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2013年02月07日 世相を斬る あいば達也
今や世界経済の不安は取り除かれ、世界中の株価が高騰している。為替相場は一方的に円安に振れ、安倍晋三は、自らの経済政策が世界的に信認されたと、大いに勘違いしているに違いない。この調子だと、日経平均は多少の調整が入るにしても、12000円が当面のターゲットになってきている。円ドル相場も、95円は当然で、100円もあり得ると強気の意見が支配的だ。足元の12年度の企業決算とは関係なく、13年度の好決算を織り込む展開になっている。個人的には、そろそろ上げ相場に疲れてきたので、引き揚げ時期かな?と考え、6日から、売りのヘッジも加えることにした。
筆者は、最近の円安に伴う輸出企業業績期待相場は、本質的にはバブルだと認識している。何処まで行っても、輸出製造業の業績予測が為替に大きく左右される限り、強い製造業が回帰したとは考えていない。そもそも成熟国家が、20世紀と同じ土俵で、それ以上に成長しようと云う試みには、自ずと無理が掛かるわけで歪みの方が大きいに違いない。多少の問題点は残っているにしても、概ね現代人として生きるに適合する環境は整っている。つまり、人間の本能的欲求のなせる業による、極めて自然な成行き的成長シーンは望めないのである。勿論、新たな国民の総意に基づく欲求が生まれれば、それ相当の自然に発生する市場、産業が生まれるだろうが、そう簡単に本能的欲求以上の欲求が生まれる可能性は低いだろう。
アナリストの多くが、強気な相場を予測しているような状況で、水を差すような意見を語る必要もないのだが、作らなければ生まれてこないような市場と云うものは、本質的に疑うべきである。或る意味で、世界経済を復調させたいと云う多くの人々のすう勢がつくりあげている世界同時株高現象なのだが、死を直前にして狂い咲く、あだ花のような臭いもする。このような欺瞞の好況でも、理性的な人間は、相場の腰を折るような心配事はないのだろうか、と周りに気を配る。我が国を中心に考える場合、その心配事は尖閣を挟んで起きている日中の鍔迫り合いなのだろう。
日本政府やマスメディアは海自に向けられた“射撃管制用レーダーを照射”を海自に対する極めて遺憾な威嚇行為であるとしている。砲身は向けられていなかったが、砲撃されたら回避不能の状況だったとしている。ネトウヨなどに言わせれば、強盗がピストルを胸元に突きつけたに等しいと断じている。中国政府の公式見解はないが、人民日報傘下の環境時報によると、日中関係は危険水域に入ったと云う専門家の意見を報じながらも、今回の“射撃管制用レーダーを照射”は一種の警告に過ぎないと断じている。
まぁ緊張関係にある両国の下部組織がジャブの応酬をしているわけであるが、加えて米軍の早期警戒管制機AWACSが東シナ海で中国海軍のレーダーシステムなどを解析しようとしていたことも、軍当事者の神経を苛立たせたのだろう。どうも中国政府が事態を充分に把握していないところで起きた事象のようなのだが、中国海軍の暴走と云う側面を考慮すると、余計に危険な兆候だとも言える。常識的にはあり得ない日中交戦と云う危惧なのだが、つまらぬキッカケで、短気な暴走が起きる可能性も捨てきれない。
こういう問題は、当事国同士の報道機関の情報を熱心に読んでも、一方的だったり、具体的憶測が入り込む余地があるので、第三者的立場の観察記事に目を向けるべきだろう。丁度いい頃合いに、政治的にはニュートラルな立場を維持する「フィナンシャル・タイムズ紙」が日中間と米国を巻き込んだ睨みあいに関する危険度についてのコラムを書いている。充分に参考になる意見なので、読んでおいて損はない。
≪ [FT]1914年の二の舞いも 日米中に偶発戦争リスク
男たちが第1次世界大戦で「塹壕(ざんごう)から攻撃」に出る姿を映した白黒映画は、あり得ないほど遠い昔のことのようだ。だが、1914年の大国とは異なり、現在の大国が再び戦争に巻き込まれることはないという考えは甘すぎる。中国と日本、米国の間で高まる緊張は、ほぼ1世紀前に勃発した恐ろしい衝突に似た響きがある。
■尖閣問題が火付け役になりかねない
明らかな火付け役になりかねないのが、中国で釣魚島、日本では尖閣諸島として知られる島を巡る日中間の争いだ。ここ数カ月、日中両国の航空機と船は、島の近くでシャドーボクシングを繰り広げている。
事態を懸念した米国は10月下旬、米外交政策機関の大物4人から成るトップレベルの派遣団を日中に送り込んだ。ジョージ・ブッシュ前大統領の下で国家安全保障会議(NSC)を率いたスティーブン・ハドリー氏や、ヒラリー・クリントン氏の下で米国務副長官を務めたジェームズ・スタインバーグ氏らだ。
