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2013/3/1 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
自画自賛の「市場の反応」は危険なバクチ相場を誘発し「インフレ2%のデフレ克服」も到底ムリのイカサマ政治
アベノミクスの行方がもう怪しくなってきた。
イタリアの選挙結果で円高がガーンと進み、日経平均株価は暴落、その後、反騰というジェットコースター相場である。当初は平均株価1万1500円を突き抜ければ、一気に1万5000円、いや、1万8000円なんて、大甘見通しが飛び交っていたが、今や、「1万1500〜1万2000円がやっぱり壁」なんていわれている。
アベノミクスのいい加減さというか、脆弱さが浮き彫りになったのだが、加えて、クローズアップされてきたのが円安による物価高だ。
農水省は先月27日、国が買い上げる輸入小麦の売り出し価格を4月から約10%上げることを発表した。財務省が発表した品目別貿易統計を見ても、ポテトなどの冷凍食品、家畜用のとうもろこしなどが昨年10月から10%も値上がりしている。ガソリン価格も12週連続上昇していて、今月10日過ぎにはリッター=160円(レギュラー)になる。
庶民に言わせれば、「なんだこりゃ?」じゃないか。アベノミクスで世の中、バラ色のような幻想を振りまいているが、ちょっとした欧米情勢で株高はヘタってしまう。その一方で、輸入価格=生活必需品だけは確実にどんどん、値上がりが続いているのである。「冗談じゃないよ」だが、これがアベノミクスの正体だ。
もともと恩恵なんて、一部の資産家だけが潤う株高、不動産高だけ。これだってバブルだ。実体経済の成長はまったく出てきていないし、ハッキリ言えば、インチキ、デマの類いじゃないか。それが露呈し始めたのである。
◆3本の矢は全部竹光以下が真相
実際、アベノミクスの3本の矢は次々に竹光ならぬ木の棒だったことがバレている。
1本目の矢は財政出動で、13・1兆円もの補正を組んだ。しかし、その中身たるや、まったく意味のないバラマキだった。
「防災を錦の御旗に、必要性の乏しい道路に巨額予算をつけたりしているものだから、ますます、人手、重機不足が顕著になっている。そのため、必要な事業が進まないだけでなく、予算はついているものの、実際には着工できない工事が山積している。額だけ積み上げたものの、まったく経済効果がない補正予算だったことが明確になってきました」(ジャーナリスト・横田一氏)
2本目の矢の「金融緩和による脱デフレ政策」もインチキだ。リフレ派の代表、黒田東彦日銀総裁と岩田規久男・副総裁のコンビで、日銀にさらなる緩和をのませ、2%の物価目標を達成させるとしているが、一橋大大学院教授の斉藤誠氏は朝日新聞でこう言った。
「2%の物価目標ですが、市場は中長期にも実現するとはまともに信じていません」
一刀両断なのである。
安倍首相は市場の反応に胸を張り、アベノミクスの「成果」を強調しているが、斉藤教授はにべもない。
「株高の要因の円安は政策効果とは言いがたい。すでに昨夏から全通貨ベースで円安は進んでいました。政権も自らの政策効果などといわず、自然体で臨めばいい」
勝手に自分の成果にするな、ということだ。アベノミクスがなくても円安は進んだ。安倍はその機に乗じて、口先で煽(あお)っただけだ。それがアベノミクスの正体で、だから、イタリアの政情不安ですぐに元に戻ってしまう。アベノミクスなんて、期待を煽るだけの大ボラだったのである。
◆物価目標なんて大嘘だと専門家は口を揃えている
日銀の金融緩和による2%物価目標が「絵に描いた餅」であることは他の専門家も口を揃えている。話題の書、「リフレはヤバい」の著者、慶大准教授の小幡績氏もこう言っている。
