★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK144 > 471.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
首相が自賛する「市場の反応」の奇怪 円安輸入品高で庶民の生活苦必至 (日刊ゲンダイ) 
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/471.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 2 月 27 日 00:12:01: igsppGRN/E9PQ
 

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-8155.html
2013/2/26 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ


まだまだ株価は上がるのか。アジア開発銀行の黒田東彦総裁(68)が日銀総裁に内定したことで、市場は期待しているが、何だかバクチみたいな相場になってきた。

きのう(25日)の平均株価は、前週末比276円58銭高の1万1662円52銭と、4年5カ月ぶりの高水準となり、終値ベースでリーマン・ショック後の高値を更新。

為替も1ドル=94円77銭と、2年10カ月ぶりの「円安」となった。

日銀総裁に黒田東彦氏、副総裁に岩田規久男学習院大教授(70)と“金融緩和派”が日銀のツートップに内定したことで、市場は、さらに「円安」が進み、「株高」がつづくと歓迎したらしい。東証1部に上場している実に8割の銘柄が値上がりした。しかし、一夜明けたきょう(26日)はイタリアの債務危機懸念などから円は急騰、株も下げた。

たった3カ月間で、3000円も上昇した株価は、調整も含めて、ちょっとしたことで乱高下するようになっているのだ。

そういえば、15日、英ロイターが〈日銀総裁人事は最終局面、武藤氏を中心に絞り込み進む〉とニュースを配信した時も、株価は200円以上も急落した。大物財務次官だった武藤敏郎氏では、これ以上の金融緩和は期待できないと市場に“失望感”が広がったためだ。

14日から22日までの終値を眺めても、〈56円高、134円安、234円高、35円安、96円高、159円安、76円高〉と、まるで“ジェットコースター”のような乱高下である。

「もともと株式市場は、どんなことでも“材料”にしてしまうところですが、最近は“日銀総裁人事”や“日米会談”に神経をとがらせていた。外国人投資家の動きにも敏感になっています。50%のシェアを持つ彼らが、どう動くかで株価は大きく変動しますからね」(マネーパートナーズのアナリスト・藤本誠之氏)

大手証券マンはこう言う。

「市場が乱高下しているのは、まだ株高に確信を持てないからでしょう。アベノミクスをはやしたて、猛スピードで株価は上昇したが、よく考えたら、実体経済は良くなっていませんからね」

安倍首相は「百の説明よりも市場がどう反応するかだ」とアベノミクスを自賛しているが、なんのことはない、市場は“実体経済”と乖(かい)離(り)した、株価だけが上がる歪んだバクチ場になっている。

◆アベノミクスは10年前に否定された政策

もちろん「アベノミクス」によって、景気が良くなるなら結構なことだ。期待だけで上がっている株価に、実体経済が追いつくなら問題はない。

アベノミクスとは、要するに「インフレターゲット」である。カネをジャブジャブにすることで、「円安」と「インフレ」を起こそうという単純な発想。その理論的な支柱は、安倍首相のブレーンである米エール大名誉教授の浜田宏一氏(77)である。

しかし、カネをジャブジャブにすれば、本当に実体経済は良くなるのか。庶民の暮らしはラクになるのか。疑問だらけだ。この20年間、世の中に出回るカネの量を40兆円から130兆円に増やしたが、景気は良くならなかった。どんなに市中にカネをまき、ゼロ金利にしても、銀行の貸し出しは増えなかったのである。

さすがに、浜田宏一氏の東大時代の教え子である池田信夫氏までが〈これは10年以上前に散々議論され、効果がないと結論づけられた政策なのです〉と、バッサリ切り捨てているくらいだ。どう考えても、うまくいくとは思えない。

「デフレ不況がつづいているのは、需給ギャップが15兆円もあるからです。解決するには、国民のフトコロを豊かにすることで、GDPの6割を占める個人消費を活発にし、その結果モノの値段を上げていくしかない。ところが“インフレターゲット論者”の安倍首相は、最初にモノの値段を上げようとしている。因果関係がアベコベです。もし、カネをジャブジャブにするなら、中間層や低所得者のフトコロを直接、潤すことです。

ところが、安倍首相は庶民生活がさらに苦しくなるTPPに参加しようとしている。安倍首相の発想では、実体経済は絶対に良くなりませんよ」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)

そもそも、どんなに株価が上がろうが企業は給料をアップさせるつもりは、まったくない。いま、賃金アップに応じているのは、ローソンと安川電機くらいのものだ。NHKが大手100社を調査したら「賃上げ」「ボーナス増」を検討している企業はゼロだった。

株価は高騰をつづけ、個人投資家も「バスに乗り遅れるな」と、浮足立っているが、どうもアベノミクスは信用できない。

◆給与は上がらず、モノの価格は上がる

このままでは“インフレターゲット”のアベノミクスによって、実体経済は良くならないのに、モノの値段だけは上がる最悪の事態に突入してしまうだろう。

前例がある。1970年代のアメリカは、執拗なバラマキと手ぬるい金融引き締めによって、物価は高騰したのに、雇用は低迷がつづくという“スタグフレーション”に陥ってしまった。日本もアメリカの二の舞いになってしまう。不況下のインフレである。

すでに、モノの値段はジリジリと上がりはじめている。「円安」によって輸入価格が高騰しているためだ。なにしろ、1ドル=79円だった為替は、アベノミクスによって1ドル=94円まで1割以上も「円安」が進んでいるのだから、上がらないほうがおかしい。

ガソリン価格は11週連続して値上がりし、1リットル=155円にまでハネ上がっている。小麦も4月から10%上がる。ガソリンの値上げは、輸送コストも押し上げてしまう。

デフレ下の“勝ち組”だったマクドナルドも、「マックグリドルソーセージ」を100円から120円に値上げし、住友化学はプラスチックの原料となる「ポリエチレン」の値上げを発表した。

サラリーマンの給料は上がりそうもないのに、「インフレ目標2%」を掲げるアベノミクスによって、あらゆるモノの価格が上がりはじめているのだ。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。

「アベノミクスによって、庶民の暮らしはさらに苦しくなる恐れがあります。この先、電気代は1・5〜2倍になるとみられています。消費税のアップも控えている。給料が上がればいいですが、本当に上がるのかどうか。2002年から2008年まで“いざなぎ超え”の景気拡大がつづいた時も、株価は9000円から1万8000円へと2倍になったが、労働者の給与は10万円も減り、結局、デフレから脱出できなかった。あの時は、モノの値段は上がらなかったが、アベノミクスは物価高の恐れもあるから深刻です」

給与は上がらないのに物価が上がれば、さらに実体経済は悪化していく。安倍首相は「百の説明よりも市場がどう反応するかだ」とエラソーに勝ち誇っているが、冗談じゃない。アベノミクスによって、国民生活はガタガタにされてしまう。


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年2月27日 00:57:52 : xEBOc6ttRg
日銀総裁、実は誰がやっても同じ?

「次元の異なる緩和策」のヒントは過去の総括の中に

2013年2月27日(水)  松村 伸二

 日銀総裁に黒田東彦・アジア開発銀行(ADB)総裁を起用する人事案が固まった。2人の副総裁も同時に代わり、日銀は3月20日から新しい体制の下で、「アベノミクス」の3つの矢のうちの1つ、「大胆な金融緩和」に本格的に乗り出すことになる。

 もっとも、日銀は2%という物価上昇率をできるだけ早期に実現すると表明したが、その目標達成に向けた具体的な道筋や金融政策手法について、今のところ妙案は出ていないのが実情。現実的かつ効果的な大胆緩和の議論は、新しい正副総裁の就任を待たなくてはならないようだ。

小粒の政策ラインナップ

 新体制の発足を控えた日銀は今、事実上のレームダック状態にあると言っていいだろう。2月13〜14日の金融政策決定会合では、現状の政策を維持した。「1月の会合で物価上昇率目標の導入と『無制限緩和』を決めたばかりだから、ひとまず様子見」との解釈が聞かれる。だが、この無制限緩和のスタートは来年。アベノミクス発動後、足元で様子を見なければならないような積極緩和はまだ行われていない。

 無制限緩和を決めた1月の会合でも、議事要旨を見る限り、その大胆な金融緩和の新たな手法が深く議論された形跡は見当たらない。現行の政策で買い入れている国債の対象残存期間を今の1〜3年から5年程度に延長する余地が話に上った程度だ。

 黒田氏や副総裁候補となった岩田規久男・学習院大学教授は金融政策について様々な提案をしてきたが、実際に金融政策を担った経験がないだけに、具体的な追加緩和手法についてはこれから議論を深めていくことになるだろう。

市場で指摘される主な追加金融緩和策
・買い入れ国債の残存年限を5年程度に延長
・日銀が当座預金の超過準備部分に与える金利(付利)の引き下げか撤廃
・上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)などリスク資産の購入拡大
・外債の購入
 いくつか俎上に上っている方法もあるにはある。「付利」と呼ばれる、日銀が当座預金の超過準備部分に与える金利を引き下げたり、撤廃したりする案は、市場ではほぼ想定の範囲内。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)などリスク資産の購入拡大は、株価などへの直接的な働きかけは期待できても、それぞれの市場規模が限られ、大胆には進めにくいとの意見がある。日銀総裁の有力候補の1人だった岩田一政氏の持論である外債の購入策は、為替市場で円安を直接的に促してしまうとして、海外当局の厳しい視線を警戒する安倍政権が議論を封印した。結局のところ、現状は「大胆な緩和には程遠い小粒のラインナップ」(国内証券のエコノミスト)と市場は冷ややかだ。手法が乏しい現状では、誰が日銀総裁になっても、同じ茨の道が待っていることに変わりはない。

