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NOと言えない日本の首相・・・安倍首相が早い段階でのTPP交渉参加を表明 (政経徒然草) 
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/552.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 3 月 01 日 11:15:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://haru55.blogspot.jp/2013/03/notpp.html
2013年3月1日 政経徒然草


安倍総理の「なるべく早い段階」というのは、いつのことなのかはわからないが、どちらにしてもアメリカの要望に沿い、早期にTPP交渉に参加したいと思っているようだ。

しかし、おそらく事前協議には、1回参加できる程度で、日本の要望は、ほとんど受け入れられないと考えた方が間違いないだろう。TPPは外交交渉であり、各国が自国に有利な条約になるように交渉するわけで、自国に不利(日本に有利)な条件を、わざわざ提示するとは考えにくい。

どちらにしても、すべからずアメリカの言うとおりに進めるという「NOと言えない日本」の典型的な事例である。安倍内閣に本気で条件闘争する気があるのかも疑われる状況だ。

今回の訪米で感じられたことは、思った以上に米国の態度が冷ややかだということだ。やはり米国にとっての最大関心国は中国だということだろう。

そう考えると、今後の日米関係がどうなるかは、おおよそ想像がつきそうだ。

日本にとって外交の基軸になるのは日米関係だ。米国にとって外交の基軸になるのは米中関係だ。米国にとって日本は中国との外交交渉の為の駒でしかないということだろう。

TPPに関しても、医療、保険、金融、農業などを除けば、そんなにアメリカにメリットがあるわけではない。自動車に関しても、日本国内の自動車販売台数の減少傾向が続く中では、そんなに期待できるわけではない。今や少子高齢化、国民の可処分所得の減少が進む日本は、将来性がある市場ではなくなりつつある。

同じように、日本にとってもTPPのメリットは、ほとんどないと言っても過言ではないだろう。

現状でも、貿易収支は赤字だ。TPPで関税が自由化されれば、更に輸入が増え、貿易赤字が増える可能性が高い。それ以上に輸出が増えればいいが、日本の貿易構造の変化、でそれも余り期待できそうにない。

いくら農産物の輸出を増やしても金額ベースでは微々たるものだろう。ましてや原発事故によるマイナスイメージは、そんなに簡単にぬぐい去られるものでもないだろう。

TPP=日本の国力を低下させる条約
と考えた方がいい。

いつも書いているように、日本の課題は、行き着くところ人口問題に突き当たる。
少子高齢化、人口減少、晩婚化、結婚しない人の増加、離婚の増加など課題は山積している。

政治家や官僚、評論家は問題の対処法として環境の整備を口にするが実は、これ以前の問題の方が大きいことは余り取り上げない。

「結婚したいと思わない。 子供を産みたいと思わない。 子供は一人で十分だ。」などと考える人が増加したことが問題なのだと思う。そしてこれは個々の気持ちや考え方の問題であり、環境が整備されたからといってすぐに変わるようなものではない。

勿論、経済的な理由も大きいが、それは雇用の問題であり、まずは国民が「結婚生活はいいものだ。」「家族とはいいものだ。」「子供は多い方がいい。」などと思えることが重要ではないだろうか。

その上で環境整備が必要なものは、進めていく。というのが順序だろう。
時間がかかることはわかりきっているが、この部分をないがしろにして、日本の将来を考えることはできない。

残念ながら、現状の日本は、道徳観や倫理観が欠如している人が増えているように思えてならない。

活力のある日本をどのようにして作るのか。それは個々の国民が前向きになり活力ある生活を送ることであり、それの根本は家庭にあると思う。

安倍首相は「強い日本」を造りたいようだが、その根本は国民生活にあることを理解しているのだろうか。

威勢のいい言葉ばかり安倍首相の口から聞こえてくるが、それとは裏腹に顔色が優れないのはなぜなのだろう。心の中に闇を抱かえているのでは・・・。とつい勘ぐりたくなるのは私だけであろうか。

 

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コメント
 
01. 2013年3月01日 11:40:32 : xEBOc6ttRg
【第218回】 2013年3月1日 岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
得をするのは弁護士と消費者団体だけ?
日本版集団訴訟制度の法制化への懸念

 米国の集団訴訟(クラスアクション)と似た制度を日本に導入し、日本でも同一案件で多数の消費者が被害を受けた場合の被害回復を可能としようという動きがあります。消費者庁はそのための法律案を来月下旬に国会に提出しようとしていますが、この法律案には問題が多いのではないでしょうか。

米国とは大きく異なる
制度の概要

 もちろん消費者庁が導入しようとしている制度は、米国のものとはだいぶ異なります。米国の集団訴訟制度は、1人または数名の者が、共通の被害を受けた一定範囲の人たち(クラス)を代表してその全員のために原告として訴訟を起こせる仕組みとなっています。

 これに対して、消費者庁が日本で導入しようとしている制度は、法案の詳細は明らかになっていませんが、これまで検討されてきた“集団的消費者被害回復に係る訴訟制度”がベースとなっているなら、以下の二段階型の訴訟制度となります(集団的消費者被害回復に係る訴訟制度案の概要)。

@ 共通義務確認訴訟

(国から認定された)消費者団体が、企業が多数の消費者に及ぼした被害を回復させる(金銭を支払う)義務を負うことを確認する

A 個別の消費者の債権確定手続き

 企業が被害回復の義務を負うことが確認されたら、その旨を消費者に広く通知・公告し、それに応じて申し出た被害者の授権に基づいて消費者団体が裁判所で債権(企業の金銭支払い義務)を確定させる