「日銀がどんなに頑張っても2%は無理です。日本で2%に近づいたのは1997年の1・76%と2008年の1・38%しかないし、そもそも、金融緩和で物価を上げるのは古い理論で、現在のグローバル経済では無理なのです。いくら、金融緩和して、お金をジャブジャブにしても、景気が良くなるという期待がなければ物価は上がらない。一方で中国などから安いモノがどんどん入ってくる。そんな状況で企業は価格を上げられますか。結局、あふれたお金は株や不動産などに向かうしかないのです」 埼玉大教授の相沢幸悦氏(経済学)もこう言った。
「日銀は黒田新総裁を迎えて、ETF(株価指数連動投資信託)やJリート(不動産投資信託)をバンバン買うのでしょう。資産買取基金を年間20兆〜30兆円まで積み増して買ってくると思います。そうやって物価目標の2%になるまでずっと買い続けるのでしょうが、達成は難しい。日銀がいくら金融緩和しても購買意欲が出てこなければ、物価は上がらないからです。景気が良くなって、賃金が上がればともかく、今のような輸入品だけが値上がりするような状況では家計はますます苦しくなる。デフレ脱却というが、輸入品高は増税を食らっているようなものです。ますます、消費が冷え込むところに、本当の消費増税がのしかかってくる。景気が良くなる要素はありません」
そうなのだ。肝心なのはアベノミクスで賃金が上がってくるかどうかなのだが、経団連の副会長で日本郵船会長の宮原耕治氏は日経ビジネスでこんなことを言っていた。
「アベノミクスで青空が見えてきました。しかし、足元はまだ凍ったままです。経営者も労働側も我慢して、この道を安全に乗り切って、次の成長に乗せていく。そのためによく話し合わなければいけません。(賃上げは)来年まで待とうよということです」
いやはや、正直に言ったものではないか。これが経営者の本音なのだ。まずは内部留保を蓄える。賃上げはそれから考える。そういうことだ。しかし、アベノミクスなんて、しょせんバブルなのだから、あっという間にしぼんでしまう。来年なんて、海のものとも山のものとも分からない。結局、庶民に恩恵はないわけだ。
◆ローソンの3%賃上げもカラクリがある
そんな中、産業競争力会議のメンバーであるローソンの新浪剛史社長が消費意欲の高い世代(20代後半〜40代)の年収を平均3%上げると発表して話題になった。物価目標が2%だから、その上を行く3%。その分、購買意欲が増えるだろうということだが、これだって、カラクリがある。
「賃上げの対象は約3300人の正社員だけなのです。ローソンには18万5000人の非正規社員がいるが、彼らは賃上げの対象外。本当に消費者意欲向上に結び付けたいのであれば、非正規社員の賃上げこそが必要なのに、そこに目をつむっているのです。意地悪な見方をすれば、正社員の給料を上げる分のしわ寄せがどこにいくのか。非正規社員の労働条件の悪化につながらないか。だとすれば、3%の賃上げも逆効果ということになります」(経済ジャーナリスト・前屋毅氏)
これじゃあ、何のためのアベノミクスなのか、ということになる。輸入物価だけが高騰し、株屋だけが儲かる悪いインフレの典型例。そんなものを庶民はてんで望んじゃいないのだ。
「政府は月例経済報告で「景気は下げ止まっている」と宣言、甘利経済再生相は「消費者心理は改善しつつある。デフレ脱却の途上にある」と言った。ホンマかいなと思って資料を見たら、消費総合指数が昨年11月が0・2%増、12月が0・3%増。たったこれだけなのである。昨年12月の実質消費支出は0・7%のマイナスだった。これで「デフレ脱却の途上」とはよく言う。
それじゃあ、3本目の矢の成長戦略はというと、こんなもんがありゃ苦労しないのであって、それを6月までに出すというところでインチキなのが分かる。参院選前の打ち上げ花火なのである。
やっぱり、一度政権をブン投げた首相がカムバックしたところで、急に賢くなるわけがない。いまの安倍バブルは手品みたいなものだ。それに騙(だま)される庶民は本当にお人よしだし、景気回復=賃上げなどを夢見ていたらバカを見る。
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