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(回答先: 内部留保のほんの一部を回せばほとんどの大企業で賃上げが実現する―。日本共産党の主張にメディアの関心広がる。 投稿者 gataro 日時 2013 年 2 月 18 日 08:51:07)
http://www.nikkei.com/markets/column/hanshakyo.aspx?g=DGXNMSFZ12024_12022013000000
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日本経済、賃上げで好循環を起動させる局面(日経新聞)
日本経済研究センター主任研究員・前田昌孝
2013/2/13 6:00
自動車も走り出すときにはギアをローに入れて、アクセルを大きく踏み込む。いったん走り出してしまえば、低燃費で動く車も、走り出すときには大きなエネルギーが必要だからだ。今の日本経済はこれまでの静かに止まっていた状態から、まさに前に進もうというところ。経済閣僚が株価に目標値を掲げて旗を振るなど、異例中の異例だが、ここでモメンタムを得なければ日本経済はまた停止しかねない。企業も空気を読み、賃上げなどで大いに協力すべきではないか。
11日に米財務省のブレイナード次官(国際担当)が安倍晋三内閣の経済政策について「デフレ克服と経済成長の活性化に向けた努力を支持する」と発言したことは、日本経済の再生に向けての米国の期待の表れだ。先週末に麻生太郎財務相の発言を受け、1ドル=92円台前半まで急上昇していた円相場が、再び急落して1ドル=94円台前半と2年9カ月ぶりの安値に転じたのは、さらなる円安が容認されそうな可能性を示している。
甘利明経済再生担当相が9日に横浜市内で講演し、3月末の日経平均株価について「1万3000円を目指して頑張る気概を示すことが大事だ」と述べたことも、安倍政権の株価意識の強さを物語る。だからといって簡単に株価が目標水準に向けて上昇するとまではいえないが、ここ3カ月間で意外なほど進んだ円安・株高を千載一遇のチャンスと考えていることはよくわかる。
となれば、今は産業界も日本経済のエンジンを始動させるために、最大限の協力をすべき局面ではないだろうか。12日に安倍首相が経団連など経済3団体のトップとの会談の席上、賃上げを要請し、米倉弘昌経団連会長は「業績が良くなれば一時金や賞与に反映する」と答えたという。これは首相の要請がなくても当然のことであり、政府からの協力要請に対する回答としては、やや腰が引けた感じが否めない。
米倉会長は午後の記者会見でも「賃上げをするからデフレから脱却するのでない」と賃上げを先行させる考えを否定した。企業経営者として無責任なことはできないという主張はわからなくもない。しかし、ローソンは賃上げを決めた。九州のある中堅企業の社長は「経営にそれほど余裕があるわけではないが、今年は思い切って賃上げをする予定だ。社員ともども気分一新、前向きに働くきっかけにしたいと考えた」と話していた。
グラフは財務省の法人企業統計調査をもとに、資本金10億円以上の企業の純資産、利益剰余金、役員報酬、従業員賃金の動向を示している。狭義の内部留保である利益剰余金が右肩上がりで伸びているのにもかかわらず、従業員1人当たりの賃金(賞与を含む)は2001年度の612万円を境に減少傾向となり、直近の2011年度は554万円になった。かつてのように内部留保も賃金も増える好循環が、2000年代に入って途絶えたことがわかる。
役員1人当たりの報酬(同)も従業員賃金と同じように減ったのならば、役員が従業員ともどもデフレ下の厳しい経営環境で厳しさを分け合ったことになるが、現実には役員報酬は右肩上がりが続いている。役員退職慰労金を廃止する代わりに毎年の報酬に上乗せする企業が増えたことや、1企業当たりの役員数が減ったことなどで、1人当たり報酬が押し上げられた面もあるが、それでも一般の従業員は割り切れない思いだろう。
「賞与に反映する」との回答も、前回の景気拡大局面を振り返る限り、あまり期待はできない。賃金構造基本統計調査の大卒男子大企業(従業員数1000人以上)の実績を見ると、1998年に年221万900円だった賞与が2003年度に189万9000円まで落ち込んだ。その後の米国の住宅バブルを背景にしての景気拡大局面でも、06年度に203万9200円まで戻ったにすぎなかった。この程度では消費税率の引き上げに伴う負担増をまかなえない恐れもある。
むしろ産業界は発想を切り替え、賃上げを起点にして景気の好循環を引き起こすぐらいの戦略性を持ってもいいのではないか。これまでは賃金が下がるから、内需が膨らまない。だから企業は収益を確保するために外需に依存せざるをえず、海外で稼ごうと積極的に動いてきた。ただ、企業が海外で稼ぐことは、利益の本国送金に伴う円買い需要などが発生し、為替市場には円高圧力がかかる。となると、ますますコスト引き下げが必要になり、一層の賃下げに結びつくわけだ。
ところが、賃上げから始まれば、一部は貯蓄されても、商品やサービスに対する需要も増える。企業は脱外需依存の余地が生まれるし、懐に余裕ができた消費者は輸入品も購入する。この結果、為替市場には円安圧力が加わり、企業にはさらなる賃上げの余裕ができる。多くの企業が「賃上げは経営環境が好転してからだ」などと慎重になっていると、いつまでもこの好循環は始まらないかもしれない。
日銀が掲げた2%のインフレ目標の達成はちょっとメドが立たないが、脱デフレだけは早々に実現する必要があり、そのためには、消費が増えることが重要だ。ところが、代表的な消費関連企業を高級品企業と生活防衛企業に分けると、現状では生活防衛企業の株価のパフォーマンスが良く、高級品企業は全般さえない。まだぜいたくな商品やサービスを購入しようという消費者が少ないことの表れといえる。
グラフは2010年10月に筆者が選定した高級品企業10社と生活防衛企業10社の合計時価総額の推移を示している。リーマン・ショック前の08年8月末には高級品10社が合計で5兆6478億円、生活防衛10社が3兆575億円と1.8倍の開きがあった。ところが、直近では高級品10社が4兆7107億円、生活防衛10社が4兆3560億円とわずか8%の差に迫っている。こんな状況では需要けん引型のインフレはなかなか起きないだろう。
デフレがデフレを呼ぶような縮小均衡を終わらせるためにも、賃上げを起点にした景気の好循環が3巡程度、起きる必要があるのではないか。確かに株価が上昇すれば、資産効果も出てくるだろうが、日本では上場株の60%を65歳以上の高齢者が保有している。この層の消費はすでに活況を呈しており、消費が低迷しているのは30代から50代前半にかけての現役世代である。
現役世代が待遇改善に力を得て、これまで以上に前向きに仕事をするようになれば、日本の潜在成長力もおのずと押し上げられるのではないか。自動車同様、経済もいったん前向きに動き出せば、その後は政策面からの後押しが減っても、自律的に回るはず。もちろん賃上げを全企業に求めるのは無理だが、まずは日本経済をリードする大企業にお手本を示してもらいたい。
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