかし、今の株高は刹那の宴。その先には地獄の苦しみが待っていることを覚悟しておいた方がいい。
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