http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/326.html
Tweet |
「日米首脳会談:「TPP+辺野古+ハーグ条約」が土産でも、晩餐会はともかく、共同記者会見さえ開かない冷遇ぶり」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/281.html
==================================================================================================
対外的問題で自国の内閣総理大臣を悪く言いたくはないが、今回の日米首脳会談は、やるよりやらないほうが良かったと言えるものだ。
中国にひれ伏すのは絶対に嫌だが、アメリカにだったらいいという倒錯した価値観観を持つ従米派は別だろうが、今回の日米首脳会談は、歴史に残るほどの恥ずべき「国際政治ショー」になってしまったと残念に思っている。
(私は、中国にも米国にもひれ伏すことなく、開かれた国家として自立して諸外国との関係を強化していくことに日本の将来があると思っている。東アジアのなかで、7世紀後半以降、中華帝国の冊封体制に組み込まれずに自立して生きてきた日本だったからこそ、ことの良否はともかく、いち早く近代化を遂げることができたとも考えている。悪口として言うわけではないが、韓国の“異様な振る舞い”は、近代以前は中華帝国に従属し、近代になってからは日本に併合され、戦後は米国の実質的支配下に置かれているなかで醸成された精神性のねじれた発現形態だと受け止めている)
今回の首脳会談は、米国に望まれて開催されたものならまだしも、日本が望んでようやく開催されたものであり、その経緯は諸外国も知っており、今回の首脳会談で日本が米国からどのように遇されるか大きな関心をもってウォッチされていた。
国内向けなら、安倍政権=自民党の“提灯持ち”に精を出す主要メディア(テレビ朝日は少し違っていたが)の支援を受け、「これで、民主党政権時代の不安定な「日米同盟」が解消され、強固な「日米同盟」を基礎とした外交を展開する条件が整った」“成功譚”として語られ、少なからぬ国民も、残念ながら、そう信じるだろう。
日本が20年以上も続く経済停滞のなかにいるせいなのか、ただ思考的に怠惰であるがゆえなのかはわらないが、対共産圏冷戦構造を基礎に日米がNo.1No.2の経済力を誇った世界経済という“大昔のパラダイム”から抜け出せない人たちが、政治家・官僚・言論界そして国民のなかにも大勢いるようである。
たぶん、現在のパラダイムを熟知し、そのなかで利益を得ようと考えているのはグローバル企業の経営者たちなのであろう。
会談後の共同声明や会見も、同盟強化・関係強化という言葉だけが踊る抽象的な内容が語られるだけで、懸案事項について具体的な共通政策は打ち出されたとは言えないものだ。
しかも、首脳会談の一大イベントである両首脳が並んで記者会見場に歩み寄り並んで共同記者会見に応じるという場面さえやはりなかった。
首脳会談は事前にお互いの外交官が交渉を行い会談前にはストーリーが出来上がっているものだから、結局のところ、その首脳会談にどういう意義があったのか、どちらにとって成功だったのかなどは、共同記者会見でのパフォーマンスで評価される。
外交慣例を知らない人は気にならないかも知れないが、知っている人にとっては、なぜどうしてと思う冷遇なのである。とりわけ、ちょうど1年前の習近平副主席の訪米を記憶している人たちにとっては、安倍首相に対する接遇がそれと愕然とするほど違っていることに驚いたはずである。
安倍内閣が日本というわけではないが、諸外国から見れば、安倍内閣が日本として映る。
そのような意味で、日本の存在感や政治力の劣化をさらした安倍首相を悪く言いたいわけではない。
あまり気分のいいものではないことを書いたのも、世界のパラダイムは政官財を牛耳っている人たちが世界観や価値観を育まれた時代とは大きく変貌していること、国民も、米国の庇護下で経済成長を遂げ豊かな生活を手にしたことを感謝しつつも、対外関係で自立していく道を歩み始めなければ、将来待ち受けている現実は辛く厳しいものになる可能性が高いことを指摘したかったからである。
個人的に、安倍首相は憎めないと思っている。勝手に、たぶん、生まれが良くて、才覚もないせいだろうが、小泉元首相のようなエグサが表面に出てきていない。だから、いわゆるいい人に見える。
褒めているのか貶しているのかわからなくなるが、自分の言動が意味するところが、それほどわかっていないのではないかと推測する。また、そう言うことが日本のためになると心から思い込んでいるようにも見える。言ってしまえば、まわりの大勢が何があっても支えてくれるような大店の三代目として据わりがいい人なんだろう。
日米首脳会談の内容については、既に、阿修羅にもいくつか投稿がなされているし、メディアのサイトでも確認できるので、メディアがあまり取り上げていない部分について簡単に触れたい。
● TPP関税問題
安倍首相や日本のメディアは、「聖域なき関税撤廃」ではないという合意を得たと説明しているが、米国にとんでもない譲歩を行った事実は隠されている。
TPPの関税問題について、日米両国の貿易では、日本は農産物に、米国は工業製品に重要品目が存在することを認識するとした上で、最終的な結果は、交渉の中で決まるとされている。
