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2013年2月17日 植草一秀の『知られざる真実』
NHKが「NHKスペシャル」でエネルギー問題を取り扱った。
これまで著書やブログ記事に記述してきたが、「NHKスペシャル」はひとつの重要な政府広報番組である。
1996年に橋本龍太郎政権が消費税増税方針を決めた。これを97年度予算に盛り込んだ。
NHKは二夜連続でNHKスペシャルを放映し、増税路線を後押しした。
1998年に小渕恵三政権は金融危機を回避するために銀行に公的資金を投入する方針を決めた。
在野の議論としては、公的資金投入は必要だが、金融機関の経営責任を問うことが前提だとの意見が多かった。しかし、小渕政権は金融機関の責任を問わずに公的資金を投入する措置を決めた。
このときもNHKはNHKスペシャルで公的資金投入を推進する番組を制作した。
NHKは政府の意向を受けて、政府が推進する政策方針を是認する世論を形成するために番組を制作する。
御用放送局である。
このような放送局が国民から放送受信料を強制徴収する制度を改正する必要がある。
民主主義を適正に機能させるうえで、メディアの役割は極めて重い。市民の多くがマスメディアの情報に接することによって政治問題について考察して判断を固める。
マスメディアが流布する情報が偏っていれば、主権者である国民の考察、判断が偏るのは当然だ。
民間放送会社はスポンサーの支払う広告費を基盤に運営されている。番組編成がスポンサーの意向に影響されることを防ぐことが極めて難しい。
民間放送の費用を拠出するスポンサーの意向を取りまとめ、番組編成に強い力を持っているのが広告代理店である。
民間放送では広告代理店の影響力が強く、番組全体がスポンサーの意向、広告代理店の意向に左右される。
スポンサーは大資本であり、したがって民間放送の放送内容は大資本の意向に沿うものになる。
民間放送の放送内容が偏向することを是正することが難しい現状で、その存在意義が問われるのが公共放送である。
NHKの役割は本来大きいが、このNHKが中立公正の放送から大きく乖離して「御用放送局」と化してしまっている。
これを是正することが日本の民主主義構築にとって不可欠である。
2月16日放送のNHKスペシャルは生放送で番組視聴者からの投書を紹介しながら番組が進行した。
中立公正の装いが施されている。
しかし、番組のなかに織り込まれるVTR映像はあらかじめ用意されたもので、生放送、視聴者の意見を取り入れながらの番組でも、あらかじめ筋書き、ストーリーが用意されていることが分かる。
このような番組での「核心」は出演者の顔ぶれである。
この「人選」で番組の基本性格が決定される。
福島原発事故を踏まえてのエネルギー政策を論じる番組であるなら、それにふさわしい人物を登場させる必要がある。
ところが、NHKは反原発サイドの有力な論者を一人も登場させない。
番組視聴者からの声としていくつかの意見を紹介したが、無作為抽出でない紹介である限り、番組制作者の「恣意」が介在する。
番組進行の内容に合わせた投書を紹介しているに過ぎない。
民主党政権下で行われたタウンミーティングで、脱原発支持の国民が圧倒的多数であったのに、原発推進派の発言者を多数用意して、電力会社の関係者に発言させた事例があったが、NHKの番組も本質的にはこれと変わらない。
エネルギー政策を考察する際、本質的な論点が三つある。
安全、費用、地球環境だ。
安全の論議で欠けているのは、「地震国の原発」の視点だ。茂木経産相は「絶対的な安全」を基準に行動することを主張したが、この「絶対的な安全」の神話はすでに崩壊している。
原子力規制庁が定める「原発の安全」に信頼を置くことができないことは、今回の福島原発の事故で証明されている。
安倍政権は完全に元の図式に引き戻し、再び信用できない「絶対の安全神話」の上に原発稼働を再構築しようとしている。
世界の原発は基本的に非地震地帯の上に立地されている。
原発そのものを廃止するべきだと考えるが、それでも、世界の現実は地震地帯の上には原発を設置していないのである。
日本は国全体が地震地帯の真上に立地している。福島原発事故の原因解明も進んでいない。各種資料は原発事故の直接の原因が津波ではなく地震であったことを示唆している。
活断層の真上でなくても日本の原発はすべて地震帯の真上に立地している。
日本の原発に「絶対の安全」は絶対に確保されない。
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