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2013/3/1 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
施政方針「家計に還元」は大ウソ
きのう(28日)、再登板後初の施政方針演説を行った安倍首相。経済再生で「家計に還元」なんてブチ上げたが、デタラメを言うのもいい加減にしろだ。企業はベアどころか定昇さえ渋っているし、値上げラッシュと大増税の“アベノミクス不況”で、庶民の家計は火の車だ。
安倍の演説には、野党からも「国民の関心事は灯油や小麦粉などの物価上昇への対応策だ。こうした不安への答えがない」の声が上がったが、実際、円安による輸入価格の高騰は深刻だ。
ガソリン価格は12週連続で上昇し、1リットル=156円。電力10社は4月の電気料金を標準家庭で最大131円引き上げる。ガス代も最大104円の値上げだ。
4月からは輸入小麦も平均9・7%アップ。ほかにも、トイレットペーパーが15%、レジ袋や食品の包装は6%前後、鉄鋼も5%増と、あらゆるモノの値段が上がる見通しだ。
しかし、これで驚いてはいけない。
第一生命経済研究所の主席エコノミスト・永濱利廣氏によると、「円安を原因とした値上げは、まだ全体の4分の1程度。ガソリン代は原油価格の高騰、電気代は原発事故による影響が大きく、本格的な物価の上昇は秋以降になる」というのだ。
実際、1割も値上げする小麦でさえ、直近6カ月間の平均為替レート、1ドル=84円で算定されている。それでも「穀物価格上昇の影響だけで、家計へのダメージは年間1500円に上る」(永濱氏)という。まだ、ホンの序章に過ぎないのだ。
それもこれも、安倍が消費者物価2%の上昇を掲げ、円安に突き進んでいるせいだが、2%もインフレになったら、家計への負担はどうなるのか。参考にすべきデータがある。
◆2%のインフレが家庭を直撃したら…
「08年秋のリーマン・ショック前も、投機マネーの流入で原油や穀物の国際価格が高騰し、国内のガソリンや食品価格が値上がりしました。08年夏にガソリン価格は185円を付けましたが、このときの月間の物価上昇率が2%でした。当時、日本総研がはじいた家計への影響は、勤労者世帯の平均で月7619円の負担増。年間にして9万円超です」(経済ジャーナリスト)
背景が違うとはいえ、これはショッキングな数字だ。そこに、1月にスタートした復興増税や毎年の年金保険料アップ、消費増税が加わってくるのである。
年収600万円世帯では、これらの増税メニューだけで40万円近い負担増になるという指摘もある。物価上昇による負担増と合わせると、実に年間50万円! 家計はもう持たない。
8月からの生活保護費カットに加え、TPPへの参加で「皆保険」制度崩壊も危惧されている。
円安、株高で浮かれているのは大企業や金持ちだけ。庶民には地獄しか待っていないのである。
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