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昨年12月の衆院選をめぐる「一票の格差」訴訟。先陣を切った6日の東京高裁判決は「現行の選挙区割りは違憲だが、無効とはしない」との結論に落ち着いた。有識者からは「無効判決を出さないと国会の怠慢は改まらない」との声も出る中、社会の混乱を避けるため、「最後の手段」は回避したかたちだ。(横井武昭)
■混乱懸念 「無効」を回避
「画期的な判決だったが、無効としなかった。評価するなら50点ちょっと」。判決後の会見で、訴訟を起こした弁護士グループの中心メンバー、久保利英明弁護士は違憲判決への手応えを口にしつつ、悔しさもにじませた。
衆院選をめぐる「一票の格差」訴訟の最高裁判決では、これまで「違憲状態」が3回、「違憲」が2回出ている。だが、高裁判決も含め、選挙無効が認められたことは一度もない。元最高裁判事の泉徳治弁護士は「国会議員が議席を失うことの影響はあまりに大きい。無効は最後の非常手段」と語る。
行政事件訴訟法には、行政の決定などが違法でも、これを取り消すと公益を著しく害する場合は、請求を棄却できる「事情判決」の規定がある。
この考え方を始めて「一票の格差」訴訟に使ったのが、最大格差が4.99倍だった1972年の衆院選を違憲とした76年最高裁判決だ。選挙無効を回避する理由を次のように述べている。
「無効にしてもその選挙区の選出議員がいなくなるだけ。公選法の改正など(有権者の代表である)議員がいない異常な状態で行われ、憲法上望ましい姿ではない」
違憲判決と現実の折り合いをつけるために編み出された苦渋の策だが、今回の東京高裁判決もこの考え方を基本的に踏襲している。
「国会にはどんなに厳しくても事情判決止まりだろうという甘い考えがある。それが場当たり的な対応の原因になっている」。上智大学の高見勝利教授は事情判決の弊害を指摘する。
■後続高裁での「警告」も
一方、昨年12月の衆院選では、最高裁が2011年に違憲状態とした区割りのまま選挙が行われた。さらに6日の東京高裁判決では「判決確定後、一定期間経過した後に選挙無効の効力が発生するという判決を出すことも検討の対象になる」と、公益への影響を緩和する手法も提案された。
「これまでより無効が題しやすい機会」と語る高見教授は、後続の高裁判決の中で、国会への警告として無効判決を出す可能性も指摘している。
■今夏にも最高裁判断
昨年の衆院選をめぐる17件の「一票の格差」訴訟(1件は比例代表)は、6日の東京高裁を皮切りに、3月中にすべて判決が出そろう。
公選法は「判決は100日以内に出すよう努める」と規定している。原告の弁護士グループ側の強い要請もあり、1月下旬から各地で始まった高裁の審理は口頭弁論は全て即日結審。提訴から判決までに要する期間はいずれも3カ月以内だった。
2009年衆院選をめぐる「一票の格差」訴訟で各高裁の判断が出そろうまでに約8カ月かかったのと比べると、かなりのスピード審理となった。
今回、最高裁もこの公選法の規定に従い、早く審理を進めることが予想される。高裁判決の上告が出そろった段階で、最高裁は15人の裁判官で構成する大法廷に審理を回付。統一的な判断を示す見通しで、早ければ今夏に大法廷判決が出る可能性がある。
2013年3月7日 東京新聞 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013030702000168.html
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