http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/589.html
Tweet |
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/bf8f2f8ec9141cdb277ea71f9444b6e2
2013年03月02日 世相を斬る あいば達也
安倍首相の施政方針演説を分析してみたら、なんという事はないオバマの望むような政策を実現し、己のイデオロギー感覚のタカ派な政策は議論の俎上に乗せるだけ、と云う現実が見えてくる。如何にも「決められる政治」を実行しているように見せかけるが、既存の権益層の権力温存に寄与しているだけだ。自民党にせよ、官僚にせよ、彼らが考えている事は、国民を如何にして大人しくさせ、統治権力を強化していくかの方向に収斂している。気がついた時には、ファシズムのような国家が生まれているのだろう。
否、そのファシズムが民族独立の矜持から生まれたものなら、善かれ悪しかれ、日本の真の独立過程に寄与する部分もあるだろうが、米国に完全に隷属する骨太の精神の中で行われるファシズムは、歪みだけを生み出す。まさに、統治権力ばかり強化して、主権者である国民の権利を取り締まる精神に満ちている。安倍晋三自身は阿呆だから、国民の為に良かれと、決められる政治を推進しているつもりのようだが、さにあらず、日本国民を、米国政府の直接支配を代行するかたちで、日本政府が、国民を支配できる環境整備をしているだけの驚きの事実だ。社会保障サービスの提供や徴税を適切に行うため、国民全員に番号を割り振るマイナンバー法案を決定した。さも何でもないもののように(笑)。
日本が真の独立国となるためには、守旧派と言われても、その国家に根強く残る伝統文化や慣習を、先祖から受け継ぎ、後世の子孫に残すことである。勿論、我が国の伝統文化や慣習は、必ずしも合理的と呼べるものばかりではない。しかし、合理性を求めてやまないグローバル化経済と云うものは、国家の主権や、国民の権利よりも、グローバルな価値基準が上位に位置するものである。つまり、グローバル化は民族が営々と築いた伝統文化慣習等々を否定する方向に向かい易いものである。安倍晋三は「強い日本を取り戻す」と豪語するのだが、TPP加盟をオバマからの絶対的命令として受けつけた時点で、「日本の伝統文化慣習」を売り渡してでも、米国の後ろ盾が欲しいと考えたことになる。
当初の予定では、百家争鳴しそうなTPPへの意思表示は、参議院選後を考えていたのだろうが、米国から逆ねじを喰らい、玉虫色の表現であるが、交渉参加に向けての一歩を踏み出したようである。このTPPへの参加は、米国型グローバル経済圏に入ることを意味しているので、日本の伝統文化慣習を否定することを意味しているとも言える。つまり、安倍は情緒的に持つナショナリズムを簡単に放棄したわけである。トンデモナイ民族主義者であり、石原慎太郎同様、隷米の深化に向かってまっしぐらの、似非民族主義者と云うことになる。
構造的に文明化した生活を送り、少子高齢化した先進国家が小手先の変革や、ブロック経済圏を作ったからといって、経済のパイが大きくなるのは幻想。存在しない成長を声高に掲げる政策には、根深い欺瞞が含まれ、成長をみせかける為に金融資本市場原理のマジックを繰り出すことになる。そのような、政策はリーマンショックで駄目になることが証明されている。同一の経済パイであるなら、その中で産業構造を移動させ、労働力の質もチェンジさせるしかない。つまり、存在しない経済成長を求めるのではなく、現に存在している経済パイの構造を変えることで、経済成長した場合同様の経済達成が生まれる方向を目指すべき。
それが地産地消文化の構築だ。つまり、東京一極を集中からの脱却が必要になる。一極集中は安全保障上も極めて脆弱、自然災害、安全保障上の観点からも、首都機能を分散させる試みは再度検討されるべきだ。シロアリの温床になる単なる公共事業による財政出動をするのなら、分散化を考えるべきだろう。分散化は、地域経済圏を活性化するし、そこには個性的地域文化を生み出すことも可能になる。その延長線上でワークシェアリングの発想も生まれるだろう。大きな眼で見た場合、雇用の確保は重要だが、所得の拡大を求め続けなければ条件は大きく緩和される。
