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世論調査では安倍内閣の支持率は70%だという。国民の7割が支持しているとはすごいことである。最近の円安の進行と株価の上昇が高い支持率の背景だろう。支持する人達は、アベノミクスによって近い将来好景気になり自分の収入が増えると期待しているのかもしれない。話しがうま過ぎるとは思わないのだろうか。一部の大企業は賃上げするかもしれない。ボーナスアップはありうるだろう。だがベースアップは絶対行なわない。せいぜいがここまでである。
アベノミクスの「3本の矢」に新しいものはない。ただ日銀に2%の物価上昇をメドではなく目標とさせた点が違うだけである。持続的な景気拡大には経済成長のための新しい強力なエンジンが必要だが、これまでに明らかになっているアベノミクスの成長戦略を見る限り、そのようなものは見当たらない。
安倍内閣は今年度の補正予算に大規模な公共事業を含む13兆円をつぎこんだ。アベノミクスを唱える安倍首相は、景気拡大の腰折れを防ぐために際限のない財政出動を繰り返すだろう。景気後退はアベノミクスの失敗を意味し、みずからの存在を否定することに直結するからだ。それゆえに今後、安倍内閣が継続したとして、14年と15年の消費増税に合わせて大規模な財政出動を繰り返す可能性が高い。成長戦略が有効でない状況で大規模な財政出動を繰り返せば金融不安のリスクが高くなる。先日の「NHKスペシャル」は、「国債暴落」をテーマにアベノミクスによる大規模な金融緩和と財政出動が国債暴落につながる可能性を警告していた。
安倍内閣の高支持率を前にして、野党も反対しづらい雰囲気が生まれている。マスメディア、特に民放の安倍首相の取り上げ方には問題がある。どの局も安倍首相を持ち上げていて、まるでタレント扱いである。批判的報道は皆無といっていい。安倍内閣の危険性に人々が気付いたときはもう手遅れかもしれない。
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安倍晋三首相が2月21〜24日に訪米し、オバマ大統領と会談したが、今回のテーマは大きくわけて四つあった。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加、米軍普天間基地移設、原発、そして中国に関する問題である。TPP問題と普天間問題について見たうえで、「安倍論」を述べてみたいと思う。
TPP問題は「首相一任」
TPP問題は今回の最大のテーマだったが、安倍首相はオバマ大統領との会談後に「あらかじめすべての関税撤廃の約束を求められない」とする共同声明を出した。米国から帰国後、安倍首相は25日の自民党役員会で「首相への一任」を取り付け、3月上旬にも交渉参加を表明すると見られる。
自民党内には「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加の即時撤回を求める会」(会長・森山裕衆院議員)など反対派の議員が200人を超える。反対派は26日にそれぞれ会合を開き、「なぜ役員会だけで決めるのか」などの不満も出たが、「党内対立の構図を見せれば国民から批判を受ける」(森山氏)といった慎重な考えも示された。
反対派の意見が先鋭化しなかったのは、実は安倍さんが自ら中心人物4人に電話をかけて「今さら何をしようとしているのか」と根回しをし、反対派を抑え込んだからである。
安倍首相の下ですべてが決まる
これよりも大変だったのは普天間問題だ。安倍さんが訪米する前、ルース駐日米国大使が官邸を訪れている。訪米前に普天間基地の移設をはっきりと打ち出してほしいと日本側に要請するためである。
オバマ大統領との会談の際、普天間問題ではバイデン副大統領も同席した。これは、普天間問題もできるだけ早く決着をつけることと、移設先は辺野古ということを米国側が明確に要請するのが狙いだったと思われる。
政府は普天間基地の「固定化」を避けるのと日米同盟強化を目的に、名護市辺野古の埋め立て許可を申請する考えだが、実はこれまでに菅義偉官房長官や岸田文雄外相、小野寺五典防衛相、山本一太沖縄北方担当相が出席する沖縄関係閣僚会合を首相官邸で開き、この問題について話し合っている。