 消費者庁の説明では、個々の消費者が訴訟で被害回復を図るのは困難である一方、新たな制度は米国の集団訴訟制度の問題点(被害者なら誰でも訴訟でき、対象となる問題も限定されていないなど)も踏まえており、米国のように訴訟が濫発される可能性はないとなっていますが、本当にこうした制度を日本で導入するのが望ましいのでしょうか。

集団訴訟制度導入による
「2つの問題点」とは

 私は、この制度には2つの問題点があるのではないかと思っています。

 1つは、そもそも集団訴訟制度を日本に導入する必要があるのかという点です。消費者を悪質な企業から守り、消費者が受けた被害を回復することはもちろん不可欠です。

 その一方で、米国での経験から明らかなように、集団訴訟制度の下では不当な和解を狙った濫訴や過大な損害賠償のリスクが生じるので、企業活動がリスク回避的となって萎縮しかねません。かつ、企業の側にとっては、情報収集、訴訟対応、保険利用の増加などコストアップの要因になり得ます。

 即ち、経済全体の観点からは、この制度は企業のイノベーションを阻害し、デフレを促進する可能性があるのです。実際、米国のある製薬企業がある年に支出した訴訟関連費用は1900万ドルと、その会社の研究開発費1700万ドルを上回っていたそうです。

 そうした事実を考えると、この集団訴訟制度は、安倍政権が目指すデフレ脱却、イノベーション促進、企業の投資促進といった大方針の政策目的とは正反対の政策と言えます。

 かつ、かつ消費者の利益を守るという政策目的は、例えばADR(裁判外紛争解決手続き)の改善などによっても対応可能であることを考えると、特に今の政権の大方針の下では、集団訴訟制度の導入は他の手段では対応不可能であることが客観的に証明されない限り控えるべきであり、政府全体としてもっとよく検討してから法律案を国会に提出すべきではないでしょうか。

 もう1つの問題は、二段階という制度設計ゆえに生じる可能性のある濫訴、更には既得権益の発生のリスクです。

 @の段階では被害を受けた消費者から消費者団体への委任は不要となっています。また、消費者団体はAに参加した消費者から報酬と費用を受領でき、かつその算定基準も不明確です。つまり、悪く考えれば消費者団体が二段階の集団訴訟制度で儲けることができるのです。

 更に悪く考えれば、貸金業法改正によってタチの悪い弁護士が儲けようと過払い訴訟に群がった前例からも、消費者団体と連携して訴訟を起こして儲けようとする弁護士も増えるかもしれません。

 もし本当にそうなったら、ダメもとのあまり大規模でない(コストがかからない)訴訟が濫発される危険性が大きいのではないでしょうか。

 そもそも、集団訴訟で企業の負担が大きくなっても、それに関与した弁護士などの“仲介者”が一番儲かり、被害を受けた消費者が得るものはそう多くありません。例えば、米国でレンタルDVDショップ(ブロックバスター)がレンタルの延滞金を巡る集団訴訟を起こされたときは、訴訟コストが900万ドルかかったのに対して、集団訴訟に加わった消費者が得たものはDVD1本のフリーレンタルだけです。

 そうした現実も踏まえると、日本で導入を想定している二段階制度は消費者団体とそれに連なる弁護士に既得権益を発生させるのでは、と懸念せざるを得ません。

法案の国会提出まであと1ヵ月
官邸の政治主導への期待

 繰り返しになりますが、消費者保護は重要な政策です。そして、消費者庁もその政策目標の達成に向けてマジメに取り組んでいるはずです。それらの点について否定する気は毛頭ありません。

 しかし、部分を担当する官僚組織がその担当部分だけを考えて暴走してしまい、結果として政権の大目標にそぐわない制度が出来てしまっては、せっかくデフレ脱却と経済再生に向けて上々の滑り出しをしている政権全体の足を引っ張りかねません。

 おそらく官邸は様々な案件で忙し過ぎて、この集団訴訟制度の法案の内容まで十分にフォローできていないのでしょう。しかし、法案の国会提出は3月下旬が予定されていますので、もうあまり時間がありません。官邸がこうした個別の政策でも正しい政治主導を発揮することを期待したいと思います。

 


消費増税前に値上げする

原田泳幸・日本マクドナルドホールディングス会長兼社長に聞く

2013年3月1日(金)  日野 なおみ

 政府は今年秋にも2014年4月からの消費増税を判断する。円安による調達コストの上昇にさらされる小売業はさらなる重荷を背負いかねない。原田泳幸・日本マクドナルドホールディングス会長兼社長は価格戦略の重要性を説く。
アベノミクス効果で円安・株高が進んでいます。

原田:株価は期待値で動きます。サイエンス(科学)ではなく、サイコロジー(心理学)。そして今の株高は明らかにサイコロジー、つまり期待値です。

 今後、経済成長の実態が伴わなければ、リバウンドが怖いでしょうね。今は何でもいいですから、実態ある成長を国民に見せなくてはなりません。例えばトヨタ自動車の業績を見ると、円安に転じた為替変動の恩恵だけではなく、トヨタ自体の業績が改善している。ああいった例を増やすべきでしょう。

アベノミクスの3本目の矢となる「成長戦略」では何が必要でしょう。


(写真:竹井俊晴、以下同)
原田:金融緩和と財政出動という最初の2本の矢は、カンフル剤だと思っています。公共投資に踏み切るといっていますが、これは、国が今までの経験の中で最も景気を刺激したという実績がある手法。ですから今回採用されたわけで、それを非難するつもりはありません。カンフル剤としての役目を果たせばいい。