中原伸之・元日銀審議委員の提案

 そうなると、やはり、新体制の日銀は早々に行き詰まってしまうのだろうか。そう考えたときに、改めて気づかされた。昨今、「QE2」「QE3」と世界中で呼ばれ、積極的な金融緩和の新機軸として米連邦準備理事会(FRB)が採用してきた「量的緩和」は、実は日本が最初に生み出し実践した手法ではないか。そうすると、「次元の異なる金融政策」を考えるには、まず、過去にさかのぼるのが手ではないかと。


中原伸之・元日銀審議委員(写真:菅野勝男)
 そこで、金融政策に直接携わった重鎮に話を聞いてみることにした。今後の政策対応について熱く語ってくれたのは、日銀の元審議委員、中原伸之氏だ。中原氏は審議委員在任中、何度も積極的な金融緩和策を提案しては反対され、2000年のゼロ金利解除の採決の際には、1人で解除に反対票を投じた経緯がある。

 最近では安倍政権の金融専門家会合で、デフレ脱却に向けた大胆な金融緩和策や日銀総裁人事についてもアドバイスした、金融政策面での“ブレーン”でもある。物価を押し上げる具体的な手法は日銀に任せられているが、水面下で政府の意向が影響してくることも想像に難くないとすると、中原氏の意見は今後の政策議論に上ってくることも考えられる。

 以下に、中原氏との主なやり取りをあげてみた。ここに1つのヒントがあるかもしれない。

アベノミクスでいうところの「大胆な金融緩和」では、どんな具体策が考えられますか?
中原氏:
 当座預金残高を増やしていけば、物価上昇率2%は達成できると考えます。過去の量的緩和のときに使ったのが当座預金残高ですから。今の日銀の当座預金残高は12月の平残で47兆円ですが、それを100兆円ぐらいに増やしていくと、物価上昇率は2%前後に近づくという計算ができるのです。
 日銀は現在、月1兆8000億円の長期国債を買っていますが、それに加えて毎月3兆円、もし急ぐのであれば4兆円とか5兆円とかを追加で買って、当座預金残高を増やしていくわけです。そこで様子を見ながら、少しずつ増やしていくのが大切です。「無制限に買う」というような抽象的な表現じゃなくて、金額を明示して、様子を見ながら少しずつ増やしていくのです。
 上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)を買うとか、そんなことはやめて全部、長期国債を買えばいいのです。国債を買えば一番リスクは少ないし、政府のための財政の円滑化にも役に立ちます。
 ここで中原氏は、過去の量的緩和策を再現することを提案している。当座預金の残高をもって資金供給量の拡大を明示し、分かりやすいアナウンスメント効果を狙う。実際に効果が実証された方法をあえて取ることで、未知のリスクを避けることもできるというわけだ。

「財政ファイナンス」を警戒する声は多いです。
中原氏:
 「財政ファイナンス」の定義をまず考えなくてはいけません。過去にゼロ金利政策を始めたこともそうですが、ある意味では、財政ファイナンスするためにやっているんですよ、かなりの部分は。まず第1に、国債の利払いを最小限に抑える点です。それから、新規国債の発行や既存債の借り換えを容易にするという点。これらの面で、金融政策はもうすでに十分に役に立っているわけです。つまり、効果の面で、もうすでに「財政ファイナンス」は、やっているということです。
 中原氏は、新発債の直接引き受けについては避けるべきとしている。しかし、今後も国債を積極的に市場から買い入れることはできるという考え方だ。すでに日銀は資産買い入れ等基金での購入も含めると、国債保有量を銀行券の発行残高の範囲内にとどめる「銀行券ルール」に事実上、抵触した格好になっている。

日銀は目標達成時期について、「できるだけ早期に」としか言っていません。
中原氏:
 目標達成のメドは2年です。それはなぜかというと、日銀の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」というのが、2年先まで見るからです。自分たちが分からない先を予測しても、しょうがないですからね。2年で到達するのが当然の責任だと思います。
 これも従来、日銀が見通し可能としている期間を前提に、政策運営の責任を持つべきだとの主張だ。「政策当局が目標達成にもっと時間がかかると判断するのであれば、もっと長い期間の物価見通しを提示すべきだ」(欧州系銀行の為替担当者)という市場関係者の要望もうなずける。

 黒田氏や岩田規久男氏はこれまで日銀批判を繰り返してきた。政権からの強い要請もあって「過去の日銀」と決別する姿勢を鮮明にする公算が大きい。しかし、過去の反省すべきところを反省した上で、政策手法で再活用できるところなどを含め、「過去の日銀」を検証し、総括することも忘れてはならないのではないか。安倍晋三首相が主張する金融政策の「レジームチェンジ(体制転換)」に値する大胆な金融緩和の秘策は、そこから生まれてくるような気がしてならない。


松村 伸二(まつむら・しんじ)

日経ビジネス記者。


記者の眼

日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。


 


 
デフレ脱却にはまず賃上げ

古賀伸明・連合会長に聞く

2013年2月27日(水)  西 雄大

 アベノミクスは本格化した春闘にも影響を及ぼすのか。デフレ脱却には賃上げが必要と訴え続けてきた労働側は、新政権の登場を追い風にしようと意気込む。古賀伸明・連合会長に賃上げの見通しなどを聞いた。
新政権が打ち出したアベノミクスをどう評価していますか。

古賀:民主党だけでなく過去の自公政権も含めて、安倍政権は最も強くデフレ脱却へのメッセージを打ち出したと思います。ただ、3本の矢でデフレから脱却するとしていますが、リスクも極めて大きいです。


 例えば政府は日銀と共同声明を出しました。中央銀行である日銀の独立性を軽視する印象を持たれたのではないかと懸念しています。

 来年度の予算案では公共事業に巨額の資金が投じられます。過去の自民党政権のように、族議員を生みかねません。もちろん景気を刺激するカンフル剤としての財政出動は短期的に必要かもしれません。しかしながら厳選して取り組まないと、国債が増えるばかりで終わる危険性もあるのです。短期間で終わることになれば、雇用は増えません。4つ目の矢として財政健全化も必要だと思います。

規制緩和についても議題にあがっています。

古賀:労働関係で規制緩和は必要ありません。もちろん医療や介護、保育など経済政策として規制緩和すべき領域はあります。しかし経済政策として規制緩和する一方で、社会政策として規制を強化する必要が出てきます。その例が派遣社員です。労働条件の面では強化すべきですが、規制緩和に走ってしまった。経済政策とのバランスを欠いてしまったのです。日本の規制緩和は経済政策ばかり。社会政策との両輪が必要なのです。この観点が欠けているから問題が生じてしまうと思います。

賃金引き上げに動ける企業はある

年初から円安と株高が続いています。

古賀:実体経済が好転したのではなく、単なる期待に基づくものだと思います。これから実体経済をどう期待に近づけていくかが問われています。

 株価の上昇は日本経済全体にとってプラスだと思います。ただ日本の家計に占める金融資産のうち株式は数パーセントしかありません。米国は6割弱、欧州でも約30%占めています。つまり、日本の一般家庭に株価上昇のメリットはほとんどありませんね。

 国民生活という視点だけみれば生活必需品は円安で値上がりします。家庭には円安によるリスクの方が大きいのです。今後、エネルギーや食料の価格が上昇するでしょう。したがってデフレ脱却には所得を上げる必要があるのです。

 所得が減るから消費が冷え込みます。企業も安価な商品を作ってしまいます。当然安価にするために人件費は削られます。人件費が下がれば所得が減って消費が縮小してしまいます。悪循環のわなに陥ってしまうのです。

経営者側は賃金を上げるためには売り上げ増が先だと主張しています。

古賀:何もすべての企業で一律に賃金を上げよと言っていません。

 民間法人企業所得は雇用者報酬の伸びを大きく上回っています。生産性の向上と賃金の伸びが追いついていないのです。リーマンショックの一時期を除いて、生産性の向上が大きく上回っています。還元すべきだというのが我々の主張なのです。

 政府も物価だけ上昇して国民所得が上がらない事態を心配しています。社会混乱に陥るかもしれません。経営が今後の我々との交渉でどう応えるかに注目しています。ちゃんと払える企業はあるでしょう。払えない企業があるからといって、一律的に還元しないのはおかしいのです。

 日本のGDP(国内総生産)の6割は個人消費が支えています。消費を喚起しないとデフレからは脱却できません。輸入価格は上がるし、消費増税もある。先日、安倍首相が経団連など経済団体の代表を集めて賃上げを要請したのも異例でした。デフレ脱却のために所得を上げなければならないということは政府も認識しています。労使交渉なので経営側がどう判断するかです。

労働者の懸命な頑張りを認めるべき

ちなみにいま労働者の置かれている現状はどうでしょうか。

古賀:一言でいえば、労働条件が痛んでいます。非正規労働者は35%を超えるようになりました。そのうち4割強が家計の主たる人です。年収200万円以下が1100万人を超えました。実に労働者の4分の1にもなるのです。生活保護受給者が200万人を突破し、過去最悪を更新し続けているのが現状です。失業率は4%台で高止まりし、若年層(15〜24歳)は8%を超えています。長期失業者も100万人以上です。

 労働者はこの10数年間、資源高や欧州の需要減などにも負けないように懸命に働いてきました。頑張りが正当に認められるべきなのです。


西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者。


徹底検証 アベノミクス

 日本経済の閉塞感を円安・株高が一変させた。世界の投資家や政府も久方ぶりに日本に熱い視線を注ぐ。安倍晋三首相の経済政策は日本をデフレから救い出す究極の秘策か、それとも期待を振りまくだけに終わるのか。識者へのインタビューなどから、アベノミクスの行方を探る。

 


 

安倍政権で株式市場にプラスの“政策”とは?

