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2013/2/13 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「市場は反応した」と自画自賛するご当人、その市場は疑心暗鬼、専門家間に交錯する楽観論と悲観論
電機や自動車など、日本を代表する輸出企業の4―12月期決算は、どこも円安効果で収益が改善した。自動車業界は大手10社で1500億円程度の上ブレだというし、ドシャ降りだった電機も一息ついて、シャープを除く7社が営業損益の黒字を達成した。
おかげで株価も急上昇。
富士通は昨秋の200円台から400円超えへ。ソニーは800円→1400円、パナソニックは400円→700円台。シャープも100円台から300円台に乗せてきた。
各社とも円安サマサマ、安倍さまさまで、なんだか日本中がアベノミクスにすがっている感じだが、その裏側を見ると、ゾッとする。アベノミクスといったって、実体がないからだ。ソニーはテレビ事業だけで今年度800億円の赤字の見通しで、円安効果170億円はあっさり吹っ飛ぶ。富士通に至っては4―12月期の営業利益が対前年比65・2%減で従業員5000人の削減を発表した。
株価が暴落しないのが不思議なくらいだ。証券アナリストの清水洋介氏が言う。
「今後も円安になるという期待です。株価は先を見て動く。昨秋あたりは業績も悪いうえに、円高傾向で、株価は下がった。それが安倍政権になって、為替は円安トレンドに変わった。となると、2カ月後、3カ月後はもっと期待できる。だから、業績は改善していなくても、株価は先行で上がるのです」
◆変わったのは役者だけ
安倍になるとなぜ、もっと円安が進むのか。いくら日銀に金融緩和をせっついても、すでに金余りじゃないか。安倍がやっているのは日銀をドーカツし、口先で円安を煽っているだけじゃないか。市場はそれを材料にしているだけじゃないの――と思ったら、別の証券関係者はうまいことを言っていた。
「そう、まさにその通りです。もっと言うと、同じことを民主党政権もやってきた。物価ターゲットが1%か2%かの違いです。しかし、安倍さんに代わったら市場が動いた。その理由は単に役者が代わったからですよ。政権交代したとき、何の根拠もなく、民主党政権に期待が集まったのと同じです。役者が代われば、こっちも付き合おうか、という気分になる。安倍さんは一応、声高にインフレ目標を叫んでいるし、おはやしを入れやすい首相ではある。
そうした気分で、株価が上がっているだけです」
実際、アベノミクスの目玉である日銀とのアコードについては、野田政権時代にも似たようなものが結ばれた。インフレターゲットが持論の前原前経財相が日銀をせっつき、政府と日銀がデフレ脱却で共同歩調をとる文書を作った。昨年10月のことだ。その前も民主党政権は「めど」という表現で日銀に物価目標をのませてきた。
安倍がやっているのは、その延長で、違いがあるとすれば、それこそ、PR、演技力の差ということになる。
アベノミクスのもうひとつの目玉、国土強靭化を理由にしたバラマキだって、古めかしいものだ。13兆円の補正のうち、道路などの公共事業に3・8兆円である。かつての自民党の手口そのものだし、これから具体化するという成長戦略にしたって、同じだ。これまで何度も語られ、しかし、てんで実を結んでいない。そんなものがあるなら、早く出せよ、だ。
つまり、新政権になったところで政策はナーンにも変わっちゃいないのだ。変わったのは役者だけ。それなのに、市場はハシャぎ、安倍は「市場が反応した」と自画自賛。この相場は、やっぱりヘンなのだ。
◆怖いのは経済オンチ首相のバケの皮がはがれた時
こういう展開になると、市場関係者に聞いてみたくなる。「そんなに安倍は頼もしく見えるのか」と。
先の証券関係者は「イヤ、全然」とこう続けた。
「誰が見たって、賢くないですよね。タッグを組む麻生財務相も同じです。だから、怖いんですよ。今は“気”で株価も上がっている。私たちも踊っている。しかし、しばらくたって、やっぱり、エンジンが壊れている車はいくらガソリンを入れても動かないことが分かったら、その反動がドーンと来ます。怖いのはその瞬間、本当の円売りが始まることです。円安誘導ではなく、本当に円に見切りをつけられ売られていく。そうなれば、コントロール不能です」
役者が代わったといっても、出てきたのは経済オンチなのである。実体経済が変わらないことがハッキリすれば、市場の逃げ足は速い。一気に円が売られれば、円安、株安、債券安のトリプル安になる。そうなれば、万事休すだが、元財務官僚で慶大准教授の小幡績氏も近著「リフレはヤバイ」でこう警告を鳴らしている。
〈メディアがアベノミクスをはやし立てるのは最悪だ。誤った政策だからだ。しかもそれが国民にうけている。なぜ、インフレを意図的に起こすことである「リフレ政策」が悪いのか。それは、リフレが国債を暴落させるからである。国債が暴落すれば、銀行は経営破綻に追い込まれる。銀行が破綻あるいは危機に陥れば、貸し渋り、貸しはがしとなり、中小企業はひとたまりもない。政府が銀行に資本注入して救済しようとしても、その資金を調達する国債を買ってくれる人がいない。それを日銀に引き受けさせようとすれば、さらなる国債暴落を招き、銀行の破綻は加速する。これこそ、スパイラル的金融危機だ〉
◆どうにもならない野党のていたらく
すでに国債は2%近く下落しているから、ヤバイ兆候だ。そのうえ、インフレは格差を拡大させるのだ。これを忘れちゃいけない。
インフレになって、得するのは経営者だ。物価上昇で売り上げ増になるが、給料を据え置いて上げなければ、ドンドン儲かる。インフレとは「合法的な賃下げ」なのだが、それだけではない。
「円安による輸入インフレで真っ先に価格が上がるのはガソリン、電気、食料品です。生活必需品が上がるのです。所得の中で生活必需品が占める割合が高いのは低所得者層です。彼らの生活はどんどん苦しくなる。一方、資産家はインフレになっても株や土地で儲けることができる。格差がますます開くことになります」(小幡績氏=前出)
問題はそういう社会になったとき、庶民の味方になってくれる政党がどこにもないということだ。サンデー毎日に久しぶりに登場した小沢一郎・生活の党代表は「すごろくの振り出しから上がりに行ったのに、また振り出しに戻っちゃった」と嘆いた。「参院選は選挙区と比例で20人を立てて1000万票を目標にする」と言っていたが、これは難しいだろう。
「野党はどんな手段を使っても政権をとらなければいけない。それなのにいまだに反目しあっているのですから、どうしようもありません。小沢の力を利用してもいいし、とにかく、攻め込まなければ、勝てっこないのに、メッセージひとつ出てこない。野党が敵失待ちでは自民党政権が何十年も続きますよ」(政治評論家・野上忠興氏)
となると、蜃気楼のような安倍バブルがはじけた時、その尻拭いをさせられるのは、バブルに何の関係もなかった庶民ということになる。つくづく、今の市場の熱狂がアホらしい。
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