 ですが、日本経済を根本的に治療するには、どんな成長を図るかという国家としてのビジョンが欠かせません。そこはまだ漠然としているように感じますね。

 例えば、1月に閣議決定された政府の2013年度の予算案では、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を中心とした研究推進費として、90億円が計上されました。ですが、たったの90億円ですよ。これではあまりに少なすぎやしませんか。

 日本マクドナルドのビジネス波及効果を考えると、うちは年間約5200億円の売上高があります。消費税が10%になれば、それだけで520億円の税金を払うことになる。それだけではありません。社員やクルーへの給与や、原材料費などを加味すると、日本経済に1千数百億規模の貢献をしているわけです。

 それにもかかわらず、成長の基軸とするiPS細胞の研究費に90億円とは、ケタが1つ少なくありませんかと言いたいですね。

 これはあくまでも一例です。日本国家とし、何を成長の軸に据え、何に投資するのか。成長戦略のフレームワークが全く伝わってきません。

 経営者が自社の強みや価値を考えるのと同じように、政府も日本国家のエクスクルーシブバリュー(唯一持つ価値)は何かと考えるべきでしょう。他国が真似できない日本独自の強みや価値は何か。

 それはやはり、付加価値の高い商品を作ることができる点にあるのではないでしょうか。農業、工業とも、品質や安全性に秀で、微細化技術も高い。これこそ、日本国民が持っている普遍的な強みでしょう。これを成長の軸に据えずにどうするというんでしょうか。

私に1兆円使わせてくれるなら…

 テレビ1つを見ても、これからは今までのようなテレビが売れる時代ではないと思っています。日本は、韓国のサムスングループが絶対に作れないテレビは何かを考えなければいけません。未来の家電はどうなるのか。今までとは全く違う形のはずです。

 モバイルやインターネット、コンテンツ、物流が融合した家電は何か。米アップルのiPadやiPhone以上の家電が生まれてくるはずです。そして、それは間違いなく日本にとってチャンスとなります。こういった分野を政治主導で成長させないといけません。

 かつて、通産省があった時代には、官民一体となってイノベーションを起こそうとするプロジェクトがたくさんありました。ですが今は、クルマならクルマ、家電は家電、物流は物流。それぞれがその枠内での成長を考えている。それではダメなんです。業界を串刺しして、どんな成長を望むのか考える必要があります。

「産業競争力会議」でも成長戦略が検討され、規制緩和について話し合われています。

原田:競争力会議に出ている民間企業の方々を批判するつもりはありません。ですが、本当に今は規制緩和の話ばかりが出ていますね。

 医薬品をインターネットで売っても構わないでしょう。やれば、と思いますよ。ですが、その規制緩和で日本がどんな風に成長するのか。どんな風に世界進出することができるのか。

 規制緩和によって世界進出を図ろうなどという考え方は甘いでしょう。それは経済成長を促すための、「one of them」でしかない。それよりも、新しいビジネスモデルを根底から作り直すことが重要なんです。

 成長戦略で求められるのは、イノベーションリーダーシップです。日本において今後、どんなイノベーションを起こしていくのか。その議論をしなければいけない。規制緩和の枠を超え、イノベーティブストラテジーを考えなければいけないんです。

 将来には、米アップルがクルマを製造するようになるかもしれません。米インターネット大手のグーグルや米マイクロソフトが自動車を作ったらどうなるのか。「スマートカー」が出てきたらどう対抗するのか。今までのレガシーエンジンを電気自動車に変えるだけで対抗できるわけがありません。イノベーションのリーダーシップを握らないと、国際競争力が付くわけがありません。

 「夢物語」と言われるところに、イノベーションは起こるんです。それを牽引し、イノベーションに投資をするのが国の役割でしょう。

 もし私に1兆円の国家予算を使わせてもらえるなら、イノベーションに対してバンバン投資しますよ。

「原材料高騰」だけを騒いでも仕方ない

具体的に、どういった分野に投資すべきだと思いますか。

原田:有限の金を高齢者に使うか若者に使うか。私ならば若者に使います。それが国家の成長戦略につながり、社会保障問題の解消になると思いますから。若者の高い失業率をそのまま放っておいて、高齢者にばかり金を投じて何が生まれると思いますか。金が循環せず、経済成長は見込めないでしょう。

 動ける高齢者は、働かせないとダメなんです。65歳で定年してはいけません。アンリミティッドにしないと。

 私の親父は96歳ですが、今もトラックに乗って仕事をしています。父の例は極端ですが、それでも今は国難なんです。国民が総力を挙げて働くべきでしょう。公園では早朝からラジオ体操をする高齢者がたくさんいます。みなさんとても元気です。であれば、働いてもらえばいいんです。

円安も進んでいます。原材料を海外からの輸入に頼る外食産業では、大きな影響があるようです。

原田:ただね、我が国の歴史を紐解くと、日本は昔からずっと貿易立国だったわけですよ。ですから輸入超過はやっぱりダメで、輸出超過であるべきです。今までは過度な円高がそれを止めてきましたから、適切な円安にして、輸出を活性化しなくてはなりません。

