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2013年03月07日 世相を斬る あいば達也
TPP、特にISD条項の問題点を、数多くの書籍や内外のネット情報とオバマ・安倍会談の流れを観察すれば、その条項が如何に理不尽なものであるかは、脳味噌のある人間なら、誰もが危惧するものだろう。簡単に言ってしまえば、民間企業(広い意味で資本)が国家の上位に位置する貿易協定である。否、TPPを貿易協定のレベルで論ずること自体、既に間違いである。
小沢一郎は、一般論として自由貿易を支持している。それではTPPが自由貿易に資する協定かといえば、異なるものだと言っている。仮に、自由貿易協定であれば、どことでも結んで良いと言っているが、TPPはアメリカのルールに従うことであり、同等の立場で交渉できる協定とは言えず、例外が存在すると米国側が言ったのは、日本政府が国内で言い訳する材料を与えただけだろうと看破している。おそらく、それ以上の問題を含んでいる事を知っているのだろうが、敢えて、それ以上は言及していない。
ネット上で情報が拡散しているように、有利な立場にいる筈の米国人までが、多国籍企業による民主主義の支配だと怒っている。なにせ、TPPと云う一見自由貿易協定に似せた“対国家における資本の優位性”を規定するISD条項やラチェット条項(不可逆性条項)は、参加するすべての国家の主権を制限する。制限ならまだしも、最悪の場合、その国の憲法よりも上位な可能性すらある。つまり、参加各国の国内法(憲法含む)のすべてに優先するのだ。たとえば、相手国がその国の法律に従い行った規制でも、資本の行動自由が阻害された場合、不利益を蒙った資本(多国籍企業群乃至は単なる民間企業)は、その国を訴え、賠償を支払わせる事が出来ると云うものだ。
TPP推進論者は、このISD条項における紛争は、国際仲裁機関において(今までの歴史的経緯において)公正公平に行われていると主張している。たしかに、NAFTA(北米自由貿易協定:米・カナダ・メキシコ)におけるISD条項違反の裁定を詳細に見てみると、訴えた企業側の主張に理がある面もあるので、一概に反TPP論者の「負けているのはカナダとメキシコだけだ」と云う証明には論理的に弱い面がある。つまり、その仲裁裁判の結果を持って、だから危ないと云うのは論理的ではない。
ただし、国際仲裁法廷が公正公平で、今後、その歴史的経緯が継続すると保証はない。本当のTPPにおける問題は、今までではなく、将来に亘って国際仲裁法廷が公正で公平な機能を果たせるかどうかなのである。最近、社会学者の間で語られるようになっている課題は、資本にとって国家は必要か、と云うものである。経済のグローバル化はかなりの部分で、国境と云う意識を抹殺してきた。それでも、関税と云う障壁が国家の存在を目に見えるものにしていたのだが、資本は、それが邪魔だと言い出したのが米国型TPPの発想である。
オバマの哲学的思考まで考えるつもりはないが、自由貿易の過度な進捗は、必ず国境が邪魔と云う考えに到達する。なぜなら、資本と云うもの人格を持たないので、何処まで行き着こうが強欲なのである。これは資本が悪者と云うわけではなく、それが資本の性(さが)なのである。人間や国家のように、食べ過ぎには注意しよう。あまり人のものを奪うのは宗教倫理上も、外交上も拙いものだ、等と考えないのである。そして、どこの誰が、その資本の持ち主なのかさえ判らないのだから、極めて取り扱いが難しい。案外、各国の庶民の貯金も、資本の一部でさえあるかもしれないのだ。つまり、世界各国が、この資本と云う正体不明の存在に蹂躙される危機が訪れているのだろう。
リーマンショックと云うのが、自由貿易の踊り場だったことは確かだ。しかし、資本は、国家の財政に助けられ、結果的には甦った。そしてまた、再び牙を剥いているのだ。彼ら(資本・マネー)には、人格、言いかえれば心がないのだから、その慣性の法則に従い、食って食って食い捲るのである。自由なんて言葉がくっついているので、ついつい善のように思うのだが、トンデモナイ悪魔なのだ。永遠と云って良いほどの食欲で、寝る暇さえ惜しんで食べ続けるわけである。
自由貿易の世界では、資本が主役であり、国家も国民も、すべて従属関係にある。ゆえに、此の儘自由貿易が継続すれば、国家は滅亡するのである。まぁ理屈上は、国境がなくなり世界国家が誕生するわけだが、国家を形成しているのが国民と云う人間であり、彼らの心があることを忘れてはならない。つまり、資本を主体とする自由貿易は、論理上世界国家を成立させ得る。しかし、現時点で、国家を形成している各国の人々には、感情があり、良くも悪くも心がある。つまり、最終的には、理屈と情緒の対立が起きる。言い換えるなら、資本と国家の対立が起きる。
ところが、この対立の図式は、勝敗は決まっている。必ず、国家が負けるのだ。なにせ、相手が何処にいて、何者なのか、誰にも判らないからだ。幽霊と喧嘩して勝てるヤツはいないだろう。実に、それに似ている。ただ、幽霊と違って、目が覚めても、そこにいるのだ。そして、常に人間を競争に追いたてるのである。その昔、キリスト教では、利息を取ってはいけないと云う不文律があったわけだが、それを暗黙に認めたことから、資本と云う怪物が生まれたらしい。こんな事をオバマが考えているかどうか判らないが、少なくとも安倍晋三はオバマから命じられる儘に実行するだけで、行く先や国益など、チンプンカンプンなのだろう。 正直、そんな自民党に勝たせたから仕方がないとかの問題ではなく、民主党でも同じくらい低レベルの議論しかしていないので、目くそ鼻くその選択。共産党も抵抗できない資本の風圧である。
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