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2013/2/5 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
毎日新聞の調査で安倍内閣の支持率が11ポイントも上がって、63%になった。そりゃ、これだけ株価が上がれば、支持率もついてくるだろうが、ロケットスタートに気をよくした自民党は今、「参院選も勝てる」と自信を深めている。「自公で過半数はもらった」というのである。
「確かに、自民党内で、そういう声は出ています。自公で過半数はそれほど高いハードルではない、と浮かれている。公明党が10議席を取るとすると、自民党が単独で54議席取ればいい。改選議席は34ですから、20以上の上積みが必要になる。ふつうに考えれば、難しいが、野党・民主党が完全に死に体だから、強気になっているのです。複数区16は必ず、1人取れるし、比例も15くらいはいくでしょう。そうなると、1人区は23勝8敗で過半数。そんな皮算用です。私はそう甘くないとは思いますけどね」(政治評論家・野上忠興氏)
とはいえ、自民党幹部は「スキャンダル」や大きな失言がなければ大丈夫だろう」とほくそ笑み、それを自覚している安倍はことさら、安全運転を心がけている。タカ派的発言を封じ込め、河野談話の見直しも有識者に任せる周到さ。
こうなると、完全に自民党ペースだ。安倍は長期政権を視野に入れているし、参院選に勝って、ねじれが解消すれば、引きずり降ろすのは至難の業だ。たとえ、安倍がズッコケても、自民はシャッポを取り換えるだけ。絶対に政権は手放さない。
気の遠くなるような自民長期政権が始まることになるのである。
◆独裁とねじれ国会のどちらがいいのか
その場合、どういう政治が行われるかはハッキリしている。政治評論家の山口朝雄氏はこう言った。
「今は封印しているタカ派色をむき出しにしてくるでしょうね。憲法改正手続きを変えて、国防軍設置、集団的自衛権容認、徴兵制まで突き進むだけでなく、その間、庶民の暮らしは蔑(ないがし)ろにされ、どんどん格差が広がっていくと思います。問題なのは、その時、国民が『違う』と思っても、どうにもならないということです。自民党はタダでさえ、衆院で3分の2の勢力を持っている。参院も過半数を得れば、何でもできる。増税法案だろうが、社会保障のカットだろうが、やりたい放題。維新の会などが加われば、参院も3分の2を確保し、憲法改正も可能になる。大マスコミは衆参のねじれを問題視し、決まらない政治を非難してますが、民主主義というのは時間がかかっていいのです。衆参を握られ、右から左にコトが決まる独裁政治がエスカレートする方がよっぽど恐ろしい」
いわゆる55年体制を打破するのに、日本は60年近くかかった。今度もそうなる。自民党が唱える保守政治とは、現状を変えないことだ。役所や大企業が持っている既得権益を守ることである。それを保守本流とか言って、政治の王道であるかのごとく、強弁してきたのが自民党だ。これにタカ派的要素を付け加えて新味を出したのが旧福田派で、安倍はそこに位置する。ますますもって、庶民は絶望的になってくるのだ。
◆万死に値する野田首相の無能と裏切り
こんな展開になると、返す返すも腹が立つのが野田前首相のバカぶりだ。
なぜ、円高を止められなかったのか。安倍でもできるのだから、誰がやってもできたはずだ。そうやって、円高を止め、補正を組み、ある程度、景気を回復基調に乗せてから解散すればいいのに、なぜ、バカな自爆解散に踏み切ったのか。あり得ないような愚かさだ。
「野田政権も日銀に金融緩和を迫り、物価目標1%をめどにさせた。政府と一緒にデフレ脱却に取り組む共同声明も出しています。しかし、市場は反応しなかった。当たり前の話で、その一方で消費増税をしているからです。財務省の言いなりで、財政出動をためらい、日銀にだけ金融緩和を迫ったところで、効果が表れるわけがない。それが見透かされた。財務省の言いなりの無能政権の限界でしたね」(日銀担当記者)
◆自分たちの都合しか考えなかった3人組
年末解散の裏事情にも絶句する。謎だらけとされたが、藤村前官房長官がもう、新聞でペラペラとしゃべった。麻生財務相から散々、「解散しろ」とせっつかれ、野田は「近い将来」と言ったこと。追い詰められて、野田と藤村、岡田副総理が3人で勝手に解散を決めたこと。その際、維新の会の選挙準備が整っていないことが理由になったこと……。ここまでバカだと、怒る気さえ失せてくる。
「政権与党なのに、自分たちの都合しか考えていなかったのですよ。正確にいえば、3人の都合だけです。本来であれば、補正を組むなり、景気対策をしてから信を問う。選挙対策だけでなく、国民生活を考えれば、当然の選択肢です。しかし、自分たちだけ生き残ればいいと思っているから、そういう配慮すらない。財務省の言いなりだから、カネも出したくない。じゃあ、何をしたかったのかというと、小沢氏を潰し、自民党が大勝しないことを前提に、自民党の補完勢力として生き延びようとしたのでしょう。これが自爆解散の真相なのですから、ひどいものです」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
◆憲法も知らない無知には自民も仰天
小沢は「解散」と聞いて、「アイツら憲法も知らないのか」と吐き捨てたという。憲法に明記されている総辞職は、与党最大の武器である。選挙に負けそうならば、しなくていい。シャッポを代えて、時間稼ぎができるのだ。しかし、野田はそれすらやらずに突っ込んだ。自民党も驚き、「ウソだろ」ってなもんだった。
自民党の幹部は選挙後、「こんなに勝つことはもうないだろう。与党があんなバカな解散をすることは二度とないからだ」と言っていた。
野田のバカたちが自民党の半永久政権を復活させたのである。その結果、庶民を蔑ろにする政治が大手を振って復活し、格差は拡大し、「食えないのなら自衛隊に行け」という社会になる。自民党の「日本国憲法改正草案」にうたわれているように個人よりも国優先、基本的人権よりも国防重視。そんな社会になっていく。気づいたときはもう遅い。
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