 「円安が行き過ぎると輸入コストが上がるから困る」という意見も、もちろんあるでしょう。我々のように、原材料を輸入して国内で消費される産業は大変ですよ。

 ですが、それ以外のビジネスでは打つ手がある。原料の輸入コストが上がっても、それに付加価値を付けて輸出するビジネスモデルを作ればいいわけです。これが軌道に乗れば、経済は循環してくるでしょう。

 そうなればインフレによって多少、食料品などが値上げされても、収入が増えますから、ダメージは大きくないはずです。それがマクロ経済ですから。そんな議論もせずに、「原材料高騰」だけを騒いでいても仕方がないでしょう。

輸入コストなどの高騰を受け、商品の値上げを検討する企業も増えています。

原田:「色々なコストが高騰しているから、商品価格を値上げしたい。だが消費増税前に値上げをすることはできない」。消費者と接する外食や小売りの分野では、こんな声を耳にします。

 同じような相談が、マクドナルドのフランチャイズのオーナーからも寄せられました。「原田さん、私たちはこれだけ手間隙かけて素晴らしいビッグマックを作っている。値上げしてもいいんじゃないですか」、と。

 そりゃ、値上げはしたいですよ。したいけれど、顧客満足度のスコアがもっと上がらなければ、(値上げは)することができない。そんな風に答えました。

外食産業には63兆円の潜在需要がある

 「値上げをすれば客足が減るのではないか」と懸念する声もあります。ですが、考えてみてください。日本の外食産業の市場規模は年間7.7兆円と言われています。対して、家庭で食べる内食は、食材費だけでも年間21兆円です。外食産業の原材料が売上高の3分の1とすると、「21兆円×3」で、内食が全て外食に置き換われば、63兆円に市場が膨らむ計算になる。つまり、外食産業には63兆円分の潜在需要があるわけです。それをどう喚起するか、ということでしょう。

 外食の回数を今までよりも増やしてもらう。それが必要だと考えたからこそ、我々は朝食のキャンペーンなどを始めているわけです。

円安のダメージを受けていないのでしょうか。

原田:我々は、3年先まで為替予約をしていますから。この目的は、為替損益で儲けることではありません。円安に振れた場合のリスクヘッジです。円高の時期に、先を見越してヘッジをしていますから、1ドル=90円台の円安では何も影響を受けません。

 ただし為替に関係なく、原材料の世界的な高騰の影響は逃れられません。だから我々は、サプライチェーンインフラの改革を進めて、毎年コスト低減を進めてきました。そこで吸収するように考えています。

 原油高も影響しますし、電気代の値上げも響く。これらは、省エネ性能の高い設備に変えたり、LEDを導入したりすることで吸収していく。ですから、これらは我々の業績全体を大きく揺さぶるほどの影響はありません。

 個人的には、円相場は(対ドルで)100円程度になるのが一番いいと思っています。輸出産業をはじめ、国全体が元気になりますから。給与が増え、消費が伸びれば、我々のような外食産業も活性化するはずです。来店客を増やすには、円相場は100円がベストでしょう。

2014年には消費増税が控えています。「原材料の輸入コストが高くなっているから、何とか持ち堪えて消費増税と同時に値上げをしよう」と考える経営者も多いようです。

原田: 消費増税と同時に値上げするのは、明らかに愚策でしょう。そもそも、消費税を理由に値上げをするから、消費が止まるんです。

 また消費が止まるから「増税反対」という経営者もいますが、これも暴論ですね。消費税を上げなかったら、日本の国はどうなるのか。誰が社会保障費を払うのでしょうか。

 重要なのは、消費税と関係のないところで値上げをすることなんです。

 ですから我々は、今、九州で試験的な値上げをしています。100円の商品を120円にして、うまくいったら消費増税の前に値上げをする。増税前に早く値上げをして、増税時には価格を一切変更しない。そうすれば消費者は安心しますから、消費意欲は衰えないでしょう。事前に値上げをして、消費増税分を吸収する。それくらいの知恵を使って、消費増税に備えるのが経営者の責任でしょう。

インフレに悩む社員はいない

 それも、商品が10ある中で、全部一律に数%ずつ値上げをするのは間違っています。ある商品は2%、別の商品は10%上げるけれども、ほかの商品は値下げをする。セットメニューは今以上にお得に感じられるようにする。


 実際に九州のテストでは、値下げしている商品もあるんです。フライドポテトやハッシュドポテト、マックナゲットは値下げしています。

 全商品を包括的に見て、満足度を高めながら値上げをする。これが価格戦略です。消費税が5%から8%になったので、一律3%値上げします、というのは愚策です。こんなことをすれば、消費は一気に止まりますよ。

 そもそも私が日本マクドナルドの経営を担うようになってから、1度も値下げをしたことがありません。このデフレの時代に、ですよ。それでも、客数は年間10億人から16億人に増えました。

 デフレの時代に、いかに価値を伝えて高単価でも売れるようにするか。経営者はそういうことを考えなくてはならないんです。税金や外的要因のせいにしてはいけない。

「2%の物価上昇」を見込み、賃上げを要求する声も上がっています。

原田:「インフレになるだろうから最初に給料を上げろ」という意見も出ていますが、信じられませんね。マクロ経済が循環し、企業が収益を得たから給与が上がる。これが常識的な流れでしょう。マクロ経済が回り始めてもいないのに、賃金だけ上げる理由はどこにもないんです。企業が破綻したら、賃金さえもらえなくなるわけですから。

