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2013年02月17日 世相を斬る あいば達也
安倍晋三は周りの心配を他所に、性癖である国家主義にも一歩踏み込んだようである。今夏の参議院選までは国民から警戒されているタカ派論の封じ込めを考えていたようだが、性癖と云うものは、目の前に餌をぶら下げられると、ついつい食いついてしまう病気のようなものである。島根県が主催する「竹島の日」に政府は首相や閣僚の出席は見合わせたものの、従来の首相のナショナリストの評判を落とすわけにもいかず、島尻内閣府政務官を派遣する方針とした。領土問題で毅然たる態度を取らざるを得ない安倍にしてみると、ギリギリの手打ちと云うところだろう。当然、韓国はそれなりの反発はするだろうが、竹島に乗り込むわけではないのだから、毅然と云うほどの話ではなく、主権国家としての最低限の矜持を行ったと云う事で良いのだろう。しかし、昨年の衆議院選で、政府主催「竹島の日」の式典を開くとした公約は守られないことになった。
或る意味で、安倍晋三にせよ、橋下や石原にしても、その寄って立つ基盤に、ナショナリズムという熱病に冒された多くの支持者が控えているわけなので、政治的にも、性癖上も、タカ派的選択材料が目の前に出される度に、少しづつ墓穴を掘って行くのだろう。リベラル保守主義の筆者から見れば墓穴だが、ナショナリズム熱病組から見れば、正しい方向でしかない。昨夜の長谷川幸洋氏の論考なども、ナショナリストにとっては垂涎のコラムだったに相違ない。
首相は15日には、自民党本部で開かれた憲法改正推進本部の会合で講演、拉致被害者の横田めぐみさんを引き合いに「こういう憲法でなければ、横田めぐみさんを守れたかもしれない」と馬鹿げた発言までしている。拉致事件などと云うものの発生は、公安警察や外務省も或る程度まで把握していたことであり、国内法で充分対処し得る範囲の話で、拉致問題を憲法さえ変えたら阻止できたと云う論は、もう知能が低いとしか思えない。「日本は拉致犯の存在を知りながら手を打てず、拉致被害の拡大を許した」とまで発言、自国内で起きた拉致の阻止に、憲法など関係がない事さえ判らない無知である。穿った見方をすれば、拉致問題と改憲が関係あるように、世論を勘違いさせようと云う意図があるのかもしれない。
また「憲法改正推進本部」の発言では、15日同日創設した「国家安全保障会議」(日本版NSC)と合わせ、宿願の改憲に強い意欲を示した。参議院までは安全運転だと考えていた当初の決意も、性癖的嗜好品を前にすると、理性的制御が利かなくなるのが安倍晋三の弱点である。世論全体が、改憲論に前向きな情勢なら、経済政策でロケットスタートしてしまったアベノミクスの高評価を、すべて込みの高評価と勘違いする可能性は大いにある。このまま、イケイケドンドンで憲法改正、先ずは96条の改正までは踏み込んでも良いのではないか、と思う可能性はある。
96条の改正に関しては、自民党が公明党を選ぶのか、日本維新の会を選ぶのか、到底参議院選前には解決できない課題だけに、自民党全体としては、改憲にせよ、国家安全保障会議にしても、チンタラ議論していて欲しい筈である。しかし、石原と橋下は外野から、野次馬の如く改憲について強くプッシュしてくるだろうし、国家主義で安倍晋三を支持している人々のプッシュも、尖閣鍔迫り合い、北朝鮮ミサイル核実験とナショナリズム魂に油を注ぐ事態が連続的に起きる可能性が強まっている。それこそ、贔屓の引き倒しのような現象から、安倍晋三の性癖全開も夢ではない(笑)。
自民党の改憲試案を実現するから96条改正なのか、まずは改憲をし易くしようと云うことなのか、どうも手順もあべこべの観がある。斯く斯く然々に憲法を変えたいので、手続き論として、96条の改正をと云うのであれば判る。しかし、憲法改正の手続きを簡単にしようよと云うだけの手順は、ダマシ絵のような話だ。衆参両議院の過半数で憲法改正が可能となれば、小選挙区制度の特性から行って、4,5年に一回日本国憲法が変わる可能性が出てくる。これは、幾らなんでもマズイだろう。首相がコロコロ変わるのは拙いんだろう?憲法ならコロコロ変えていい理屈が判らない。まぁ改憲については後日の話にする。
アベノミクスと云う経済戦略が噂で買われている状況だが、いつ化けの皮が剥がれるかと云う問題があり、石破などはヒヤヒヤなのか、愉しみなのか知らないが牙を磨いているのだろう(笑)。ただ、常識的に為替にせよ、株式相場にせよ、相場である以上一巡と云う現象はつきものだ。あくまで思惑買いの相場なので、思惑の程度がこのレベルかと実態がみえた瞬間に、売り相場が生まれるわけで、思惑相場と云うものは、到底安心できる経済の好材料とは限らない。前回の衆議院選の分析でハッキリしている事は、民主党を負けさせる選挙あり、自民党を勝たせる選挙でなかった。つまりは自民党政権が見習いの身分の与党である事を安倍晋三は最近忘れかけている。
好事魔多し、と云う言葉があるが、まさに安倍晋三の為に用意された言葉のような状況になっている。北朝鮮は、年内に最大二回のさらなる核実験及びミサイル発射を行う予定と中国に通達したようである。国際外交と云うものは安易に解説するのも難しいが、中国もロシアも、単に米国支配の北東アジア地域を維持しようとは思っていないだろう。米軍としては、アジア地域の軍事力を今まで以上に強化したいのだが、自国軍だけでの強化は財政上無理となれば、日韓の軍事力を自国軍のように、今まで以上に取り扱うフリーハンドを得ようとするのは当然の戦略である。当然、日本がそのように決意するだけのシナリオを用意しているに違いない。
そのシナリオがどのようなものか、筆者には判らないが、国民が日米同盟の大切さを改めて感じるような出来事を、必ず仕掛けてくる。米国自体が画策するだけではない。中国海軍が動かざるを得ない状況を作り出すとか、北朝鮮がより好戦的になるとか、ロシアが別途チャチャを入れてくるとか、それでも米国の思惑の役割は果たすことになる。インテリジェンスと云うものは、どのような形で現れ、どのようなメカニズムで動いたのか、多くは歴史の中に埋もれ実像を明確に知ることは出来ないわけで、現時点で起きている事など、すべてが推測の域を出ることはない。安倍自民が元気そうに見えるのは、おそらく与党に対峙する野党の足並みが、あまりにも乱れている所為なのだろう。あすは、卑近の永田町野党探訪でもしてみようか。
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