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朝日「政治断簡」の論評 志位和夫委員長VS安倍首相
投稿日: 2013年2月3日 作成者: 見田治
2月3日朝日新聞4面に、「政治断簡」との論評が掲載されています。
通常国会が始まり、安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党の代表質問を聞いた。やや驚かされる場面があった。戦時中の従軍慰安婦にかんする首相の答弁である。論評はこう切り出します。
そして、安倍氏としては、思い切った言いぶりではなかったか。従軍慰安婦の「筆舌に尽くしがたい、つらい思い」に触れる答弁を引き出したのは、共産党の志位和夫委員長である。
なぜ、朝日の編集委員が「やや驚いた」のか。いうまでもなく、安倍晋三氏が昨年の自民党総裁選で、「河野談話」を見直すといい、「この不名誉を孫の代まで背負わせるわけにはいかない。なぜなら、軍が女性を強制的に連れていって慰安婦にした証拠資料はないから」と軍が関与した従軍慰安婦の存在を安倍氏が真っ向から否定してきた人物だからです。
「断簡」とは、きれぎれになった書きもの(広辞苑)との意味だそうです。大手メディアには、めったに登場しない「共産党」ですが、オール自民党化した政局のもとで、朝日の編集委員にも「きらり」と光るものが見えたというところでしょうか。
では。
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<参照動画>
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〔政治断簡〕志位委員長VS.首相 歴史と政治のはざま 編集委員・根本清樹
朝日新聞 2013.02.03 東京朝刊 4面
通常国会が始まり、安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党の代表質問を聞いた。やや驚かされる場面があった。戦時中の従軍慰安婦にかんする首相の答弁である。1月31日の衆院本会議で、首相はこう切り出した。
「これまでの歴史のなかでは多くの戦争があり、そのなかで女性の人権が侵害されてきました。21世紀こそ人権侵害のない世紀にすることが大切であり、日本としても全力を尽くしていく考えであります」
安倍氏としては思い切った言いぶりではなかったか。人権に敏感な国際社会に向け、政権としてのメッセージを発した。そう受け取れる。
従軍慰安婦の「筆舌に尽くしがたい、つらい思い」に触れる答弁を引き出したのは、共産党の志位和夫委員長である。
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元従軍慰安婦に対し「おわびと反省の気持ち」をあらわした1993年の河野洋平官房長官談話を取り上げ、いつもながらの入念な準備と周到な組み立てで首相に迫った。
安倍氏は昨年9月の自民党総裁選で、河野談話を見直す考えを示していた。「この不名誉を孫の代に背負わせるわけにはいかない」。なぜなら、軍が女性を強制的に連れていって慰安婦にした証拠資料はないから、である。
志位氏はこの見直し論が米国などで批判されていることを言い、当時の石原信雄官房副長官の証言をもとに反論した。強制性を裏付ける文書、物証はもともと見つけられなかったのであり、慰安婦であった女性16人からのヒアリング結果を「どう考えても、作り話じゃない」と判定して、河野談話としたといういきさつである。
志位氏は、「文書がないから強制はなかった」という議論はなりたたない、と首相の見解をただした。
首相は強制に直接言及はしなかったが、「この問題を政治問題、外交問題化させるべきではないと考えています」と述べ、これ以上の発言は「差し控え」ると答えた。
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首相の側にも、これを機にこの問題についての姿勢を整理して明らかにしておこうという考えがあったのかもしれない。それも、志位氏の質問があってのことである。
菅義偉官房長官は首相答弁を受け、この問題については有識者のさらなる研究、検討を待つという考えを示した。賢明な判断だと思われる。
練達の文明批評家、劇作家の山崎正和氏は「歴史と政治の分離」を説いている。真実を追求し続ける学問的な営みと、当面の安寧秩序に配慮する現実政治の仕事は別物である。国家間の歴史問題の取り扱いでも、「どちらかの側の満足ではなく、両者の不満を最小限にとどめること」で、よしとするほかない(「歴史の真実と政治の正義」)。けだし政治の要諦(ようてい)であろう。
◇
だん・かん【断簡】きれぎれになった書きもの(広辞苑から)
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