そして、これが、安倍首相が記者会見で「聖域なき関税撤廃は前提ではないことが明確になった」と説明した根拠である。
私はTPPへの参加自体に反対で自由貿易主義者でもないので、お互い譲れないものは譲れないという条件のなかで交易を盛んにすればよいと考えているが、ばりばりの自由貿易論者なら怒り心頭の合意であろう。
日米間の貿易における農産物と工業製品のウェイトを考えれば、TPPの関税交渉で、日本は農産物に、米国は工業製品に関税障壁を残すという合意がどちらのためになるかすぐにわかるだろう。
この合意があれば、米国は、日本からの輸入と競合する工業製品について関税を温存することができる。(おそらく、政治的影響を有する業界が求めるすべての品目で)
それなら、経団連加盟などのグローバル企業は不満をぶつけるだろうという見方もできるが、そんなことはない。25%のトラック関税がゼロになれば、トラックの対米輸出が可能になるとはあまり思わない。日米は、基本的に産業の棲み分けがなされており、TPP参加で対米輸出を増大させたいという意図は小さいのである。
農業のほうが大事だと思うが、それでも交渉ごとだから評価すると、金銭的には日本が米国に大きく譲歩したと言える合意内容である。
日本のグローバル企業がTPP参加を願うのは、どちらと言えば、日本での生産活動や日本向け商売でより良い条件を得体からである。TPP参加がどのようなメリットをもたらすかという具体的な説明は、次の参照投稿をお読みいただきたい。
※ 参照投稿
「グローバル(輸出優良)企業があれほどTPP参加に執着するワケ[その1]:輸出ではなく輸入の関税撤廃こそ利益源」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/123.html
「グローバル(輸出優良)企業がTPP参加に執着するワケ[その2]:恐いのは米国企業?それとも日本企業?」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/131.html
「グローバル(輸出優良)企業がTPP参加に執着するワケ[その3]:デフレになじみデフレを利としているグローバル企業」
http://www.asyura2.com/11/senkyo122/msg/136.html
● 重要な未来技術を提供すると“約束”した安倍首相
すぐ後ろに添付する日経新聞サイトの記事によると、安倍首相は、「米国の高速鉄道整備計画に協力し、実用化の段階にある超電導リニアモーターカーの技術を提供することも提案した」という。
記事は米国産シェールガスの輸入に関する内容が主で、文脈的に考えると、安い天然ガスを日本に提供してもらう代わりに「超電導リニアモーターカーの技術を提供する」と解釈することもできるが、天然ガス(LPG)は、別に、米国が“無償”で日本に供与するわけではない。米国の市場価格+輸送代で日本が買うのであり、日本が買うことで、市場価格がしっかりするというメリットもある。
「米国の高速鉄道整備計画に協力」することは、大いに賛成できる。整備のために必要な資金の一部を日本の政府系金融機関が融資するのも大いに結構だと思う。
しかし、米国がおねだりしたのかどうかはわからないが、根回しもたいしてされないあま「超電導リニアモーターカーの技術を提供する」と表明するのは暴挙と言える。
[「超電導リニアモーターカーの技術を提供する」と表明したことを含む記事]
米、シェールガス対日輸出前向き 首相が早期承認要請
2013/2/23 10:40
【ワシントン=原田逸策】安倍晋三首相とオバマ米大統領の首脳会談では、エネルギー分野など両国の経済協力を深めることでも一致した。
首相は米国の新型ガス「シェールガス」の対日輸出について「震災後、日本は燃料費削減が喫緊の課題。対日輸出が早期承認されるよう改めてお願いしたい」と要請。大統領は「同盟国としての日本の重要性は常に念頭に置いている」と応じ、輸出許可に前向きな姿勢をみせた。シェールガスは液化や輸送のコストを含めても日本の液化天然ガス(LNG)の輸入価格より3割ほど安い。
原子力政策を巡っては、首相が「『2030年代に原発稼働ゼロ』の前政権の方針はゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築したい」と述べて「原発ゼロ」の見直しを表明した。そのうえで北朝鮮の核実験も念頭に「核不拡散、平和利用の国際的責務を果たす。米国とは協力パートナーとして緊密連携していきたい」と語った。大統領も「日米間の協力を進めたい」と応じた。
日米両国で再生可能エネルギーなど「クリーンエネルギー」の開発、普及で協力を深めることでも一致した。今後、日米の民間企業の投資を促す方策などを検討する。
首相は、米国の高速鉄道整備計画に協力し、実用化の段階にある超電導リニアモーターカーの技術を提供することも提案した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2300Z_T20C13A2000000/?dg=1
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK144掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。