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野党席から審議を見守る野田前首相(左)と菅元首相(14日、衆院本会議)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2102M_S3A220C1SHA000/?dg=1
2013/2/26 3:30 日経新聞
8日昼、民主党の2人の首相経験者が国会近くの日本料理店で向き合った。「どうすれば党を支えることができるかな」。昼食に誘った菅直人(66)の問いかけに、野田佳彦(55)の答えはそっけなかった。「今は何を言っても皆に迷惑をかけますから……」
民主党が自民、公明両党に政権の座を譲り渡して2カ月。3年余りに及んだ国政運営への失望が党への強い逆風となって吹き付ける。再生への手掛かりをなかなか見いだせない現状は、2人の元首相の姿と重なる。
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「閉門蟄居(ちっきょ)の身です。こういう時期は四股を踏むことが大事だ」。1月31日、自身のグループ「花斉会」に顔を出した野田の表情は硬かった。落選者には「残念ながら時間がいっぱいできた。一兵卒としてミニ集会でも何でも行く」と繰り返す。
昨年11月、党内の慎重論に耳を貸さず衆院解散に踏み切った結果が、選挙前の約4分の1の57議席という惨敗。党内は野田らを名指しで糾弾する声が満ち満ちている。
組織委員長の玉置一弥(68)は1月下旬、党本部で参院議員会長の輿石東(76)に迫った。「首相経験者を最高顧問から外してほしい。最低顧問だ」。周囲には「解散時期を間違えた野田さん、2010年の参院選で敗因をつくった菅さんは最大の戦犯だ」と息巻く。
消費増税、原発再稼働、環太平洋経済連携協定(TPP)――。野田は「決められない政治」からの脱却を目指し、社会保障と税の一体改革での民自公の3党合意にカジを切った。その決断に悔いはなく、周囲には「TPPもやっておきたかった」と漏らす。
当時の政権幹部は「結果として党の分裂を招き、有権者の失望に拍車をかけた」と振り返る。それだけに増税に反対して党を割り、生活の党代表を務める小沢一郎(70)との亀裂は決定的だ。
「小沢さんとくっつくつもりなら考えないといけないなあ」。野田は13日夜、都内のレストランで側近の長島昭久(51)や政権時代の後見役で政界引退した藤井裕久(80)と日本酒を酌み交わしながら語った。藤井も「野田さんの最大の功績は消費増税と小沢さんを追い出したことだ」と相づちを打った。
輿石らは離党組との再連携への意欲を公言している。小沢との距離感は、野党に転落した後も党内対立の火種だ。
菅は独自の動きを見せる。1月22日、党本部で開いた常任幹事会で、おもむろに「党再生に向けて」と題する一枚紙を配った。「二大政党の一方になるには選択肢を国民に提示できることが必要。右傾化する自民党に対抗する二大政党を目指すべきだ」
新たな党綱領を巡り、執行部内には「中道」や「リベラル」という言葉で対立軸を明確にする案もあった。ただ保守系議員の反発を懸念し、構想は幻に終わった。
菅は14日の党綱領検討委員会でも「なぜ『リベラル』と書かないのか」とかみつき、「まとめる直前になって言わないでください」と制された。政策の軸が定まらず、党内がまとまらない構図はいまだに変わらない。
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民主党の看板に執着する必要はない、との突き放した空気も一部に漂いはじめている。
「近いうちに飯でも食おうや」。1月下旬の衆院本会議場。長島は日本維新の会の共同代表、石原慎太郎(80)に肩をたたかれた。保守系で前から石原と親交がある長島は会うたびに「いつ維新に来るんだ」と声をかけられる。長島のもとには「受け皿をつくってほしい」との落選者からの電話も相次いでいる。
維新は自民党に対抗する「第二極」の中核をうかがう。共同代表の橋下徹(43)は21日の記者会見で民主党の現状について言い放った。「僕らと同じ価値観の人もいれば真逆の人もいる。政党の体を成していない。早く別れた方がいい」
民主党は「日本を変えてほしい」との有権者の期待を集め、一度は圧倒的な第1党に上り詰めた。野田の周辺は衆院選敗北について「結論を出す政治が批判を受けたわけじゃない。鳩山、菅両政権の負の遺産を跳ね返せなかった」と漏らす。
24日、民主党が再起を目指して開いた党大会。代表の海江田万里(64)は厳しい表情で会場に問いかけた。「なぜ失敗したのか。何を間違え、何が足りなかったのか……」
その答えを出さないままで、復活の日は訪れない。(敬称略)
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