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TPPへの学生の反応
貿易実務の講義で環太平洋経済連携協定(TPP)を中心とした貿易協定を取り上げた。日本がTPPに参加すべきか否か、賛成派、反対派の論拠を説明し、学生に意見を書かせたところ、受講生(105人)の半数近くがTPP参加反対の意見を表明した。
反対の理由は農業への影響と、日本が米国の基準を押し付けられることになるという2点に集約された。
高齢化の進展等でTPPに参加せずとも、このままでは日本の農業の先行きが厳しいことは理解されている。それでも学生が反対する主な理由は、TPPに参加し、農産物の輸入が増加し、食料自給率が今以上に下がった場合に食糧安全保障はどうなるのか。食の安心、安全基準の低下に対する懸念も強い。
日本の輸出依存度は14%と国際比較ではかなり低い。国内市場が縮小する中で、TPP参加で輸出を伸ばす余地が増えれば経済利益は大きい。特に対米貿易では既に米国と自由貿易協定(FTA)を締結している韓国との競争上、日本はTPPに参加すべきだと、学生も理解している。
しかしTPPへ参加した場合、社会システムを含めた様々な分野で日本が米国の基準を押し付けられるだけに終わるのではないかと学生は感じている。国内でも方針の定まらない日本の政治の外交交渉力に強い不信を持っている。
TPP不参加の場合、グローバル化が進む中で、日本が取り残される恐れがある。同時に学生は、TPP参加で、日本が埋没する不安も大きく感じている。低成長下で育った世代は、経済成長が必要だとしても、今の生活を最低限守りたいとの欲求が強い。
TPP参加可否の判断には、日本経済の成長のためにTPPを使ってグローバル戦略をどう進めるか、また影響を受ける分野のどこをどう守っていくのかの両方を具体的に示す必要がある。特に後者がないと次代を担う学生の根本的な不安は払拭されない。
(広島経済大学教授 糠谷英輝)
[日経新聞2月26日夕刊P.5]
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