しかし関係閣僚会合で結論が得られなかったため、この問題でも「首相一任」となったらしい。
こうしたことを裏返してみれば、今の自民党は安倍首相の下ですべてが決まる仕組みになっており、それに反対することができにくいともいえる。
その意味では、今の自民党はかつての自民党から大きく変わったといえそうだ。昔の自民党は根回しが基本となっていた。野中広務氏や森喜朗氏といった実力者が入念な調整を行っていたのだが、そうした人たちがすっかりいなくなり、今は首相である安倍さんの根回しや決断によってすべての物事が動いていくようにも見える。
保守化する日本、気になる右派の意見
さて、そこで「安倍論」である。
安倍内閣の支持率は高い。日本経済新聞とテレビ東京の世論調査(2月22〜24日実施)では1月末の前回調査より2ポイント上昇し、70%になった。他の大手メディアの世論調査でも内閣支持率は上昇傾向にある。
マーケットの反応もいい。為替レートは1ドル92〜94円で推移しており、昨年野田佳彦首相が解散を表明する以前の1ドル78円程度から大幅な円安になっている。日経平均株価も8800円台だったのが11500円台まで上昇した。
今年から来年にかけての経済見通しは比較的明るい。米国との同盟関係も改善されつつあり、今回の訪米は成功だと評価すべきだろう。こうして安倍人気は高まっていく。
だが、私には気になることがある。大手新聞をはじめ世の中が安倍内閣をこんなに絶賛していいものか。野党の中にすら力強い反対論があまりない。この状態はむしろ問題ではないかと、ふと思う。
「安倍礼賛」の中で気になるのが右派の意見である。日本の政党の多くが保守化し、新聞雑誌をはじめとするメディアも保守的になっている。そうした保守とは違い、強硬論を述べる右派の意見が気になる。
右派と保守が一緒になっての「安倍礼賛」は危険
ある著名な論客が雑誌に長い論文を寄せ、「民主党政権は新左翼集団だった」と指摘していた。新左翼といわれて何も反論しない民主党も情けない。「民主党はリベラルだ」と謳えばよいものを、何もできないでいる。
中国については「独裁体制を改革することが日本の役割」という趣旨のことを書いているが、実はそうした論調は少なくない。「中国と戦え」「日本はもっと自立すべきだ」といった声がネット社会を中心に徐々に増えており、だから「安全保障を強化し、憲法を改正すべきだ」という話につながっていく。
私は、日本はもっと自立すべきだとは思うが、米国とも中国とも良好な関係を築き、経済的にも発展していくべきだと考える。
日本の最大の輸出国は中国であり、中国の最大の輸出国は米国で、米国の国債を最も買っているのは中国である。こうした相互依存を強める中国を、「共産党による一党独裁だから変えよ」というのは横暴であり、時代遅れだ。
その論調はちょうど日中戦争のときの日本と似ている。いま右派と保守が一緒になって「安倍礼賛」をする。お互いに相手を傷つけないように、一切相手のことには触れない。ここが危ないと感じるのである。
気を使いすぎて触れなくなる危うさ
安倍首相は教育改革にも意欲的に取り込もうとしている。教育改革そのものについては、私も行うべきだと考えている。問題は教育改革をどこがやるのかだ。主体の問題である。
地方自治体の学校その他の教育の権限は教育委員会にある。しかし、その責任がはっきりしていない。いじめなど様々な問題はこうした教育委員会制度が要因になっていると指摘する人もいて、だからこそ国家が責任を持って決めるべきだと主張するが、その考えは危険だと思う。
新たにチャレンジする安倍首相をメディアが評価するのはいい。私もアベノミクスなどは評価する。ただ、盲目的な「安倍礼賛」に陥り、しかも気を使いすぎて危険な部分にまったく触れなくなるのはよくない。私はいま、このことがとても気になっている。
そして安倍首相については、以前にも書いたが、「右翼は趣味にとどめ、保守本流を歩み、地に足の着いた政治をすべき」なのである。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130228/342036/?rt=nocnt
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