 ただ、その点が説明不足になっているというのは事実です。安倍政権がしっかりと説明をすることが必要でしょうね。

日本マクドナルドでは今春、賃上げをしますか。

原田:我が社は成果主義です。自分でしっかり稼いで、自分でご褒美をもらうという考え方を取っている。それも顧客満足度や社員満足度も、ボーナスに反映させています。これは本当の意味で、成長のドライバーになると思っています。

 なぜなら成果主義は、労働者が春闘で勝ち取るものではなく、会社と社員が一緒にお客様からお金をもらって勝ち取るものだからです。ただ当然、業績が下がれば給料も下がりますが。

 巷では「2%の物価上昇に合わせて賃上げを」などと言われていますが、我が社はそれ以上に賃金が伸びています。ですからインフレで悩む社員はいませんね。


日野 なおみ(ひの・なおみ)

日経ビジネス記者。


徹底検証 アベノミクス

 日本経済の閉塞感を円安・株高が一変させた。世界の投資家や政府も久方ぶりに日本に熱い視線を注ぐ。安倍晋三首相の経済政策は日本をデフレから救い出す究極の秘策か、それとも期待を振りまくだけに終わるのか。識者へのインタビューなどから、アベノミクスの行方を探る。

[削除理由]:この投稿に対するコメントとしては場違い。別の投稿にコメントしてください。
02. 2013年3月01日 11:41:45 : xEBOc6ttRg
現役世代だけにしわ寄せを続ける年金制度をどこまで許すのか

2013年3月1日(金)  金野 索一

 今回は【年金】をテーマに社会保険労務士の北村庄吾氏(ブレインコンサルティングオフィス代表)と対談を行いました。対談の中で北村氏は、以前の民主党政権でのテーマであった「税と社会保障の一体改革」を自民党も継承すると考えています。社会保障制度の中でも最も注目を集める年金に関して、「世代間扶養」の仕組みを始め、過去2回にわたる年金の支給開始年齢引き上げによる実質的な給付の削減など、過去の年金改正は若者にしわ寄せを押し付けてきたと指摘しています。
 しかし一方で、アメリカやイギリスなどの先進諸外国は支給開始年齢を66歳以上に引き上げている国が多く、高齢化が進む日本(65歳に引き上げ途中)でも、いずれ年金の支給開始年齢を66歳以上に引き上げる必要があるのは容易に推測できます。
 また、現在の年金制度は、自営業者で40年間保険料を納めて満額の年金が支給され、サラリーマンは働き出してから最長70歳まで保険料を納めて、年金の支給を受けるという半世紀以上の長期にわたる制度という点にも着目しています。年金は老後の生活収入の85%程度を占める大きな収入源です。支給開始年齢が過去2回にわたり引き上げになったことは、財産権の侵害にあたるのではないかと語ります。
 最後に現在の年金制度の矛盾は戦争の道具としてはじまり、さらにこれを票獲得のための道具にしてきたのが最大の原因と語ります。半世紀以上にわたる年金制度はどうあるべきなのか。党派を超えて議論する必要があります。読者ご自身が主権者として今後の年金制度の在り方について選択いただければ幸いです。北村氏は、日本初となる中小企業の経営者と現役官僚と国会議員が三位一体となって「ヒト」の課題解決を行う場『官民産業研究会″人材オールジャパン″』を立ち上げました。人材オールジャパンとしての年金に関する意見をマトリクスに表しています。
北村庄吾
熊本県生まれ
1961年生まれ 中央大学卒業 。社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 。ブレイン((株)ブレインコンサルティングオフィス・総合事務所 Brain) 代表1991年に法律系国家資格者の総合事務所Brainを設立。ワンストップサービスの総合事務所として注目を集める。
平成5年から起業家の育成に力を入れ、第3次起業家ブームを作る。その活動はNHKテレビ等数多くのメディアで紹介された。
近年は、週刊ポスト誌上での「年金博士」を始め、年金・医療保険等の社会保険制度や名ばかり管理職・サービス残業等の問題に対して
鋭いメスを入れる「評論家」としてもテレビ・雑誌で活躍中。
また、実務家としても全国の社会保険労務士のネットワーク(PSR)を主宰。助成金や労務管理・人事制度のアドバイスを精力的に行っている。
金野:今日は年金博士であり社会保険労務士の北村庄吾氏にお話を伺います。政権も変わり、以前の民主党政権でのテーマであった「税と社会保障の一体改革」を自民党政権も継承すると思われますが、社会保障制度の中でも、最も注目を集める「年金」に関して、年金博士である北村さんならではのご意見を伺いたいと思います。まず、現状の年金制度の問題点からご指摘ください。

現状の問題点

北村:現在の年金制度は、「世代間扶養」の仕組みを取っています。簡単に言うと、現役世代が引退世代を支える仕組みです。また誤解が多いのが、「年金は、積み立て方式ではないか?」という疑問です。自分達が支払っている、国民年金保険料や厚生年金保険料は、どこかに積み立てられているのではないのか?という誤解です。

金野:年金積立金というものがありますよね。これは積み立てているのではないんですか?

