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2013年2月18日 北村 隆司 アゴラ
2月17日の読売電子版に「前首相を除名に…馬淵氏に民主党員ら直言 」と言う見出しで、馬淵幹事長代理と党員やサポーターとの対話集会で「野田前首相を除名にしてほしい」と言う意見が出たと報じている。確かに、野田首相の政治感覚の鈍さが民主党に打撃を与えた事は論議の余地は無いが、野田首相を除名して民主党が甦る道理はない。
この集会では「民主党には空理空論を言う人が多く、時代の流れを見誤る」と言う意見も出たようだが、これはその通りである。
然し、党員からは「鳩山が酷かった、小沢が犯人だ、野田が悪い、党名を変更」しろなどと言う「愚痴」ばかりが聞こえ、民主党改革創生本部(本部長・海江田代表)がまとめた「党改革創生案」ですら「トップによる失敗の連鎖」と言う「人災」を強調するだけで、民主党の「Manifesto2009」その物が「空理空論」や「時代錯誤」の原点であったと言う反省はない(参照)。
その点では、マニフェストの非現実性に気がつき、政治生命をかけて消費税増税を図った野田首相は「政治音痴」ではあっても、民主党では最も「まとも」な指導者であったと言って良い。
同じ読売電子版には「党の理念が分かりにくい」と言う意見も出たと伝えているが、そもそも民主党に「理念」があったとは思えない。
1993年に小沢一郎氏が書いた「日本改造計画」から数えて20年。民主党がこの「日本改造計画」の主張を柱として党の「理念」と「目標」を作成し、地道にその実現を国民に訴え続けていれば「日本維新の党」や「みんなの党」の誕生も無く、過去を嘆いても仕方がないが、今頃は政権担当能力を持つ二大政党の一つとして、多くの国民の支持を集めていたのでは? と惜しまれる。
尤も、現在の小沢氏には当時の主張の跡形も無く、共産党や社民党の立場に近くなったので、問題にもならないが。
2009年当時の民主党は、自民党の度重なる失政に興奮し「政権獲得実現」の悪夢に惑わされ、空想と政策を混同した「Manifesto2009」を妄信した事が、昨年の「空理空論」の民主党の敗北につながった事は間違いない。
民主党の支持者の中には「マニフェスト違反」が敗北の原因だと信じたり、政策中心に党を編成し直す動きを「純化路線」として批判する向きもある様だが、実際はその真逆で、敗北の真因は「マニフェスト違反」ではなく、実現不可能な「マニフェスト」その物と「主張がばらばら」で純化されていない党にあった。
今後に望まれる政党のあり方としては、まず第一に、目指す方向が「小さな政府思考」か「大きな政府思考」かの違いを鮮明にし、その上で「憲法」「外交、防衛政策 」「税制 」「年金制度」「貿易・通商 」「行政: 地方分権 か中央集権か」「年金制度を含めた福祉」「雇用を含めた労働 」「教育」「原発・エネルギー 」「農業 」などの重要政策で考えの一致した「政治家」が集まった政党である事だ。
これを「純化路線」と呼ぶなら「純化路線」こそ国民の求める方向である。
そもそもマニフェストの作成は、理念―目標設定―戦略―戦術の順番で作成すべき物を、目先の「政権奪取戦術」からスタートした事が、「戦術」と「戦略」をごちゃ混ぜにした混乱を起こした原因でもあろう。
失敗しても、戻るべき「原点」その物を持たない民主党が、「犯人」探しで過去の失敗が解決すると思
っているとしたら、「嗚呼『民主党』!−馬鹿は『改名』『除名』では治らない」と言う他にない。
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