超党派の米国派遣団は、中国が島を攻撃すれば日米安全保障条約を発動すると明言した。明らかなリスクは、1914年と同様に小さな事件が同盟国の義務を促し、大きな戦争に発展する事態だ。
米国の派遣団は、リスクを重々承知していた。派遣団に参加したハーバード大学教授のジョセフ・ナイ氏は「我々は内々に1914年との類似点を議論した。どの国も戦争を望むとは思わないが、誤解と事故のリスクを双方に忠告した。合理的な主体の間では通常抑止力が働くが、1914年の重要な関係国も皆、合理的な主体だった」と言う。
■危機を招きうる「短気な」人々
ナイ氏のハーバード大学の同僚で、キューバ・ミサイル危機の古典的な報告書を書いたグレアム・アリソン氏も誤算による戦争の危険があると考えており、次のように語る。
「1914年のメカニズムは教訓に富んでいる。セルビアのテロリストが、聞いたことのない大公を殺して大戦の引き金を引き、最後にはすべての参戦国が壊滅状態に陥るなんて誰が想像できただろうか。私の見るところ、中国の指導部は軍事的に米国に挑む気はまだない。だが、中国や日本の短気な国家主義者たちはどうだろう?」 「短気」な人々は、命令系統のかなり下にいる可能性がある。2010年9月に島を巡る危機を招いたのは、中国のトロール漁船が日本の監視船にぶつかったこ とだった。後に、漁船の船長は酒に酔っていたことが判明した。
当時、日本政府はかなり融和的な対応を取った。しかし、日本の新内閣は中国に立ち向かおうと考えがちな強硬な国家主義者だらけではないかと米国は懸念している。安倍晋三首相は、戦時内閣の大臣の孫で、日本が戦争の償いをしようとした「謝罪外交」を拒んでいる。
米国による安全保障は本来、日本を安心させるはずだが、日本の政治家に不要なリスクを取る気にさせる恐れもある。一部の歴史学者の主張によれば、1914年にドイツ政府はできるだけ早く戦争をしなければならないと結論づけた。敵がもっと強くなる前に戦った方がいいというわけだ。
同様に一部の日本ウオッチャーは、日本政府内の国家主義者が、日中の力の差が大きくなり過ぎず、米国が太平洋で優勢な軍事大国であるうちに中国に立ち向かいたがるのではないかと憂慮している。
■大戦前のドイツに似てきた中国
国家主義に傾く日本の政治を懸念する米国人にとってさらに気がかりなのは、中国にも同じ傾向が見えることだ。現在の中国は100年前のドイツのように、既存の大国が自国の台頭を断固阻止することを恐れる新興大国だ。
近代中国の父であるトウ小平氏は、「能力を隠して時機を待て」という格言に基づく外交政策をとった。しかし、トウ小平世代に取って代わったのは、自信や自己主張が強い新たな指導部だった。中国軍も次第に外交政策に大きな影響力を持ちつつある。
第1次世界大戦前のドイツとの類似は顕著だ。オットー・フォン・ビスマルクの巧みなリーダーシップに代わり、はるかに不器用な指導者が、戦争勃発前の数年間に政治や軍事の権力を握った。ドイツを支配したエリート層も下からの民主化圧力に脅かされていると感じ、国民感情の別のはけ口として国家主義を奨励した。中国の指導部も共産党の正当性を強化するため、国家主義を利用してきた。
■100年前の過ちを繰り返すな
少なくとも中国の指導部が、歴史上の大国の台頭を徹底的に研究し、ドイツと日本の過ちを避ける決意を固めていることは心強い。我々が核の時代に生きていることも、1914年の危機が再現される可能性をかなり低くするはずだ。
本当に危険な状況になったら、日米安保条約にはある程度、解釈の余裕がある。一般に第5条は、米国に軍事的手段で同盟国を守ることを義務付けていると見なされるが、実際は日本が攻撃された場合に「共通の危険に対処するよう行動する」ことを両国に義務付けているだけだ。この曖昧な文言が、中国に米国を挑発する気を起こさせるならば危険だ。しかし、一方で有事の際には役立つ可能性もある。
1914年7月、すべての関係国の指導者は無力感をおぼえながら大半の人が望まない戦争へ押し流された。その歴史を学べば、中国人、米国人、日本人が2014年に同様な運命に陥らずに済む助けになるかもしれない。 By Gideon Rachman ≫(日経新聞:2013年2月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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