北村:年金積立金は、バブル時代に余ったお金なんですね。保険料を徴収し、その年のおじいさん・おばあさんの年金に充てる仕組み、これを「賦課方式」というんです。支払額が少ないと、当然余りますよね。これが、積立金という形で残っているということです。

 しかも、その額が、膨大で100兆円を超す金額になってきました。当時の厚生省は、積立金の運用で、年金の支払いの半分近くを賄えると思っていたふしもあります。

金野:年金積立金の運用損失の話なども、マスコミを騒がせた時期がありましたね。

北村:最近は改善されていますが、確かに、運用損を、何兆円と出した時期もありました。その後、年金積立金を取り崩して、保険料のアップを抑えようということになり、積立金は徐々に取り崩すことになっています。つまり、積み立て方式ではないということです。

金野:なるほど、積立金は、余ったお金だったんですね。一時、マスコミが、グリーンピアなどの施設の問題も指摘してましたね。また、社会保険庁の無駄遣いも……。

北村:そうですね。で、現状の問題点に関して、整理をしましょう。
 まず、「世代間扶養の仕組み自体が成り立たなくなっている」ということです。世代間扶養の仕組みでは、現役世代の人数と、引退世代の人数の割合が問題になります。

 引退した人が、月20万の年金が欲しいと仮定すると、10人の現役世代で支えれば、1人2万円で済みます。厚生年金の場合は、会社と折半なので、1万円ということになりますね。しかし、急速な高齢化により、この仕組みが成り立たなくなっているのです。将来的には、1.3人で1人を支える時代になります。これは、小学生が考えても、成り立たないということは分かってもらえそうですね。


金野:高齢化と少子化が影響しているということですね。このことは、だれも把握していなかったのでしょうか?

 確か、平成16年の年金改正で100年安心の仕組みを作ったのでは?

北村:100年安心の年金システムは、2〜3年後に崩壊しました。消えた年金記録問題が出てきたんです。平成に入ってからの年金改正は、改悪の歴史です。60歳から支給されていた、サラリーマンの人が受け取る厚生年金を、平成6年と12年の2回の年金改正により、男性では昭和36年4月2日、女性では昭和41年4月2日以後に生まれた人から65歳に支給開始年齢が引き上げられました。これでも、結果的には、財政がもたないということなんですね。


年金制度はどうあるべきなのか

金野:問題点と現状は分かりました。ところで、北村さん的には、年金制度はどうあるべきと考えていますか。

北村:金野さん、この数字を見てください。毎年、総務省が発表している、60歳以上の高齢無職世帯の家計調査です。月額26万〜28万円という金額がこの10年近く出ています。

 高齢になれば、仕事ができなくなる。唯一の収入源は、年金なんですね。年金制度を充実させることが、ひいては、経済もよくすると考えますが、いかがでしょう


出典:平成23年度総務省家計調査
金野:確かに、お年寄りの方が持っている金融資産が1000兆円を超えているといわれていますよね。これを消費に回すことが、経済の活性化につながる、という識者も多くいます。しかし、財政状況は、年金制度の充実までは許さない状況が続いているのではないでしょうか?

北村:現状は厳しいでしょう。しかし、今までの年金改正は、若い人に、ツケを押し付けてきているんですね。

 年金の支給開始年齢の引き上げは、若い世代に負担を強いるだけです。今、考えられているのは、さらなる、年金の支給開始年齢の引き上げです。67歳、68歳、70歳という意見もあります。ここで大事なことは、年金制度は半世紀以上の長期にわたる制度という点なんです。65歳から受けられるはずの年金が、50歳になった時点で70歳支給開始に変更になりました。これでは、ライフプランが立てられませんよね。極論すれば、財産権の侵害にもあたるのではないでしょうか?

金野:諸外国も年金の支給開始年齢を引き上げているという話もありますね。ほかに、何か打つ手はあるのでしょうか。

北村:先進国の中でも、高齢化の問題で、年金の支給開始年齢の引き上げに着手している国も多く出てきました。アメリカでは2027年までに67歳支給開始年齢となっています。諸外国はかなりの時間をかけて高齢化に向けての対策を講じているとことがわかります。


出典:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/pdf/shogaikoku-hikaku.pdf
 重要なポイントは、現在年金をもらっている人の年金には手をつけていないということです。現在年金を受給している方の中には、月30万円程度を受け取る方もいらっしゃいます。夫婦で60万という方も。現役世代の手取りよりも多いというのはいかがなものなのか。年金受給者も少しは泣いていただかないと、若い世代だけに負担を強いるのはどうか、と考えるんですね。

金野:それは、今までは手をつけてこなかったわけですか?

北村:そうですね。平成16年改正で、マクロ経済スライド制といった、仕組みは導入しています。これは、現役世代の被保険者数と引退世代の平均寿命の延びを数値化して、物価や賃金の上昇分から差し引いた形で年金額を決定するという、国民にとっては非常に分かりづらい改正です。この内容は、国民には理解できない仕組みです。年金の実質価値が落ちていくということですね。

 厚生労働省の試算では、平均−0.9%です。物価が1%上昇しても、年金は0.1%しか上昇しないということです。10年続けると、9%年金の価値が落ちます。現役男子の手取りの50%水準まで落ちたところで、歯止めはかかっています。

年金を政治の道具に使ってはいけない

金野:今聞いた範囲でも分かりづらいですね。では、いつたい、今後どうすればいいんでしょうか。

北村:年金制度は、戦争の道具として始まり、さらに、それを政治の道具に使ってきました。これが、一番の問題点です。半世紀以上の仕組みを、ころころ変更すれば、リタイアメントプランもできません。そもそも、年金制度は、どうあるべきなのか、根本的な議論が全くないんですね。

 さらに、低金利により、自分で老後資金をためる手段もほとんどなくなっています。

 高齢化社会は問題ではありますが、少子化の方が問題です。待機児童の問題も10年以上解決できていません。

 近未来的には、今の仕組みでは持たないと思います。したがって、みんなが我慢して、今の制度での年金制度に幕を引く必要があります。

 その上で、年金制度はどうあるべきなのか。党派を超えて議論する必要があります。現実的には、今の10代以下の人たちには、積み立て方式で年金を再構築しながら、節税メリットがある商品を作って、自助努力できるようにする必要があるでしょう。年金崩壊のタイムリミットが過ぎている感じがします。