試されるのは「政策」でなく「政策実行力」

2013年2月27日(水)  門司 総一郎

やはりなかった「大胆な金融緩和」

 前回、安倍政権の「大胆な金融緩和」について検討しましたが、結論は「『大胆な金融緩和』の実現可能性はきわめて低く、期待感が剥落することになれば株安・円高に振れる」といったものでした。実際、2月15日から16日にかけての主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で「為替レートを競争力強化の目的には使わない」との文言が声明文に盛り込まれたことは、18日の参院予算委員会での麻生太郎財務相の「為替のことに関して一切発言することができない」との発言に見られるように、政権首脳の円安に対するスタンスを慎重なものにしています。

 また市場参加者の期待が強い外債購入についても、安倍晋三首相が18日の参院予算委員会で「外債を買うという考え方もある」と述べると、翌19日には麻生財務相が「外債を購入する気はない」、甘利明再生相が「一般論として言ったと思う」などと、ただちにこれを否定したことから見て、可能性はほぼ消えたといっていいでしょう(余談ですが、首相の発言を周りが直ちに否定しても「不仲」とか「対立」とか言われないところが、この政権のユニークなところです)。

 今後は「『大胆な金融緩和』はない」との見方が広がり、それに伴っていったん株安・円高に振れる局面があると考えていますが、金融緩和が期待できないからといって、政治が株式市場に対して無力というわけではありません。そこで今回は、「どのような政策が株式市場を押し上げるか」について検討します。

「内容」よりも「実行力」が大切

 政治が株式市場に与える影響を考える上で、参考として2005年と2009年の総選挙前後の株式市場の動きを見てみましょう。

 2005年9月11日の郵政選挙では、小泉純一郎首相率いる自民党が大勝。これを受けて東証株価指数(Topix)は大幅上昇しましたが(【グラフ1】参照)、これは小泉政権の看板政策である郵政民営化が、景気や企業業績にプラスと評価されたためではなく、小泉首相の決断力や実行力が評価されたためです。

 当時は外国人投資家が7月から11月まで5カ月連続で、毎月1兆円以上の日本株を買い越すなど、需給面が株価上昇の原動力でした。特にこれまで日本株投資の経験がなく、日本のことをよく知らない北欧や南欧などの投資家が、「日本にはコイズミというすごいやつがいる」と聞いて、日本が変わるとの期待感から買ったといわれました。ちなみにこうした投資家の多くは、2007年の参院選大敗、さらに安倍首相の辞任表明により小泉改革の行き詰まりが明確になったとして、2005年に購入した日本株を売却したといわれています。


 一方、2009年8月30日の政権交代選挙では民主党が政権を奪取、鳩山由紀夫内閣が誕生しましたが、その直後から年末にかけてTopixは大きく下落しました(【グラフ2】参照)。これも、子ども手当てや高速道路無料化などの政策が株式市場にマイナスと評価されたというよりも、発足直後から普天間基地移設や八ッ場ダム建設問題でいきなり右往左往し、鳩山内閣の政権運営能力に対する不信感が高まったためと考えられます。


 以上の2例において、株式市場の方向性を決めたのは、政権が掲げる「政策の内容」ではなく、政権の「政策実行力」あるいは「運営能力」への信頼感です。

 これは別に奇異なことでありません。我々も通常業務において信頼する部下から提案を受けた際に、明らかに問題のある提案ならともかく、その内容よりも「こいつが言うなら」との理由で採用することは珍しくないはずです。2005年に外国人が大量に日本株を買ったのも同じで、「郵政民営化はよく分からないが、コイズミが言うことなら間違いない」と思ったことでしょう。この観点に立てば「株式市場を押し上げる政策」とは、郵政民営化のように「実行力をアピール」し、「政権への信頼感を高める」政策となります。

 もっとも、実行すれば良いというわけではありません。東日本大震災後に当時の菅直人首相は原発停止を実行しましたが、十分な検討も説明もなかったため大きな混乱を招きました。小泉首相の郵政民営化が支持されたのは、何年もかけて議論を重ね、反対派の説得に努めた上で最終的に解散・総選挙に訴えたからです。したがって、実行に当たって手続きを十分に尽くすこともまた株価上昇の条件といえます。

 それではこうした点を中心に、また、その政策が景気や業績に与える影響も考慮しながら、個々の政策課題が株式市場を押し上げるものかどうかについて検討していきます。

山場を迎えるTPP参加

 【表1】は主要な政策課題について、参院選までに実現する可能性と実現した場合の株式市場を押し上げる効果を評価したものです。株価押上げ効果が大きいと考えているのは、環太平洋経済連携協定(TPP)参加、衆院議員定数削減、社会保障改革の3つです。まずこの3つについて見ていきます。

【表1】主要な政策課題の実現可能性と株式市場への影響
政策 可能性 影響 備考
衆院議員定数
削減 中 大 「安倍人気」を高める効果は最大。これは株価にもプラス
社会保障改革 低 大 国民会議が結論を出す8月まで進展は期待できない
TPP参加 中 大 @課題クリアによる政権への信頼感、A競争力強化、が株価にプラス
原発再稼動 低 中 安全基準策定が早くても7月のため、参院選前の再稼動の可能性は極めて低い
日米関係強化 高 中 @周辺国との外交関係立て直し、ATPP参加、などを通じて株価へのプラス大
日中関係修復 高 中 経済面で関係が修復されつつある為、尖閣問題直後ほど効果は大きくない
外債購入 低 中 円安誘導としての国際的な批判から基金などによる大規模な外債購入はほぼ不可能
国土強靭化
計画 中 小 今後10年で200兆円の公共投資は財政上困難。
実現しても財政規律無視としてマイナス
出所:大和住銀投信投資顧問
「可能性」は参院選までに実現する可能性、「影響」は実現した場合の株式市場へのプラス効果
 日本のTPPへの参加は、経済界や世論調査では支持が高いですが、農業関係者や政治家の間では反対も多い課題です。衆院選ギリギリまで野田佳彦首相(当時)は参加表明を模索しましたが、選挙前ということで実現できませんでした。もし安倍首相が参院選前に参加表明できれば、実行力をアピールする効果は大と考えられます。


 また、【図1】に示すように自由貿易や規制緩和の推進による企業競争力の強化、日米同盟強化や日中・日韓関係の修復などの外交上の効果など、様々な経路で直接・間接に景気や企業業績にプラスの影響を見込めることも、効果が大きいと見る理由です。

 政権発足時のTPPに関する安倍首相の発言は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対」と否定的なニュアンスでしたが、最近は「聖域が認められれば参加する」と前向きなトーンに変わってきました。さらに日米首脳会談が近づくに連れて、牛肉の輸入規制緩和、ハーグ条約加盟、原発ゼロの見直しなど相次いで米国の要望を受け入れる姿勢を見せていますが、これは日米同盟深化とTPP参加のために米国から「聖域」への容認を引き出すためと思われます。安倍政権としては完全に参院選前のTPP参加に向けてかじを切ったものであり、可能性については中と評価していますが、高に近い中と考えていいでしょう。

天王山は衆院議員定数削減

 衆院議員定数削減は景気や業績に直接関係はありませんが、国会議員の強い抵抗が予想される一方、実現すれば有権者の支持は間違いないでしょう。参院選での過半数奪回も確実になるような政策課題なので、実行力をアピールするという点ではこれ以上のものはありません。

 逆に、昨年の解散時に民主・自民・公明の三党で「(議員定数削減を含む)選挙制度の抜本的見直しについて検討を行い、次期通常国会終了(会期末は6月29日)までに結論を得た上で必要な法改正を行う」と合意しているため、実現できなければ(結論を得るに至らなければ)参院選で野党から批判を浴び、政策実行力への信頼が揺らぐことにもなります。

 したがって、衆院議員定数削減は参院選での過半数回復を目指す安倍政権にとって天王山というべき政策課題であり、今年の株式市場にとっても同様と考えられます。

 社会保障改革は年金や高齢者医療の見直しなど負担増につながるものです。そのため抵抗が予想されますが、一方で昨年の消費税率引上げ時に三党で実行を合意したものなので、衆院議員定数削減と同様、必ずやらなければならないものです。したがって実行力をアピールする効果は大きいと評価していますが、8月にまとめられる社会保障制度改革国民会議の結論を待ってから、法制化について議論する予定であるため、参院選前の進展はほとんど期待できません。よって可能性は低いとの評価です。

外交では日米同盟に注目

 日米同盟強化は、全体としては国内に抵抗がなく、また米国も民主党政権時に迷走した日米関係の立て直しに異論はないと思われるので、可能性は高いと評価していますが、逆に言えば実行力をアピールする効果は小さいことになります。ただ各論としては、TPPや原発ゼロの見直しなど議論の分かれる問題を含むこと、また安倍政権がまず日米同盟をアピールした上で中国・韓国など周辺国との関係修復に動く方針なので、日米同盟強化の成否が日中・日韓関係修復にも影響があることから、株価押し上げ効果は中と評価しています。

 日中関係修復については、昨年の段階では関係修復の手がかりは見えず、また景気・業績への影響も大きいと見ていたため、株価押上げ効果は大きいと考えていました。しかし現時点では、尖閣周辺では緊張が続いているものの、習近平総書記は関係修復に向けて日本に秋波を送っており、また民間の経済活動は既に正常化しつつあるため、現時点では中との評価です。可能性は日米同盟強化同様に高いと見ています。

国土強靭化計画はマイナス

 原発再稼動も国民の間で賛否が分かれる課題なので、政策実行力のアピール効果は高いと思われます。また、電力料金の引き下げなどを通じて企業業績への効果も期待できます。しかし、TPP参加ほど影響は大きくないと見ており、株式市場へのプラス効果は中の評価です。一方、原子力規制委員会が現在取り組んでいる安全基準の作成が早くても7月と見込まれているため、参院選前の再稼動は期待できません。そのため可能性は低いと見ています。

