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2013/2/8 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
グローバル経済では「バブルとその崩壊」の繰り返しの連続である
これは完全にバブル相場になってきた。昨年11月から3000円近くもハネ上がっている株価である。「投資マネーの大転換が始まった」なんて言われているが、その背景はゾッとする。
アベノミクスとか言って、日銀をドーカツ、為替を強引に円安に持っていっただけのことだ。それだけで市場は反応。円は1ドル=79円から94円まで急落した。それを受けての輸出関連株の上昇、日経平均の急騰なのだが、これはハッキリ言って、異常な過熱だ。
例えば、財務省が発表した1月上旬(1〜10日)の貿易統計速報。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1兆709億円の赤字となった。たった10日間で1兆円である。このペースでいくと、1カ月3兆円の赤字になる。
「これはすさまじい数字です。2012年の貿易収支は年間で6・9兆円の赤字でした。これだってしびれる数字ですが、それを2、3カ月で上回ってしまうことになる。極端な円安は輸入インフレを招くだけでなく、その結果、国の経常収支が赤字になれば、国債は急落し、利回りは1、2%上昇する。そんな事態になったら、日本経済は屋台骨がぐらついてしまいます」(経済ジャーナリスト・有森隆氏)
大変な事態を招くのに、あろうことか、今の市場はもっと円安を催促している。安倍のブレーン、浜田宏一エール大名誉教授が「1ドル=100円」とか煽(あお)り、期待だけが勝手に膨らみ、株価を連日押し上げている。
円安の副作用を考えれば、とんでもないことなのに、市場もメディアもイケイケドンドン――。
こうなると、マーケットは怖い。制御不能になるからだ。バブルはパンパンに膨れていく。しかし、理由は円安だけの空相場。実体経済の回復を伴っていないから、程なく、バブルはパチンとはじける。
そのとき、日本経済と庶民の暮らしは大打撃を被ることになるのである。
◆成長戦略が招くバブルの危うさ
アベノミクスに浮かれている市場だが、こうした懸念をきちんと表明している人もいる。エコノミストで現・埼玉大客員教授の水野和夫氏は毎日新聞(2月4日付)で「マーケットの反応は実体経済を反映したものではない」と指摘し、こう書いている。
〈アベノミクスの問題は相反する政策がミックスされていることにある〉〈アベノミクスは量的緩和、積極財政、成長戦略だが、量的緩和と規制緩和は「小さな政府」思想、積極財政やターゲティングポリシー指向の成長戦略は、「大きな政府」を前提とする〉
つまり、整合性のないいいとこ取りということだ。そのうえで、
〈小さな政府は金融市場の肥大化をもたらし、その自壊がリーマンショックだったように、バブル生成と崩壊を繰り返す〉〈実体経済が成長できなくなったからバブルが起きるのであって、バブル崩壊で生じたデフレを「成長戦略」などでは克服できない〉と看破、〈量的緩和はバブルをもたらし、崩壊後は急激な賃金引き下げを招く〉と断じているのだ。
量的緩和や成長戦略なんて言葉に騙(だま)されちゃいけない。行き着く先は、バブルであり、それはすぐに崩壊し、猛烈な賃下げを招く。積極財政をまぶしたところで本質は変わらない。米国がそうだったし、日本も小泉政権で円安誘導し、企業は一時的に潤ったが、賃金はどんどん下がった。こうしたサイクルは歴史が証明済みなのである。
◆安倍がやろうとしているのは米国の猿マネだ
ふざけているのは、安倍政権だって、こうしたアベノミクスの副作用と限界を百も承知だということだ。
グローバル化が進み、コスト競争で勝てなくなった先進国の製造業が復活するのは難しい。だから、ジャブジャブと金融を緩和し、バブルを引き起こし、一部の投資家だけを儲けさせ、ババは誰かに押し付けるのだ。
米国がまさしくやってきたことを安倍は猿まねで繰り返そうとしているだけだ。滋賀大准教授で思想家の柴山桂太氏はこう言う。
「米国ほど露骨ではないにせよ、安倍政権にもそういう意図はあるでしょうね。なにしろ、モノづくりの復活は極めて難しいからです。円安になれば、海外移転した工場が日本に戻ってくるわけでもない。株高で景気がよくなっていると思うのは早計です。世界的な金融緩和でジャブジャブ金が余っている中で、米国ダウはリーマン・ショック前の水準を取り戻し、頭打ちになった。デフレ不況に沈んでいた日本は割安感があったところにアベノミクスが重なった。グローバルなお金が流れて、株高になっているだけで、実体経済は変わっていない。今後の日本がどうなるかは、米国を見れば分かります。米国も株は上がっているが、格差は拡大している。いいのは株価だけで庶民の暮らしは置いてきぼりにされるのです」
株高で景気が回復したように勘違いしてはいけない。
上がるのは株だけで、給料や雇用が増えるわけではない。その結果、持つ者と持たざる者の格差は、どんどん広がっていく。
◆資本主義の矛盾が北アフリカで露呈
戦後、隆盛を極めた資本主義の黄金時代は過去の話だ。
グローバリズムによって、製造業を中心とした資本主義は限界が露呈し、代わった金融資本主義もリーマン・ショックで素性が割れた。その頃と世界はちっとも変わっちゃいないのだ。金融緩和と積極財政出動で、傷口にばんそうこうを貼っただけ。そうやって、欧米の危機を一時的に封じ込めた後、最後に出てきたのがアベノミクスだ。「エラソーにするな」と言いたくなるが、前出の水野和夫氏は毎日新聞でもうひとつ、重要な指摘をしている。
〈「より速く、より遠くへ」を旨とする近代社会において燃費を大幅に改善した最新鋭旅客機の事故が相次いで、運行停止を迫られている。北アフリカに安価なエネルギーを求めてより遠くへ行けば、国際テロが待ち受けている〉
儲けるマーケットがないから、こうやって、無理を重ねるしかなくなった資本主義の危うさをえぐったのである。これは笹子トンネルの崩落事故とも通じるものがある。
くしくも北アフリカは、先進国とテロリストが、あいまみえる場所になってしまった。これは皮肉なめぐりあわせだ。資本主義が国際格差を拡大させ、犠牲となった貧困層が武装勢力となって、テロに走る。先進国がテロを叩けば、今度は民族、宗教紛争に発展していく。
やっぱり世界は矛盾だらけだ。そんな八方ふさがりの世界経済の中で、日本だけがアベノミクスに浮かれている。ちょっと冷静になれば、その能天気と楽観主義が怖くなる。
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