金野 索一(こんの・さくいち)

日本政策学校 代表理事
コロンビア大学国際公共政策大学院修士課程修了。
政策・政治家養成学校、起業家養成学校等の経営、ベンチャーキャピタル会社、教育関連会社、コンサルティング会社等の取締役、公共政策シンクタンク研究員を歴任。
このほか、「公益財団法人東京コミュニティ財団」評議員など。
《主な著作物》
・『ネットビジネス勝者の条件ーNYシリコンアレーと東京ビットバレーに学ぶ』(単著:ダイヤモンド社)
・『Eコミュニティが変える日本の未来〜地域活性化とNPO』(共著:NTT出版)
・『普通の君でも起業できる』(共著:ダイヤモンド社)


13の論点

2012年の日本において国民的議論となっている13の政策テーマを抽出し、そのテーマごとに、ステレオタイプの既成常識にこだわらず、客観的なデータ・事実に基づきロジカルな持論を唱えている専門家と対談していきます。政策本位の議論を提起するために、1つのテーマごとに日本全体の議論が俯瞰できるよう、対談者の論以外に主要政党や主な有識者の論もマトリックス表に明示します。さらに、読者向けの政策質問シートを用意し、読者自身が持論を整理・明確化し、日本の選択を進められるものとしています。

【第2回】 2013年3月1日 齊藤義明 [野村総合研究所・2030年研究室室長]
既存モデルの常識を疑う――「涙を減らす保険」が示す保険業界の価値創造イノベーション
保険会社には「価値創造の瞬間」が感じられない

 本当は、保険金を受け取ってうれしい人はいない。保険金を受け取るということは「病気をした」「事故が起きた」など何らかの悲しい出来事が身の回りに起きているからだ。アニコムの小森伸昭社長は、事故や病気を予防することを「涙を減らす」こととし、その「涙を減らす」ことを新たな保険会社のミッションに掲げた。この企業コンセプトの背景には、従来の保険業の付加価値創出に対する強い問題意識があった。

 保険の基本機能は、リスクに対する相互扶助にあるといわれる。つまり加入者全体で悲しみに出合った人に対する補償を支える。これはこれで大事な機能だ。だが保険があっても病気や事故などの社会のリスクそのものは増えもしないし減りもしない、すなわち保険はリスクに対して中立的なものと考えられてきた。

 だがはたしてそれでいいのだろうか、と小森社長は思った。保険会社には、たとえば鉄鉱石が高級車に変わるようなダイナミズムや価値創出の瞬間が感じられない。あの保険に入ったから、 「健康になった」「キレイになった」「女の子にモテた」などという話も聞かない。本当は、保険によってガンが減ったとか、事故が減ったとか、社会目標に能動的に貢献すべきではないか。保険会社は事故の類型化と分析をやっているのだから、二度と同じ轍を踏まないように社会に情報を提供することで、リスク自体を減らすことができるはずだ。事故が減少した方が、保険の利回りも良くなるはずだ。

飼い主の「涙を減らす」ペット保険

 これを実現する第一歩として、小森社長は、ペットという保険分野を選び、そこで動物の疾病に関するビッグデータを分析し、契約者へOne to Oneで情報提供するという予防型保険サービスに挑戦している。

 ペット分野を選んだのは、人間ほど、プライバシーを気にすることなく大量のデータが収集できるためでもある。何を食べているか、体重はどのくらいか、どんな血統か、どんな病歴があるか、どんな性格か、動物のこうした情報とアニコムのペット保険の年間200万件におよぶ保険金支払いデータをうまく活かせれば、予防型のアクティブな保険サービスができる。

 たとえば犬の種類や年齢などから、かかりやすい病気、起こしやすい事故などが見えてくるので、メールや電話で契約者にお伝えする。犬にも人間と同じようにジェラシー、甘えなどの心理があるので、そのペットの性格や心理も踏まえて会話する。たとえば、気性の荒い犬種で注意が必要なときには、「男気があるから注意して下さいね」というように伝える。契約者からは「ペットとの絆が深まった」といった声も寄せられている。

 アニコムでは収集したデータを分析して、日本で初めてペットの疾病に関する統計である「家庭どうぶつ白書」を作成し、年一回刊行している。アニコムの分析によると、この数十年でペットの寿命は格段に延びているという。猫だと20年、小型犬だと15年というのも珍しくない。

 昔は外飼いが多く、味噌汁をかけたご飯を食べ、蚊に刺されることも多かったが、今は家の中で飼うのが一般的で、快適な室温下での生活、総合栄養食、予防接種などによって、ペットは長生きするようになったのだ。他方で、人間と同じように、認知症、糖尿病、ガン、アトピーなどが増加しており、しかも人より早いスピードで進行するのだという。

方言ありのコールセンター

 顧客とOne to Oneのコミュニケーションをとるアニコムのコールセンターでは、顧客が喜ぶ限り、社員に「長電話」をさせている。相手がOKだったら「方言」も使っていい。つまり、表面的な表現はどうであってもよく、それよりも「ラポール」(相互信頼の意)「優しさ」「自分の言葉で話すこと」など、コミュニケーションの本質を大事にしているのだ。

