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日経新聞社は、この記事用に“異様”な地図を掲げている。
その意図は、56年の「日ソ共同宣言」まで歴史を巻き戻しこれまでの北方領土政策で醸成された国民意識からは大きな反発が予想される「二島返還論」でも、ロシアがストレートに呑むとは考えられない「四島一括返還論」でもない、新たな“領有権面積按分”の政策化をはかりたいというものであろう。
外務省官僚たちの意図は、面積で折半した場合、地図で示されているように「三島+ハミダシ部分」になることから、「三島返還」(歯舞色丹+国後島)で丸く収まることを狙った“毛針”だと思う。
しかし、「歯舞色丹」は、サンフランシスコ講和条約(サ条約)で放棄していない島々で、旧ソ連(ロシアが継承)が不法占拠を続けている島々なのだから、南千島の二島(国後島・択捉島)とごちゃ混ぜにして切ったり貼ったりできるものではない。
ロシア・プーチン政権も、北方領土住民のみならずロシア全国民に正当性を説明できない“領土喪失”を認めることはないだろう。
歯舞色丹は、平和条約締結と同時に無条件に返還され、在住ロシア人も島から退去するかたちにしなければならない。国後島と択捉島は、問題の性格が異なる。
共産党や民族派は、ロシアに全千島の返還を求めるべきと主張しているが、サ条約の第二条(c)で「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」と規定されており、日本が放棄した後にどの国が領有する権利を有するのかということは連合国内の問題であって、日本が返還を求める法的権原はない。
(民族派の一部は、南樺太の返還も要求しているが、「ポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄」となっているので、法的な根拠はない)
戦後日本の領土についてはサ条約に依拠する立場であることを政府が明言しなければ、尖閣諸島や竹島の問題を抱えている日本は、それこそ、古文書などを論拠とした歴史的固有領土論などを持ち出され、否応なく「領土問題」の争いに引きずり込まれることになる。
何を言われようと、サ条件を厳格に遵守することを敗戦国日本の出発点とするしかないのである。
その立場を貫けば、サ条約を根拠とする米国による沖縄統治を解消する際に締結された沖縄返還協定により日本に戻ってきた尖閣諸島は、どの国からもとやかく言われる筋合いがない日本領土ということになる。
そして、そうであれば、尖閣諸島の領有権について異義がある国が文句を言う先は、日本ではなく、米国ないし連合国(国連)ということになる。
むろん、日本領であることを前提に、その扱いについて諸外国と協議することはなんら問題ない。
サ条約の解釈として、政府は南千島が放棄した千島列島に含まれると国会で答弁しているので難しいが、主張できるとしたら、国後島と択捉島は北海道に付属する島であるというものdろう。その主張となにがしかの経済的対価でロシアに返還を受け容れさせることができればいいが、返還がすぐに実現できる見通しがないのなら、前例はほとんどないが、平和条約に係争の存在を記すことで収めるしかないだろう。(いわゆる「棚上げ」である)
北方領土(一部であっても)について、ロシアが日本領土を不法に占領していたというのなら、日本政府は、サ条約に締結する前に、連合国内の問題として、即時にその状況を解消するか、撤退期限を明確に切ることを求めなければならなかったのである。
鳩山一郎政権がソ連と取り交わした「日ソ共同宣言」が米国支配層の脅しでぽしゃり、1960年代になってから、米国支配層の意を踏まえるかたちで、ソ連不法占拠論や日本固有領土論を持ち出しても、対ロシア協議の進展に貢献しない。
「北方領土問題」は、詰まるところ、ロシアとの関係をどうしたいのかという話になる。
日ソ中立条約の一方的破棄による満州侵攻、日本兵捕虜の長期にわたるシベリア強制労働、歯舞色丹の不法占拠、ソ連時代に醸成された反ロシア意識など、ロシアとの関係正常化に向かう道には阻害要因が多くあるが、平和条約交渉のなかで過去の問題も強く主張することでわだかまりを少しでも溶かし、早期に平和条約締結に至るべきだと考えている。
ロシアは、豊富な天然資源に恵まれているが、先進国にキャッチアップできるだけの技術基盤と人材が不足している。南は中国、西はEU諸国という地政学的な条件もあり、技術力に長け覇権意識も薄い日本との関係に大きな期待を抱いている。
とりわけ、極東ロシアは、人口減少と人材流出に悩んでいる。プーチン氏は、現状、プーチンを嫌う反プーチン勢力はいても、アンチ巨人と同じで、プーチンにとって代わる人物を担ぐことができないほど強力な権力基盤を持っている。
これまでのような日ロ関係が続けば、ロシアは、韓国をネタに使いながら、台頭著しい中国との経済関係を強化するという選択をするしかなくなる。
幸いなことに、安倍首相は、領土問題でもっとも敏感な政治勢力から、保守派で愛国主義者だと錯覚されているようだから、安倍政権とプーチン政権の手で、日ロ平和条約が早期に締結されることを願っている。
安倍政権は、日ロ間で両者が望むべき関係が樹立できるチャンスはそれほど残されていないことを肝に銘ずる必要があるだろう。
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プーチン氏「安倍首相訪ロに期待」 森元首相と会談
2013/2/21 22:17
【モスクワ=桃井裕理】安倍晋三首相の特使としてロシアを訪問中の森喜朗元首相は21日、ロシアのプーチン大統領と会談した。プーチン氏は4月下旬からの大型連休前後を軸に調整している首相のロシア公式訪問について「訪問が実施されることを期待している」と述べ、ロシア側でも準備を進めていることを明らかにした。農業分野など日ロ間の経済協力の拡大に意欲を示した。
会談は約1時間。プーチン氏は冒頭、森氏に「イルクーツクでの2001年の我々の会合をよく覚えている」と語りかけた。平和条約締結後に歯舞、色丹2島を引き渡すとした「日ソ共同宣言」の法的有効性を確認した「イルクーツク声明」に言及したもので、北方領土交渉の進展に前向きな姿勢をにじませた。
日ロ間の経済協力については、医薬、機械、木材加工など具体的分野を挙げ「全体として経済分野の日ロ関係は成功裏に行われている」と強調した。「ロシアで生産される天然ガスの10%は日本に運ばれている」とエネルギー分野にも言及。「農業分野の協力を軌道にのせたい」とも述べ、両国間での協力分野の拡大に強い意欲を示した。
森氏は会談で、首相から託された親書をプーチン氏に手渡したもようだ。プーチン氏が昨年3月の大統領就任直前に外国メディア向けの記者会見で言及した「引き分け」による領土問題の決着について、真意を聞いたとみられる。
両氏は領土問題のほか、核実験をした北朝鮮の核問題への対応をめぐる連携や、エネルギーやシベリア開発での協力拡大、安全保障分野での協力の在り方など幅広く話し合ったもようだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2102V_R20C13A2MM8000/?dg=1
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