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★「天木直人氏の視点ー(2013/02/11)」★ :本音言いまっせー!
中国のレーザー照射事件はどうやら急速に沈静化の方向に向かいそうだ。
事件直後は狼狽し、沈黙した中国が、その後周到に作戦を練って、
一夜明ければ一転して日本の中国批判を「捏造」といい、そんな日本を
「盗人」呼ばわりして反転攻勢に出た。
その一方で国際批判によって中国に圧力をかけようとした安倍政権は、
中国の開き直りに慌て、証拠を公開してどちらが正しいか世界に見て
もらおうじゃないかと一端は息巻いたが、一夜明けて証拠開示を控える
という。
去り行くクリントン国務長官とパネッタ国防長官は日本に泣きつかれ、
置き土産のごとく中国批判を行なったが、オバマ第二期政権の公式態度
は中国批判に抑制的だ。
それを見て中国側はこれ以上の反論を控えている。様子を見ているか
のようだ。
おそらくこの問題は米中の間で収拾の手が打たれ、日本は黙って
それに従うことになる。
最初に武力威嚇をし、尖閣問題のせめぎあいに敗れたはずの中国が、
あたかも勝者の如くふるまって終る。明白な日本外交の失態である。
しかし私がこのメルマガで書きたい外交力の差は、レーダー照射事件
についてではない。
北朝鮮の核実験をめぐる一連のやり取りに見られる米国・日本の
外交力と中国・北朝鮮の外交力の差である。
きょう2月11日の各紙が書いている。
北朝鮮は8日のウェブサイトで、北朝鮮の核実験を大騒ぎをするのは
米国などの早合点だ、と表明したという。
これを各紙は一斉に北朝鮮の揺さぶりであると批判的に書いている。
そのとおりである。これは揺さぶりなのだ。
しかしそれを批判するのはお門違いである。これは立派な外交なので
ある。
北朝鮮が近い将来核実験をするかどうかはもちろん分からない。
油断させておきながら機会を見はからって突然核実験を強行するかも
しれない。
そしてまた北朝鮮がすでに米国に届く能力のある核兵器を保有する
立派な核保有国になってしまっているかどうか私は知らない。
しかし核実験を引き延ばす事をほのめかす事は実に効果的な外交なの
である。
もし北朝鮮が核保有国になっていれば核実験はその気になれば
いつでも出来る。
今度の実験を延期する事で制裁は避けられ、国際社会は安堵する。
核実験の延期で北朝鮮が失うものは何もない。
それどころかあらためて核保有国としての存在感を示すことができる。
今度の北朝鮮の核実験騒動で中国は北朝鮮に厳しい態度をとって米国
に恩を売った。
北朝鮮は国連の制裁決議に中国が賛成した事に不快感を示し、中国の
特別代表の受け入れを拒否した(2月8日各紙)。ついに中国と北朝鮮
の関係が冷却化し、北朝鮮はますます国際的に追い込まれていると受け
止められた。
しかしこれらがすべて中国と北朝鮮の周到な外交連携プレーであると
したらどうか。
そしてその可能性は高い。
ひるがえって米国や日本の外交力はどうか。
何事も軍事力にものを言わせて自国の利益を実現できる米国に外交力
がないのは当然だ。
その米国に絶対従属して来た日本にはそもそも外交力などというもの
はとっくに失っている。
そんな米日に比べ、国際社会の中で主要国を目指そうとする中国や、
国際圧力にさらされ続けて来た北朝鮮にとっては外交力は国の帰趨を
決める命綱だ。
そもそも真剣度が違うのである。
米国、日本が中国や北朝鮮の外交に振り回されるのは必然なのである。
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