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日米首脳会談:シェールガス、対日輸出「前向き」燃料費抑制に期待
毎日新聞 2013年02月24日 東京朝刊
日米首脳会談で安倍晋三首相がオバマ大統領から天然ガスの一種である米国産シェールガスの対日輸出解禁に対し「同盟国日本の重要性は常に念頭に置いている」と前向きな言質を引き出したことで、エネルギー業界は「燃料費抑制に大きな前進」(電力会社幹部)と胸をなでおろしている。対日輸出は早ければ3月にも認められるとの観測があり、日本のエネルギー調達費の高騰に歯止めをかける効果が期待される。
シェールガスの大量生産が続く米国では、国内の天然ガス価格が100万BTU(英国熱量単位)当たり3ドル程度で、日本の液化天然ガス(LNG)輸入価格の約5分の1で取引されている。
日本政策投資銀行の試算では、米国産シェールガスの調達が実現し、現在の米国ガス価格が他国との契約にも好影響を及ぼした場合、2020年の日本のLNG調達価格は最大15・2%下がるという。原発の再稼働が遅れ、今後も火力発電用燃料としてLNG需要が増え続けることは確実なだけに、電気料金の抑制につながる期待がある。
日本企業は輸出の解禁を見越し、大阪ガスと中部電力、東京ガスと住友商事、三井物産と三菱商事の3連合が米国内のLNG基地などへの投資に乗り出している。米政府は国内ガス価格の上昇を避けるため、「輸出総量に上限を設定する可能性が高い」(業界関係者)とみられ、輸出枠に達するまでは「早い者勝ちになる」(ガス大手幹部)ためだ
以上毎日新聞記事からの引用
最近「シェール革命」についての新聞・テレビの報道がチラチラ見られるようになってきた。
「シェール革命」は単なるエネルギー問題に止まらず、アメリカだけでなく日本の政治経済にも多大な影響を与える可能性が出てきたことが背景にある。
1. シェールガス・シェールオイルは破綻寸前にあったアメリカ経済に革命的変化をもたらした。国際エネルギー機関(IEA)が歴史的な予測を発表。米国は17年までにサウジアラビア・ロシアを抜いて世界最大の産油国になり、20年代には原油まで自給自足できると云うのだ。勿論世界経済に与える影響は大きい。
2. シェール革命は産業のすそ野が広く、電力の卸売価格は08年に比べ半値になり電力多消費型のアルミや鉄鋼、ガラスをはじめ、全産業に恩恵を与えている。エタンを原料としたエチレンではダウ・ケミカルが世界最大のエチレン工場をフリーポート市に建設する。運輸費が圧縮され、家電・自動車まで米国回帰の動きを示す。現にゴールドラッシュの再現を想起される米国北部のバッケンでは人口急増による住宅不足・求人急増等、好景気に浮かれている。
3. 世界のエネルギー地図は大変貌を遂げる。シェールガスの低価格化は中東・ロシアにドミノ倒しのように影響を及ぼしている。余ったガスは欧州に向かい、欧州ではガスが余り始めている。
4. 日米首脳会談では安倍首相がシェールガスの対日輸出解禁を申し入れ、オバマ大統領は前向きの姿勢を示している。中部電力・大阪ガス・三井物産・三菱商事・住友商事・東京ガスはすでに権益確保に動いており、早ければ3月にも輸出許可が下りる可能性すらある。ロシアはLNGを日本に向けて売り込もうと懸命になっていることも報道のとうりだ。
5. 特に注目すべきは頁岩層(地下800メートル〜2Kメートル)からの採掘は殆ど不可能に近いと云われていたのが、高圧水で割れ目に特殊な砂を入れて抽出する「水圧破砕」の技術は何と中小企業によって1990年代に開発されたのだ。小規模のプラントは資材さえ集まれば3ケ月程度で立ち上がる。米国ではシェールガスの埋蔵量は200年分あると云われる。日本の対応は当面はシェールガス効果を利用して化石燃料のコスト低減を図るとともに、ガス火力発電の効率化・ガスコンバインドサイクルで発電設備の早急な合理化を進めるべきだ。このためにも発送電配電分離・地域独占の廃止等の電力改革を早急に進めなければならない。
6. シェール革命の恩恵を受けている間に、我が国はエネルギー自給の動きを加速させなければならない。メタンハイドレード・オーランチオキトリウム・バイオマス・地熱・その他自然エネルギーの開発が急務だ。米国で中小企業がシェール革命の発端を担ったように、日本でも産業界を総動員して開発すれば完全自給も夢ではない。
7. シェール革命は日本企業の直接的需要を喚起しており、シェールガス用の特殊鋼管や継手(新日鉄住金・JFEスチール)、フラックサンド(住友ベークライト、砂をフェノール樹脂でコーティングしたもの)、LNGプラント(日揮・千代田化工建設・東洋エンジニアリング)など日本の特有技術に依存する面も増大している。将来的には日本が世界に誇るこの技術を自国のエネルギー開発に向ければ、エネルギー自給は可能だ。
シェール革命はアメリカ経済の再生を可能にし、円安ドライブがかかる傾向があることを見逃してはならない。円安はモロバの剣で、過度な円安は財政悪化、長期金利上昇、国債の信任低下、等々の懸念があり要注意だ。
その一方、米国の財政の崖は依然として解消されてはいない。このまま行けば強制歳出削減は避けられず、ドル安から円高に進む懸念も拭いきれない。
事態は短期的な予測と長期的展望に分けて考える必要がある。短期的には円安は逆転局面を迎えることもあり得るが、長期的に見ればアメリカ経済は再生に向かいドル高・円安が見込まれると云うのが正しい予測だろう。
いずれにしても、エネルギー問題が日本の政治・金融・経済に及ぼす影響度はますます増えることは間違いなく、エネルギーの自給、エネルギー供給の独占排除、エネルギーの公正な利益配分等が日本の持続可能な経済や平和と民主主義を守るキーテーマとなるであろう。(市民エネルギー調査会 http://iy5.org )
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