 金融緩和関連では市場の期待が強い外債購入を取り上げましたが、実現しても、海外からの批判により円安効果が相殺されると予想されるため、影響はそれほど高くないとの評価です。むしろ、実現できないという認識が市場で広まった場合の、政策実行力への信頼感低下が懸念されるところです。

 国土強靭化計画は10年間で200兆円の公共事業を実施、災害に強い国土づくりを図るものですが、財政再建を掲げる中での毎年20兆円の追加的な公共事業は、財政規律無視と受け取られる可能性が高いと思われます。「既存の公共事業を含めて毎年20兆円」との説もありますが、それだと現在、国・地方合計の公共事業が15兆円程度であるため、効果が限定的ということになってしまいます。いずれにしても株価押し上げ効果は小さいとの見方です。

 また、可能性についても部分的に実現することはあっても、財政規律の観点から全面的な実現は困難と見ています。本気で実行するのであれば重要ポストとなる国交相に、公明党の太田昭宏前代表が就任していることも、可能性がない(あるいはそれほど大規模なものにはならない)と考える理由です。

試されるのは政策実行力

 以上、説明したように、株式市場を押し上げるのは政策の内容よりも、その実行力と考えられます。実行力をアピールでき、かつ参院選前の実現可能性もある政策として、TPPへの参加と衆院議員定数削減に注目すべきと考えます。

 そのうちの一つ、TPP参加については2月22日の日米首脳会談で大きな動きがありました。安倍首相がオバマ大統領から「TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」との確認を取り付けたことにより、早ければ3月中に交渉への参加を表明する可能性が高まりました。またあくまで「聖域」にこだわり、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」との前言と矛盾なく参加表明できることになったため、党内の反対勢力の面子を潰さないで済んだことも評価できます。

 それだけではありません。首脳会談ではTPP参加以外にも、原発ゼロの見直しや普天間基地移設など民主党政権が決められなかった様々な課題について、安倍首相は積極的に取り組んでいく意思を表明しました。これにより、日本が「決められない政治」からの脱却を示したといえます。またシェールガスの日本向け輸出や、超伝導リニアモーターカーの技術提供は、企業業績へのプラスを見込める課題です。

 最近欧州に出張したある証券会社のストラテジストの方の話では、「行く先々でTPPについて聞かれた。参加があれば一段の外国人買いがありそうだ」とのことでした。今回の日米首脳会談で安倍政権の政策実行力への信頼感が高まったことは間違いなく、これは日本株にとって大きなプラスと考えています。


門司 総一郎(もんじ・そういちろう)

大和住銀投信投資顧問経済調査部長。東京大学法学部卒業後、1985年大和証券入社。88年大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)転籍、アジア株ファンドマネージャーなどを経て現職。同社ホームページに「ストラテジストコラム」を掲載中。


政治と市場の“正しい”見方

 今、日本は新政権の誕生で「政治」と「金融市場」の関係がこれまで以上に強まり、複雑化しています。さらに欧州の債務危機や米国の財政の崖、中国の新執行部選出など、政治と市場を巡る動きは、海外でも大きな焦点となっています。

 しかし、市場関係者がこの両者の関係を論じる場合、「アベノミクスで日本は変わる」など物事を極めて単純化した主張になりがちで、十分な分析がなされているとは言えません。そこで、このコラムでは政治と市場の関係について深く考察し、読者の皆様に分かりやすく解説していきます。


 



02. 2013年2月27日 00:58:26 : xEBOc6ttRg
地雷を踏まなかった日米首脳会談

巧みなメディア戦略と周到なメッセージ

2013年2月27日(水)  渡部 恒雄

 安倍・オバマの初顔合わせとなる首脳会談が、2月22日に行われた。一言でいえば、米国側の期待のツボを心得たメディアやシンクタンクでの的確な情報発信と、周到な事前準備の成果が出た幸先のよい首脳会談と言えよう。

 安倍晋三首相は、日米同盟と自由貿易体制に利益を見出す日本の保守政治の伝統を受け継いでいる。バラク・オバマ大統領との会談でも話題となった祖父の岸信介首相(当時)は、アイゼンハワー大統領(同)と会談し、日米の共同防衛の明文化で対等な関係を強めた1960年の安保条約改定により、日米同盟の長期安定に道を拓いた。これは有利な遺産だが、安倍首相は保守派ゆえの地雷も抱えている。

 それは、日本の過去の戦争責任に関する後ろ向きな姿勢について、米国のリベラル派から懸念を持って見られていることだ。民主党のオバマ政権は、大統領本人の政策志向もあり、女性や少数派(マイナリティー)の権利を重視するリベラル政権である。従軍慰安婦などの歴史認識問題では、日本に厳しい目を向ける可能性があった。昨年に再選を果たしたオバマ政権の支持層は、男性より女性、白人より少数派(マイナリティー)が多く、韓国系が多いアジア系アメリカ人からも大きな支持を得ている。

巧みなメディア戦略

 世界的に影響を持つニューヨークタイムズ紙は安倍首相に「歯に衣着せないタカ派」(outspokenly hawkish)というレッテルを貼っている。しかし、今回のワシントンでのスピーチや首脳会談において、安倍首相は、日本が過去の侵略を否定するようなメッセージはまったく発しなかった。中国に対する発言も、石原慎太郎前東京都知事が口にするような侮蔑的で好戦的なものとはほど遠い、現実的なものであった。

 尖閣問題について、オバマ政権が同盟国・日本に対して配慮を示しているのとは異なり、ニューヨークタイムズは中国寄りの姿勢が目立つ。だが、彼らが「期待」するような安倍首相の「タカ派」発言はまったくなかった。この点について、より中立的なワシントンポストの独占取材に応じたことや、そこで掲載された内容が穏健なものであったことなど、安倍政権のメディア戦略は的確である。

 唯一、ワシントンポストの記事で、中国の愛国教育の中に反日の要素があることを安倍首相が指摘した部分について中国政府が問題視した。しかし、菅義偉官房長官は、すかさず、安倍首相はインタビューの中で中国が近隣諸国との対立を望んでいるとは言っていないし、我々は中国との戦略的互恵関係を重視していると答えている。実際、オバマ大統領との首脳会談で、尖閣問題で冷静に対処する方針を共有したことは、日中の偶発的紛争への巻き込まれを懸念する米国に対しても、中国への関係改善のシグナルとしても重要だろう。

 北朝鮮の核開発についての日米の連携も重要なテーマだった。米国は北朝鮮が再度の核実験を強行したことを受けて、国際的な制裁を強めようと動いている。米国の喫緊の安全保障の課題は、これ以上の核兵器の拡散を防ぎ、米国をターゲットにした核テロを未然に防ぐことだからだ。北朝鮮が引き起こしかねない地域の混乱の可能性を踏まえると、米国の同盟国である日本と韓国が、竹島問題で反目しあっていることは、オバマ政権にとっては大きな懸念材料である。したがって、安倍首相が歴史認識に深入りせずに、冷静に韓国との関係改善を進めていることは、米国の利益に叶うことでもある。

信頼回復の肝はTPP交渉参加と原発ゼロ方針の撤回

 国際標準から見れば安倍首相を「タカ派」と見るのは大きな間違いだと思うが、国内の位置づけでは保守派であることは間違いない。その保守派の安倍首相が、自民党の重要支持母体の農業関係者が懸念するTPP交渉への参加についても、極めて前向きな姿勢を示したことは重要だ。

 アベノミクスへの期待や円安による株価上昇を受けて、国内の支持率が70%に及んだことは、首脳会談に臨む安倍首相にとって追い風であった。しかし、忘れてはいけないのは、彼は負の遺産も背負っていたことだ。それは、自身が就任1年で健康上の理由で退陣したことも含め、以来、6年で5人の首相が交代し、オバマ大統領の日本の政治家への信頼が大きく損なわれていることである。

 しかもその中には、鳩山由紀夫首相のように、沖縄の普天間基地移設問題をめぐってオバマ大統領に「トラスト・ミー」(信頼してほしい)と言いながら、それを裏切った前任者がいた。

 もし、安倍首相が鳩山政権を破って登場してきた首相ならば、オバマ政権との関係修復はより容易であったろう。しかし、民主党政権において、菅および野田政権は傷ついた日米関係の修復を図った。野田首相はオバマ大統領に「仕事ができる相手」と言わせるまで良好な関係を作っていた。オバマ大統領が熱心に取り組むTPP交渉への参加を日本国内のアジェンダに載せたのも野田前首相だった。リベラル志向のオバマ政権にとっては、必ずしも、安倍首相の率いる自民党政権の復帰を待ちわびていたという状況ではなかった。

 しかし安倍政権は、対米関係で野田政権が犯した唯一の間違いを見逃さなかった。それは、野田政権が唱えた「2030年までに原発稼動ゼロ」の方針だ。安倍首相は、これを白紙に戻し、原子力分野での日米協力を確認した。これまで核兵器を作らず、民生部門の技術と規範づくりに貢献してきた日本がその役割を放棄することは、世界の核不拡散体制を不安定なものにし、核テロのリスクを高める行動だ。安倍首相はここでも得点を上げた。

米国とともに明日のアジアを担う

 そして忘れてはいけないのは、オバマ大統領の内政の最大課題が、米国の景気回復であることだ。日本の強い経済が復活することは、相互依存を深める米国の景気回復のためにも重要であるということを米国と共有したことは意義がある。同時に、米国の景気回復にとって中国経済成長の取り込みも不可欠である。安倍首相が、タカ派的な発言を控え、中国との関係改善を目指すことは、米国経済にとっても意味がある。

