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2013年03月04日 世相を斬る あいば達也
最近筆者は、東京新聞論説委員の長谷川幸洋氏の発言を注意深く追いかけている。なぜかというと、彼こそが田原総一朗の後継者と目されるからである。田原総一朗がそうであったように、既存勢力(自民党・霞が関)にジャーナリストとして批判的なポジションを堅持しながら、実は絶大な擁護論者である、極めつけの言論マジックを駆使するジャーナリストであると観察するからである。つまり、ニュートラルに既存勢力に批判的な態度を表明しながら、実に巧みに、その矛先を変更させ既存勢力の味方となる天賦の才に恵まれているからである。
ゆえに、筆者はストーカー紛いに、彼らの言説に注意深く接しようと心がけている。東京新聞の社説:週のはじめに考える、の執筆は主に長谷川氏が手掛けている筈なのだが、どうも現代ビジネスで発言している長谷川氏の趣旨と3日の東京新聞の社説の発言には乖離がみられる。先ずは2月16日拙コラム「長谷川幸洋氏が『集団的自衛権』を俎上に TPP積極参加とセットで米国依存に執着」( http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/6bee22f45f6cbb9414cfd5c211fdd1eb ) において、長谷川氏の現代ビジネス:ニュースの深層における論説への疑問を示した。
≪ アメリカを狙う北朝鮮の核実験成功で、「集団的自衛権」が喫緊の課題に浮上した
前文省略……
■「米国を守ることはできません」が通用するわけがない
米国は攻撃前に日本や韓国と事前に協議あるいは通告するだろう。そうなってから、慌てて対応策を考えても遅い。日本は米国と北朝鮮が軍事的衝突に至る選択肢を想定して、いまから有事に備える必要がある。
日本にとって、直ちに 問題になるのは集団的自衛権の問題である。北朝鮮がICBMで米国を攻撃しようとするとき、日本は「私たちは知りません」という態度をとれるか。私はとれ ないと思う。「米国は日本を守ってください。でも、日本は集団的自衛権の制約があるから、米国を守ることはできません」などという話が通用するはずがない。
冷戦終結後、テロリストを除いて米国を本気で真正面から攻撃しようという国はなかった。今回、初めて北朝鮮という国は米国を敵視して、口 先だけでなく実際に攻撃能力を身につけようとしている。そこが従来と次元がもっとも違う点である。
これまで日本は「集団的自衛権を行使できな いから米国を守れない」という態度だったが、そもそも「米国を攻撃する」という国がなかったから、それで話が済んでいたのだ。だが、いまは前提が違う。北 朝鮮がいる。
だから、日本が米国を守るのかどうかが、にわかに現実の問題として問われている。繰り返すが、現実が想定を超えたのだ。
米国は北朝鮮に圧力をかけて封じ込めるために、さまざまなレベルで日本や韓国との共同歩調を目指すだろう。中国やロシアと比べれば、米国にとって軍事同盟 関係を結んでいる日韓との関係がずっと深いのは言うまでもない。
たとえば、日本海で日米韓が合同軍事演習をするとする。
そこで、 日本は北朝鮮の米国攻撃を察知した場合、米国を守らないような行動を演習するのか。一方で北朝鮮がテポドンによる米国攻撃とノドンによる日本・ 韓国攻撃をしかけた場合、米国は日本と韓国を助ける演習をするのか。そんな馬鹿な話はない。
だから、集団的自衛権の見直し問題が喫緊の課題になる。
■状況は一変した
核実験のつい1週間前まで、集団的自衛権見直し問題は少し議論に先がある政治課題だった。与党である公明党が「慎重に議論する」という姿勢だった ので、議論を開始はしたが、少なくとも7月の参院選までは与党内で亀裂を招くような結論を出すには慎重にならざるをえなかった。まして、憲法改正はずっと 先の課題である。
だが、いまや状況は変わった。国際関係の現実が国内の政治論議を追い抜いてしまった。日本は先に行ってしまった現実を大急ぎ で追いかけて、キャッチアップしなければならない。
