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昨日の日経1面に「原発ゼロ修正 米に表明へ」という見出しの記事があった。
内容は以下のようなもの
*****日米両政府は資源・エネルギー分野で包括的に協力する方向で最終調整に入った。22日にワシントンで開く安倍晋三首相とオバマ米大統領の会談で合意する見通し。首相は「2030年代に原発稼働ゼロ」をめざすとした民主党政権の目標の見直しを伝えるとみられ、原子力分野での協力関係を維持する方針を確認。再生可能エネルギーなどの開発、投資でも協力する。北朝鮮の核実験などを踏まえ、核不拡散体制を堅持することでも一致する見通しだ。
首相は21日に羽田空港を政府専用機で出発、現地時間22日に大統領との初の首脳会談に臨む。就任後、初の訪米になる。安全保障・経済分野で幅広い課題を話し合う予定で、首相は強固な日米同盟を確認したい考えだ。資源・エネルギー分野では、原子力や再生可能エネルギーでの協力、米国産シェールガスの対日輸出などが議題になる。原子力政策を巡っては、首相が原発ゼロを含む民主党政権の「革新的エネルギー・環境戦略」を「ゼロベースで見直す」と表明しており、大統領にも同様の説明をするとみられる。
民主党政権の原発ゼロ目標には、米政府から「使用済み核燃料の再処理で取り出したプルトニウムの使い道がなくなる」「米原子力産業は日米合弁が基礎。原子力技術が失われる」などの懸念が水面下で寄せられた。目標見直しを大統領に伝えることで、日米間の原子力協力を進めるとあらためて確認したい考えだ。(以下略)********
将来世代にわたっての最重要問題であり、懸念材料である原発問題は国論も大きく分かれている。そして脱原発の声がより大きいことは事実だ。私は即刻全原発停止派なので、民主党が掲げた「2030年代に原発稼働ゼロ」という方針も容認はできないが、しかし民主の方針には、少なくともベクトルを脱原発へ向ける程度の意味はあった。
ところがこれを撤回するというのであれば、とてつもなく大きな政策転換である。それを国民に問うことなしにアメリカの大統領に表明するというのは、最高レベルの従米である(そして「アメリカと約束したから民主時代の方針は撤回します」と国民に説明するのだろう)。そして、原発の推進、中止の立場の違いはおいても、このような総理大臣の売国行為を何の批判もなく垂れ流すこの記事は、日本政府の官報どころかアメリカ政府の官報に堕したといっても言い過ぎではない。
それにしてもこの記事は呆れを通り越して笑える。「北朝鮮の核実験を踏まえ、核不拡散体制を堅持する」というが、この国では「東京電力が起こした破局事故によって(しかもまだそれはまったく収束していない)、全世界に核を拡散中」である。
私は北朝鮮の核実験を断じて容認しないが、世界有数のプルトニウム保有国であり、しかも有史以来最大の原発破局事故を起こしたにもかかわらず、活断層の上に建てられた原発をいまなお動かしたがっており、なおかつ政治姿勢としては徹底的な対米従属で原子力の協力を進めるという国家が、日本海という狭い海域を隔てた目と鼻の先にあるのならば、誤解を恐れずに言えば、「こっちもなんかやっておくか」ぐらいのことを考えるのも致し方のないことだと思う(浅はかなやり方だとは思うが)。
日本というのは本当に不思議な国で、中国の大気汚染の影響については大騒ぎをするが、現に東京電力が撒き散らかした放射能についてはその影響を最小限に見積もり、従来の日本の法律に照らせば「放射線管理区域」となるべき地域に多くの人(それは小出裕章氏によれば1000万人になんなんとするのではないかという)が普通に暮らしている。なんとも凄まじい倒錯ぶりである(もっとも最近はそんなことを考えている自分の方が倒錯しているのかとさえ思ってしまう)。
世間ではアベノミクスとやらがもてはやされている。日経の速報メールを見ていると、株価が上がっただの円安になっただのと大ハシャギだ。私はこれを見ていると、「シナリオ営業」という言葉を思い出す。シナリオ営業とは証券会社の営業手法の一つで、つまり事前に一握りの優良顧客に対して株を仕込んでおいて、それを一般投資家に売り歩いて株価を釣り上げるという手法である。
かつてバブルが華やかなりし頃は、投資本というのがたくさん出ていた。著者は株式評論家である場合が多かったが、それらの人びとが証券会社の紐付きであるケースは少なくない。つまり株式評論家は証券会社から情報もらって個別の銘柄を勧めるのである。これも形を変えたシナリオ営業なわけだが、私が聞いた話では以下のようなものがある。
ある出版社でのこと。投資関連の本が出ると、普段は自社の刊行物など気にもとめない役員がゲラの段階で取り寄せて、そこに書かれている銘柄を買っては儲けていたというのだ とんでもない話だが、おそらくこのようなことはマスメディアのあちらこちらで行われていたのだろう。それでも一般投資家が何の疑問も持たなかったのは、経済全体が右肩上がりで、彼らもまたそのおこぼれを頂戴することができたからだ。
しかし、今日の状況は右肩上がりとはほど遠い状況である。そんななか、アベノミクスは、とにかく経済を良くすることに専念すると喧伝されている。ところが、このアベノミクスは福島第一原発のリスクを一切勘定に入れずに捨象している。私は経済のことはよくわからないが、一つだけ断言できるのは、福島第一原発の破局事故による被害総額(発生から将来における収束費用にいたるまで)は天文学的な数字になるということだ。なにしろ現時点でさえ、「東京電力が何度倒産しても、日本がたとえ破産しても足りない」(小出裕章氏)ほどなのだから、トータルでいったいどれだけの額になるのかはわからない。
いまは多くの日本人が福島第一原発の破局事故を過去のものとしつつある。しかし、実際はこの破局事故はまったく収束していない。メルトスルーした燃料がどうなっているのかもまったくわからず、汚染水はどんどん溜まっていく。手の付けられない状況がどんどん進行しているのである。そして、どんなにこれを隠しても、いずれはこの問題は顕在化し、国民の間にも広く知れ渡ることになると思う。そうなった時、日本経済はどうなるのか? これについてはわからないが、過去に一つだけある例を繙くと、旧ソ連はチェルノブイリの事故から5年後に国家そのものが消滅した。
もちろん日本がソ連と同じ道を辿るかどうかはわからないが、少なくともアベノミクスが最大級のリスクを捨象する限り、多少、株価が上がったとしても、その先に大きな落とし穴があることは間違いない。だが、原子力ムラと一心同体の安倍政権は、それを承知の上で一時的な経済回復を狙っているのではないか?というのが天邪鬼である私のうがった推測で、つまりここに国家的な「シナリオ営業」の臭いを感じるのである。
原子力ムラの面々は、自分たちが起こしてしまった破局事故がいかに大変なものであるかということを、小出氏と同じレベルで実は知っている。したがって、いずれ経済的に大変な局面を迎えることもわかっているはずで、その前に逃げ切りをはかろうとする面々が、いまアベノミクスを推進しているのではないかと思うのである。
もちろん前述したとおり、これがうがった見方であることは百も承知だが、要は自民党政権と、それを煽るマスメディアを私はそれだけ信用していない。とここまで書いたところで、谷垣が3人の死刑を執行したというニュースを見た。霞ヶ関が完全に政権を取り戻したということだろう。
http://fusenmei.cocolog-nifty.com/top/2013/02/post-7a68.html
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