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2013/2/4 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
アベノミクス効果なのか、投資ファンドの思惑に過ぎないのか
日本株の上昇が続いている。12週連続の上昇は、「岩戸景気」に沸いた1958〜59年以来、54年ぶりの記録だ。大マスコミは、これを「アベノミクス効果だ」ともてはやしているが、果たして本当にそうか。
株が上がっているのは、何も日本だけの話ではない。NYダウは1日、5年4カ月ぶりに1万4000ドルの大台に乗せた。今週中にも07年10月に記録した過去最高値(1万4164ドル)を更新する可能性がある。NYダウが上がれば、東証も引っ張られて上がる。そういう要素もある。
昨年末から、日米欧をはじめ世界の主要15市場すべてで株価指数が上昇している。つまり、今は世界的な株高基調なのである。そういうタイミングで、アベノミクスが出てきた。
「安倍首相はラッキーとしか言いようがありません。アメリカでシェールガス革命が起こるなど世界経済の構造変化があり、期せずして、それがロケットスタートの追い風になった。日本の株高はアベノミクスや自民党政権に対する期待感だけが原因ではない。たまたま世界的な株高基調と首相就任時期が重なったのです」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)
◆世界的なトレンドに便乗しただけの株高・円安
為替もそうだ。実は、円安は昨年10月から始まっている。まだ解散の気配などみじんもなかった頃だ。双日総合研究所の吉崎達彦主任エコノミストは「世界中の金融関係者がIMF世界総会で東京に集まった10月9日ごろが市場の転換期だった」と指摘している。安倍の再登板と無関係なところで円安トレンドが動き始めた。それにアベノミクスは“便乗”した。だから、“口先介入”が効いたのである。
加えて、畳みかけるように金融緩和を煽(あお)り、財政出動を前倒しにすれば、市場は浮かれる。景気なんて、そんなものだ。大手銀行のストラテジストはこう言っている。
「アベノミクスによる景気回復は錯覚かもしれないし、バブルに終わる可能性は高い。でも、景気の“気”はムードの気。だから金融関係者は流れに乗っかっているのです。会社からも、株価上昇に水を差すような発言は控えるようにと言われています」れば、万々歳だが、そうではない。
その辺をわきまえておかないと、株高に煽られ、最後に出てくる投資家=個人がババをしょわされてしまうのだ。
◆大企業を救うために庶民生活を犠牲にする理不尽
アベノミクスの理論を担っているのは、米エール大名誉教授の浜田宏一・内閣官房参与だ。御年77歳である。週刊誌などで「1ドル=100円がちょうどいい水準」なんて言って、「時の人」になっているが、評判は芳しくない。
「自民党内にも、なぜ安倍さんは“終わった”学者の浜田さんが言うことをうのみにするのかと心配する声は少なくありません。日銀にお札をジャンジャン刷らせてインフレに導けば経済が元気になるという浜田さんの主張は、教え子で経済評論家の池田信夫さんですら、〈とっくに死んだはずのゾンビ経済学〉と切り捨てている代物。あまりに幼稚な理論です」(自民党関係者)
先週発売された「週刊文春」では、浜田氏はこんなアベノミクスで本当に実体経済が良くなりゃ苦労はしない。問題企業が立ち直り、内需が活発化して、景気が本当に回復するのであ趣旨のことを言っていた。インフレで国民生活に負担が発生し、資産が実質的に目減りしても、デフレ脱却の副作用だから仕方ない。ソニーやパナソニックなど日本を代表する企業が苦しんでいるのは円高のせいだ。だからデフレ脱却と円高解消のために、インフレ目標と大胆な金融緩和が必要なのだ――。
庶民生活が犠牲になっても、大企業が救われればOKと言わんばかりなのである。とんでもない発想だが、それで大企業が救われると思っているところもオメデタイ。
「円安と株高で一時的に業績が持ち直したように見えても、それは見せかけだけ。このままでは、やがて確実にダメになる。ソニーやパナソニックの失速は円高のせいではないからです。小泉構造改革時代も円安誘導を行いました。その時に輸出企業は円安効果だけで儲かると錯覚して、設備投資を怠り、その結果、国際競争力が落ちてしまった。円安に甘えすぎたせいで、グローバル企業に生まれ変わることができなかったのです。競争力のない今では、円安でも10年前のような利益は出ない。1ドル=100円になったら逆に大変です。電力などの生産コストが上がり、ますます人件費をカットするしか術がなくなる。浜田氏の理論はあまりに古い。10年前の過ちを繰り返すだけです。完全にモーロクしていると思いますよ。彼に任せていたら、悪い円安、悪いインフレが進み、景気はどうにもならなくなります」(経済アナリスト・菊池英博氏)
◆インフレ自体を目的にすれば日本経済は崩壊する
慶大ビジネススクール准教授の小幡績氏も近著「リフレはヤバい」でこう書いている。
〈現役の米国の有力な研究者でリフレ(=意図的にインフレを起こすこと)を支持する人はいない〉〈通貨が安い方がいいというのも古い考え方〉〈日本はもはや超成熟社会で、通貨を安くして諸外国と勝負するという発想自体が時代遅れ〉〈リフレで日本経済が崩壊する可能性がある〉
それなのに、リフレ論者の浜田氏に任せている安倍政権はどうかしている。危なっかしいったらありゃしない。
「そもそも、インフレ率を2%に上げることが政策目標になっているのがおかしい。インフレになって喜ぶ人がどこにいますか? 給料が増えなければ、生活が苦しくなるだけです。まず最初に雇用や所得を増やす成長戦略があるべきなのに、順番が逆になっている。だからマネーは株や不動産などのリスク資産に集中する。実体経済は何も変わらないのです」(広瀬嘉夫氏=前出)
株が上がっても、結局は、投資家が儲かるだけ。
青い目の投資家などは、舌なめずりだろうが、彼らは上げておいて売る。上げて儲けて、下げて儲けて、世界中を荒らしてきた。今度もその繰り返しになるだけだ。
ハッキリ言えば、日本型の重厚長大産業が生き永らえるのはもう難しいのだ。グローバル化と少子化で、世界は大きく変わっている。今さら途上国とコスト競争をしても勝てっこない。そこに資本を投入してもリターンはない。問題企業が立ち直るわけではない。彼らが若者を雇い、給料を上げるわけもない。つまり、日本経済が抱える問題は、アベノミクスでは解決しない。
それが露呈するまでは株高は続くかもしれないが、小さな風船がパチンとはじけるのは、もう時間の問題だ。
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