今回の事態は環太平洋連携協定(TPP)参加問題にも影響を及ぼす。TPPは貿易自由化と いう通商問題であると同時に、米国を中心とした安保外交問題と いう2つの側面がある。日本が貿易自由化の側面にとらわれてTPPに後ろ向きの姿勢を続けると、安全保障面で米国との連携がうまくいかない可能性が出てくる。
今日は昨日からの連続した世界ではない。大胆に言えば、今回の北朝鮮核実験は9.11や3.11に匹敵するような事件だ。新しい事態を受 けて、頭をがらりと切り替えられるかどうか。政権もメディアも、そこが問われている。≫以上、(現代ビジネス2月15日付:ニュースの深層抜粋・長谷川幸洋)
上記のコラムに対し筆者は『…… 東京新聞論説員の長谷川幸洋氏に対する世間の評価がどのようなものか、筆者にはハッキリとは判らない。ただ、一般市民の中で政治や経済に興味の強い人種層からはニュートラルなジャーナリストとしての評価が高い人物と考えている。特に政治家の去就や原発に関する発言や霞が関官僚への洞察など、一目置く存在であると筆者も考えていた。ところが、最近の氏の論調には不自然な変化がみられるのである。勿論、氏が考えを変えたとか、ついに本性を現したとか、明確に指摘出来るほどの矛盾が論説に現れていると云うわけでもない。しかし、同氏の論調には変化の兆しがあきらかにある。それが何処だと指摘するほどではないの だが、徐々に気づかない程度に舵を右方向に変えている。多少文学論のようになるが、行間から、それを感じる人は感じる程度のものだ。…… アベノミクスに対するヨイショ論調は、同氏がリフレ派なものの考えと規制改革論者であることから特に違和感はないが、心情右派の安倍晋三に親和的である事は、中央集権の行政改革と、それに伴う規制緩和が実現してからのヨイショでも良いような気がする。現時点のアベノミクスは既得権益層に手厚い保護を行う愚策であり、行政改革と規制緩和が後出しジャンケンで出てきても、一歩たりとも改革しない事は自明であり、後戻りの政策のみの片肺飛行の現時点で評価するのは奇妙だ。今夜俎上に乗せる、現代ビジネスのコラムは、更にその病魔に冒された同氏の立ち位置が露わになっている。』と評した。
無駄口を叩かずにまとめると、長谷川氏は現代ビジネスにおいて「TPPと集団的自衛権は一体だ」と思い切って言っている。ところが3月3日付の「東京新聞:週のはじめに考える」では「集団的自衛権で何をするのか」という見出しで、TPPと集団的自衛権の一体化には言及せず、尚且つ勇猛果敢に安倍首相が集団的自衛権につき進まないよう注意を喚起している。仮にTPPと集団的自衛権が一体のものだと云う同氏の論説が生きている場合、集団的自衛権への慎重な対応は、TPPへの交渉参加にも慎重という理屈になるのだが、その辺に大きな矛盾を感じざるを得ないのである。
東京新聞の「週のはじめに考える」の執筆が何人かの論説委員の持ち回りで、長谷川氏の執筆でなければ、まったく問題はない。仮に、この社説を長谷川氏が担当していると云う前提だと、相当矛盾した論説をする人だと云うことになる。おそらく、数人による持ち回りなのだと考えれば、東京新聞も捨てたものではない。論説委員で意見が異なると云う、極めてジャーナリズムとして見上げたものだ。しかし、長谷川氏が3日の社説も書いたとなると、現代ビジネスのコラムの内容が勇み足であった為の訂正文のようでもある。真相はどちらなのだろう?誰か東京新聞に聞いてみて貰えないだろうか(笑)。参考までに、東京新聞の3日付の社説を以下に掲載しておく。
≪ 安倍晋三首相はオバマ米大統領との首脳会談で、歴代首相として初めて集団的自衛権の行使容認の検討を始めたと伝えました。何がしたいのでしょう か。 安倍首相は第一次安倍内閣で有識者を集めて「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」をつくり、集団的自衛権行使を容認すべきか検討を求めま した。安倍氏が退陣したため、報告を受けたのは福田康夫首相。行使に慎重な福田氏はお蔵入りさせました。
再登板した安倍首相は同じメンバーで懇談会を再開。強いこだわりがうかがえます。
◆先に結論わかる懇談会
