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★孫崎享氏の視点ー(2013/02/18)★ :本音言いまっせー!
TPPで国民保険の崩壊が心配される。
どの様な形で、国民健康保険が崩れていくか。
勿論、TPPであからさまに、国民健康保険が消滅するというものではない。
問題は、実質的に機能しなくなっていくことである。
流れは次が予測される。
@現在でも米国は日本の医療改革を官民で激しく要求している。
それは2012年11月の日米財界人会議などで明確になっている。
ATPP参加の下においてはこの米側要求が一段と“正当性”を持つ。
Bこの中、日本の経済界、政治家、官界等で国民健康保険を
実質的に崩壊させていく改革への動きが強くなる。
C 最終的にはISD条項という裁判の形で要求を担保する。
日米の企業経営者らが、政治や経済情勢を討議する日米財界人会議が
2012年11月8日、都内のホテルで開幕した。
ここでは「日本がTPP交渉に参加することを強く支持する」とした
共同声明を採択した。
では米側議長は誰であったろうか。
米国側議長はアフラック日本のチャールズ・レイク代表である。
米国がTPPで何を最も目指しているかが明確である。
国民健康保険が機能すれば、米国の医療保険に入る人はいない。
旗振りに米国の保険業界が先頭に立っていることは象徴的である。
こういた中、日本医師会や日本歯科医師会が医療をTPPの対象にする
ことには強く反対しているが、国民の中にほとんど、伝わっていない。
医師会は従来より、
「日本医師会としても、米国が公的医療保険そのものの廃止を要求して
こないことは想定済みである。株式会社の参入を要求したり、
中医協での薬価決定プロセスに干渉したりすることを通じて、
公的医療保険制度を揺るがすことが問題である」としている。
さらに次の立場を表明してきた。
「TPP協定交渉では、多くの分野で分野別議論が進んでいるとの情報がある。
総論的に公的医療保険を俎上に上げないということになっても、
金融サービスで公的医療保険に対する民間保険の参入、投資分野で
株式会社の参入、知的財産分野で薬価や医療技術等が対象にならない
確証はない。個別分野の規制改革が、蟻の一穴になるおそれがある
ことから、全体的にTPPを否定する必要がある」。
そして次の方針を示している。
日本医師会が考える「国民皆保険」の重要課題
1.公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること
2.混合診療を全面解禁しないこと
3.営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと
(日本医師会、2012年3月14日定例記者会見)
2013年2月7日日本歯科医師会は
「我が国の医療は、これを公助、共助、自助の精神で制度化されたもの、
つまり国民皆保険制度として歴史的に構築されてきたものである、
医療をTPPという国際市場の一部に乗せることはしてはならない」という
見解を表明している。
米国は高額医療で進出してくる。
そして、米国が参加・経営する病院は高額医療であるが、
低額医療は国民健康保険の対象になっているが、高額医療は
その対象になっていない、不平等であると主張する。
最悪のケースはISD条項({投資家対国家の紛争解決}に米国企業が
訴えるケースが想定される。
米国の投資家は日本への投資によって一定の利益を得ることが
想定されるが、日本の政策、法律によって、この利益を得る機会が
不当に歪められていると主張することが考えられる。
裁判という明々白々の事態を招かなくとも、日本政府が米国企業の要望
を受け入れる形の政策を作ればよい。
日本医師会は2012年11月15日医療の営利産業化に向けた動きがある
として懸念を表明してきている。
小泉構造改革の下で社会保障費のスリム化が図られた。
2012年7月31日野田内閣は「日本再生戦略」で「社会保障分野を含め、
聖域を設けずに歳出全般を見直すこととする」とした。
財務省の筋書きで野田政権は動いた。
そして安倍政権は官僚機構を極めて重視している。
日本は国民健康保険を崩す方向に動いている。
喜ぶものは誰か。米国の保険会社である。
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