 同時に米国は、周辺国と摩擦――南シナ海や尖閣諸島――を引き起こす中国のアサーティブ(挑発的)な行動に懸念を抱いている。中国を地域の政治・経済のルールを尊重する平和的なプレイヤーに誘導しようと試みるのが、オバマ政権が掲げている「アジア回帰」政策の肝である。しかし、米国の予算的な制限は深刻だ。国内で巨額の財政赤字に苦しみ、10年間で4870億ドルの国防予算を削減し、さらに最大で5000億ドルの追加強制削減措置が適用されるかもしれない。その場合に、中国に影響力を持ち、米国と価値を共有する同盟国の役割への期待は大きい。

 この点で、安倍政権は、重要な戦略的メッセージを米国と国際社会に伝えたといっていいだろう。アジア太平洋地域の将来のあるべき姿をともに語ったと想像されるが、そうであれば、オバマ大統領が安倍首相とも「仕事ができる」と考えてもおかしくはない。このような米国指導者との戦略観の共有こそが、日本の指導者に求められる何よりの資質である。

 安倍首相は、側近の中でも、情念的なタカ派ではなく、現実志向の専門家のアドバイスを聞き、官僚機構とも緊密な共同作業を行った。もし、安倍政権が示した能力の半分でも鳩山政権に備わっていれば、自民党はいまだに野党の地位に甘んじていかもしれない。

 ただし安倍政権には、TPP参加に向けて、党内と国内の調整という大きな宿題が待ち受けている。これも民主党政権ができなかった課題である。これを乗り切れるかどうかが、安倍政権が本物かどうかの分かれ目となるだろう。良好な対米関係だけで国内政治は乗り切れない。しかし安倍外交は良好なスタートを切った。期待したい。

渡部恒雄(わたなべ・つねお)
東北大学歯学部卒業後、歯科医師となる。社会科学への情熱を捨てきれず米国留学、ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士課程修了。1995年にCSIS(戦略国際問題研究所)入所し、日本の政党政治と外交政策、アジアの安全保障、日米関係全般についての分析・研究に携わる。現在、CSIS非常勤研究員、沖縄平和協力センター上席研究員を兼任。近著に「最新版『今のアメリカ』がわかる本:揺れる超大国―再生か、荒廃か?」。

渡部恒雄(わたなべ・つねお)

東北大学歯学部卒業後、歯科医師となる。社会科学への情熱を捨てきれず米国留学、ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士課程修了。1995年にCSIS(戦略国際問題研究所)入所し、日本の政党政治と外交政策、アジアの安全保障、日米関係全般についての分析・研究に携わる。現在、CSIS非常勤研究員、沖縄平和協力センター上席研究員を兼任。近著に「最新版『今のアメリカ』がわかる本:揺れる超大国―再生か、荒廃か?」。


ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。


03. 2013年2月27日 01:01:53 : xEBOc6ttRg
2013年02月26日 01:06 本 経済
岩田規久男氏の笑えるリフレ論【再掲】
岩田規久男氏が日銀の副総裁候補になったそうだが、これは日銀を大混乱に陥れるおそれが強い。民主党は反対すべきだ。2年前の書評を再掲しておく。
---
「読んではいけない」のリストも最近はリフレばかりになったので、もうこの種の本は読む気がなかったのだが、ネタとしておもしろいので、つい買ってしまった(リンクは張ってない)。

著者(岩田規久男氏)によれば、日本経済のすべての悪はデフレが原因らしいが、その理由が支離滅裂だ。たとえば「デフレで雇用は悪化する」という根拠として、2005〜9年に実質賃金が下がったという統計が示されている。この原因は労働需給が悪化して名目賃金が下がったからで、ごく当たり前の現象だ。デフレが企業収益を悪化させるのは、名目賃金に下方硬直性があって実質賃金が上がる(と著者は他の本で何度も書いている)場合で、実質賃金が下がるならデフレの弊害はない。予想されたデフレは実体経済に中立なのだ。

名目ベースの「超円高」の原因がデフレだというのは、その通りである。だから実質実効為替レートでみれば、別に円高ではない。著者はそれを認めながら「『実質実効為替レートの急騰は円高ではない』と主張するのは『デフレはよい』といっているに等しい」という。彼は事実判断と価値判断の区別がつかないのだろうか。デフレによる円高は国際競争力に影響しない。1ドル=100円から80円になっても、100万円の自動車が80万円になれば、輸出価格は1万ドルで変わらない。

著者は高橋洋一氏やモリタクのような貨幣数量説を否定し、「貨幣供給量が増えれば直ちに物価が上がるという『単純な貨幣数量説』を唱える人は、現代の経済学界ではほとんどいない」という。ゼロ金利では、量的緩和をしても物価が上がらないことも認める。しかし量的緩和で(物価連動国債でわかる)予想インフレ率は上がるという。これが事実だとすると、

 1.量的緩和で金融市場の予想インフレ率は上がる
 2.しかし量的緩和をしても物価は上がらない

したがって三段論法で考えると、

 3.量的緩和をすると金融市場が誤った予想を抱く

という結論が導かれる。つまり量的緩和は金融市場を混乱させるだけで、実際にはインフレは起こらない。一般国民はマネタリーベースなんか知らないからだ。ところが著者は、量的緩和で予想インフレ率が上がると株価が上がるという。そんな経済理論はないし、逆の因果関係(株価が上がったために予想インフレ率が上がった)も考えられる。因果関係を無視して相関関係だけで語るなら、太陽の黒点活動のほうが景気に関係がある。

リフレ派の主張には理論的根拠がなく、時系列データを見てもマネタリーベースと物価に相関はない。論拠が次々に崩れて敗走したあげく、最後の砦がこの「株価が上がって景気がよくなってデフレ脱却」という怪しげな話らしい。そしてまた「無税国家」が出てくる。こういう「盲撃ちすればいずれ当たるだろう」という話は、「具体的にどうすればインフレが起こるかわからないし、止められるかどうかもわからない」と白状しているようなものだ。そんな無責任な政策を日銀が取れるかどうか、大人ならわかるだろう。

みんなの党は基本政策は悪くないのに、リフレのおかげで色物と見られ、「リフレ派でないみんなの党が欲しい」といわれている。みんなの党の桜内文城議員も「国会議員の方が社会会計に基づくロジカルな議論をしようとしているのに、議員でもない者(財務省の先輩)が理論もデータもないオカルト的な言説を吹聴して党の政策の信頼性を破壊している」と怒っている。もう無駄な退却戦はやめ、まじめに潜在成長率を上げる政策を考えてはどうだろうか。

追記:量的緩和で予想インフレ率が上がったというのは嘘である。ブレークイーブン・インフレ率は変化していない。


 


2013年02月26日 22:57 本
インフレ目標は政策なのか
本書は昔からインフレ目標を提唱し、一度は日銀副総裁の候補にもなった(民主党が否決した)著者の解説書のアップデート版である。岩田規久男氏のような日銀バッシングはなく、ごく常識的な内容だが、いくつか疑問がある。

第一は、インフレ目標は「政策」なのか、ということだ。物価を安定させるとか景気変動を減らすというのは政策目標だが、インフレ目標はそのための手段の一つにすぎない。同様の政策手段の一つにテイラールールがあるが、これを政策と呼ぶ人はいないだろう。それは中央銀行がルールにもとづいて金利を操作する枠組の一つであり、絶対化して法律で決めるようなものではない。

著者も説明するように、イギリスでインフレ目標を立法化したのは、イングランド銀行を政治家のインフレバイアスから守るためだった。安倍政権のインフレ目標はインフレバイアスに迎合して強制的にインフレを実現させるもので、本来のインフレ目標とは逆に中央銀行の独立性を侵害するものだ。

第二に、著者も認めるようにこれまでのインフレ目標はインフレを抑制する目標であり、安定している物価を引き上げる目標を設定した国はない。それが可能なら設定してもいいが、どうやって物価を引き上げるのかという手段が不明だ。これまで日銀が10年以上やってきた量的緩和でインフレは起こらなかった。ニューズウィークにも書いたように、量的緩和はすべて無効だというのが学界の結論である。

著者も今までできなかったことは認めるが、他の手段があるという。明らかに効果があるのは、CPIに含まれる耐久消費財を日銀が大量に買うことだ。これでCPIが上がることは確実だが、これは政策として意味があるのだろうか?

要するに、インフレ目標は政策ではないのだ。著者のいう「デフレスパイラル」は起こっていないし、吉川洋氏も指摘するように名目賃金は下がっているのだから、インフレの最大の目的である実質賃金の引き下げにも意味がない(これは著者も認めている)。

根本的な欠点は、著者がデフレが貨幣的現象だという前提を疑っていないことだ。「日本だけデフレに陥っているのは金融政策が悪いからだ」というが、これは間違いである。上の図のように、20年間でアメリカの名目賃金が90%上がると予想されるのに対して日本は10%下がっている。デフレはこのような実物的現象なので、日銀がいくら金融緩和しても止まらないし、止めるべきかどうかも自明ではない。

追記:アマゾンのデータは、書名がまったく別の本になっている(ISBNは正しいのでこれを買っても大丈夫)。
「本」カテゴリの最新記事
インフレ目標は政策なのか
岩田規久男氏の笑えるリフレ論【再掲】
リフレはヤバい
アベノミクスを考えるための文献リスト
アンチフラジャイル
デフレの原因は名目賃金の低下である
アメリカは日本経済の復活を知っている
暗愚の保守主義
核燃料サイクルと核兵器
コストを試算! 日米同盟解体

http://ikedanobuo.livedoor.biz


04. 2013年2月27日 01:33:31 : xEBOc6ttRg
【第270回】 2013年2月27日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
日銀正副総裁人事案の評価と市場・経済の今後
黒田総裁と岩田副総裁
正・副反対なら満点に近い

 注目の日銀の次期正副総裁に関する政府の人事案が発表された。既報の通り安倍首相は、総裁には黒田東彦アジア開発銀行総裁、副総裁には岩田規久男学習院大学教授、中曾宏日本銀行理事を起用する意向だ。

