http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/575.html
Tweet |
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/03/post-84bd.html
2013年3月 2日 神州の泉
安倍内閣が日米首脳会談後に急速にTPP参加へのシグナルを発信していることは非常に危険である。安倍首相は日米首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」として、TPP交渉参加の判断やその時期を、みずからに一任するよう求めた。
役員会のあとの記者会見で石破幹事長は、「安倍総理大臣には党内の意見は伝えており、それを踏まえた発言だと思う。安倍総理大臣は、現場の不安に最大限配慮し、今後の党内の議論を聞いて判断するということなので、仮に交渉に参加した場合でも、いろいろな声を反映させてほしい。交渉参加に向けて党の総務会の了承などの手続きは必要ない」と述べた。
石破幹事長は二つの看過できないことをさりげなく言っている。一つは「仮に交渉に参加した場合でも、いろいろな声を反映させてほしい。」と言っているが、これはおかしい。正式にTPPの中身の開示を米国政府から日本政府に通達していない状況がある中で、いろいろな声を反映させるという言い方は、まったく筋が通っていない。今、ネットや週刊誌、あるいは本などで、TPPの内容がいろいろと取り沙汰されているが、これらの情報は政府のソースではなく民間の有志たちがいろいろな方法で入手した断片を寄せ集めたものであり、われわれはかろうじて、その断片の集積によってTPPの正体に迫ることができている。
だが、本来は政府が先行的に全体像をつかんでいて、関係機関や国民に通達し、TPPが何であるのか、それに参加した場合のメリット、デメリットをしっかりと評価して対応を検討するという手順があると思う。国民がTPPに対して一番知りたい事柄は、リスク・アセスメントなのである。しかし、政府やメディアの姿勢は一貫して、詳細を明らかにしないことであり、民間が調べた様々な質問、とくに参加した場合のジャンル別のリスクに対し、言葉を右顧左眄してごまかしてばかりいる。とにかく、内容を率先して知らせず、いきなり「参加か否か」という、出口論に近い雰囲気が醸成されていることは危ないとしか言いようがない。
石破幹事長の語った中で、もう一つ看過できないことは、「交渉参加に向けて党の総務会の了承などの手続きは必要ない」と断言していることである。これはTPPが内包する諸問題を議論せずに、いきなりトップの判断に委ねるということであり、まったく民主的な手続きを無視している。党内論議をスルーするということは、もし論議に上げたら、誰がどう考えても『やばいから参加はあり得ない』という結論が見えているからである。自民党が公約していたTPP判断基準の下記6項目は、正式に論議すると参加に動くという選択肢がないことを示している。
(1)政府が「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
安倍首相は(1)の「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」として、TPP交渉参加の判断やその時期をみずからに一任するよう求めたが、あまりにも論理の飛躍がある。要は、(1)に対し米国が玉虫色の曖昧な返事をしたために、後の(2)〜(6)までの5項目も、日本側の主体的な交渉がいかにも可能であるかのようなイメージを持たせているが、それを確信させる米国の言質をまったく取っていない。
さて、石破幹事長の「交渉参加に向けて党の総務会の了承などの手続きは必要ない」という発言を念頭に置いて、2004年に郵政民営化の大枠が決められた時のことを思い出すと、自民党は郵政民営化でも今回のTPP論議と全く同じ過程をたどっていることが分かる。2004年9月、当時の小泉純一郎首相は、郵政公社の民営化に向けて2年半後の2007年4月に「四分社化」するという大枠を定めたが、当時は自民党も総務省も郵政公社もこの案に反対していた。この当時、経済財政諮問会議と首相主導の決定過程に対して、自民党は大きな不満を抱いていた。
通常は閣議決定の前には、自民党の政調会や総務会で法案審査の手続きがなされるが、郵政民営化の時は、この与党審査手続きが省略された。2004年当時は四分社化案はほとんどの自民党員に懐疑的にとらえられていた。同年10月15日、自民党合同部会において、政府案への反対論が続出した。結局、政調会長や座長を除き、一般議員の席には民営化賛成論者が一人もいなかったそうである。
この当時の自民党議員がほとんど反対だった郵政民営化が、いつの間にか騒がれもせずに結果的に賛成に覆されてしまっていた。おそらく外部(米国の対日謀略部隊)から相当に強い圧力があったはずである。推測で言うしかないが、当時はUSTR(米国通商代表部)、ACCJ(在日米国商工会議所)、米国大使館辺りから強い圧力をかけられていたと思う。驚くべきことだが、2004年当初、ほとんどの自民党員は郵政民営化に反対だった。それが2005年の年明け早々にはほとんどの党員が賛成派に変貌していた。これは外見的には小泉首相の強権発動によるものと見えたが、彼に強権を付与した者こそが米国であった。
今回のTPPでも郵政民営化と全く同じ推移で動いているように見える。昨年から自民党員の6割がTPP反対なのであるが、これがほとんど賛成に覆る可能性は非常に高い。石破茂幹事長と言えば、今、CSISに最も近しい関係にある。その石破氏が党総務会の手続きは必要なしと断言していることは、裏でCSISから、上記判断基準の6項目はけっして党内議論してはならないというお達しがあったとみて間違いない。
小林興起議員は党内の趨勢的な意見がいとも簡単にひっくり返されるこのシステムは郵政民営化で顕著に出たが、彼はこれを「裏切りのシステム」と名づけている。これは野田佳彦前首相の消費税増税にもはっきりと見られた。安倍首相はこの「裏切りのシステム」を発動させるだろう。党が安倍総理に一任するということが、どれほど恐ろしいものであるか、郵政民営化を想い出すとよく分かる。
国民はTPPが壊国条約であることを自覚して徹底的に反対する必要がある。そうしなければ安倍首相の一存で参加が決定されることになる。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK144掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。