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2013.02.04 Financial Times :JBpress
(2013年2月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
日本の政界のラザロとでも呼ぶべき安倍晋三氏は、ものすごい勢いで墓から飛び出してきた。
不祥事と選挙での敗北、体力を消耗する腸の病気に見舞われる中で2007年に失った首相の座に返り咲いてから1カ月。国家主義の安倍首相は止められない勢いを見せている。
まるで、ペースを落とそうものなら政治的な死後硬直が戻ってきかねないと恐れているかのようだ。それもあながち間違いではないかもしれない。
■アベノミクスで市場を沸かせ、支持率を伸ばす安倍首相
今のところ、安倍氏は金融市場を大喜びさせ、財政・金融刺激策の攻勢で経済再生と長年のデフレからの脱却を狙う「アベノミクス」で支持率を伸ばしている。公共投資による景気刺激策に満ち満ちた日本の歴史において、13兆1000億円の補正予算という過去最大級の刺激策を打ち出すとともに、日銀を脅して2%のインフレ目標を設定させた。
外交政策では、日本をよりタカ派的な方向に導きながら、(それより目立たない形にせよ)同時に中国に歩み寄り、東シナ海の島を巡る危険な対立を終わらせようとしている。
東南アジア諸国を歴訪した目まぐるしい同盟(つまり反中同盟)構築の旅と11年ぶりの防衛費の増額は、友好的な2人の代理人――ハト派の元首相の鳩山由紀夫氏と、連立相手の公明党の代表、山口那津男氏――を中国に送り込むことで埋め合わせた。
日本の首相が急ぐ必要を感じる理由はすぐに分かる。直近6人の首相は在任期間の平均が1年少々だ。在任期間に対する割合で見ると、再起動後の安倍氏は既に、任期4年の米国大統領の就任100日の節目を過ぎたのだ。
経済を最優先事項に据える判断は、安倍氏が最初の首相在任中の失敗から学んだことを示唆している。当時、安倍氏は国民が年金制度の綻びについて心配しているのをよそに、自分が大事にしている国家主義的な大義に労力を浪費した。参院選で大敗した後、ストレスで悪化する可能性のある潰瘍性大腸炎が発症し、首相の職を辞した。
今回は12月26日に首相に就任してから、日経平均株価が8%上昇し、安倍氏の支持率は6ポイント跳ね上がった。だが、原子力、貿易、税制を含めた喫緊の問題が、雪崩のような景気刺激策の下に埋められたことは見逃されなかった。国会開会にあたっての安倍氏の演説はこれらの問題をすべて省略し、日本のメディアに批判された。
安倍氏の曖昧さの理由は一般に、今夏の参院選で勝ちたいと考えているからだと推測されている。もし勝てば、安倍氏は2007年に過半数を失った参院を取り返し、自民党の復活を確固たるものにできる。
それまでは、世論調査が示す右派の自民党と有権者の間の大きな思想的ギャップに累が及ぶような問題から距離を置く必要がある。例えば、自民党議員はほぼ全員が憲法から反戦条項を取り除きたいと考えているのに対し、撤廃を望む国民は半分しかない。
この戦略は果たしてうまくいくのか? 成否の行方は安倍氏の景気刺激策のインパクトにも左右される。エコノミストらは成長予想を上方修正しており、最近の動きに伴って進んだ円安もあって企業収益は回復すると見られている。
だが、企業は賃金を抑制する構えで、選挙が近づいてきたところで安倍氏が第2弾の景気対策を打ち出すとの噂もある。もし有権者がそうした策略を嫌い、それが日本の公的債務に与える影響に尻込みするようなら、第2弾の景気対策はリスクの高い一手になるだろう。安倍氏に近いあるエコノミストは「追加の刺激策は怖い」と話している。
■参院選までの課題
いずれにせよ、6カ月という時間は、日本の政治にとっては非常に長い。安倍氏の大腸炎は治まっているようだが、味方を選び、管理する同氏の能力はまだ議論の余地がある。安倍氏の最初の内閣は失言や失態が多く、新しい内閣からも既に最初の失言が出た。
財務相の麻生太郎氏は1月下旬、政府は高齢者が「さっさと死ねるように」することで、高齢者医療の財政負担に対処する必要があると述べた。
その後、麻生氏は真意を説明しようとしたが、これはひいき目に見ても、麻生氏の失言癖が無謀さに転じ得ることを思い出させる一件だ。安倍氏の課題は、自身の政権が麻生氏の助言を真に受けないようにすることだ。
By Jonathan Soble in Tokyo
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