 理想を言うと、黒田氏と岩田氏の正・副が反対なら、満点の人事だった。市場関係者から「最も株価が上がる総裁候補」と見られていた岩田氏が総裁なら、「これまでのやり方を変える」というメッセージが、より明確になったはずだ。

 財務省出身だが次官経験者ではない黒田氏の名前が噂に上った段階では、財務省は副総裁ポストを取ることで満足する方針なのかとも思ったが、財務省は今回総裁ポストを取ることができてそれ以上に満足だろうし、政治的には麻生財務大臣の顔も立つ。

 黒田氏は、財務省の中では過去の日銀の政策に批判的な方だった。一応、安倍首相と意見を同じくする人という条件には合致する。また、国際金融関係の仕事が長いので、外国の通貨政策関係者とのやり取りはスムーズだろう。

 とはいえ財務省出身なので、少なくとも「傍目からは」、財務省の意を受けて将来緊縮的な政策に傾くのではないかという懸念が伴うし、“国際派”は外国からの圧力に弱いのではないかといった心配もないではない。

 市場を相手にする日銀の役割を考えると、人事が与えるイメージも政策のうちなので、目下「財務省出身」はマイナスポイントだと評価せざるを得ない。

 筆者は、日銀法改正に対してどう意見表明するかによって黒田氏の評価を決定するのがいいと考えている。

 国会で所見を問われた際に、「政策目標は政府が与えるもので、中央銀行の独立性とは手段の独立性だ。このことを将来共々はっきりさせるために、日銀法の改正は必要であり、そうするように強く要望する」と堂々と述べるなら、黒田氏は人物として「本物」だ。

 日銀法改正には触れずに、日銀の、すなわち自分の責任を曖昧にしたままで、ただ声高に「デフレ脱却を目指して頑張る」と言うだけなら、悪い意味で「バランスを取る」平凡な官僚出身者と評価して、将来の行動のブレを警戒せざるを得ない。

 他方、長年日銀批判の急先鋒であった岩田規久男氏が副総裁とはいえ、日銀の内部に乗り込むことになったことは画期的だ。

 人事が報道されて初日の25日に、日経平均が前週末比276円も上昇したことの効果の半分以上は、岩田規久男氏起用のサプライズ効果ではないだろうか。とはいえ、できれば岩田氏が副総裁ではなく、総裁ならもっといい。

 ところで、冒頭で黒田・岩田両氏の正・副が反対だったら満点だと言ったのは、我ながらいささか正確性を欠いている。

 組織としての日銀が、行内の出世頭の席としてプロパーの副総裁を何としても確保したいという意思を持っていることは理解できるし、世の中の人事というものは、このくらいのものなのかも知れない。

 しかし、日銀プロパーの中曽理事の副総裁起用は、政策決定会合における「積極的な金融緩和論者」の票を一票減らしている点で“アベノミクス”の趣旨に逆行している。正副総裁3人のうち2人が財務省と日銀からというのでは、日銀が大きく変わるという印象にはならない。せっかく出世した(まだ正式決定ではないが)中曽氏には申し訳ないが、「残念な」人事である。

日銀人事は衆参両院で同意が必要
みんなの党は反対の旗を降ろさない

 さて、日銀の正副総裁は、言うまでもなく衆参両院の同意が必要な、手続き的に面倒な人事だ。目下、自民・公明の与党の合計では過半数を持っていない参議院の動向が注目される。

 今回の人事案に民主党が反対した場合、自民・公明両党に加えて、みんなの党、日本維新の会などが賛成に回ると可決を得ることができるが、みんなの党は今のところ、財務省出身を理由に黒田氏の総裁就任に反対する意向を表明しているので、みんなの党が翻意しない限り、民主党の協力が得られないと、この人事案はすんなり通らない。

 みんなの党の反対はそれ自体として筋が通っているし、キャスティング・ボートを持つことが同党の最大の政治的資源であり、当面の存在感の源の1つなので、彼らが「反対」の旗を簡単に降ろすことはないだろう。

問題は「民主党がどう動くか」
ぐずぐず注文を付けて賛成に回る?

 問題は、民主党の賛否ということになる。

 今回の日銀人事への対応は、民主党が政治的に主な敵を自民党と見ているのか、みんなの党や日本維新の会と見ているのか、ということを判別できるリトマス試験紙になる。

 民主党が、財務省出身者を日銀総裁に選ぶことを説得的に批判し、より優れた対案を出すことができるなら、人事案に反対の道を行くことが考えられる。アベノミクスを批判するか、さらに上回る政策と人事案を提示して国民を納得させることができるなら、政治的には迷うことなくこの選択だ。

 だが一方、退潮著しい民主党が、次の参院選を横目に見つつ、野党内での比較優位の確保くらいに目標を下げるなら、「いたずらな反対だ」とみんなの党を批判して、賛成に回る選択があり得る。

 この場合、同党の存在感はますます希薄化することになるが、比較の対象を「野党内」に限るなら、しばらくの間は悪くない気分かも知れない。

 筆者は、海江田代表の能力では今回の人事案に対する説得的な反対でポイントを稼ぐことが難しいので、ぐずぐずと注文を付けながらも民主党が賛成に回るような気がするが、現在同党はカオス化しており、どちらに転ぶのかは正直なところわからない。

 黒田総裁が否決されて、岩田規久男氏が総裁に繰り上がるというような(ポジティブな)サプライズが転がり出ることも考えられるし、今回の人事案全体が否決されて、岩田規久男氏を日銀に送り込むことができなくなるという、何とも残念な事態になる心配もある。

相場と経済の今後はどうなるか
大胆な金融緩和は続けざるを得ない

 日銀の正副総裁人事は、今後の日銀の行動予測への影響を通じて、為替レートや株価に影響するし、ひいては経済のパフォーマンスにも影響を与える。このこと自体は筋が通っており、政策としてはより良いメッセージ効果を持つ人事が重要だ。この点に間違いはない。

 しかし、一歩退いて考えて見ると、仮に市場を失望させるような人事が実現した場合、たとえば株価が大きく下がったら、次には何が起こるだろうか。

 おそらく、誰が正副総裁であっても、市場にポジティブなサプライズを与える政策を発表するだろう。さすがに今回の安倍政権は、日銀を自由気ままな放し飼いにしてはおくまい。

 残存期間の長い国債の大量買い入れ、外債購入(外国との兼ね合いで難しいかもしれないが)、ETF(上場型投信)やREIT(不動産投信)を通じた株式や不動産の買い入れ、インフレ目標の引き上げ、日銀法改正など、追加的に使うことができる手段はあまたある。

 投資家というよりもビジネスマンの目で、日々の相場の反応から一歩引いて事態を眺めると、誰が総裁・副総裁になっても、「物価上昇率2%」までは大胆な金融緩和を続けざるを得ないことが見える。

 この点は誤解して欲しくないが、筆者は日銀が大胆な金融緩和によってデフレ脱却を実現させるべきだと思っているし、現在の資産価格(株価や不動産価格)はまだまだバブルの域には達していないと判断している。

 だが他方で、金融が絡むビジネスの観点から考えると、当面予想される経済環境は、後にバブルに至るようなブームを起こすのに実に好適だと言える。

「アベノミクス」はバブルを起こすか
信用の質と金融システムの管理を工夫せよ

 バブルは、金融緩和状態を「必要条件」として、「リスクが小さな儲け話」に見えるような“バブルの種”が登場することで、信用の過大な膨張が起こることによって発生する。

 そして、金融ビジネス及び個々の金融マンは、顧客や資金の貸し手、あるいは金融機関の株主(いずれも利用する対象だ)により大きなリスクを取らせることを通じて、自らの収入を拡大する「ビジネス・モデル」を持つ。金融ビジネスの制御が難しいことがバブル問題の核心だが、この問題が簡単に解決することはなさそうだ。

「予想」の問題としては、アベノミクスが将来「バブル的」状況をもたらす可能性は小さくない。(では、誰が、どのように起こすのかが問題だ!)

 政策論としては、日銀を含む経済政策当局に対しては、あくまでもデフレ脱却と両立する形でだが、信用の質と金融システムの管理を工夫することを求めたい。これが、これからの中央銀行マンに求められる課題だと思う。

 他方、金融マンを含むビジネスマンには、いささか挑発的に過ぎるかも知れないが、「金儲けが本当に好きなら、今の環境でバブルの1つも起こせなくてどうする!」と言ってみたい。当面、それくらいのチャンスがあるはずだ。

「さて、あなたは、何で儲けるつもりですか?」

 


 


【第54回】 2013年2月27日 上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]
なぜ日本はG20で名指し批判を回避できたのか
――ターニングポイントを迎える日本外交
 安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」が円安・株高を生じさせ、景況感をよくすることで、日本国内にある種の高揚感が生まれている。一方で「失われた20年」と呼ばれた期間、金融緩和や公共事業が繰り返されてきたが、本格的な成長に結びつかず、その効果が終われば再び景気が低迷してきたことを、日本国民はよくわかっている。これらの政策は「時間稼ぎ」に過ぎず、「第3の矢」と呼ばれる「成長戦略」が最も重要だと指摘する識者は多い。

 安倍首相自身も、「成長戦略」の重要性を認識している。首相が「時間稼ぎ」の金融緩和・公共事業に徹底して取り組む理由は、7月の参院選で勝利して「ねじれ国会」を解消し安定多数を獲得することで、既得権との戦いになる「成長戦略」に万全の態勢で取り組むためであろう。安倍首相が参院選前に第2弾の景気対策を打ち出すとの噂があるほど、首相の参院選に賭ける思いは強い。

