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マスメディアのはしゃぎ振りはどうだろう。円安が加速し株価がリーマンショック以前に戻るのも時間の問題と「アベノミクス」を持ち上げ放題だ。しかし現在の円安と株高は「アベノミクス」とは殆ど無関係の世界金融の現象の一環に過ぎない。これまでの日本の「円」が異常な円高にあったことと、日本の株式価格が異様に低水準に押さえ込まれていたことの反動に他ならない。
円はユーロ不安とドルの信認低下により世界の投機資金が一時的に比較安定的な国際通貨「円」に避難していたに過ぎない。株式は日本企業が弱体化していないにも拘らず不当に低水準に貶められていただけだ。それも比較的「安定的な株式市場」の日本株式に投資するよりも、短期的な利益を追求するなら市場規模がまだ未成熟な僅かな投機資金で簡単に乱高下する株式市場で運用する方が利益を短期的に手に出来るからに他ならない。
しかしユーロが欧州中央銀行の「無制限に債務国を支える」との決断を下して比較安定通貨に戻ったことと、米国の経済が改善基調にあることからドルが力を取り戻し、「円」に避難していた国債投機資金が円売りに転じたからに他ならない。その代わりに日本の割安感のある株式市場で一儲けしようとする投機資金が通貨「円」から日本の株式市場へ振り変わっただけだ。
それらは気紛れな短期利益を求め続ける「投機資金」の思惑による一時的な現象に過ぎない。決してアベノミクスが世界金融で評価され大きな現象の氷山の一角として基本的な資金移動が起こっているわけではない。円安と日本の株高を維持するには経済成長をすることだ。来年の四月から消費税が8lに増税されるのが分かっている投機家たちはいつまでも株式市場に資金を投じ続けないだろう。
経済成長がなければ投機に値する材料は日本の株式市場にない。ただ割安感のある株式を買って株式市場を煽って売り抜け、ほんの小遣い稼ぎをするだけで終わるだろう。国民経済でみれば労働配分率の変化がないまま、国民の可処分所得が増えなければ経済は悪化の道を辿ることになる。橋本政権下では2lの増税で回復基調にあった景気が失速したが、今回は3lの増税だ。しかも生活必需品に対する軽減税も先送りされている。景気に対する深刻な打撃は回避出来ないだろう。
自民党はアベノミクス現象が7月まで続けば良いと思っているのだろうが、消費者物価はそれまで待ってくれないだろう。早くもガソリン価格は高騰している。電気料金も上がるという。地方自治体では下水料金や水道料金など電気を使って処理している施設の料金値上げがこの春から目白押しだ。しかも安倍政権が大盤振る舞いする公共事業は自民党を支える業界への配慮だろうが、投資効果として経済成長とは殆ど相関関係がないのはここ20年近い財政出動で景気回復が出来なかったことから明白だ。
なぜ政府は「脱原発」を謳い再エネ投資減税を大胆に打ち出さなかったのだろうか。原発再稼動なら以前の繰り返しに過ぎず、既存利権構造の維持に過ぎないため経済成長とは無縁だ。既存の利権構造と手を切り、新しい経済成長エンジンを温めなければ成長は覚束ない。アベノミクスはこの春までの椿事で終わることになる。
幻を持ち上げているバカなマスメディアは春までのドンちゃん騒ぎを演じているだけだ。地道に経済成長戦略を実施しなければ必ずそうなるし、残念ながら安倍政権の政策に経済成長戦略の姿形は何も窺えない。そして最も残念なのはこうした指摘をする政党が皆無なことだ。いや、私と同じような私見を持つ政治家はいるのかもしれないが、マスメディアの表に出てこないことだ。それならネットで発言すればよいのだが。
マスメディアに全面対決する勇気のある政治家が殆どいないことは小沢氏の「陸山会」事件を見殺しにした政界から明らかだが、アベノミクスに関しても「あんなのはマスメディアが持ち上げているだけの春の陽炎のようなものだ。経済成長なきインフレは国民を苦しめる単なる悪性インフレに過ぎない」と発言する政治家の出現を望む。
http://km2295.iza.ne.jp/blog/entry/2996018/
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