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2013/2/27 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
おかしなムードになってきた。安倍首相のやることなすことに、日本中が、「やっぱり自民党政権は違う」「政治がどんどん動き始めている」と拍手喝采していることだ。
先週の日米首脳会談では「TPPに関する日本の主張が受け入れられた」「米国は譲歩してくれた。満額回答だ」と新聞テレビが大絶賛。G20でも「アベノミクスについて各国から一定の理解を取り付けることに成功した」とはやしたてた。
安倍首相の特使として訪ロした森元首相とプーチンの会談には、北方領土問題を歴史的・法的事実にのっとって解決する「東京宣言」に立ち返ったと評価し、尖閣問題も「安保条約の適用範囲」とした米ケリー国務長官の談話を取り上げ、米国が味方してくれていると大ハシャギだ。
安倍自身、首脳会談が終わると「日米同盟が完全復活した」と、さも会談が大成功に終わったように喧伝した。国民も首相はよくやっていると信じ、安倍内閣の支持率は急上昇している。
しかし、果たして、本当にそうなのか。外交なんて、ひと皮むけば、キツネとタヌキの化かし合いだ。船底の下は地獄で、すさまじい駆け引きが繰り広げられている。安倍が首相になったからといって、各国が豹変、日本に協力してくれるわけがない。まして、その主役たるや、お坊ちゃん首相であることを忘れてもらっては困る。
政治評論家の森田実氏は「安倍外交は毒をオブラートに包んで飲まされているだけ」と酷評した。元外交官で評論家の天木直人氏は「どれひとつ取っても、安倍政権に有利には働いていない」と切り捨てた。これがプロの見方なのだ。
天木直人氏がこう続ける。
「タカ派の安倍首相はアジアでは受け入れられない。結局、米国に頼らざるを得ない。オバマはそんな安倍政権の足元を見ています。TPPにしても、日本を除く10カ国でどんどん話を進めている。後になって日本がコメはイヤだと拒んだところで通用しません。各国から批判を浴びて摩擦を生むだけ。かつてのウルグアイ・ラウンドの二の舞いで、最後は受け入れざるを得なくなるでしょう。円安だってそうです。米国が容認しているのは、日本にTPPに参加させるため。ドル安でなければ米国は輸出で儲けられないから、ある日、突然、日本の円安政策を攻撃し始めるはずです。領土問題にしてもそう。首相が代わったから事態が解決するような単純な話ではない。カン違いしてはいけません」
世界はむしろ、安倍に何をやらせて自国が得をするのかを考えている。新政権は成果が欲しい、だから余計に御しやすい。そんな思惑で、歓迎ムードを演出、その陰で舌なめずりしている。元外務省国際情報局長の孫崎享氏の見方もシビアだ。「日本と米国の空気は全く違う」とこう言った。
「米国の最大の関心事は中国との関係です。その中国を刺激してばかりの安倍政権と付き合うのは、米中関係においてマイナスになる、というのが米国の世論です。日本はむしろお荷物なのです。実際、安倍首相は首脳会談に際し、安全保障での貢献を手土産にしたが、オバマに全く評価されなかった。それでTPP参加を差し出すしかなかったのです。米国はTPPで日本の医療分野への進出を狙っています。日本の国民健康保険を破壊し、米保険会社を参入させたい。オバマの興味はそれしかない。その証拠に、首脳会談では夕食会もなかった。会談後の首相のスピーチの来客は、アーミテージ元国務副長官など格下ばかり。極めて事務的な会談で、過去、最も冷遇された首相のひとりと言っても過言ではありません」
これで「絆が深まった」なんて喜んでいる安倍と日本人は世界中の笑いものだ。
◆列強の食い物にされた戦前と変わらぬ能天気
それなのに、この国の国民のおめでたいこと。外交とはちょっとでも視点が変われば、あっという間に景色が変わる。そこが難しさなのに、この国の国民は、いつも楽観的だ。自分たちに都合よくコトが運ぶと思い込み、そうした情報ばかりをクローズアップさせて、浮かれている。この能天気は民族性なのか、戦前と全く変わっていないのだ。
欧米列強に肩を並べたとうぬぼれ、ありとあらゆる情報を見誤り、バカな戦争に突入したのが当時の日本だ。中国の抵抗を侮り、日中戦争を始めて、米国の怒りを読み切れず、三国同盟に走った。結果、世界で孤立。真珠湾を攻撃するのだが、まさか、第2次世界大戦の最終盤でソ連が参戦するなんて、思ってもみなかった。しかし、米ソは結んでいて、日本列島は列強の食い物にされてしまったのだ。
戦後も似たようなことが続く。技術大国だ、世界一だとおだてられ、気がついたら米国の下請けどころか、属国になっているのが現状だ。
ニクソン訪中に驚かされ、本当は中東と良好な関係を築いてきたのに、オイルショックの直撃を受けた。プラザ合意をのまされ、イラク戦争では「ショー・ザ・フラッグ」とすごまれ、協力した揚げ句、日本人もテロの標的になってしまった。
小泉構造改革では外資の餌食となったし、今の株高だって、儲けているのはハゲタカばかりだ。そのうえ、今度の日米会談ではTPPに加えて、原発ゼロの見直しや米レーダーの追加配備を約束させられたのである。
何が日米関係の絆だ。バカも休み休み言って欲しい。何から何まで米国の言いなり。交渉どころの話じゃない。その程度の外交レベルなのである。
それなのに、大マスコミに持ち上げられ舞い上がる安倍は、きのう(26日)も、参院で補正予算が成立すると「『決められない政治』から『決められる政治』への大きな一歩だ」と天狗になっていた。この妄動というか、成算なきやる気こそが極めて危険なのだ。
◆「ダマされてもダマされても」の悪循環を断ち切れ
精神科医の斎藤環氏は朝日新聞(12年12月27日付)でこう警鐘を鳴らしている。
〈自民党はもはや保守政党ではなくヤンキー政党だと考えた方が、いろいろなことがクリアに見えてきます。私がヤンキーと言っているのは、日本社会に広く浸透している『気合とアゲアゲのノリさえあれば、まあなんとかなるべ』という空疎に前向きな感性のこと〉〈経済やふるさとを『取り戻す』と言っても根拠は薄弱で、要は気合があれば実現できるという気合主義を表現している〉〈世論に押されて実はヤンキー化しているマスコミがその傾向を後押しし、結果、日本の政治が無意味な決断主義に陥っています〉
単細胞の坊ちゃん首相の気合主義は恐ろしい。それに踊らされる日本民族のどうしようもない“お人よしぶり”がまた怖い。オレオレ詐欺で老人が巨額の金をむしり取られるなんて、日本だけの現象ではないか。そんな民族が自分たちの中から首相を選び、その首相が世界に翻弄され、ダマされる。日本の歴史はその繰り返しだったのである。前出の森田実氏はこう言った。
「日本が戦争に敗れ、米国の占領下に置かれて68年がたちますが、この国は米国にダマされ、国民は政府にダマされる歴史でした。この間、密約も何でもありで、沖縄を好き勝手にされ、カネをむしり取られてきたのです。安倍首相は『同盟復活』なんて言っていたが、どう見たってインチキ、トリックのたぐいです。この国は、再びTPPで米国にすべてを差し出そうとしている。国民はそろそろ気づくべきです。『ダマされても、ダマされても』の悪循環は断ち切らないといけません」
さもないと、日本は支持率70%の首相で、第2の敗戦を迎えることになる。
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