 識者や経済界にも、安定多数の確保までは「時間稼ぎ」が許されるという意味で、アベノミクスを支持する向きは多い。だが、国会で安定多数を確保しても、既得権を抑えられるとは限らない。自民党政権の歴史を振り返ると、むしろ安定基盤を持つ政権のほうが、短命に終わってきた。例えば、竹下登内閣が総主流派体制による政権運営に乗り出したが、わずか1年半で退陣に追い込まれたのだ。

 それは、自民党という政党が、さまざまな業界団体の支持を集める、政策志向の幅の広い派閥の連合体という特徴を持ってきたことに由来する。自民党が選挙で勝利すると、さまざまな支持者をバックにした議員が大量に当選する。そして「選挙の勝利」を盾にして、それぞれの「既得権の維持・拡大」を主張し始める。安定多数を確保すればするほど、自民党内ではさまざまな政策・利害の対立が激化するという現象が起こる。その結果、首相は党内の掌握が困難となり、政権が短命に終わってしまうのだ。

 一方で、安定基盤を持たない政権ほど、歴史に残る大改革を成し遂げている。小派閥の長でしかなかった中曽根康弘内閣は、国鉄民営化など行革を成し遂げた。自民党・社会党・さきがけの連立政権では、村山富市内閣が消費税率の3%から5%への引き上げ、地方消費税を導入した。橋本龍太郎内閣は省庁再編、金融ビッグバンを実現した。安全保障政策も、自民党政権が安定多数を誇る時代には進ます、中道左派政党が加わった政権のほうが進展した(前連載第29回を参照のこと)。

 そして、自民党政権ではないが、野田佳彦内閣がねじれ国会下で民主・自民・公明の三党合意により消費増税を実現したという事例もある。これは、安定した基盤を持たない政権ほど、野党の改革的な政策志向を取り入れざるを得なくなるし、野党側も政権獲得が見えてくると、より現実的な政策志向に変わるからであろう。従って、参院選での安定多数の獲得が、安倍内閣による成長戦略実現に資するとは限らない。

G20:日本は「円安誘導」との
名指し批判を回避できた

 さて、本題に入りたい。日米欧の先進国に中国、インド、ブラジルなど有力新興国を加えた主要20ヵ国・地域(G20)による財務相・中央銀行総裁会議がモスクワで開催された。会議の焦点は通貨政策になると考えられていた。特に、日本の経済政策「アベノミクス」に対して、海外の通貨当局の一部から「通貨安競争につながる」との懸念が出ており、G20が「日本叩き」の場となる恐れがあった。

 安倍内閣の誕生後、日本銀行が更なる金融緩和を進めるとの期待から急速な円安が進んできた。円相場は、昨年11月14日の野田佳彦前首相の衆院解散発言の時点では1ドル=79円台だったが、G20前には92円台に下落した。そして、円安の好影響で、日本の輸出企業の業績が急回復してきた。

 日本の輸出の急回復に対しては、韓国、ロシアやメキシコなど新興国が「円安誘導だ」との批判を強めてきた。新興国は、国内で製造した安価な製品を輸出し、経済成長の原動力にしてきたが、円安で日本が輸出を伸ばすようになると、輸出にブレーキがかかり始めたからである。また、新興国だけではなく、ユーロ高にたまりかねた先進国・ドイツも懸念を表明した。欧米メディアに「通貨戦争・勃発」の論調が広がりつつあった。

 しかし、G20で日本は名指しの批判を回避することができた。G20声明は「通貨の競争的な切り下げを回避する。競争力のため為替レートを目的としない」としたが、同時に「金融政策は経済の回復を引き続き支援するべきである」との文言を盛り込んだ。事実上、金融緩和の強化は容認されたのである。麻生太郎副総理・財務相は、G20終了後の記者会見で「一番の成果は、通貨戦争とあおられるのを完全に抑えられたことだ」と、安堵の表情を浮かべた。

G7共同声明の効果

 なぜ、日本は名指し批判を回避できたのだろうか。まず、G20に先立って開催された日米欧の主要7ヵ国(G7)が「通貨安競争を回避する趣旨」の共同声明を出したことが挙げられる。

 G7声明作成を主導したのは、G7議長国・英国だったと考えられる。元々英国は、イングランド銀行・キング総裁が「一部の国の自国通貨引き下げによる通貨安競争の拡大」を警告するなど、日本の金融緩和に批判的であった。これに、ユーロ高に悩むドイツ、フランス、自動車産業などの圧力を受ける米国などが批判に加われば、G7でさえ日本包囲網が形成されるリスクがあった。

 ただ、実はG7メンバー国の中央銀行は、いずれも低金利政策を採っていた。2008年のリーマンショックで始まった金融危機に対して、欧米先進国は金融緩和による自国通貨下落による輸出促進で、景気を上向かせようとした。これは、逆に通貨が切り上がった相手国に困窮を強いる、いわゆる「近隣窮乏化策」だと批判されてきた。金融緩和策の強化をテコに進んだ円安批判が高じると、「通貨戦争」との論調が広がり、それが欧米先進国全体に対する批判に拡大する懸念があった。

 G7議長国・英国は、日本をサポートしてG7声明作成に動いた。英国は、声明のたたき台として、2011年8月の前回のG7声明における「市場において決定される為替レートを支持する」を提示し、介入を伴っていない今回の円安に対する批判を弱め、通貨戦争への疑念を消していった。このG7声明作成を強力に支持したのが米国であった。G7声明が決定した当日、ブレイナード米財務次官(国際担当)が安倍政権の経済政策、アベノミクスに関し支持を表明したのである。

 G7声明がまとまったことは、G20会議での先進国の主導権獲得につながった。まず、先進国同士が批判合戦を展開する泥仕合を避けようとする方向で足並みが揃った。次に、日本は新興国などの円安誘導との厳しい批判に対して、徹底した理論武装をして、参加各国に対してロビイングを展開した。麻生財務相や白川方明日銀総裁が「円安の背景は、世界的な景気悪化シナリオが後退しているためであり、日本経済が成長すれば各国の利益にもつながる」と主張し、各国の好感触を得られた。

 そして、G7声明は新興国の機先を制する効果があった。G20の議長国・ロシアは、会議の成功を演出するために、G7声明をベースにG20声明の取りまとめる方向で動いたのである。声明作成の交渉はギリギリまでもつれたが、新興国のG7に対する批判を最低限に抑えられたのである。

「悪役」日本と国際舞台の「黒幕」英国:
日本外交はターニングポイントを迎えている

 結果論的だが、今回のG20会議で日本が果たした役割は大きかった。それは、従来の国際舞台での日本と異なり、日本が会議での「悪役」を務めたからである。

 これまで日本は、国際舞台で「感謝」されることはあっても、会議の主導権を握ることはなかった。典型的なのは、麻生氏が首相として臨んだ2008年のG20だ。麻生首相(当時)は国際通貨基金(IMF)向けの最大10兆円に上る資金支援方針などを表明した。だが、これはG20で「感謝」されたが、首脳外交で交渉力を得ることにはつながらなかったのだ(前連載第11回を参照のこと)。

 今回のG20会議での日本は、いつものような「感謝」を得る日本の姿とは程遠いものだった。むしろ、日本はアベノミクスを引っ提げて華々しく登場し、批判の矢面に立つ「悪役」となったのだ。そして、この「悪役」の背後には、通貨安による「近隣窮乏化策」との批判を避けたい国々がついた。英国・米国など先進国が「悪役」の陰に隠れながら、批判を受けることなくG7声明を取りまとめることができたのだ。

 これを日本から見れば、自ら「悪役」となって批判を避けたい国々の「隠れ家」を作ることで、国際舞台で共闘する仲間を集めることができたといえる。結果的に、日本は為替介入との名指しの批判を避けられ、金融緩和の自由も確保に成功した。

 今回、G7声明作成を主導した英国についても触れておく。一般的には、G7声明は米国が主導したと言われている。だが、実際の「黒幕」は英国だと考える。

 英国は、国際舞台で豊富な経験を持ち、国際金融、WTO、地球温暖化など、さまざまな国際会議の場において、「黒幕」的に行動してきた。その行動の基本パターンは、表面的には米国に議論をリードさせ、「自分が決めた」といい気分にさせる陰で、英国がしたたかに各国を説得するというものだ。

 英国は国際会議における究極の武器、「英語」を持っている。英語こそ、グローバルスタンダードの最たるものであり、国際会議では、交渉の最終段階で「英語がうまい人種」に主導権が握られていく。

 英語のうまい人種とは 米国人のことではなく、英国人である。端的に言えば、国際会議に出席する英国の高級官僚は、オックスフォード大やケンブリッジ大を卒業し、格調の高いトラディショナルな英語を駆使する。国際会議のクライマックス、文章をまとめる段階になると、彼らが登場することになる。英国は、合意文書作成の最終段階で、各国との微妙な表現の調整を行い、自らの不利にならないように文章を作るという、ある種の特権を行使しているといえる。

 この連載では、日本が国際舞台を渡っていく上で、英国との関係を強化することの重要性を指摘してきた(前連載第10回を参照のこと)。また、安倍内閣の外交方針は、第一次内閣および麻生内閣の方針を踏襲した「自由と繁栄の弧+戦略的互恵関係」とすべきである(第46回を参照のこと)。その観点からすれば、安倍政権の経済外交は、とりあえず好スタートを切ったといえる。

 ただ、魑魅魍魎が跋扈する国際社会の中で、日本自身があえて魑魅魍魎となり、主導権を取りに行ったことは、これまでの小さな感謝を得ることを積み重ねて、「感謝と尊敬」を得てきた日本とは明らかに違う(前連載第11回を参照のこと)。

 これは、日本が本気で国際舞台の主導権を取ろうとし始めたということかもしれないが、日本が「感謝と尊敬」を得れば満足だという「余裕」を失ったことを意味するのかもしれない。日本外交は、重要なターニングポイントを迎えているのかもしれず、今後の推移を見守らねばならない。

