http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/199.html
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民主党のTPP反対派もそうだが、自民党のTPP反対派も、本音はTPP参加やむなしだが、支援者や有権者の反発を考え反対を唱えている人がけっこうな割合になると見ている。というのも、地方を中心にTPP参加に反対する声が多い情況を踏まえ、結果的に安倍政権でTPPに参加することになっても、「私はあれだけ反対運動を頑張った」というエクスキューズで大きな罪を逃れることができると考えているからである。
昨年12月の総選挙でも、「三党合意」がありながら、平然と「私は消費税増税に反対」と訴える「三党」の公認候補者が数多く見られた。
安倍政権は、11月初旬の時点で、残すところ日本政府の参加表明と言われるところまで進んだ日米事前協議の合意内容を、基本ラインだけでも明らかにすべきである。
自民党は、野党時代(昨年3月9日)に、「TPPについての考え方」という文書を公表し、 TPP交渉への参加を容認できる判断の基準を示している。
※ 自民党「TPPについての考え方」
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/pdf/055.pdf
[TPP交渉参加の判断基準]
@ 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
A 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
B 国民皆保険制度を守る。
C 食の安全安心の基準を守る。
D 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
E 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
もっともらしく条件が並んでいるが、冷静に読めば、示されている条件は、極めて曖昧で抽象的な表現でしかなく、結果が出たときにどうとでも言い逃れができるものであることがわかる。
@「聖域なき関税撤廃」が前提でないことは、米国自身が“聖域”を設定していることでわかっている。安倍首相は明らかにしたくないようだが、具体的にどの品目が“聖域”となるのかを明確にしなければならない。
A「工業製品の数値目標」は、裏取引は別として、表の協定で出てくるハズがないものである。(TPPは参加国に限定される関税同盟(ブロック経済化)なので、TPPそのものが自由貿易の理念に反する)
B「国民皆保険制度」も、米国でさえオバマケアが政策化されたくらいだから、日本の国民皆保険を解体するような協定が合意されるとは考えられない。
念押しは重要だとしても、問題は、損保会社が保険契約を増大できる大きな条件となる「混合診療」(別の言い方だと「診療選択の自由化推進」)の解禁である。この問題にふれないまま「国民皆保険制度を守る」という条件を出しても、義務教育制度を守ると言うのと同じくらいほとんど意味がない。
C「食の安全安心の基準」も、TPP参加国のどこも、食の安全安心なんかどうでもいいと言うはずもない。問題とすべきは、国内基準が国際機関基準よりもシビアであることが認められるかどうかであろう。牛肉輸入の月齢制限も、米国側は国際機関の基準を持ち出して、日本の基準を覆させたという“実績”がある。
D「ISD条項」についても、「国の主権を損なうようなISD条項は合意しない」と言うだけで、ISD条項付きのTPPへの参加を否定しているわけではない。簡単に言えば、“国の主権を損なうものではなく日本人及び日本企業のメリットになる”条項と説明すれば済む。
E「政府調達・金融サービス」に関する条件も、これまた、「わが国の特性を踏まえる」という抽象的な文言でしかない。例えば、地方自治体の調達については適用されないとか、事業総額が○○以上といった具体的な条件を提示しない限り、“逃げ道”はいくらでもつくれる。
何より、TPP協定交渉は既に大詰めに入っており、自民党が示した「TPP交渉参加の判断基準」 がどのように扱われる方向になっているのかという大枠はわかっているのだから、それを示すべきである。
「工業製品の数値目標」も、米国との事前協議を念頭に置いたものであろうから、99%交渉が終わったとされる日米事前協議での合意内容に照らせば、その有無はすぐにわかる。
自民党が昨年3月に出した文書では、「昨年11月のAPEC前に、野田総理は「(交渉参加の為の)関係各国との協議を開始する」と表明しましたが、これは国内的事情によって、敢えて曖昧な表現にしたものであり、外交の常識では、事前協議の段階から事実上の交渉は始まっている」と正しい認識を示している。
この認識通り、事実上の交渉が始まり、肝心要の日米事前協議もほぼ終結をみているのなら、それらでの合意内容をできうる限り公表して、国民に参加の是非を問うべきであろう。
それは、「TPPについては、国民の理解を得る為の情報が決定的に不足しており、政府の改善努力も全く見られません。従って、国益を踏まえて、何を取り、何を守るかの国民的議論が未だ深まっていない状況です」と憂い、「わが党は、政府が11月と同様に二枚舌を使いながら、国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さないよう、政府に対して、上記の判断基準に沿うことを強く求めていきます」という自民党の宣言に即したものでもある。
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首相、TPP「個別品目交渉せず」 日米首脳会談時に
2013/2/19 20:34
安倍晋三首相は19日の参院予算委員会で、22日の日米首脳会談での議論に関して「今の段階で環太平洋経済連携協定(TPP)に交渉参加していないから、個別(の品目)について交渉することにならない」と述べ、関税撤廃の例外となる具体的な品目は議論しないとの考えを示した。
TPPを巡り首相は「米国に行き『聖域なき関税撤廃』が交渉参加の条件か確認しなければならない」と強調。「まず参加するかで参加後の交渉もある」と語った。関税を残す「聖域」が認められた場合にどの農産物を対象にするかは「個別の品目は(関税撤廃の)影響なども勘案しながら判断していく」と説明。「どれとどれという個別項目を今、具体的に米側と交渉しているわけではない」とも明らかにした。
首相は日米首脳会談で交渉参加を表明するかについては「するかしないかは約束できない」と述べるにとどめた。参加するかは「今までの交渉経過、影響を精査、分析し判断したい」と語った。
首相は「日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸だ」と重ねて表明し、「日本と米国の同盟関係の信頼が戻ったことを示す首脳会談にしていきたい」と意気込みを語った。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1903Z_Z10C13A2MM8000/?dg=1
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