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2月22日 東京新聞「こちら特報部」 :「日々担々」資料ブログ
ネット選挙が全面解禁される方向だ。選挙期間中、候補や政党が選挙や政治についてネットで発言できない現状はおかしいとはいえ、半面、ニセ候補のなりすましによる悪意ある発言をどう防ぐかなど、課題もある。ネット上が悪口だらけになるという声も。夏の参院選からの解禁となりそうだが、不安はないのか。(小倉貞俊)
「選挙への関心を高め、政治の活性化や投票率アップを実現したい」−。自民党の逢沢一郎氏は十三日の与野党実務者会合でこう強調した。与野党は国、地方選挙でネット選挙を解禁することで合意している。
ただ、悪口、極端な批判、嫌がらせもあるネット社会の現状をみていると、ネット選挙がうまく機能するのか、不安も残る。「ネットで書き込まれた情報は本当であろうが、ウソであろうが、利用者に一気に広がってしまう。場合によっては、党や候補に深刻な打撃となる」。ニュースサイト編集者の中川淳一郎氏はこう指摘する。
ネット選挙解禁に当たって、政治家の中でも心配する声が高いのは「なりすまし」だ。解禁によって、政党、候補、第三者はブログ、簡易投稿サイトのツイッター、交流サイトのフェイスブックで選挙について書き込むことができるようになる。
しかし、「敵」が自分を装って、「ひどい発言」をした場合、どうなるか。その候補は人格さえ疑われ、落選ということになりかねない。
しかも、ネットの世界では最近のパソコン遠隔操作事件ほど手は込んでいないとはいえ「なりすまし」が横行している。本名を表示しないで済むツイッターにはその傾向がある。
京都大学の山中伸弥教授、タレントの剛力彩芽さんや鈴木福君の「偽物」が発言し、問題となったこともある。政治分野では、二〇〇九年十二月に鳩山由紀夫首相(当時)のなりすましが最初で、「閣議では音を鳴らさないでおならをする必要がある」などと発言した。ネット選挙解禁で、候補が面白半分で標的にされることは十分に考えられ、中川氏は「落選させたい候補を名乗って、暴言を吐き、評判を落とすなどの手口が考えられる」と指摘する。
今回の解禁では、「なりすまし」や党、候補への悪質な中傷などを防止するための措置は検討されている。
問題のある発言を発見した場合、候補本人がプロバイダー(接続業者)や掲示板などのウェブサイト管理者に通報。プロバイダー側は確認の上で書き込んだ当事者に連絡し、反応がなければ、二日後に削除できる。サイトでの虚偽表示には公民権停止、禁錮刑の厳罰を科す方向になっている。
ただ、削除の対象になる「誹謗(ひぼう)中傷」の定義ははっきりしない。虚偽、根拠のない批判や悪意のあるうわさは該当するだろうが、判断は難しい。「表現の自由」にも絡む微妙な判断をプロバイダーなどに任せることには問題もある。
プロバイダー側にもとまどいがある。NECビッグローブの広報宣伝部は「どれが中傷に当たるかどうかの判定は難しい。『○○候補が××と発言しており、けしからん』と書き込んだ場合、発言した事実があるのかどうか、また事実であっても、削除対象になるのかどうか」。別のプロバイダー会社の広報担当は「選挙期間中は、国が判定のための第三者機関を設けるなど配慮してほしい」と求めている。
一方、ニフティの広報担当者も「候補の削除要請でも優先できない。一般の削除要請との同時対応になる」と説明する。
予想以上の削除要請が集中した場合、十分に対応できるかどうか。結果として、事実上「野放し」になる可能性も否定できない。
ネット選挙解禁は国民の選択や考え方にどんな影響を与えるか。
「ネットが解禁されることによって政治と有権者の距離が近くなる。日本の政治にとって大きなメリットだ」。ソーシャルメディア・コンサルタント会社「アクトゼロ」の黒沼透氏はこう強調する。同社は企業・官公庁のネット展開が専門で、ネット選挙ビジネスも視野に置いている。
解禁によって、政策や主張、それに対する意見や批判も有権者はネットを通じて容易に触れることができる。「どの政党、候補を選ぶか、有権者はこれまで悩んだと思うが、ネットを活用することで、考えやすくなる」と語る。
心配されるネット上の悪口についても「ネット社会は思っている以上にバランス感覚が働いており、ユーザーは一方的な情報を信用しない」と、さほど問題とは考えていない。
逆の意見もある。「ネガティブキャンペーンがひどくなる。その結果として、国民は二分対立する危険がある」。警告するのは、ネット選挙の技術が進んでいる米国の政治を研究する前嶋和弘・文教大准教授(米政治)だ。
前嶋氏も解禁によるメリットは認めている。例えば、選挙期間中に根も葉もない怪文書などをバラまかれても、ネット解禁となれば、怪文書の対象になった候補、政党はネットを通じて迅速に打ち消すことができる。
しかし、前嶋氏はそれ以上に米国のような「汚い選挙戦」にならないのかを危惧する。
「表現の自由、意見の自由」を重視する関係で、米国のネット選挙は事実上、なんでもOKで、敵対する候補をネット広告でこっぴどく攻撃する。「あの候補はウソを言っている」「パブリック・エネミー(国民の敵)」などは選挙広告の決まり文句だ。
日本で検討されているネット選挙解禁は、誹謗中傷は削除されることになっているため、米国のネット選挙とは異なるが、それでも、サイト管理者やプロバイダーがどこまで削除できるか分からない。また、どんなに根拠のないひどい内容でも二日間は削除されないことを考えれば、結局、米国のようなネガティブ広告合戦となるのは避けられないという。
ネガティブ合戦の先にあるのはなにか。前嶋氏は「国民的対立」だと指摘する。国民は自分の考えに近い意見が掲載されているネットに偏って見る傾向があるという。保守派は保守的意見、リベラル派はリベラル的意見に閉じこもって対立。「かつてネットは国民を融合すると言われていたが、むしろ、両極に分断する」と語る。
ネット選挙はカネがかからない、小さな政党にも有利というのも、どうも怪しい。もちろん、ツイッターやフェイスブックにはカネは事実上かからない。しかし、解禁となれば、各党は党や候補を売るネット上広告や関連映像など、魅力的なコンテンツ(内容)を競って用意することになり、結局はカネの競争になる。その競争では、資金力の強い政党が有利になる。
ネット選挙解禁をにらみ、米国の選挙広告ビジネスが日本進出を検討している。一定の規制はあるとはいえ、米国流のカネと悪口の選挙になる可能性は否定できない。
疑問を抱えたまま、与野党は参院選解禁に走る。しかし、削除基準などを含め、運用方法を慎重に考えないと、「参院選は大混乱となる」(前嶋氏)。
<デスクメモ> 「親愛なる××。助けてくれ」。こんなメールがオバマ大統領から送られてくる。××には名字ではなく、下の名前。自慢ではない。昔、米民主党のサイトに登録したら、送られてくるようになった。ファーストネームで呼ばれると協力したくなる。政治や選挙のネット技術の開発が進む米国の一例。(栗)
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