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警戒用と射撃用どう違う 中国レーダー照射(Q&A) [日経新聞WEB]
2013/2/9 0:56
海上自衛隊の護衛艦が中国海軍艦艇にレーダーを照射された事件。日本は火器管制用(射撃用)だったと指摘するが、中国国防省は8日「警戒用」だと主張した。実際は何が起きたのか。
■電波周波数で判別可能
Q レーダーはどんなものか。
A 電波が直進し、物体に当たると反射する性質を利用し、相手の方向や自らとの距離を測る探知機だ。20世紀初頭に軍事目的での実用化が急速に進み近代戦に不可欠な装備となった。
Q 軍事分野ではどう使うのか。
A 艦船などが搭載するレーダーは主に(1)警戒監視・捜索向けの対空用(2)同目的の対水上用(3)自艦の針路決定に使う航海用(4)ミサイルなどの照準を捕捉する火器管制レーダー――だ。
Q 警戒用と火器管制用の違いは。
A 警戒用は線状の電波を数秒間に1回、前後左右360度回転させて送る。周辺水域や上空に敵の艦艇や航空機がいるかどうかを探り、位置や針路、速度などを割り出す。パラボラ型アンテナが回るタイプを見た人もいるだろう。
火器管制用はミサイルなどを誘導する。標的に電波を送り、発射後のミサイルが相手から反射してきた電波を拾って方向修正。「レーダーで捕捉すればまずヒットする」(自衛隊幹部)という。
Q 防衛省が「火器管制用」とする根拠は。
A 両レーダーは使用する電波の周波数が異なる。火器管制用の方が周波数が高く、特定の目標に照射し続けるものなので、正確にデータを観測・記録していれば違いは明白に出るという。
恐らく中国艦は2つのレーダーを併用し、海自護衛艦は両方を探知したとみられる。防衛省は小野寺五典防衛相への報告までに6日も費やしており、火器管制用も稼働させたという事実をつかんだようだ。
■日本、データ開示にリスク
Q 中国はなぜ「警戒用」と主張するのか。
A 日本が解析結果のすべては公表しないと踏んでいるのかもしれない。護衛艦のセンサー能力を明かすリスクがあるからだ。データ公開に踏み切っても中国が容易に非を認めるとは考えにくい。「証拠」を水面下で示して国際世論に訴えることなどが上策だろう。
冷戦時代の1983年、ソ連軍がサハリン上空で大韓航空機を撃墜した事件では当初、ソ連が撃墜を否定したが、陸上自衛隊が傍受したソ連軍の通信記録が国連安全保障理事会で公開された。ソ連は事実関係を認めたがその後、通信体制を見直すなど対抗策を推進。自衛隊の対ソ連軍探知能力は回復までにかなりの期間を要した。
(編集委員 高坂哲郎)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC0800E_Y3A200C1EA2000/
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