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2013年3月 1日 植草一秀の『知られざる真実』
2013年の2ヵ月が過ぎた。「光陰矢の如し」だ。
安倍政権は絶好調に見えるが、本当にそうなのだろうかとの側面も見え始めている。
2月28日の施政方針演説で、安倍氏は原発再稼働を明言した。
日米首脳会談を受けてTPP交渉への参加意向を表明しつつある。
さらに、普天間代替施設を名護市辺野古海岸に建設するための埋め立て同意申請書を名護漁協に提出した。
なぜ、ここまで先を急ぐのか。
2013年7月には参院選がある。
安倍政権は参院選勝利に照準を合わせたはずだ。
参院選に照準を合わせるなら、それまでは「音無しの構え」というのが既定路線のはずだ。
円安・株高の宴を催し、客をほろ酔い気分にさせる。
その半催眠状態で参院選になだれ込む。
これが基本戦略であったはずだ。TPPも原発も辺野古基地も選挙後に先送りするということではなかったのか。
ところが、安倍氏は先を急いでいる。何かにせき立てられるかのように。
政権に勢いが出てきたタイミングを逃さず、懸案事項を一気に片づけてしまおうということなのか。
それとも、政権にとっての重荷をあえて目の前に広げなければならないような事情が発生しているのか。
安倍氏の訪米を日本のメディアは大きく取り上げ、絶賛の嵐の様相だが、米国では安倍訪米がほとんど伝えられていない。
明らかに著しい温度差がある。
実際、米国の安倍氏受け入れは、極めてぞんざいなものだった。
出迎えなし、
晩餐会なし、
共同記者会見なし、
のないないづくしだった。
米国による「三本のイヤ」といったところか。
冷遇しても、すべて言いなりになる政権であると、甘く見られているのか。
安倍首相は米国で英語での講演をしたが、大統領はもちろん、上席の大統領補佐官、閣僚、上院議員は誰一人として講演会に出席しなかったように見える。
子会社の社長が本社を表敬訪問するときに、親会社の課長代理や係長が出て応対したかのような対応だった。
土産の大きさ、土産の多さは、政権の「追い込まれ度」を測る尺度であるとも言える。
原発、TPP、辺野古だけで、訪米3回分の土産であるということができるだろう。
この訪米前に、すでに牛肉輸入規制緩和のお土産を航空便で送っていた。
その上に、上記の特注土産の三連発だ。
これでは、交渉にならない。
まさに朝貢外交である。
歴史上の朝貢外交は、中心国への貢物よりも中心国から従属国への下賜物の方がはるかに大きな価値を示していたから、植民地外交と言った方が適切かも知れない。
この現実を見ると、安倍政権が対米関係において、実際には追い込まれた状況にあるとの仮説も浮上する。
元外務省国際情報局長の孫崎亨氏が
新著
『これから日本はどうなるか−米国衰退と日本−』
(ちくま新書)
を出版された。
米国を取り巻く世界情勢の現在が、この1冊に凝縮されている。
米国外交に関する基本文献が網羅的にサーベイされたうえで、米国を取り巻く世界情勢が急激に変化していることが正確に、そして客観的な視点で示されている。
現代世界を鳥瞰するうえで、最高の情報を提供くれている。
必読書のひとつと言ってよいと思う。孫崎氏は本当に素晴らしい仕事をされる。
米国外交においても、最大の環境変化は中国の台頭、中国の躍進なのである。
日本人は米国が嫌中国で親日本であることを絶対の前提に置いてものを考えがちだが、米国のなかにも中国の台頭を正確に認識し、中国の重要性を強く認識する勢力が拡大している。
この点を読み誤ると、日本は大きな間違いを犯すことになる。
安倍政権の焦りとも言える行動の裏側に、米国外交の構造的な変化が透けて見えるのである。
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