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<東京都>尖閣寄付14億円塩漬け 「返して」電話160件
毎日新聞 2月5日(火)12時14分配信
東京都が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の「購入と活用」目的で集めていた寄付金の募集が先月末、打ち切られた。都は現地調査の経費などを差し引いた14億円を基金化し、国が漁船の避難港整備などをすれば譲渡する構えだ。だが、「経済再生」を最優先に掲げる安倍晋三政権と、20年東京五輪招致に熱を上げる猪瀬直樹知事の間で、尖閣の実効支配強化を急ぐ動きは見えない。「当分は塩漬けのままだろう」との見方が、都庁内ではもっぱらだ。【佐々木洋】
そもそも昨年4月16日、訪米中の石原慎太郎前知事が都の尖閣購入計画をぶち上げた際、寄付金のアイデアを出したのは当時の副知事の猪瀬氏だった。念頭にあったのは購入費用だが、事務方が購入できなくなった場合に備えて目的に「活用」を加えた経緯がある。ベテランの川井重勇(しげお)都議(自民)は「『買えるかどうかも分からないうちに寄付を募集すべきでない』と反対したが、担当局が既に猪瀬氏の指示で動いていた」と振り返る。
結果的に周囲の懸念は当たり、9月11日に民主党政権が都を出し抜いて20億5000万円で国有化。14億円を超えていた寄付金は宙に浮いてしまい、石原氏はやむなく、漁船の避難港(船だまり)や漁業無線を中継する電波塔などの整備を条件に国への譲渡を表明した。12月に後継指名を受けて当選した猪瀬知事も、この路線を踏襲した。
しかし国有化から4カ月がたち、寄付金への関心は急速に薄らいでいる。
猪瀬知事は就任後、安倍首相、太田昭宏国土交通相と会談したが、話題は知事が熱心な五輪招致や地下鉄経営一元化に終始。安倍首相は1月28日の所信表明演説でも尖閣諸島の活用に触れず、猪瀬知事は25日の定例記者会見で「今はオリンピックが先。安倍政権も今は成長戦略を作っているところだから(協議は)その後になるんじゃないか」と述べた。
寄付の額もペースダウンし、9月11日〜1月31日の総額は約1300万円にとどまる。「寄付金を返してほしい」との電話も都に約160件寄せられている。ただ、寄付金には匿名のものもあり、既に全額が都の収入になっているため、都議会の議決が必要な返還(支出)の手続きは取られていない。
都港湾局が昨夏、現地に船だまりを整備する場合の試算をしたところ、小型船20隻が避難できる小規模な防波堤でも約200億円、工期は5年かかるとされた。3〜4トンのコンクリートブロックが約8000個必要で、それをすべて約170キロ離れた石垣島から海上輸送しなければならないのがネックという。寄付金を充てたとしても、整備をするなら追加で多額の財政支出が必要になるのは間違いない。
都の担当者は「国への譲渡条件が整うまで、都が基金を抱えていても問題はない。寄付してくれた人には、今後も尖閣諸島の有効活用を国に求めていくことで納得してもらっている」と話す。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130205-00000046-mai-pol
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