日米首脳会談:
また安倍首相の「悪い癖」が出ていないか

 さて、日米首脳会談である。安倍首相とオバマ米大統領は、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加について「あらかじめすべての関税撤廃の約束を求められない」とする共同声明を発表した。自民党が昨年末の衆院選で公約した、「聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉参加に反対」を、米国が認めたことを意味する。

 また、両首脳は中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル問題を踏まえ、アジア太平洋地域の安定のため日米同盟を強化することでも合意した。安倍首相は会談後「日米同盟の信頼、強い絆は完全に復活した」と力強く宣言した。

 安倍内閣の支持率は更に上昇しそうな勢いだ。だが、なんとなく安倍首相の悪い癖が顔を出しつつあるような感じもする。日米首脳会談について、中国の報道官は「米国は安倍首相に冷淡だった」と、日本のマスコミと真逆の論評を行った。

 実際、日米首脳会談で安倍首相・オバマ大統領の共同記者会見はなく、安倍首相は日本から来た報道陣を前に日米同盟の復活をアピールしていた。これは、どこかで見たことがある光景だ(第45回を参照のこと)。日米首脳会談の評価には、もう少し時間が必要なようだ。次回、詳細に分析したい。


 


 


スコアリング融資の反転増加を
喜べない三井住友銀行の内情

担保や第三者保証を不要としているだけに、金利は高くなることもある
Photo by Mieko Arai
 三井住友銀行(SMBC)のスコアリング融資、「ビジネスセレクトローン(BSL)」が再び脚光を浴びている。新規需要が増え始め、昨年末ごろから、これまで減少する一方だった残高に反転の兆しが出てきているのだ。

 銀行関係者の間では、「そもそも、まだ新規需要を取り込むほど積極的にやってたの?」と驚きの声が上がる。それもそのはずだ。銀行界には、スコアリング融資に苦い経験がある。

 スコアリング融資とは、融資の可否判断や設定金利を、決算書などのさまざまな数値を基に機械的にスピーディにはじき出す中小企業向け無担保融資のことだ。営業効率を上げる革新的なモデルともてはやされ、2000年代半ばにはメガバンクがこぞって活用した。

 ところが、行員が企業の経営状態を把握しない「まるで通販」(地方銀行関係者)のような機械任せの審査が行われるなど、不良債権が想定以上に増加。スコアリング融資から撤退する銀行が相次いだ。

 それでも、SMBCでは地道にBSLを続行。行員による取引状況などの確認強化はもちろん、数値化が難しい「定性的リスクを織り込むなど、モデルの高度化を進めており、貸し倒れが抑制されてきている」(SMBC)と胸を張る。収益面でも、「リスクに応じた採算性が改善している」(同)と、まずまずだ。

 しかし、そんなSMBCの表情が冴えない。この3月に、中小企業の資金繰りを助ける中小企業金融円滑化法が終了することで、BSLの需要増が予想されるからだ。

 一見、それはうれしい状況のように思える。だが実際には、有象無象まで駆け込んできて不良債権が膨らむ恐れが否めない。加えて、「今は中小企業の融資を銀行が断ると金融庁に通報が行き、円滑化法終了で倒産が増えないようにと焦る金融庁からすぐにお叱りの電話がくる」(複数の銀行関係者)のも悩みの種だ。

 中小企業をめぐる融資に悩みは尽きない。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

 



05. 貝瓜525 2013年2月27日 03:43:27 : FXM5y/uL06zjc : 7ZQRBH0wJ2
デフレ戦犯日銀の手先に成り下がったか。まったく、マクロ経済に無知蒙昧なデフレ派共。日本経済=国民が少しずつ凋落していくのが望みなのか。量的緩和がどういうふうに効くかは、ケインズが明らかにした金融政策が効く機序と一致している。

とにかくマクロ経済を勉強しろ。


06. 2013年2月27日 06:43:41 : HILqDlL5LE
『‘金融資本主義’自体が最早‘デッドエンド’に乗り上げてるんだから、制度自そのものを修正しないと、一歩も先へは進まない、っておいらは確信している。』

じゃどうするんだい?って言われても、♪困っちゃうなぁ〜なんだけど、一つだけ言えることは、「為替変動相場制=通貨の売り買い」が諸々の虚偽と混乱と不正義を招いていることは事実であり、取り合えず、廃止すべきなんだって思うわけ。
その大元にある問題は、<金本位制や銀本位制>といった「価値交換の媒体」を放棄し、紙幣を印刷すれば‘価値’が生まれるって錯覚しちまったことにある。
大昔の<固定性>に戻すのがいいのか?(現に「中国」は為替キャップ制を採用しているから変動相場制の‘鉄火場被害’に巻き込まるのを辛うじて凌いでいる。)それとも、各国間の<年間契約制>にするのがいいのか?思い切って<世界通貨>を発案するのがいいのか?…私にはとても手に負えない。先見性をもった、天才的な<経済学者>の出現を待望するしかない。
だから、無学な私が、それでも言いたいことは、‘紙幣通貨の売り買い’が本質になるような「資本主義経済」ほどフシダラナものは無い!ってこと。


07. 2013年2月27日 07:50:46 : 0nYD9E6MWA
>4
長すぎ阿修羅もくだらないコピペ投稿は文字制限してもらいたいね。

今回の株高はかなり先まで喰ってしまった

これから好材料は売り悪材料の買い場提供になって終息へ

次にくるのがアベノクソミクスの負の部分実体経済がドンドン悪くなる

一部外人、国内投資家に美味しい料理を先に食べさせて苦くまずい残飯料理だけが残されむりやり食べさせられるのだろう

金を再度買い増し



08. 2013年2月27日 07:58:27 : cWIBtbognM
一部の金持ちと湯田金は甘-いアメ
庶民はムチと地獄が待っている

09. 2013年2月27日 08:56:03 : vRI3ofw9zU
安倍や霞ヶ関は一般庶民をますます貧乏にして餓死したら代わりにどこから税金などをむしり取る気なんかね?

10. 2013年2月27日 11:29:34 : AF5OmaY4gc
日本人でいながら日本の良い製品はたかくて手がでず
好き嫌いにかかわらず危険で安価な中国品を購入してしまう

野菜や肉、衣料もだ
アレルギーのある幼児にはせめて綿100パーセントを着せたいもんだ
食品も添加物ばかり日本人でありながら自国のものが高価でかえない

安陪よもっと若いものを大切にしてください
せめて高校までは授業を全額とはいいませんが無償化にしてください


11. 2013年2月27日 15:50:24 : 9qu0Jh3EEE
ベルルスコーニを叩いてる日本のメディアは発狂してるんじゃないかと思う
奴が言ってるのは「財政破綻?知るか!バラまくぜぇー」ってことでしょ?
その結果イタリアの財政破綻危機再燃からユーロの信用不安、相対的に円高、早くも安倍バブル崩壊で逆上して「アホかベルルスコーニ」って言ってるわけだよね?
ん?
「財政破綻?知るか!バラまくぜぇー」???
それってお前らメディアが散々持ち上げたアベノミクスそのものだろが

通貨安競争と言えば聞こえはいいけど、要するに自国の財政の信用破壊競争だろ?
安倍が良くてベルルスコーニがダメというのは通らない
どっちも正しいか、どっちもダメか、二つに一つだ。

麻生とベルルスコーニは微妙にキャラかぶってるしな


12. 貝瓜525 2013年2月27日 16:03:47 : FXM5y/uL06zjc : 7ZQRBH0wJ2
小泉政権のころの格差広がりは、もしあったのなら、デフレそのものの影響と、デフレ下で緊縮財政や構造改革やったからだよ。

医療費自己負担引上げ、大して権限を委譲しないままの地方交付金引き下げ、派遣の拡大。それと、構造改革は、うまく行くものは社会の生産力を上げる。生産力を上げるということは、より少ない労働力で同じ物を作れるということ。経済がうつ病になって需要不足のデフレでこれをやると、雇用が大きな打撃を受ける。

派遣の拡大は、デフレへの企業の対応を助けた形だが、当然しわ寄せが労働者に来る。

量的緩和をやってデフレ克服の策は正しかったものの、竹中氏や高橋洋一氏などのフリードマン的小さい政府主義の人たちがやったから、財政面や構造改革でデフレ脱却と逆行することをしたので、デフレの悪影響が広がった。

したがって、小泉改革のころの格差拡大が、今回のアベノミクスでもおきると考えるのは間違いだ。なぜなら、消費税増税までは、安倍政権は財政拡大を続け、たいした構造改革もしないから。

ちなみに、中国からの安いものが入っているのは日本だけでなく、世界全部がそう。デフレになってるのは日本だけ。


13. 貝瓜525 2013年2月27日 16:05:51 : FXM5y/uL06zjc : 7ZQRBH0wJ2
追伸だが、消費税増税は大きなリスク。これで全部がだめになるかも。財務省と取引して、日銀総裁の座はやるから消費税はしばらく勘弁してとかやらないとだめだな、安倍総理は。

14. 2013年2月27日 22:38:28 : feNdwTpV3c
>G20 オバマ発言で1ドル=50円にまっしぐら (日刊ゲンダイ) 
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/610.html
>投稿者 赤かぶ 日時 2012 年 6 月 21 日 21:35:14: igsppGRN/E9PQ
>G20 オバマ発言で1ドル=50円にまっしぐら
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-6132.html
>2012/6/21 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ

結局、日刊ゲンダイは
その時々で「トレンドを強く批判する俺様、反体制的な俺様、カッコイー!」って
中二病精神で記事書いてるってことだな。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK144掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

アマゾンカンパ 楽天カンパ      ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK144掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