懇談会は前回と同じく(1)公海上での米艦艇の防護(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(3)国連平和維持活動(PKO)で他国部隊を守るため の「駆け付け警護」(4)戦闘地域での多国籍軍への後方支援の四類型についても検討します。 前回の結論は(1)(2)が集団的自衛権の行使にあたり、(3)が海外における武力行使、(4)が武力行使との一体化に区分され、いずれも現行の 憲法解釈では禁じられているが、解釈変更によって容認すべきだというものでした。
同じ顔ぶれで議論するのですから、結論は分かりきっています。興味深いのは懇談会十三人のうち、「日米同盟の維持・強化」を目的に二〇〇一年に開 かれた民間の研究会「新日米同盟プロジェクト」に名前を連ねた有識者が五人もいることです。
プロジェクトには米国の研究者らも参加し、沖縄の基地問題、朝鮮半島問題などについて議論しました。関心をそそられるのは憲法・有事法制について の提言です。 現在、懇談会の一員でもある坂元一哉大阪大学大学院教授は、日米同盟を深化させるため、日本領域や公海で集団的自衛権行使に踏み込むべきだとし、 その方法として「国家安全保障基本法のようなもの」をつくり、規定するのが一番よいと主張したのです。
◆国家安全保障法の端緒
この考えを自民党が受け止めて発展させ、昨年七月の総務会で国家安全保障基本法の制定を目指すことを決めました。
再びプロジェクトの議論から。マーク・ステープルズ元米国防総省日本課長は、一九九三〜九四年の朝鮮半島危機で日本が集団的自衛権行使を禁じてい るために米国とともに行動できなかったと指摘し、行使容認に踏み切るよう求めました。
朝鮮半島危機を振り返ります。九三年、北朝鮮は核開発を目指し、核拡散防止条約(NPT)脱退を表明しました。米国は米韓共同作戦計画 「5027」に基づく北朝鮮攻撃を検討しましたが、死傷者百万人以上との見積もりから踏みとどまったとされています。
このとき、在日米軍司令部は日本政府に、米軍による空港・港湾の使用、自衛隊による米兵の輸送、補給、救難など千五十九項目の支援を求めました が、日本側は「集団的自衛権の行使は認められていない」とゼロ回答しました。
すると日米関係は険悪化。修復するため、周辺有事への対応をうたった日米安保共同宣言、日米ガイドラインを経て、九九年に周辺事態法が制定されま した。わが国に波及するような戦争が起きた場合、官民挙げて対米支援する国へと日本は変化したのです。
この法律では集団的自衛権行使を避けるため、自衛隊の活動は日本の領域と公海までとの制限があります。行使容認となれば、米国と交戦する相手国の 領域で米軍を支援できるだけでなく、イラク戦争の英軍のように米軍と一緒に戦うことも可能になるのです。
その後、北朝鮮は三回の核実験を実施し、弾道ミサイルの発射にも成功、朝鮮半島の緊張はいっそう高まっています。このタイミングで安倍政権は集団 的自衛権行使の議論を再開させたのです。
安倍首相が行使容認にこだわるのは、朝鮮半島の問題というより、中国を意識してのことかもしれません。
尖閣諸島をめぐり、米国は日米安全保障条約の対象と明言しています。相応のお返しが必要と考えているのでしょうか。
◆米国の関心は経済成長
ただ、米国とは温度差があるようです。日米首脳会談でオバマ大統領は記者団を前に「日米同盟はアジア太平洋の礎だ」と述べたものの、それ以上踏み 込まず、「両国にとって一番重要なのは経済成長だ」とかわしました。
経済面で相互依存が進む中国と敵対したくない米国にとって、日本が地域の緊張を高める方向へとかじを切るのは避けたいところでしょう。
安倍首相には勇猛果敢に突き進むより、世界で孤立しないよう多国間の連携に汗をかいてほしい。心からそう願います。≫(東京新聞社説:週のはじめに考える) http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013030302000153.html
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