 なぜこんな方針をとっているのだろう。実は小森社長は学生から社会人になったとき、法人と個人との距離感がわからなかったのだという。

 個性を消して、能面をかぶって生きているような大企業の社員。繰り返し反復することが是で、変化を好まない考え方。金融機関の40代や50代はみな同じように見えた。

 組織には「法人が親」という感覚が支配していたが、法人はもともと自然人が作った子どもじゃないか。もっと個人や個性が出たままで組織を作れないだろうか。個人が出るようにした方が、結果としてお客様との揉め事も少なくなり、コストも下がるんじゃないか――そんな考えを小森社長はずっと持っていたのだ。

 アニコムの人材は生き生きと仕事をしているように見える。小森社長は最初「金融」という枠組みで採用活動をしてみたのだが、あまり良い人材が集まらなかったそうだ。「金融志望の上位者はアニコムなんて小さな保険会社を選ばないですから」と小森社長は語る。

 次に「ベンチャー」という枠組みで採用活動をしてみたら、一攫千金を狙うような人材が多く、これもちょっと違うなと感じた。

 そこでさいごに、「動物好き集まれ」とやってみたらとても良い人材が採用できた。今や供給過剰で独立が難しくなっている獣医師や動物に関する仕事をしてみたいという良質な人材の受け皿となったのだ。そして動物好きな人材だからこそ、ペットについて顧客と親密なコミュニケーションがとれるのである。

飲み屋で盛り上がれる保険証

 アニコムの「どうぶつ健康保険証」は、人間の健康保険証と同じようにカードになっていて、ペットの顔写真が載っているユニークなものだ。ペットのID(身分証明書)みたいな感じだ。

 保険に入ったから異性にモテるとまではいかないが、アニコムのどうぶつ健康保険証はたとえば飲み屋で会話のきっかけを提供する効果がある。どうぶつ健康保険証に掲載するペットの写真は、好みのものをウェブサイトから自由に登録できるようになっている。

 もっとも、小森社長がカード型保険証を採用したのは、異性にモテる保険にするためではなく別の理由があった。

 保険商品の流通コストというのは、訪問営業の説明コストなどのために高くなっているのが現状だ。もしこの流通コストを下げることができれば、その分保険金支払いを充実したり、保険料を安くしたりできるはずだ。保険証券や約款は細かな字でたくさん書いてあるが、内容がユーザーにわかりやすく伝わっているとはけっして言えない。本当の意味で説明責任を果たしていないのだ。

 小森社長は大学時代のある授業を思い出した。どんな複雑な化学式でも、自分の表情やしぐさを使って身体で説明する先生がいた。たとえばベンゼン管の化学式なら、何にでもつながりやすい構造を持っていることを、両手両足を広げ懸命に表現していた。

 本当にすごい先生は難しいことをわかりやすく面白く伝えることができる。保険も同じだと考えた。アニコムはペット保険に必要な情報をカード一枚の中に表現した。顧客はこのカードを見てすぐに「ああ、ペット保険なのね」とわかる。複雑な説明は要らない。これによって流通コストが下がった。

革新は、わざと「子ども」のふりをして現れる

 生物学の世界に「ネオテニー」という言葉がある。生殖能力を持つ成熟した個体であるのに、一部の身体的特徴だけが幼いままであることを指すもので、「幼形成熟」と訳される。小森社長はこれを「わざと子どものふりをする」と意訳して表現した。

 保険業界全体からみたら、ペット保険など保険の本流ではなく、可愛いものだといった感覚があるかもしれない。だが、小森社長が取り組んでいる、大量のデータ分析によって世の中の病気や事故の予防に貢献する新しい保険会社というビジョンは、はたしてペット保険だけに留まるものであろうか。

 たまたまペット保険からスタートした、今は子どものふりをしていると捉えることはできないだろうか。あの保険に入ったから怪我をしなくなった、健康になった、キレイになった、長生きするようになった――そんな保険が出現したら人は驚くだろう。

 リスク因子を減らし、涙を減らし、笑顔を支える保険。「涙を減らす保険」という小森社長のビジョンは、今後、ペット保険だけに留まらず広く保険業界の価値創造のありかたを変えていく可能性を秘めている。

[削除理由]:この投稿に対するコメントとしては場違い。別の投稿にコメントしてください。
03. 2013年3月01日 16:44:56 : 9qu0Jh3EEE
「特例・聖域は存在することを明らかにした、これで日本は安泰、安倍総理は有能で素晴らしい」

アホか
特例・聖域があるってことは、アメリカにとってもそうだってことだろうが
日本は「農産物の関税を守って自動車の関税を撤廃したい」のだろうが、そんなことが通ると本気で思ってるのか?
アメリカは逆に「農産物の関税を撤廃して自動車の関税を守りたい(日本でのアメリカ車の関税は既にゼロだし)」んだぞ。
それでなくともオバマの支持基盤はアメリカ自動車産業界なのに
何でその可能性をメディアはシカトする?
交渉次第?アホか
安全保障で多くをアメリカに負っている日本に強く出られるはずがないし、それでなくとも実際に交渉する人員がハナからアメリカ万歳のポチばかりじゃないか


04. 2013年3月01日 19:59:10 : ZuvBR3nj2c

 ISD本部を日本に置き、役員・職員を全員日本人にするならみとめてやろう。


05. 2013年3月02日 11:36:27 : cWIBtbognM
NOといったら消されます、だから売国しかない
日本に民主主義はない、いまだに植民地扱い


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