地域主権、地産地消文化は日本に金太郎飴のような新幹線の駅舎を現すこともなくなるし、地域の個性化、差別化が自然に生まれる。今でも充分に没個性化している日本の町はTPP等の参加により、その自由まで奪われるだろう。米国同様の大規模農法とモンサント遺伝子組み換え食品生産は、単に日本の米国化に過ぎず、より規模の大きい米国、豪州の生産効率に勝てるわけがない。合理性を求めてやまない、金融資本の精神と農産物生産の精神は、まごころの面で後者が有利だ。
オバマの興味は、自国産業のパイの拡大、市場の拡大が目的なのだから、TPPをどれ程説明されても、日本に有益な協定ではなく、自分の国を自分達の創意工夫で作りかえる自由を奪われるだけのものになる。輸出製造業を優遇する政治目的も、そろそろ見直す時期に来ている。グローバル化の流れの中で、日本だけ独自の輸出製造業を確立する事は不可能であり、グローバル化の流れの中で、海外に出るものは出た方がいい。一定の範囲で、その利益を国内に還流するシステムを構築する方がベターだ。
そうなると雇用がなくなると騒ぐわけだが、幾らそう云う産業は裾野が広く、雇用への影響が大きいと云っても、何処かにひずみを抱えての雇用なのだから、最終的には破綻する。あらたな産業を生み出す努力は求められるが、中央集権型の発想を変えれば、様々な産業が生まれたり、大きな規模に成長する事も可能だ。資源を海外に強く依存する事は、効率が良いと云う理由からだろうが、たとえ効率で不利であっても、その不利な分だけ雇用が増えると云う事もある。今までの日本では、省力化、人を使わない生産の仕組みに血道を上げたわけだが、人間の手をわずらわす作業に回帰する事も検討に値する。
米国オバマは、対中外交では、日本より充分に親和的だ。近時の世界経済のパイの中で、中国を無視する事は無謀であり、ことを構えないと明確に決意している。同盟国である日本が尖閣を国有化した行動は、国内的に合理性があるが、外交上は中国を刺激したに過ぎない。いま中国と一戦交えるつもりもない米国が、同盟国の稚拙な行動に巻きこまれる事は迷惑以外なにものでもない。オバマは明確に、安倍晋三のタカ派的行動に釘を刺したのだろう。ロシアとの連携には、表立って話があったかどうか判らないが、エネルギーの共同開発と領土問題に進展には、かなりの興味を持っているだろう。具体化するにつれ、米国の圧力は増すような気がする。
安倍のその他の施政方針演説はルーチン的事項の羅列だったが、原発再稼働を行うと明言した部分は米国からの圧力だろう。しかし、原発再稼働を不用意に実施した場合、寝た子を起こすリスクを抱えることになる。下火になりかけた脱原発運動が活発化するリスクを承知のうえでも行うかどうか、オバマの命令の強さのバロメーターになるだろう。憲法改正や集団的自衛権行使容認の議論を開始したいと言ったのは、タカ派である安倍のせめてもの抵抗と云うか、まだ看板だけは降ろしていませんと表明したに過ぎない。
円安誘導に成功し、株価が上がったのは良いことだが、副作用も大きい。景気の前触れを評価された安倍政権だが、実態を伴った好況が始まるのか、そして、その実益が国民の側に還元されるのか。その前に、円安による、消費物価だけが上昇するとなると、デフレ時よりも悲惨なインフレを起こしただけの首相と云うことになる。折角、大勝したのだから、同じことの繰り返しで、公共事業バラマキが財政出動では、夢がなさ過ぎた。首都機能の分散等と云うような、見たこともないビジョンで、国民の心に刺激を与えられなかった点は、政権がタナボタだった所為なのだろう。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK144掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。